保健福祉の現場から

感じるままに

TPPに関する報道が変

2011年10月31日 | Weblog
毎日新聞社説「社説:TPP反対論 米国陰謀説は的外れ」(http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111031k0000m070104000c.html)。<以下一部引用>
そもそも米国はTPPに日本が参加することを想定していなかった。菅直人首相(当時)が成長戦略の一環として、自らの発案で参加したいと言ったのだ。米国は日本に参加要請していない。>

毎日新聞米大統領:TPP参加を野田首相に迫る 首脳会談で」(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111012k0000e010068000c.html)。<以下引用>
<環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を巡り、オバマ米大統領が9月21日にニューヨークで行われた日米首脳会談で、野田佳彦首相に対し早期の交渉参加を要請していたことが12日、分かった。大統領は会談で、「日中韓、欧州連合(EU)との関係でTPP交渉の余裕がないのか。よく考えてほしい」との考えを表明。首相も「しっかり議論し、できるだけ早期に結論を得たい」と応じた。首相は首脳会談後、TPP参加について、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までの決着を視野に、政府・民主党に議論を始めるよう指示している。結論を急ぐ背景に、米大統領の強い意向があったことが明らかになった。日本政府は5月、日中韓首脳会談で日中韓自由貿易協定(FTA)に関する検討の前倒しで合意したほか、EUとも経済連携協定(EPA)交渉に向けた予備交渉の早期開始で一致。一方、TPPについては3月の東日本大震災を境に議論が中断していた。米側にはTPPに日本を巻き込むことで、新たな貿易枠組みをつくり、中国をけん制する狙いがある。TPP以外の経済連携を先行させる日本の姿勢に危機感を強め、首脳会談での参加要請となった。日米両政府は日米同盟深化の柱として▽安全保障▽経済▽文化・人材交流--の三つを掲げており、TPPは経済分野の柱の一つと目される。APECでは日米首脳会談も予定されており、日本側の対応が焦点となる。政府・民主党は首相の指示を受け、11日に経済連携に関する関係閣僚会合と、民主党プロジェクトチーム(PT)を相次いで再始動させた。しかし、農業分野への影響などを理由に党内の反発が根強く、調整は難航している。>

毎日新聞「TPP:政府のTPPに関する内部文書(要旨)」(http://mainichi.jp/select/biz/news/20111028ddm005020026000c.html)。<以下一部引用>
米国がAPECで政権浮揚につながる大きな成果を表明するのは難しい。日本が参加表明できれば、米国が最も評価するタイミング。これを逃すと米国が歓迎するタイミングがなくなる
 
元防衛大教授、外交官(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%B4%8E%E4%BA%AB)ツイッター;TPP(http://twitter.com/magosaki_ukeru)(http://twitter.com/#!/magosaki_ukeru)。<以下引用>
<TPP・毎日:今日の毎日社説は何だ。毎日時々いい記事、論評出る。社説になると想像できない酷いものを書く。「米国陰謀説は的外れ」。「主権国家が日本を含めれば10カ国集まり、調整。日本だけが一方的に不利益をこうむるはずがない」「はずがない」で論陣はるな。米国の社会制度受け入れの損得は国により違う。「米国は日本に参加要請してない」。嘘言うな。それなら入る必要ない。「数カ国で開放度の非常に高い自由貿易圏を作り、それを広げ、最終的には中国も含めたAPEC諸国全体を包み込む狙い」。従米組織に中国入るはずがない。「日本たたきする経済的、政治的メリットはもうない」。TPPは日本叩きではない。日本社会を米国の意向を聞かせる従属化する手段。「米国ビジネス界、政界は停滞する日本へ関心を失っている」、嘘。米国は次次日本に介入しているではないか。「公的医療制度が通商交渉のテーマになった例はない」。今回は通常の通商交渉でない。24分野に拡大。サービスが焦点。「投資家が投資先の政策で被害を受けた場合、その国を訴える制度が議論。外資系企業への差別的扱いの場合、企業側に対抗手段があることは、全体として日本にメリットが多い」。日本国より外資の利益守るのが日本の利益。どこの国の新聞だ。>
 
米国大使館「米国通商代表部(USTR)外国貿易障壁報告 日本に関する部分」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0082.html)、米国大使館「日米経済調和対話」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-20110304-70.html)で、「保険」「医薬品・医療機器」がメイン項目になっており、あおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)をみても、サービス分野、特に医療が懸念される。TPP交渉に前向きである経済界からは、3月30日の提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)で、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられている。政府TPP協定交渉の分野別状況」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf)において、例えば、p6で「物品市場アクセス;米豪・米韓FTAのように医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある。」、p20で「貿易の技術的障害;規格策定段階において相手国関係者の参加を認め,自国民と同じ条件での関与を認める旨の規定が設けられる場合,我が国はこうした運用を行っていないため,我が国の手続の変更等の手当が必要となる。現時点では議論はないが,仮に個別分野別に規則が設けられる場合,例えば遺伝子組換え作物の表示などの分野で我が国にとって問題が生じる可能性がある。」、p40で「競争政策;我が国EPAでは取り扱ったことがない以下のような規定が盛り込まれる場合には,我が国制度との整合性について十分な検討が必要となる。(ア)公的企業及び指定独占企業に関するルール (イ)事件関係人の権利を審査手続において確保する規定 (ウ)競争政策に関する規律を引き下げるような規定(例:競争法の適用除外を明示的に容認する規定) (エ)競争政策の範囲に収まらない規定(例:消費者保護に関する消費者保護当局間の協力に関する規定」、p44で「越境サービス貿易;これまで我が国のEPAにおいて自由化を留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合に,国内法の改正が必要となったり,あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性がある。仮に,個別の資格・免許の相互承認が求められる場合には,これを行うか否かについて,我が国の国家資格制度の趣旨を踏まえ、検討する必要がある。」、p51で「金融サービス;我が国との二国間の協議において提起されている関心事項(郵政,共済)について,追加的な約束を求められる場合には,慎重な検討が必要。」、p62で「投資;これまで我が国のEPAにおいて留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合には,国内法の改正が必要となったり,あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性は排除されない。」など、医療分野と関連しそうな記載がいくつもある。決して農業分野だけではない。今回の毎日新聞社説(http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20111031k0000m070104000c.html)では「米国は日本に参加要請してない」とされるが、同じ毎日新聞で「米大統領:TPP参加を野田首相に迫る 首脳会談で」(http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111012k0000e010068000c.html)と報道されているではないか。「TPPに関する偏向報道」(http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/199d0d0d5be0d6c395cd8565fc9b1f02)と感じる報道がされればされるほど、不安に感じてしまう。こんなネット記事(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/d2876ff2ecf278e619b2c44a306bf4ed)(http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/27191288.html)(http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=116904)がみられるように、決して農業分野だけではない。

キャリアブレイン「受診時定額負担、TPP参加反対などを決議- 歯科医療関係団体が決起集会」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35858.html)。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

公的医療保険と所得の再配分機能

2011年10月31日 | Weblog
キャリアブレイン「櫻井氏、保険料負担の「不公平」是正を主張」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35853.html)。<以下一部引用>
<民主党の櫻井充参院議員は10月29日、東京都内で講演し、医療費を増やして雇用拡大につなげるべきだとの考えを示した。そのための財源については、所得が高い層が加入する被用者保険ほど、保険料率が低い保険料負担の「不公平」を是正することで捻出すべきだと訴えた。(中略)財源については、所得の高い層が加入する被用者保険ほど、保険料率が低い「不公平」を是正することで捻出すべきだとの考えを示した。櫻井氏は、「社会保障費には、所得の再配分機能を持たせる意味合いがあるはずだ」と指摘し、NHK職員の保険料率が5%台なのに対し、中小企業のサラリーマンらが加入する協会けんぽの保険料率が10%前後であることを問題視した。その上で、消費税増税も必要との認識を示した。>

日本医師会資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110302_1.pdf)p9に示されるように、医療保険料率は、協会けんぽ9.500%(2011年度)に対して、組合健保7.616%(2010年度)、国家公務員共済6.367%(2008年度)、地方公務員共済組合7.999%(2008年度)、私学教職員6.520%(2009年度)である。これは平均であって、NHKのように保険料率が5%台の保険者もみられるであろう。健保連では、全体の89.3%(1292組合)が赤字になると推計(http://www.kenporen.com/include/press/2011/20110421163501-0.pdf)され、将来的に保険料率は上がる方向であろうが、社会保障費には所得の再配分機能があり、保険料率については、いろいろ意見が出ている。しかし、このような意見が出てくるのは、あくまで「公的医療保険」だからという気がしないでもない。さて、あおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)に出ているように、TPPでは、サービス分野の代表として医療が懸念されている。例えば、混合診療全面解禁となれば、私的医療保険の拡充は必至であろう。今後、公的医療保険による所得の再配分機能はどうなるのであろうか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPP交渉参加の意向

2011年10月30日 | Weblog
47news「TPP交渉参加へ、首相固める シンガポールに伝達方針」(http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011102901000705.html)。<以下引用>
<野田佳彦首相は環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する意向を固めた。11月12、13両日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会に、シンガポールのリー・シェンロン首相と会談し、参加方針を伝達する。TPP交渉開始時からの参加メンバーでけん引役となっているシンガポールの首相に直接伝えることにより、日本が交渉で主導的役割を果たす決意をアピールするのが狙いだ。会談は12日を軸に調整している。関係筋が29日、明らかにした。野田首相は首脳会議でオバマ米大統領らとも会談、交渉参加を伝える考えで、日本のTPP交渉参加は国際公約となる。2011/10/30 02:02 【共同通信】>

YAHOO!ニュース「野田首相、TPP交渉参加の意向固める 11月のAPEC首脳会議で関係国に交渉参加を伝達へ」(http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20111029-00000523-fnn-pol)。<以下引用>
<野田首相は、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加する意向を固めた。11月中旬にハワイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の際に、関係国に交渉参加を伝達する方針。政府関係者によると、野田首相は、TPP参加に慎重な鹿野農水相と、10月だけで数回極秘の会談を重ねてきた。鹿野農水相は、最終的に交渉参加を容認する考えを示唆し、これを受けて野田首相は、APECで交渉参加を表明する意向を固めた。民主党内では、慎重派が攻勢を強めているが、野田首相は11月4日をめどに、交渉参加容認の方向で意見集約したい考え。その後、記者会見などの形で交渉参加方針を国民に説明し、そのうえで、APECに臨む方針。しかし、慎重派が猛反発するのは必至で、政権運営に影響が出る可能性もあるとみられる。>

徹底して農業問題が前面に出されることに不信を感じる方が少なくないかもしれない。最近になって、ようやく地上波(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/99077.html)(http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/361.html)(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/b428edf3c996b95dbf6476ad8f8b6c56)で、農業分野以外の影響が報じられるようになった。政府「TPP協定交渉の分野別状況」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf)をみれば、農業問題は一つの側面でしかないことがわかる。米国大使館「米国通商代表部(USTR)外国貿易障壁報告 日本に関する部分」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0082.html)、米国大使館「日米経済調和対話」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-20110304-70.html)で、「保険」「医薬品・医療機器」がメイン項目になっており、あおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)をみても、サービス分野、特に医療が懸念される。経済界はTPP交渉に前向きであるが、3月30日の提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)では、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられている。医療団体からは、①全国保険医団体連合会「ねらいは医療の市場化……世界の潮流に逆行するTPP参加」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/110914tpp.html)、②同「国民皆保険を壊すTPP参加は容認できない」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110305tpp.html)、③同「医療の市場化拡大を狙うTPP参加は、国民皆保険制度の崩壊を招く」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110131tpp.html)、④日本医師会「医療における規制改革とTPPについての見解」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1379.html)、⑤同「政府のTPP参加検討に対する見解」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1354.html)など、強く警戒されていることは知っておきたい。世界的権威の医学誌Lancetが9月1日、日本の保健医療に関する特集号を発行(http://www.thelancet.com/japan)しており、「海外からは「日本が保険給付の公平性を保ちながら医療費を抑制していることは驚異的」とみられている」(http://www.dm-net.co.jp/calendar/2011/015833.php)が、とにかく、医療への市場原理導入促進は覚悟しなければならないようである。ところで、平成22年国民生活基礎調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/index.html)によると、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は16.0%で増加傾向にある(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/2-7.html)。これも戦略だったのかもしれない。民主党国会議員HP(http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/70e70a794fce2767738c46d9a840c9ca#comment-list)のコメント数が凄い。

田中龍作ジャーナル「TPPで「国民皆保険」崩壊 病院にかかれなくなる庶民」(http://tanakaryusaku.jp/2011/10/0003085)。<以下引用>
<TPPの交渉参加に反対する全国決起集会が26日、日比谷野音で開かれた。集会の実行委員会に名を連ねる「全国漁協」や「全国森林組合」の代表らと共に日本医師会の中川俊男副会長が壇上から挨拶した。日本医師会が農協主導の全国集会に出席するのは極めて異例だ。TPPが国民の命と健康をつかさどる医療に直結していることを示している。中川副会長は次のように訴えた―― 「政府は『日本の医療制度は、すぐには議論の対象にならない』と説明するが、納得できる内容にはほど遠い。我々は何も実態のないことに怯えているのではない。2001年以来アメリカが市場原理を日本の医療に導入することを明確に要求してきたからです…(中略)…世界に誇ってきた世界一平等で公平な医療の提供ができなくなる。お金持ちとそうでない人と所得の格差で受ける医療の内容が変わってくる」。庶民にとってTPP加盟が怖いのは、国民皆保険の崩壊なのである。理屈はこうだ― TPPに加盟するとサービス市場を開放しなければならない。米国が見るサービス市場の代表格は医療だ。混合診療(保険診療と保険外診療の併合)が解禁されて、株式会社化された病院が本格参入すれば、収益性の高い米国系資本の病院だけが勝ち残る。日本の国民皆保険は崩れ、米資本保険会社が参入する。この図式で誰が潤うかと言えば、米保険会社(米金融資本)である。マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』は、国民皆保険でないために病院にもかかれない庶民の悲劇を描く。米国の医療保険に関わっていた知人は「すべてに多額の費用がかかる」と強調する。たとえば道端で苦しんでいる人を見て救急車を呼んであげたとする。救急車を1回呼ぶと後から10万円の請求書が来る。救急車を呼んであげた人は「何てことしてくれたの!」と恨まれる。小泉・竹中による郵政民営化で、米金融資本が狙ったのは、300兆円ともいわれた郵貯(簡易保険も含む)マネーだった。ただ民営化しただけでは、郵貯マネーは米金融資本には転がり込まない。総務省の元審議官は、米金融資本による「仕掛け」を次のように解き明かす―― 貧困層を作り出し国保財政を破たんさせ国民皆保険のシステムを崩す。リーマンショック(2008年)で派遣切りが社会問題化した頃、派遣労働者の多くは健康保険に加入していなかった。会社は加入してくれないし、国民健康保険料も払えないためだ。この頃、貧困層の増大による国保財政の危機が叫ばれた。それまで特定業種に限定されていた派遣労働の枠を一気に広げた1999年の労働者派遣法改正は、米国の要求だった。貧困層を作り出したのは、国民皆保険の崩壊を狙った米国の仕掛けだったのである。TPPは米国が医療制度そのものに手を突っ込んできたことになる。米金融資本の焦りの表れとも言えるが、財政負担を減らしたい財務省の思惑とも一致する。郵政民営化同様、政府とマスコミが一体となって進め進めと大合唱する時は、庶民が危うい目に遭う恐れがあることを充分警戒しなければならない。>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと医療問題

2011年10月29日 | Weblog
米国大使館「米国通商代表部(USTR)外国貿易障壁報告 日本に関する部分」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0082.html)、米国大使館「日米経済調和対話」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-20110304-70.html)で、「保険」「医薬品・医療機器」がメイン項目になっており、あおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)をみても、サービス分野、特に医療が懸念される。農業分野ばかりに焦点があたっているが、政府「TPP協定交渉の分野別状況」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf)をみれば、農業問題は一つの側面でしかないことがわかる。NHK視点・論点「TPP参加の是非」(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/99077.html)の動画(http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/361.html)には説得力を感じる。「こうした映像を見れば、日本人も目が覚めるのではないか。とにかく、TPPを巡る議論はウソとインチキがテンコ盛りなのだ。」(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/b428edf3c996b95dbf6476ad8f8b6c56)というネット記事も出ている。

朝日新聞「「農協がわめいてる」=TPP反対派けん制―仙谷氏」(http://www.asahi.com/politics/jiji/JJT201110290033.html)。

朝日新聞「韓国・ソウルでFTA反対集会 国会敷地に侵入」(http://www.asahi.com/international/update/1029/TKY201110290135.html)。

元防衛大教授、外交官(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%B4%8E%E4%BA%AB)ツイッター;TPP(http://twitter.com/magosaki_ukeru)(http://twitter.com/#!/magosaki_ukeru)。<以下引用>
<TPP・前原氏:いい加減口先発言に米国文句。前原氏「途中離脱可能」、これに官房長官同調(24日産経)さて米国の反応.29日日経「(途中で離脱の可能性を残し交渉参加案が日本で出ているのに対し)ワイゼル米首席交渉官”真剣に妥結に向かう意志のない国の参加は望んでいない」口先困ったもの>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

在宅医療

2011年10月28日 | Weblog
10月27日の社会保障審議会医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001t7j0.html)で、在宅医療関係資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001t7j0-att/2r9852000001t7o9.pdf)が出ているのでみておきたい。p4で、在宅医療推進の課題として、1)在宅医療サービス供給量の拡充、2)家族支援、3)在宅療養者の後方ベッドの確保、4)24時間在宅医療提供体制の構築、5)在宅医療の質の向上・効率化、医療・介護の連携、が挙げられているが、供給・システムの課題だけではない感じがしないでもない。先日、N市の介護保険事業計画策定委員会でも意見されていたが、在宅医療を推進するためには、終末期医療の在り方を含めて、地域住民に対する普及啓発が不可欠かもしれない。さて、p21によると、23年度中に4疾病5事業と同様、在宅医療についても医療計画の指針策定・都道府県提示されるという。p39~、「在宅医療の拠点として期待される上述のような役割を担う診療所又は病院を医療法に位置付けてはどうか。」「在宅医療を提供する診療所(歯科診療所を含む)、病院、薬局、および訪問看護ステーションについて、医療計画策定時に現状把握等に取り組むことにしてはどうか。」「在宅医療を提供する機関の重要性は高まっており、このような機関の運営の支援について、どのように考えるか。医療計画における在宅医療についても、4疾病5事業と同様に、達成すべき数値の目標や医療連携体制に関する事項の記載を医療法上で義務づけてはどうか。」「都道府県による、医療計画策定の際に、介護保険事業計画等を策定する市区町村と十分な情報共有を推進していくべきではないか。」「在宅医療の医療計画は、二次医療圏、保健所単位、市区町村エリア等、どのような単位で立案していくべきか。」の各論点の行方に注目である。また、p34に出ている平成24年度厚労省予算概算要求「在宅医療連携拠点事業」(47都道府県 × 2か所 = 94か所)はどうなるであろうか。ところで、10月18日付で厚労省老健局老人保健課から「末期がん等の方への迅速な要介護認定等の実施について」(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/dl/terminal-cancer_5.pdf)が発出されている。個別申請者の調査の結果、申請から二次判定までの平均日数は28.9日であり、19.4%の方が二次判定前に亡くなっていたというが、医療介護連携はタイムリーでなければならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会保障改革の各分野

2011年10月28日 | Weblog
10月24日付で政府から「社会保障改革の各分野の検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001szvt-att/2r9852000001szya.pdf)が出ている。診療報酬改定、介護報酬改定、労働安全衛生法改正、生活保護制度の見直し、難病対策の見直しなど、いろいろな動向は知っておきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと医療問題 米国通商代表部(USTR)外国貿易障壁報告 日本に関する部分 保険

2011年10月28日 | Weblog
米国大使館「米国通商代表部(USTR)外国貿易障壁報告 日本に関する部分」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0082.html)における「保険」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0082.html#保険)はぜひ見ておきたい。

NHK 視点・論点「TPP参加の是非」(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/99077.html)(http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/361.html)。<以下一部引用>
<第四に、TPPの問題点は、農業だけではありません。現在、TPPの交渉は農業以外にも、金融、投資、労働規制、衛生・環境、知的財産権、政府調達など、あわせて24もの分野があります。TPPは、日本の食料だけではなく、銀行、保険、雇用、食の安全、環境規制、医療サービスなど、国民生活のありとあらゆるものを、変えてしまいかねません。特に、アメリカは、日本の保険制度をアメリカの保険会社に有利なように変えることを求めてきています。実際、アメリカは昨年、韓国との自由貿易協定に合意しましたが、この自由貿易協定の結果、韓国は、例えば、共済保険を三年以内に解体することになりましたし、自動車の安全基準や環境規制についても、アメリカ企業に有利になるように変えなくてはなりません。>

東京大学教授「鈴木宣弘:TPPをめぐる議論の間違い ── 推進派の俗論を排す」(http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/10/tpp_tpp.html)。<以下一部引用>
<(略)基本的に、米国など外国企業が日本で活動する場合に、競争条件が不利になると判断される公的介入や国内企業への優遇措置と見なされる仕組みは廃止が求められるということである。したがって、郵政民営化は当然であるし、医療における公的医療保険も許容されないということになる。(略)P4協定は160ページにも及ぶ英文の法律である。P4協定は、物品貿易の関税については、ほぼ全品目を対象として即時または段階的に撤廃することを規定している。また、注目されるのは、政府調達やサービス貿易における「内国民待遇」が明記されていることである。内国民待遇とは、自国民・企業と同一の条件が相手国の国民・企業にも保障されるように、規制緩和を徹底するということである。たとえば政府調達では、国レベルだけではなく地方レベルの金額の小さな公共事業の入札の公示も英文で作り、TPP加盟国から応募できるようにしなければならなくなる。サービス貿易については、金融、保険、法律、医療、建築などの各分野で、看護師、弁護士、医者等の受け入れも含まれることになるだろう。金融についてはP4 協定では除外されていたが、米国が参加して以降、交渉分野として加えられている。(略)誰も、努力せずに既得権益を守ろうとしているわけではない。TPPのように、極端な関税撤廃や制度の撤廃は、一握りの勝者と多数の敗者を生み、一握りの勝者の利益が非常に大きければ、大多数が苦しんでも、社会のトータルとしては効率化された、という論理の徹底であり、幸せな社会とは言えない。医療と農業は、直接的に人々の命に関わるという点で公益性が高い共通性がある。筆者は米国に2年ほど滞在していたので、医療問題は切実に感じている。コーネル大学にいたが、コーネル大学の教授陣との食事会のときに2言目に出てくるのは、「日本がうらやましい。日本の公的医療制度は、適正な医療が安く受けられる。米国もそうなりたい」ということだった。ところが、TPPに参加すれば、逆に日本が米国のようになる。日本も米国のように、高額の治療費を払える人しか良い医療が受けられなくなるような世界になる地域医療も今以上に崩壊していくことは明らかである混合診療が全面解禁されれば、歯では公的保険適用外のインプラント治療ばかりが進められ、低所得層は歯の治療も受けられない、という事例(九州大学磯田宏准教授)はわかりやすい。>
 
民主党国会議員HP(http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/70e70a794fce2767738c46d9a840c9ca)。<以下一部引用>
<9カ国のうち、日本とEPA発行が出来ていないのは、米国、オーストラリア、ニュージーランドである。シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、チリ、ペルーとは発行済。つまり、9カ国中6カ国とは交渉が済んでいるのである。既に、東アジアは経済統合が進んでいる。65%は進んでいる。日本の企業では中国と関わっているないと云う国はない。サプライチェーン、産業のネットワーク、国境を越えて分業が進んでいる。統合になか乗り遅れた、米豪NZが焦りを感じている。特に米国は、東アジア包括的経済連携構想においてTPP参加国の中で唯一枠外。アジアにおける多国間交渉では全く土俵に乗れておらず、蚊帳の外。バスに乗り遅れまいと、TPPを使い日本を巻き込んで東アジア統合の一角に入り、いずれはそれを掌握し、日本を足場に中国と連携していこうというのが、米国の国家戦略である。陰謀ではない。国家戦略である。歴史に学べば、日米構造協議から、年次改革要望書と、手を替え品を替え、我が国に圧力をかけてきた。また米国の海外戦略を見渡すと、NAFTAは成功したものの、WTOはインドが懸念を表明し戦略としては不完全、MAIではフランスに見抜かれ、FTAAではブラジルに見抜かれ2連敗。今回はTPPにより、我が国が切り売りされようとしている。ここで、これを阻止しなければ、我が国は骨までしゃぶられ国家としての体を成さなくなってしまう。この一連の流れは、私が政治家を志すきっかけともなった大きな歴史的事実である。この際、この場では、与野党という枠を超えて過去の歴史を振り返る必要がある。民主党政権において参加に前のめりであることに私も皆さん同様危惧をしている。だから、この場を借りて主張している。(略)当然、米国を無視することはしない。TPPの動向には注視しつつ、いよいよ2012年から動き出す日中韓FTA交渉にウエイトを置き、TPPとは違った、各国が適切なバランスに配慮しながら、適切な関税と、適切な相互の国内対策のに配慮し、加盟国全てが利益を得られるように努力すべきである。日EU・FTAも交渉の範囲を確定する予備交渉が始められる。我々はバスに乗り遅れてはいないのだ。>

ニュース・スパイラル「TPP推進派の根拠に落とし穴 ── 内閣府試算GDP3.2兆円増は10年間累積試算だった」(http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2011/03/tpp3210.html)。

赤旗「日本の規制“じゃま”牛肉・医療・郵政…50項目、米が報告書」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-10-27/2011102701_04_1.html)。
 
「日本がTPPに加盟すると、共済や簡保の分野で「金融ビッグバン」後と同じ光景が繰り広げられる」(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/f6ff72a9fcbe4a0721440ae7ad1a7680)。

「TPP=農業問題」と一部の大手マスコミから煽られているように感じるのは気のせいであろうか? 「<TPP>政府、文書に本音 11月表明「米が最も評価」」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111028-00000024-mai-bus_all)と報道されている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第5期介護保険事業計画の保険料の行方

2011年10月28日 | Weblog
7月の第5期介護保険事業(支援)計画の策定に係る全国会議(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/index.html)から、3ヵ月以上経ち、来年度からの第5期介護保険事業計画の策定作業が全国各地で慌しく進んでいるであろう。保険料を抑えるため、「財政安定化基金取り崩し」、「介護給付費準備基金取り崩し」が行われる(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/dl/hokenryousettei.pdf)が、どうも65歳以上(1号被保険者)の介護保険料の大幅アップは避けられないようである。高齢者数の増加に伴い、施設をはじめ、各種サービス供給を増やしてきたことが大きいのであるが、それだけではない。一つは、第5期の2号被保険者負担率が現行の30%から29%に変更され、1号被保険者負担率が21%に上がる(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/dl/hokenryousettei.pdf)ことである。もう一つは介護報酬の引き上げである。例えば、平成23年度末までとなっている介護職員処遇改善交付金(http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/10/tp1023-1.html)について、10月17日の社会保障審議会介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ryva.html)で、介護報酬の加算で実施することが提案されている(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001ryva-att/2r9852000001rza5.pdf)。いわゆる「税対応から保険対応への振り替え」である。社会保障審議会介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000008f07.html#shingi7)での介護報酬改定の動向に目が離せない。介護報酬が上がればあがるほど、保険料引き上げにつながる。仮に、保険料を無理に抑制し、赤字が出て財政安定化基金から借り入れ(http://www.tmnf.net/kourei9.html)すれば、次期第1号被保険者の保険料に跳ね返るしくみになっていることは理解したい。そして、やはり、「介護予防の推進」と「施設介護依存の緩和」が徹底されなければならない。全国各地で実施されている「日常生活圏域ニーズ調査」の結果をみれば、介護保険予備群が膨大であることがわかるはずである。果たして、第5期計画では介護予防事業の効果の見込み(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/hokenjigyou/05/dl/yoboukouka.pdf)はどうなっているであろうか。ところで、10月3日に改正省令が公布され、来年度から、一定の研修を受けた介護職員が、たん吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)、経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻)を行うことが可能となる。今年9月2日の厚労省説明会資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/tannokyuuin/110906-1.html)には目を通しておきたい。資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/tannokyuuin/pdf/sanko_03.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/tannokyuuin/pdf/01.pdf)によると手続きが少し大変そうにもみえるが、平成28年1月の介護福祉士国家試験合格者からは養成カリキュラムにたん吸引と経管栄養が組み込まれるため、介護職員による医療的ケアが今後普遍化してくるであろう。資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001rbxs-att/2r9852000001sdvr.pdf)p15に出ているように、一部の特別養護老人ホームや老人保健施設でも医療的ケアが行われているが、療養病床が圧倒的に多い。今後、施設や在宅での医療的ケアの推進に期待したい。しかし、それとともに重要なのは、たんの吸引や胃ろう等が必要な状態にならないようにする対策であろう。

読売新聞「介護保険料、大企業社員900円増…厚労省試案」(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111027-OYT1T01262.htm)。
読売新聞「介護保険料 どう決定?」(http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/trend/ansin/20101109-OYT8T00721.htm?from=popin)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

がん、糖尿病、結核の診療報酬改定

2011年10月27日 | Weblog
10月26日の中央社会保険医療協議会総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001sp25.html)で「がん対策、生活習慣病対策、感染症対策について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001sp25-att/2r9852000001spdf.pdf)が出ており、目を通しておきたい。p47で、がん緩和ケアについて、「外来や在宅への円滑な移行を支援する体制をとっている緩和ケア病棟の評価をどう考えるか。」「 外来において、麻薬等を使用し、診断早期から継続して緩和ケアを行うことの診療報酬上の評価をどう考えるか。」、p79で、糖尿病について、「糖尿病患者に対し、外来において、医師や看護師、保健師等が連携して、重点的な医学管理を行うことの診療報酬上の評価についてどう考えるか。」、p121で結核について、「入院結核患者の治療を、入院中の包括的な服薬支援(院内DOTS)を軸に地域に帰ってからも継続的に服薬支援を行うことの診療報酬上の評価をどう考えるか。」「診療報酬上、退院基準に関する規定のない結核病棟についてどのように考えるか。」「陰圧室の適切な評価についてどのように考えるか」「結核以外の合併症を有する結核患者の治療を行うことの診療報酬上の評価をどう考えるか」のそれぞれ論点が挙がっており、行方が注目である。p74~p78で、「糖尿病等治療中の者に対する医学管理の効果」が示されており、参考にしたい。但し、開業診療所で、多職種による指導が果たしてどこまで対応できるか、課題かもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと医療問題 混合診療

2011年10月27日 | Weblog
フリージャーナリストから興味深いネット記事が出ている。
田中龍作ジャーナル「TPPで「国民皆保険」崩壊 病院にかかれなくなる庶民」(http://tanakaryusaku.jp/2011/10/0003085)。<以下引用>
<TPPの交渉参加に反対する全国決起集会が26日、日比谷野音で開かれた。集会の実行委員会に名を連ねる「全国漁協」や「全国森林組合」の代表らと共に日本医師会の中川俊男副会長が壇上から挨拶した。日本医師会が農協主導の全国集会に出席するのは極めて異例だ。TPPが国民の命と健康をつかさどる医療に直結していることを示している。中川副会長は次のように訴えた―― 「政府は『日本の医療制度は、すぐには議論の対象にならない』と説明するが、納得できる内容にはほど遠い。我々は何も実態のないことに怯えているのではない。2001年以来アメリカが市場原理を日本の医療に導入することを明確に要求してきたからです…(中略)…世界に誇ってきた世界一平等で公平な医療の提供ができなくなる。お金持ちとそうでない人と所得の格差で受ける医療の内容が変わってくる」。庶民にとってTPP加盟が怖いのは、国民皆保険の崩壊なのである。理屈はこうだ― TPPに加盟するとサービス市場を開放しなければならない。米国が見るサービス市場の代表格は医療だ。混合診療(保険診療と保険外診療の併合)が解禁されて、株式会社化された病院が本格参入すれば、収益性の高い米国系資本の病院だけが勝ち残る。日本の国民皆保険は崩れ、米資本保険会社が参入する。この図式で誰が潤うかと言えば、米保険会社(米金融資本)である。マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』は、国民皆保険でないために病院にもかかれない庶民の悲劇を描く。米国の医療保険に関わっていた知人は「すべてに多額の費用がかかる」と強調する。たとえば道端で苦しんでいる人を見て救急車を呼んであげたとする。救急車を1回呼ぶと後から10万円の請求書が来る。救急車を呼んであげた人は「何てことしてくれたの!」と恨まれる。小泉・竹中による郵政民営化で、米金融資本が狙ったのは、300兆円ともいわれた郵貯(簡易保険も含む)マネーだった。ただ民営化しただけでは、郵貯マネーは米金融資本には転がり込まない。総務省の元審議官は、米金融資本による「仕掛け」を次のように解き明かす―― 貧困層を作り出し国保財政を破たんさせ国民皆保険のシステムを崩す。リーマンショック(2008年)で派遣切りが社会問題化した頃、派遣労働者の多くは健康保険に加入していなかった。会社は加入してくれないし、国民健康保険料も払えないためだ。この頃、貧困層の増大による国保財政の危機が叫ばれた。それまで特定業種に限定されていた派遣労働の枠を一気に広げた1999年の労働者派遣法改正は、米国の要求だった。貧困層を作り出したのは、国民皆保険の崩壊を狙った米国の仕掛けだったのである。TPPは米国が医療制度そのものに手を突っ込んできたことになる。米金融資本の焦りの表れとも言えるが、財政負担を減らしたい財務省の思惑とも一致する。郵政民営化同様、政府とマスコミが一体となって進め進めと大合唱する時は、庶民が危うい目に遭う恐れがあることを充分警戒しなければならない。>
 
元防衛大教授、外交官(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%B4%8E%E4%BA%AB)ツイッター;TPP(http://twitter.com/magosaki_ukeru)(http://twitter.com/#!/magosaki_ukeru)。<以下引用>
<TPP:27日読売社説批判(TPP/混合診療):最高裁判決を新聞の社説で批判するには相当の批判と覚悟がいる。しかし読売新聞いとも簡単に最高裁判決批判を実施。問題は混合診療判決。TPPに入って医療の自由化が進めば保険の混合医療対象導入へ。医師会等は「混合医療認めると、国民健康保険の支払いが拡大し、国民健康保険制度の崩壊につながる」と危険を懸念。この微妙な時期に「混合診療禁止は”適法” 最高裁が初判断」。これに対して読売社説「最高裁は“安全確保や財源の制約などから、保険適用を合理的に制限することはやむを得ない”と現状を追認した。医療は日進月歩であり常に混合診療を認める範囲の拡大に努力しなければ、患者の要望に応えることができない。より柔軟な制度の運用が必要だろう。」混合診療しなければ医療の進歩がとまる物でない。問題の本質は対象を拡大し、国民健康保険を崩壊させる可能性。読売社説に誠実さを求めること自体ないものねだりだが、最高裁判決を批判するなら、もう少し論理を組み立てて、ある程度納得出来る論理構成をして欲しい。こうしたいいかげんの社説を書いていることは読売新聞の権威をどんどん低めていくことになる。社説書く人、何が何でもTPP推進に取り憑かれてる>
 
高度医療評価制度(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/9fa7e74fce645d0949257849001ee9fd/$FILE/20110304_2sankou.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/04/tp0402-1.html)は、先進医療(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)の一類型として保険診療と併用できる、政府公認の混合診療である。厚労省(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/)では、「先進医療については、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、保険診療との併用を認めたものであり、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めることとしています。」としている。しかし、行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」(http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/subcommittee/0126/agenda.html)による中間取りまとめ(http://www.cao.go.jp/sasshin/kisei-seido/meeting/2010/subcommittee/0126/item10_06_01_02.pdf)p92では、「公的保険の適用範囲を再定義することが必要」と記されている。高度医療評価制度(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/9fa7e74fce645d0949257849001ee9fd/$FILE/20110304_2sankou.pdf)は「薬事法上の承認申請等に繋がる科学的評価可能なデータ収集の迅速化を図ること」が目的であるが、それは同時に、「将来的な保険導入のための評価を行うもの」のはずである。現政権の意図する「公的保険の適用範囲の再定義」は果たして何を意味するのであろうか。なお、日本医師会資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110302_1.pdf)p18では、「先進医療の機動性を高めることで、国民の要望に応えることが可能」とされているが、全国保険医団体連合会「なし崩し的に混合診療を拡大する高度医療評価制度の見直し中止を求めます」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110204koudo-iryou.html)と出ているように、混合診療の全面解禁につながることが警戒されている。混合診療については資料(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110126_11.pdf)p10~13にわかりやすく解説されているのでみておきたい。「混合診療の全面解禁」とは、どんな場合でも「保険診療の一部負担+保険外の全額自費」になることであるが、社会一般に理解されているようには感じない。3月30日の経済同友会提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)で、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられていることは知っておきたい。米国大使館「日米経済調和対話」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-20110304-70.html)で、「保険」「医薬品・医療機器」がメイン項目になっており、あおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)をみても、サービス分野、特に医療が懸念される。世界的権威の医学誌Lancetが9月1日、日本の保健医療に関する特集号を発行(http://www.thelancet.com/japan)しており、「海外からは「日本が保険給付の公平性を保ちながら医療費を抑制していることは驚異的」とみられている」(http://www.dm-net.co.jp/calendar/2011/015833.php)。与党議員からも「TPPに関する偏向報道」(http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/199d0d0d5be0d6c395cd8565fc9b1f02)とされているではないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会保障の負担増

2011年10月27日 | Weblog
キャリアブレイン「70-74歳の医療費2割負担を検討- 社保審医療保険部会」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35832.html)。<以下引用>
<社会保障審議会の医療保険部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は10月26日の会合で、70-74歳の医療費の自己負担見直しについて検討した。厚生労働省は、これまでの関連検討会などでの議論を踏まえ、現行の1割負担から法定の2割負担に引き上げる案を示した。70-74歳の医療費の窓口負担は、2008年4月から2割(現役並み所得者は3割)と定められているが、現在は1割に凍結する軽減措置が続いており、毎年約2000億円の公費が投入されている。厚生労働省の「高齢者医療制度改革会議」は昨年12月、「70歳到達後に順次2割負担にする」との見直し案をまとめており、政府・与党の社会保障と税の一体改革成案では、これを踏まえて「70-74歳の自己負担割合を見直す」ことを盛り込んでいる。この日の協議で厚労省は、同会議の最終取りまとめに基づく見直し案を提示。鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)らは、患者負担が諸外国に比べて高いことなどから、1割負担の継続や、さらなる引き下げを求めたものの、ほかの委員からは、「(2割負担は)これまでも議論してきて決まったこと」「法律にのっとって運用すべきだ」とする意見が相次いだ。このほか、一体改革成案で「市販医薬品の価格水準も考慮して見直す」とされている医薬品の患者負担についても議論した。安部好弘委員(日本薬剤師会常務理事)は、「患者の理解を得るのが難しく、『国民に分かりやすい報酬体系』という方向に逆行する」などと反対した。>

10月27日の社会保障審議会医療部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000utuj.html)資料には目を通しておきたい。しかし、負担増は、①70~74歳の1割から2割負担への変更、②薬剤費負担の見直しだけではなく、③受診時定額負担の導入、④来年度からの医療保険料率引き上げ、⑤来年度からの介護保険料引き上げが予定されている。消費税率引き上げ案とともに、政府・大手マスコミが前面に出さなければならないと感じる。特に70~74歳の方々にとっては、医療費の窓口負担アップと介護保険料アップ(3年前と比べて大幅な引き上げが避けられない)がセットになって、インパクトが大きいであろう。ところで、昨日の部会では「新たな高齢者医療制度における医療費適正化計画の在り方について(特定健診・保健指導)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000utuj-att/2r9852000000uu0a.pdf)が出ている。p8~後期高齢者医療制度における後期高齢者支援金の加算・減算制度について解説されているが、後期高齢者支援金の10%は、約5,000億円程度(平成22年度予算ベース)とされ、結構大きいものである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと医療問題

2011年10月26日 | Weblog
TPPに関して、政府や大手メディアからは農業問題が前面に出されている感がある。しかし、政府「TPP協定交渉の分野別状況」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf)に出ているように、あくまで、農業問題は一部に過ぎない。例えば、p6で「物品市場アクセス;米豪・米韓FTAのように医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある。」、p20で「貿易の技術的障害;規格策定段階において相手国関係者の参加を認め,自国民と同じ条件での関与を認める旨の規定が設けられる場合,我が国はこうした運用を行っていないため,我が国の手続の変更等の手当が必要となる。現時点では議論はないが,仮に個別分野別に規則が設けられる場合,例えば遺伝子組換え作物の表示などの分野で我が国にとって問題が生じる可能性がある。」、p40で「競争政策;我が国EPAでは取り扱ったことがない以下のような規定が盛り込まれる場合には,我が国制度との整合性について十分な検討が必要となる。(ア)公的企業及び指定独占企業に関するルール (イ)事件関係人の権利を審査手続において確保する規定 (ウ)競争政策に関する規律を引き下げるような規定(例:競争法の適用除外を明示的に容認する規定) (エ)競争政策の範囲に収まらない規定(例:消費者保護に関する消費者保護当局間の協力に関する規定」、p44で「越境サービス貿易;これまで我が国のEPAにおいて自由化を留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合に,国内法の改正が必要となったり,あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性がある。仮に,個別の資格・免許の相互承認が求められる場合には,これを行うか否かについて,我が国の国家資格制度の趣旨を踏まえ、検討する必要がある。」、p51で「金融サービス;我が国との二国間の協議において提起されている関心事項(郵政,共済)について,追加的な約束を求められる場合には,慎重な検討が必要。」、p62で「投資;これまで我が国のEPAにおいて留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合には,国内法の改正が必要となったり,あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性は排除されない。」、p79で「分野横断的事項;現時点では議論が収斂していないため,今後の議論を見きわめた上で対応を検討する必要がある。」など、医療分野と関連しそうな表現がいくつもある。全国保険医団体連合会「ねらいは医療の市場化……世界の潮流に逆行するTPP参加」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/110914tpp.html)、②同「国民皆保険を壊すTPP参加は容認できない」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110305tpp.html)、③同「医療の市場化拡大を狙うTPP参加は、国民皆保険制度の崩壊を招く」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110131tpp.html)、④日本医師会「医療における規制改革とTPPについての見解」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1379.html)、⑤同「政府のTPP参加検討に対する見解」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1354.html)などにも出ているが、9月のあおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)をみれば、サービス市場の代表格として、医療分野が非常に警戒されていることがわかる。3月30日の経済同友会提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)では、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられており、経済界のTPP積極的姿勢と関係していないとはいえないであろう。民主党国会議員HP(http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/5a5102381d6e54aef0d1592e45a8c7ef)でも国民皆保険への影響が懸念されているが、この方は生命保険会社出身であり、説得力を感じる。米国大使館「日米経済調和対話」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-20110304-70.html)で、「保険」「医薬品・医療機器」がメイン項目になっていることも考慮されるべきであろう。世界的権威の医学誌Lancetが9月1日、日本の保健医療に関する特集号を発行(http://www.thelancet.com/japan)しており、「海外からは「日本が保険給付の公平性を保ちながら医療費を抑制していることは驚異的」とみられている」(http://www.dm-net.co.jp/calendar/2011/015833.php)ことは知っておきたい。とにかく、全く不思議なのは、TPPによる医療分野への影響について、政府や大手マスコミがあまり触れないことである。それが、かえって懸念を増幅しているように感じないではない。国内法律を超越した、国民生活に重大な影響が出る可能性がある取り決め交渉にもかかわらず...。
 
元防衛大教授、外交官(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%B4%8E%E4%BA%AB)ツイッター;TPP(http://twitter.com/magosaki_ukeru)(http://twitter.com/#!/magosaki_ukeru)。<以下引用>
<TPP(医療):TPPに入って医療の自由化が進めば保険の混合医療対象導入へ。医師会等は「混合医療認めると、国民健康保険の支払いが拡大し、国民健康保険制度の崩壊につながる」と危険を懸念。この微妙な時期に「混合診療禁止は”適法” 最高裁が初判断」(25日朝日)」「保険診療と適用外の 自由診療と併る“混合診療”を禁ずる国の政策が争点。安全面や医療格差の拡大を懸念する声あり、最高裁の判断が注目されていた」 さて、TPPには入るとどうなるか。国会や最高裁判断よりTPPの約束が重視される事態に。「変だ」と思われませんか。TPPで米国化. 日本議会も最高裁も不要>

「「なぜアメリカがこれほど強硬に日本のTPP参加を要求するのか?」という、解析した記事がない。内田樹」(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/8a9d8fd927a3653884b60a02fcde0029)。

しかし、一方で、少子高齢化の中で、「現状維持」だけでは厳しいことは強く認識したいところである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

治療中の者に対する保健指導

2011年10月26日 | Weblog
10月13日の保険者による健診・保健指導等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001reju.html)で、治療中の者に対する保健指導に関する資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001reju-att/2r9852000001reox.pdf)が出ている。厚労省は、「治療中の者への保健指導については、個々の保険者において、それぞれの状況に応じたあり方があると考えられることから、特定保健指導のように一律に保険者へ、その実施を義務付けることは適切ではないと考えられる。ただし、適切な連携の下に行われる治療中の者への保健指導については、効果が期待できることから国としては、地域の医療機関等の関係者とも連携した上で行っている治療中の者への保健事業の実施についての事例を積極的に収集し、各保険者に情報提供していくこと等、その適切な実施を推進していく方策を検討していくこととする。」という見解である。特定健診制度の特徴として、「治療中であっても健診対象」、「全国統一様式の電子データ管理」という点がある。問診で治療中にもかかわらず、コントロール不良の方が非常に多いことがわかる。例えば、県内国保の特定健診結果では、治療中でHbA1c8%以上は軽く1割を超える状況にある。医療機関側によると、不定期通院や治療中断が少なくないらしい。そういえば、厚労省資料(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/3e57b28a279ed19e492577ee0026d9fa/$FILE/20101203_2shiryou6.pdf)では、「健診情報から健診異常値の方を抽出し、レセプトと突合して医療機関未受診者に受診勧奨を行う。」、「レセプトから生活習慣病で医療機関に通院していた患者を抽出し、一定期間通院していない患者に受診勧奨を行う。」、「レセプトから抽出した対象病名毎に指導対象者を選定し、個別に指導を行うことにより重症化を予防。」などが示されており、これは糖尿病が理解しやすい。「栄養士がいない診療所」では、糖尿病療養の基本である栄養指導はどのように実施されているであろうか。糖尿病患者数は非常に多く、また、医療費がかかることから、すべて専門病院紹介というわけにはいかないであろう。やはり、「適切な連携の下に行われる治療中の者への保健指導」を推進したい。厚労省資料(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb14GS50.nsf/0/22487f2561e33a4c4925784f001eb3b2/$FILE/20110310_7shiryou3_2.pdf)p24~28のように、Ⅲ度(重症)高血圧者とHbAlc8%以上の者を優先して保健指導を行う方法もある。国保中央会「治療中の者に対する保健指導の効果に関するワーキンググループに関する報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001f0mk-att/2r9852000001f0s1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001f0mk-att/2r9852000001f0sc.pdf)も参考にしたい。なお、市町村と医師会・医療機関との調整には保健所の役割が小さくないように感じる。管内では、N市に続き、K町で、医療機関からの紹介による保健センター管理栄養士・保健師の保健指導が行われるようになったところである。レセプト分析や特定健診データ分析等を通じて、戦略的な保健事業を推進したい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

TPPと医療問題 TPP協定交渉の分野別状況から

2011年10月25日 | Weblog
政府から「TPP協定交渉の分野別状況」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf)が出ている。ザーっとみたところ、p6で「物品市場アクセス;米豪・米韓FTAのように医薬品分野に関する規定が置かれる可能性はある。」、p20で「貿易の技術的障害;規格策定段階において相手国関係者の参加を認め,自国民と同じ条件での関与を認める旨の規定が設けられる場合,我が国はこうした運用を行っていないため,我が国の手続の変更等の手当が必要となる。現時点では議論はないが,仮に個別分野別に規則が設けられる場合,例えば遺伝子組換え作物の表示などの分野で我が国にとって問題が生じる可能性がある。」、p40で「競争政策;我が国EPAでは取り扱ったことがない以下のような規定が盛り込まれる場合には,我が国制度との整合性について十分な検討が必要となる。ただし,これらの規定は他の交渉参加国も簡単に受け入れない可能性がある。(ア)公的企業及び指定独占企業に関するルール (イ)事件関係人の権利を審査手続において確保する規定 (ウ)競争政策に関する規律を引き下げるような規定(例:競争法の適用除外を明示的に容認する規定) (エ)競争政策の範囲に収まらない規定(例:消費者保護に関する消費者保護当局間の協力に関する規定」、p44で「越境サービス貿易;これまで我が国のEPAにおいて自由化を留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合に,国内法の改正が必要となったり,あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性がある。仮に,個別の資格・免許の相互承認が求められる場合には,これを行うか否かについて,我が国の国家資格制度の趣旨を踏まえ、検討する必要がある。」、p51で「金融サービス;我が国との二国間の協議において提起されている関心事項(郵政,共済)について,追加的な約束を求められる場合には,慎重な検討が必要。」、p62で「投資;これまで我が国のEPAにおいて留保してきた措置・分野について変更が求められるような場合には,国内法の改正が必要となったり,あるいは将来的にとりうる国内措置の範囲が制限される可能性は排除されない。」、p79で「分野横断的事項;現時点では議論が収斂していないため,今後の議論を見きわめた上で対応を検討する必要がある。」など、医療分野と関連しそうな表現がいくつもある。TPPの医療問題への懸念について、平成22年12月3日の日本医師会「政府のTPP参加検討に対する見解」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1354.html)、平成23年1月31日の全国保険医団体連合会「医療の市場化拡大を狙うTPP参加は、国民皆保険制度の崩壊を招く」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110131tpp.html)など、かなり以前からあったにもかかわらず、政府や大手メディアでは農業問題以外について、これまであまり触れられてこなかった感がある。あおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)をみれば、サービス分野、特に医療が懸念される。こんなネット記事が目にとまった。

京都大学大学院工学研究科准教授「米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 「TPP亡国論」著者が最後の警告!」(http://diamond.jp/articles/-/14540)。<以下一部引用>
<米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。ところが信じがたいことに、政府は「我が国が確保したい主なルール」の中にこのISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料)。その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。それ以上に、愚かしいのは、日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ。>

産経新聞「5つの対米公約表明へ TPP、武器輸出三原則… 来月の日米首脳会談」(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111021/plc11102101370002-n1.htm)。<以下一部引用>
首相が表明する対米公約」は、(1)TPP交渉への参加 (2)武器輸出三原則の緩和 (3)南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊派遣 (4)牛海綿状脳症(BSE)問題を機に実施された米国産牛肉輸入規制の緩和 (5)国際結婚の子の親権に関するハーグ条約加盟-の5つ。>

NHK「TPP“交渉参加後の撤退困難”」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111025/k10013487651000.html)。<以下引用>
<玄葉外務大臣は、記者団に対し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡り、交渉に参加しても、国益にそぐわない場合は撤退することもありうるという考えについて、「論理的にはありうるが、簡単な話ではない」と述べ、交渉に参加したあとに撤退するのは事実上困難だという認識を示しました。政府・民主党は、TPPの交渉に参加するかどうかについて、来月前半に開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の前までを念頭に方針を決めることにしており、こうしたなか、前原政策調査会長や藤村官房長官は、交渉に参加しても、日本の国益にそぐわず、決裂した場合は、撤退することもありうるという考えを示しています。こうしたなか、玄葉外務大臣は、閣議のあと記者団に対し、「交渉に参加したあとに撤退するということが起きた場合にどういう国益を損なうのかを、よく考えないといけない。論理的にはありうるが、簡単な話ではない」と述べ、交渉に参加したあとに撤退するのは事実上困難だという認識を示しました。>

niftyニュース「TPP「交渉中の離脱あり得ぬ」…経団連会長」(http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yomiuri-20111024-01053/1.htm)。<以下引用>
<環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を巡り、藤村官房長官は24日の記者会見で「一般的に言って、外交交渉で交渉が決裂すれば離脱する」と述べた。これに対し、経団連の米倉弘昌会長は24日の記者会見で、「離脱というのは不穏当な表現だ。交渉するが、途中で離脱というのはあり得ない」と注文をつけた。一方、経済同友会の長谷川閑史代表幹事は同日の記者会見で「リングに上がって戦ってみないと分からない」と、交渉への早期参加を促した。>

3月30日の経済同友会提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)では、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられていることから、懸念する方々が少なくないであろう。国内法律を超越した取り決め交渉にもかかわらず、情報公開が決定的に不足していると感じるのは気のせいであろうか。果たして、日本国の国会での審議はどうなっているのであろうか。大手マスコミでは、農業分野以外にほとんど報道されないのは、何か特別な理由が存在するのかどうか??? 来週どうなっているのであろう???
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

がん登録の行方

2011年10月25日 | Weblog
10月20日のがん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001scv3.html)で、がん登録に関する資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001scv3-att/2r9852000001sd0t.pdf)が出ているので見ておきたい。地域がん登録は本年10月1日現在、45道府県が実施(東京都と宮崎県が未実施)であるが、平成24年度中には全都道府県実施となるらしい。しかし、資料に出ているように、精度の高いがん登録が行われているのは一部の自治体に留まっている。がん診療連携拠点病院(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan_byoin.html)の指定要件に院内がん登録と地域がん登録への積極的協力が規定されていることや、診療報酬DPCの機能評価係数(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0422-5a.pdf)にかかる地域医療指数(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000iqay- att/2r9852000000iqeq.pdf)の一つとして、地域がん登録が位置づけられたことは、地域がん登録の精度向上に役立っていると思われる。それは本県の地域がん登録でもみられており、罹患統計が大きく伸びている。今年は、小児大規模集団での低線量被ばくによる晩発障害(http://www.remnet.jp/lecture/forum/02_04.html)の確率的影響(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E9%9A%9C% E5%AE%B3)が気になる方が少なくないであろう。一応、小児慢性特定疾患治療研究事業(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken05/index.html)によって、小児がんの実態がある程度把握できるのであるが、やはり、精度の高い地域がん登録による評価が不可欠と感じる。全国保健所長会からも全国標準のがん登録の徹底が要望されている(http://www.phcd.jp/kuni/H24_youbou_teishutsu.pdf)。ところで、7月26日にがん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計(http://ganjoho.jp/professional/statistics/hosp_c_registry.html)が出され、各施設別(http://ganjoho.jp/data/professional/statistics/hosp_c_registry/2008_report.pdf)の統計が出たことが注目された。地域がん登録は院内がん登録を含むものとして、地域がん登録(http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics05_a.html)の今後に注目したい。以前、こんな記事がでていた。
 
「がんを届け出義務のある疾患に- 登録100%へ全がん協が提言」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35123.html)。<以下引用>
<全国がん(成人病)センター協議会(会長=嘉山孝正・国立がん研究センター理事長)は7月28日、がん登録の推進に関する提言書を厚生労働省に提出した。がんを届け出義務のある疾患に位置付けるなど、登録率100%を目指す体制づくりが必要だと訴えている。嘉山会長らが同省を訪れ、外山千也健康局長に提言書を手渡した。がん登録に関しては、昨年6月の「がん対策推進基本計画中間報告書」で、国民の認知度が依然として低いことが指摘されるなど、がん対策の重点施策でありながら、推進状況は十分とは言えないのが現状だ。がん登録の法制化を含む検討の必要性も指摘されている。提言ではさらに、地域がん登録に基づく全国罹患率が14府県のデータからの推定値にとどまっているといった課題を挙げ、「登録率100%に近づけるため、さらなる取り組みが必要だ」と強調。その推進策として、▽地域がん登録を国の事業と位置付け、がんを届け出義務のある疾患とする。診療報酬に反映させる仕組みもつくる ▽地域がん登録と院内がん登録、臓器がん登録の登録項目を一本化するため、検討の場として「共通委員会」を厚労省に設置する ▽関係者が、がんの罹患・生存状況を把握するのに必要な資料(人口動態統計や住民基本台帳など)の利用を求めた場合は、閲覧を可能にする ▽生存率を含め、がん診療の質を測定する体制を整備する―の4点を求めた。>
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする