保健福祉の現場から

感じるままに

療養病床

2007年04月27日 | Weblog
昨夜のNHK特集番組;「ベッド難民は何処へ行く~武蔵野療園病院 医療相談室~;4月26日(木)午後11:00~」(http://www.nhk.or.jp/nippon-genba/yotei.html)をみたが、かなりのインパクトがあった。国の方針(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0412-4d.pdf)では、平成24年度末までに療養病床を現在の約35万床(回復期リハ除く)から約15万床にすることが示されているが、放映されたように昨年の診療報酬改定(http://iryoujimu1.com/h18-3.html#ryouyoubyouin)の影響が現在各地の医療現場ででている。医療区分1の患者の診療報酬が大幅に引き下げられ、経営のためには区分1の入院患者を減らさざるを得なくなったのである。これは厚生労働省の調査(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/8a33a36fac1c4eb3492572ad000af520/$FILE/20070329_3shiryou.pdf)でもはっきりでている。医療療養病棟での医療区分1の患者の割合は、平成17年度は49.6%であったが、18年度には34.4%と大幅に減少している。では医療区分1の患者がどこへ移ったかであるが、介護療養病棟での医療区分1の割合は微増(59.2%→59.6%)である。特別養護老人ホームや老人保健施設へ移ったのかといえば、待機者が溢れており、そうではないであろう。さて、全国保険医団体連合会の調査(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/tyousa/0612ryouyou/matome.html)では「医療区分1の多くが退院困難」とされ、また、日本医師会の調査(http://www.med.or.jp/nichikara/kaigo/index.html)では、「①医療区分1の患者の約4割は、病状面からは退院可能ではあるが、現実には在宅・施設での介護サービスが未整備なための「介護難民」である。②医療区分1の患者の約2割には、医師の指示のもと看護師の業務独占である対応が行われており、現状の介護保険施設における医療対応からして退院を迫ることで「医療難民」となる。<引用部分>」とされている(http://www.med.or.jp/nichikara/kaigo/20061025_1.pdf)。なお、最近、日本医師会からは「療養病床の再編に関する問題点について」(http://www.med.or.jp/teireikaiken/20070418_2.pdf)が提示されている。国の方針(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0412-4d.pdf)では、平成24年度末時点の医療療養病床数は、現状の医療保険療養病床数(回復期リハ除く)ー{医療療養病床から介護保険施設等に転換又は削減する見込み数;(医療区分1)+(医療区分2)×3割}+{介護保険適用の療養病床から医療療養病床へ転換する見込み数;(医療区分3)+(医療区分2)×7割}を基本に都道府県が実情を加味するとされているが、療養病床減少分の患者について、行き先と必要な医療・介護サービスが「公的保険」で受けられるかが、早急に明らかにされなければならないであろう。昨夜の特集番組は再放送(5月2日午前2:10~)されるというが、30分では短すぎるであろう。ぜひゴールデンタイムで、様々な観点から療養病床再編問題をとりあげてもらいたいところである。
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リハビリ

2007年04月27日 | Weblog
「保険リハビリ 医療・介護併用OK 厚労省、円滑移行へ1カ月間 」(http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070426/fks070426000.htm)の報道があった。これによると「厚生労働省は、医療保険が適用されるリハビリテーション治療を受けている患者に対し、治療終了予定日前の1カ月間、介護保険によるリハビリの併用を認めることを決めた。厚労省は今年4月から両者の併用を認めない方針を都道府県などに通知していたが、リハビリ施設を移ることに伴う患者の不安を和らげ、円滑な移行を促すためには併用もやむを得ないと判断し、方針を修正した。<記事引用部分>」という。昨年4月の診療報酬改定でのリハビリ医療日数上限設定に対しては、様々な問題が指摘(http://www.craseed.net/)され、昨年12月には「医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について」(http://www.pref.mie.jp/chojus/gyousei/H18kaisei/061225riha.pdf)が通知され、本年4月から、臨時の診療報酬改定(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/070401kaitei/07-0401riha.html)がなされている。そして、報道にある再度の見直しである。おそらく来年の診療報酬改定で再度変わるかもしれない。リハビリ医療に対しては、「あくまでもリハビリテーションの日数制限撤廃を求める」(http://www.healthnet.jp/data/2007/rihabiri.htm)との主張もある。この問題は、「リハビリ制限見直し 財政優先のひずみ表面化 国民に大きな不安広がり」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070315-00000020-san-pol)、「リハビリ制限  緩和もまだ安心できぬ」(http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20070319.html)、「リハビリ制限 制度の不備は明らかだ」(http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=200703&storyid=3588)など、最近、報道が続いている。やはり、報道の影響力を改めて感じるところである。それにしてもこれだけ短期間に方針転換が続くと、現場での理解は大変かもしれない。
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脂質異常症

2007年04月26日 | Weblog
「高脂血症」あらため「脂質異常症」に 学会が新指針(http://www.asahi.com/life/update/0425/TKY200704250306.html)の記事が目にとまった。日本動脈硬化学会の新指針では、LDL140mg/dl以上、中性脂肪が150mg/dl以上、HDLが40mg/dl未満の場合を「脂質異常症」と診断するという。さて、標準的な健診・保健指導プログラム確定版案(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10a.pdf)によると、保健指導対象者の選定と階層化(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0328-7a.pdf)では、ステップ1で腹囲、ステップ2で血糖、脂質、血圧、喫煙歴の追加リスクをカウントすることになっている。その脂質のチェックは、「中性脂肪150mg/dl以上」又は「HDL40mg/dl未満」又は「薬剤治療を受けている場合(質問票より)」であるが、LDLは入っていない。標準プログラムでは、「LDLコレステロール、AST、ALT、γ-GT等の階層化に用いられない検査結果についても、保健指導判定値を超えている場合には、特定保健指導の際に、検査結果に応じて、その病態、生活習慣の改善する上での留意点等をわかりやすく説明する必要がある。」とされている。LDLは総コレステロールの代わりに今回の健診に脂質検査として新たに導入されたものであるが、脂質の階層化にLDLが用いられないことには何か理由があるのであろうか。最新の科学的知見があるのかもしれない。あるいは単純にメタボリックシンドロームの診断基準(http://metabolic-syndrome.net/2006/06/000031.php)に入っていないためなのかもしれないが、ではメタボ基準にLDLが用いられないのはなぜであろう。
標準的な健診・保健指導プログラム確定版(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/02.pdf)が出た。
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特定健診・保健指導

2007年04月26日 | Weblog
特定健診・保健指導に関して、ネット上(http://ww2.ctt.ne.jp/~hopo/iryos.html#tokutei)でかなりの情報が掲載されている;「標準的な健診・保健指導プログラム確定版案」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10a.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10b.pdf)、「特定健康診査等基本指針(案)について」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/04-5a.pdf)、「特定健康診査等実施計画作成の着手に伴って各都道府県に求められる主な取り組み」(同)、「健診・保健指導の実施体制に関する調査について」(同)、「各種健診等の連携についての考え方」(同)など。これから全国各地で特定健診・保健指導の研修会が大流行するように感じるが、はたして研修会に参加したとしてもどれだけ理解されるであろうか。現状の基本健診や事業者健診をもとに標準プログラム案に基づく保健指導を行ったり、レセプトによる医療費分析等を行った方がわかりやすいかもしれない。それでも、研修受講者はこれからかなり多くなるように感じる。その際、例えば、日本医師会が特定健診・保健指導の指導者研修会の映像を無料配信(http://www.med.or.jp/chiiki/kenshin/kenshin181220.html)しているような対応をもっと期待したいところである。時間的制約もさることながら、旅費の獲得も厳しいと思う方が少なくないように感じるからである。これで研修リピーターも少しは安心するかもしれない。
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療養病床

2007年04月25日 | Weblog
療養病床の再編に関して、先日示された「医療費適正化に関する施策についての基本的な方針案」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0412-4d.pdf)では、平成24年度末時点の医療療養病床数は、現状の医療保険療養病床数(回復期リハ除く)ー{医療療養病床から介護保険施設等に転換又は削減する見込み数;(医療区分1)+(医療区分2)×3割}+{介護保険適用の療養病床から医療療養病床へ転換する見込み数;(医療区分3)+(医療区分2)×7割}を基本に都道府県が実情を加味するとされている。国の算定式を全国レベルで機械的に計算すると約35万床(回復期リハ除く)→約15万床になるとのことである。これに対して、日本医師会が「療養病床の再編に関する問題点について」(http://www.med.or.jp/teireikaiken/20070418_2.pdf)を提示しているが、厚生労働省案と大きな隔たりがある。とにかく、患者・家族にとっては、医療難民や介護難民にならないことが大前提である。明日のNHK特集番組;「ベッド難民は何処へ行く~武蔵野療園病院 医療相談室~;4月26日(木)午後11:00~、5月2日(水)午前 2:10~」(http://www.nhk.or.jp/nippon-genba/yotei.html)をみてみたい。ところで、「地域ケア整備構想」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk22.pdf)はいつの間に「地域ケア体制整備構想」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/04-3a.pdf)に変わったのであろうか。そういえば、「医療機能情報公表制度」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1031-6c.pdf)が「医療機能情報提供制度」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20070330_07.pdf)に変わっている。
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特定健診・保健指導

2007年04月25日 | Weblog
先日の管内保健事業連絡会で、市町保健師長の方々と国会議資料(http://ww2.ctt.ne.jp/~hopo/iryos.html#tokutei)をもとに特定健診・保健指導についての勉強会をした。各市町では基本健診の分析は終えているようである。資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/04-5a.pdf)によると、特定健康診査等実施計画における平成24年度の目標値は、①特定健康診査の実施率70%(市町村国保65%)、②特定保健指導の実施率45%、③メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率10%(平成20年度比)であるが、いずれも「かなり高い」との感じである。現在、管内の基本健診受診率は6割前後であるが、国保の特定健診の対象は40~74歳で、被用者保険の被扶養者を除く影響が小さくないようである。それ以上に、特定保健指導の目標達成はキツイ感じである。現状の個別健康教育の延長ではとても対応できないかもしれない。また、市町にとっては、後期高齢者の健診・保健指導については資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/04-5a.pdf)で示されているように、従来とほとんど変わらない。地域支援事業の生活機能評価と一体的に行われなければならないからである(http://www.pref.mie.jp/chojus/gyousei/H18kaisei/070320kennsinn.pdf)。とにかく、介護予防事業(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/02/dl/s0219-5-39.pdf)の時のような計画との大幅なズレが生じないようにしなければならない。ところで、メタボの改善率を達成するために、まさか、次のようなことを考える方はいないとは思うが...。①平成20年度の特定健診はできるだけ宴会シーズンに受診して健診データを悪くし(小生実証済)、24年度に向けて改善しやすくする。②平成21年度以降の健診前には2~3週間特別対応(禁酒、ジョギング、間食禁止等)をして健診データをよくする(小生実証済だが反動あり)。③メタボ改善率のベースラインが平成20年度実績であるので、来年度は健診も保健指導もあまり頑張らなくてもよい。④「服薬中の者については、医療保険者による特定保健指導の対象としない」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/01.pdf)ため、積極的支援対象者にはなるべく服薬してもらう。⑤腹囲測定値は息の仕方でどうにでもなる、など。
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改正医療法

2007年04月24日 | Weblog
今月に入って、改正医療法(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/164-4c1.pdf)の多くが施行されたせいか、しだいに慌しくなってきた感じがする。地元医師会とも、医療機能情報提供程度、医療広告、医療安全、医療計画等に関する勉強会を2週にわたって開催したのであるが、今後いろいろ訊きたいとのことである。医療機関側は医師会雑誌や保団連のHP(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/070401kaitei/070401iryoho.html)などを通じて勉強されているが、はたして事務所内は大丈夫か、気になるところである。
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看護師

2007年04月24日 | Weblog
先日、都会の大病院幹部から、都会でも看護師不足が起こっていると聞いた。これは地方だけの問題ではなく、各地で起こっているようである。先月、日精協から「7対1看護配置問題に関する緊急措置等について」の要望が出されている(http://www.nisseikyo.or.jp/home/about/05teigen/2006/2006_17.html)。看護師問題については、今年一月に中医協から、平成20年度の診療報酬改定において対応するよう「建議書」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/01/dl/s0131-7b.pdf)が出されているのであるが、緊急措置が必要との意見を現場の医療関係者からもよく耳にするところである。一方で「7対1、要件見直し前倒しに慎重論も/自民・厚労関係議員」との報道もある(http://www.healthnet.jp/syukan/pages/2007/04/sf000004_1.htm)。さて、要望(http://www.nisseikyo.or.jp/home/about/05teigen/2006/2006_17.html)では、「看護師の届出制度の法制化」も挙げられている。正確には、保健師助産師看護師法33条(http://www.ron.gr.jp/law/law/kangofu.htm)の業務従事者のみの届出ではなく、全数届出にすべきというものである。仮にこれが徹底されれば、潜在看護師の存在が明確になるであろう。対策の意識も少しは変わるかもしれない。また、法10条による看護師籍登録数も結構変わるかもしれないと感じるところである。
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療養病床

2007年04月23日 | Weblog
療養病床再編に関連して、「療養病床削減されたら…患者の在宅介護「不可能」95% 家族対象に札幌で調査」(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/21936.html)、「特養の7割で終末医療 医師・看護師体制には不安も」(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20070419ik0c.htm)と報道されている。NHKでも特集をするらしい;「ベッド難民は何処へ行く~武蔵野療園病院 医療相談室~;4月26日(木)午後11:00~、5月2日(水)午前 2:10~」(http://www.nhk.or.jp/nippon-genba/yotei.html)。先日の厚生労働省の医療構造改革に係る都道府県会議(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/28c53b3d52f3f1fa492572c3000a4745/$FILE/20070420_1shiryou3_all.pdf)で示されたように、今年夏に医療機関に対する転換意向調査等を実施した上で今年秋には圏域ごとに転換推進計画を作成される。療養病床の再編目標について、昨年は38万床→15万床(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-05-04.pdf)とされていたが、最近、回復期リハを除く35万床→15万床と変わっている(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/04/dl/s0412-4d.pdf)。はたして療養病床の再編成について、今後どれだけ住民の関心を集めるか、注目されるところである。ところで、国の会議における新聞報道資料の配布(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/ryouyou01b2.pdf)は必要なのであろうか。
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地域連携パス

2007年04月22日 | Weblog
昨日、地域連携パスの研修会(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb01event.nsf/vSearch/9BC2844BED484809492572A400065DFE?OpenDocument)に参加した。「地域連携クリテイカルパスが日本型の疾病管理モデル」と強調されていたのが印象的であった。実践例をいくつか聞いたが、それぞれにパス作成に至る様々な経緯がある。しかし、連携パスに取り組み始めてから運用されるまで、半年程度である。短いようにも思われるが、既存の研究会や委員会等が活用されているからである。つまり、既存の連携の場を活用すれば、スムーズに連携パスの運用が進むし、逆に、それがなければ、「連携パスを作ったが連携相手がいない」ということになるのであろう。新たな医療計画で「地域連携クリティカルパス」に注目が集まっている。今後、様々な成功例、失敗例がでてくるのではないかと感じるところである。
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特定健診・保健指導

2007年04月22日 | Weblog
昨日、厚生労働省のY室長に特定健診・保健指導に関して直接質問する機会があった。「現場では被用者保険被扶養者や前期高齢者の対応に悩んでいます。各保険者による特定健診・保険指導と、市町村によるがん検診や生活機能評価等との連携がうまく図れるか心配です。特定健診については集合契約によって、居住地市町村国保の契約の枠組みが円滑に活用できれば何とかなるかもしれませんが、特定保健指導をどこで実施するかが課題です。市町村国保に特定保健指導が委託できるかといえば、市町村は国保加入者だけでも手一杯のように感じます。したがって、どこかに委託せざるを得ませんが、先日の特定保健指導等アウトソーシング調査結果をみると少し心許ない感じです。保健指導は動機づけ支援と積極的支援とでかなり違いますが、例えば動機づけ支援だけでも委託可能な機関(特に高齢者)というのはどうでしょうか。」と聞いてみたのだが、Y室長からは「市町村の国保と衛生部局との連携をうまくやってください」といわれた。この言葉の意味は深いのか、それとも敢えて外されたのか、わからない。さて、先日、県外の担当者と特定健診・保健指導について話していたところ、「市町村は国保だけでしょう」といわれた。考えてみれば、市町村による個別健康教育の実績は小さい。平成16年度全国市町村で、指導開始2万5975人、指導終了2万1831人である。標準プログラムによる積極的支援は従来の個別健康教育以上のようにも感じられ、市町村は保険者の義務として国保加入者に対する特定保健指導に全力で打ち込むことになるのかもしれない。しかし、市町村の役割はそれだけではない。健康増進法に基づく(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/8a8a6936814c03a4492572bb000cb6bf/$FILE/20070412_3shiryou4.pdf)、がん検診、骨粗鬆症検診、歯周疾患検診等のほか、重要なのは、やはりポピュレーションアプローチなのではないか、と感じるところである。
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医療制度改革と保健所

2007年04月21日 | Weblog
先日の第2回医療構造改革に係る都道府県会議資料が昨日ネット上で公開された(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/04.html)。今回はWAMNETと同時である(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/vAdmPBigcategory30/F839C90B06B2FC69492572C3000152D7?OpenDocument)。保健所関係者のメーリングリストでは、今回の資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/04-2c.pdf)において、「保健所の役割」として、「地域の医療連携体制の構築に当たっては、平素より地域の医療情報を掌握し、医療機関と地域住民の中間に位置する保健所が、地域住民の適切な受診行動の普及啓発を含め、積極的な役割を果たすことが期待される。」と明記されたり、脳卒中の医療連携体制を構築する手順(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/afd1543ce264b4c5492572c300064e1e/$FILE/20070420_1shiryou2-1_2.pdf)において、「保健所は、地域医療連携の円滑な実施に向けて医療提供施設相互及び医療提供施設と介護サービス事業所との調整を行うなど積極的な役割を果たすことが期待される。」として記されたことが話題になっていた。確かに、医療制度改革関連でこれほど保健所の役割をはっきり示していたことはなかったかもしれない。しかし、医療連携あるいは医療福祉連携における保健所の役割はこれまで示されなかったわけではない。例えば、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第四条に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/10/tp1030-2.html)において、保健所の企画及び調整の機能の強化として、「地域における在宅サービス、障害者福祉等の保健、医療、福祉のシステムの構築、医療機関の機能分担と連携について企画及び調整を推進すること」が示されている。とはいえ、今回の都道府県会議資料で示されたことは大きいかもしれない。本庁の保健所に対する期待も少しは高まるかもしれないと感じるところである。
実は、医療費適正化に関する施策についての基本的な方針案(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/04-5a.pdf)の3(一)ア「保険者による特定健康診査及び特定保健指導の推進」において、「都道府県は、保険者に実施が義務づけられる特定健康診査及び特定保健指導について、保険者が特定健康診査等の実施に関する計画を策定する際に保健所から地域の疾病状況等についての情報を提供するなど、その円滑な実施を支援することが必要である。」とされているのである。
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特定保健指導のアウトソーシング先等実態調査

2007年04月20日 | Weblog
先般、特定保健指導のアウトソーシング先等実態調査結果が公表されている(http://www.wic-net.com/search/search.cgi?mode=search&linktype=index&issue=570&No=1)。それによると、平成19年1月1日現在、健診事業のみ行っている5323事業者のうち、保健指導事業を予定しているのは3515事業者(66%)であるという。しかし、この調査結果は、実態を反映していないかもしれないと感じないでもない。というのは、日医総研が昨年12月~今年1月に全国の郡市区医師会に対して行った「特定健診・保健指導への取り組み状況」調査結果(http://www.med.or.jp/chiiki/kenshin/res0_res.pdf)によると、健診・保健指導への取り組み予定について、50.1%の郡市区医師会が「未定」と回答しているからである。調査結果では、老人保健法に基づく基本健康診査については86.3%の郡市区医師会で、労働安全衛生法に基づく事業者健診については59.3%の郡市区医師会で行われている。当然、平成20年度以降の特定健診・保健指導に携わっていただくことが期待されるところである。しかし、過半数の郡市区医師会が対応を決めかねているのである。先日、管内の医師会と標準的な健診・保健指導プログラム確定版案(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10a.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10b.pdf)をもとに、特定健診・保健指導についての勉強会を開催した。多くの方が、健診や保健指導の内容についてご存知なかったようである。さて、先般の日本医師会公衆衛生委員会中間答申(http://www.med.or.jp/teireikaiken/20070411_2.pdf)においては、健診・保健指導の原則として、「健診と保健指導は一体」「健診・保健指導と医療は一体」「健診・保健指導の結果は生涯保健のデータベース」「健診・保健指導を担うのは医師、および保健医療専門職」とされている。特定健診・保健指導についての郡市区医師会の関心がしだいに高まってきているようにも感じる。今後、「積極的支援」はできないかもしれないが、「動機づけ支援」なら可能という医師会や医療機関もでてくるかもしれないと感じるところである。
コメント (2)
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在宅医療

2007年04月20日 | Weblog
「24時間在宅医療を実現…医療改革厚労省案」(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070418ik02.htm)と報道されているのが目にとまった。「地域の複数の開業医をチーム化し、患者を交代で診察して24時間の在宅医療を実現する」(同)という。実は、既に管内ではこのシステムが稼動している。3人一組の開業医がチーム(主治医一人と副主治医2人)で在宅患者の診療にあたっている。開業医はいずれも在宅療養支援診療所ではない。患者はがん末期がほとんどで、PEG(http://www.peg.or.jp/)を付け、麻薬管理を受けており、管内公的病院と共通の地域連携パスが運用されている。先日、管内保健医療福祉研修会で「在宅医療」をテーマに、そのシステムの中心的な先生からご講演をいただいた。研修会には医療機関のみならず、訪問看護ステーション、訪問介護事業所、市町保健センター等から多数の参加があった。印象深いのは、開業医療機関同士がノウハウを持ち寄って診療されていることである。考えてみれば、開業医はいずれも過去は大病院で専門的な診療をされており、得意領域がある。そのノウハウを持ち寄るとともに、緊急時等で公的病院がバックアップすることによって、充実した在宅診療が可能となるのかもしれないと感じたところである。しかし、課題がないわけではない。在宅ケアに関わる 福祉事業所の理解や何より家族の理解と協力がなければならない。ご講演いただいた先生は、開業医のチーム数を増やしていきたい、もっと訪問看護ステーションや薬局にも参加してもらいたい、とのことであった。システムの立ち上げには関与してはいないが、行政側の役割はいろいろありそうである。
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療養病床

2007年04月19日 | Weblog
先日、医療費適正化に関する施策についての基本的な方針案(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/b439b6a5ee444ea4492572bf0005b4a5/$FILE/20070416_1shiryou4_1.pdf)の中で、平成24年度末時点での療養病床の病床数=「医療療養病床(回復期リハビリテーション病棟である療養病床を
除く)の現状の数(平成18年10月)」-「医療区分1+区分2×0.3」+「医療区分3+区分2×0.7」に実情加味することが示された。これに対して、「うつ状態なども老健施設へ 療養病床削減で厚労省提示」(http://www.47news.jp/CN/200704/CN2007041701000629.html)、「療養病床削減、リハビリ病棟は対象外に 厚労省が方針」(http://www.asahi.com/health/news/TKY200704170334.html)と報道されている。昨夜、医師会と医療制度改革に関する勉強会を持ったが、療養病床に関して全く話題にのぼらなかったのが、気にならないでもない。昨年はかなり不満を口にされていたが、果たしてどう思われているのであろうか。それにしても、この問題は地域住民にはどの程度理解されているのであろうか。
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