保健福祉の現場から

感じるままに

医師の勤務実態と医療勤務環境改善支援センター

2016年11月30日 | Weblog
キャリアブレイン「医師の勤務実態などで約10万人を調査へ- 厚労省、ビジョン策定に反映」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50086.html?src=catelink)。<以下引用>
<厚生労働省は29日、医師の勤務実態や働き方の意向などを把握するため、約10万人の勤務医を対象に全国調査を実施すると発表した。同省によると、「これほど大規模な医師への働き方の調査は初めて」としている。厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」が今年6月に公表した中間とりまとめでは、医師の働き方や勤務状況などの実態について、より精度の高い推計を行った上で、将来の医療提供体制のあり方と医師の新しい働き方を示すビジョンを策定すると明記。さらに、医師の働き方や勤務状況などの現状を把握するため、今年度中に「新たな全国調査を行う」とされた。また、先月に開かれた厚労省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」では、医師の勤務実態などについて詳細に把握すべきとの意見が出た。こうした指摘などを踏まえ、厚労省は来月8日から14日にかけて、全国の病院や診療所に勤務する医師約10万人を対象に、勤務実態やキャリア意識などに関する全国規模の調査を実施する。主な調査内容は、▽出身地や出身医学部の所在地、家族構成、年収 ▽他職種との役割分担やキャリア意識といった将来の働き方 ▽将来の勤務地の意向―など。厚労省は早ければ来年1月にも調査結果をまとめ、同ビジョン検討会に報告して、その議論に反映させる方針だ。>
 
M3「群馬県立病院に是正勧告 残業代未払いカルテで発覚」(https://www.m3.com/news/general/480783)。<以下引用>
<群馬県立心臓血管センター(前橋市)が、残業代の未払いがあり労働基準法違反に当たるとして、前橋労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが25日、分かった。患者の電子カルテが夜間に更新されていたのに、職員が更新した時間帯の残業を申告していなかったことが労基署の調査で判明し、未払いが発覚したという。センターによると、勧告は8月26日付。センターは管理職を除く正規職員約300人について、4~8月の残業時間を調べ直し、不足分を今月21日に支払ったとしている。経営に影響がないことなどを理由に、センターは対象人数や総額を明らかにしていない。担当者は「引き続き勤務時間の適正な把握に努める。正しく記録し、自己申告するよう周知したい」としている。県立小児医療センター(渋川市)も、就業規則を10年以上労基署に届け出ていなかったとして9月、是正勧告を受けた。規則は作成していたが「届け出る必要があるとは知らなかった」としている。>
 
「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=384675)の「今後の検討の全体構造(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000143785.pdf)が出ていたが、医師10万人調査との関連がはっきりしない。医療従事者の需給に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=315093)、医師需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)、看護職員需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=338805)における検討の具体化に期待したい。医療従事者の需給は医療計画の見直し(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)にも影響するが、スケジュールはどうなるのであろうか。医師の勤務実態把握のための調査といっても、調査対象となる医師が勤務する医療機関や診療科等によって大きく異なるように感じる。調査結果は、各都道府県の医療勤務環境改善支援センターの活動に役立てられるべきである。資料「我が国の医療の現状」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000138746.pdf)p43「各都道府県における医療勤務環境改善支援センターの設置状況 (平成28年9月1日現在)」が出ていたが、医療従事者にその存在や活動はどれほど知られているであろうか。
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公立病院の経営と新公立病院改革プラン

2016年11月30日 | Weblog
毎日新聞「生駒市立病院 患者数、計画の85% 2年目上半期 /奈良」(http://mainichi.jp/articles/20161129/ddl/k29/040/594000c)。<以下引用>
<昨年6月に開院した生駒市立病院の今年度上半期の利用患者数は外来が1日平均で112人と計画の85%、入院は同85人で87%だったことが、このほど開かれた病院の管理運営協議会で報告された。患者数は想定の半分の水準だった初年度実績を踏まえた計画値に届かず、市は「市民や地域医療機関への積極的な情報提供が必要」としている。報告によると、整形外科の常勤医が確保できたため、外科系の入院患者が23人と前年度からほぼ倍増。一方、救急患者を受け入れた880件のうち38件が他の医療機関に転送された。転送率は前年度より下がったが、脳神経外科の常勤医が確保されていないことが転送の要因の一つだ。地域連携については、他医療機関からの紹介患者の割合は41・2%で、前年度より9・6ポイントアップ。一方、患者を地域の医療機関に逆に紹介した割合は14・2%だった。>
 
地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)と並行する「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)は今年度までの策定である。総務省「公営企業の経営戦略及び新公立病院改革プランの策定状況」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439913.pdf)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000149.html)で、都道府県別の策定状況(http://www.soumu.go.jp/main_content/000439915.pdf)も出ていたが、「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)はどうなっているであろうか。「新公立病院改革プラン」http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)では、一般会計が負担すべき経費の範囲についての考え方及び一般会計等負担金の算定基準を示すことになっており、この情報公開徹底が不可欠と感じる。自治体からの情報公開・詳細説明なしに「市民を守るためなら赤字でも仕方ない」「希望的観測の大幅経営改善」はあり得ない。総務省通知(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)p8では、「過去3年間連続して病床利用率が70%未満」である病院に対して、抜本的な検討が要請され、総務省資料(http://www.soumu.go.jp/main_content/000343695.pdf)p5「公立病院の運営費に係る地方交付税措置(病床当たり単価;707千円)の算定基礎を、許可病床数から稼動病床数に見直す」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000350493.pdf)は常識としたい。常勤医を増やして経営改善を図るということは、他の病院に受診している患者を奪うことにつながりかねない。そもそも健康増進や地域包括ケアを進めれば進めるほど、病院の需要が減ることを認識したい。
 
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医師会非加入の医療機関

2016年11月30日 | Weblog
埼玉新聞「校医の大量辞任…吉川市長が登録制導入の意向 医師会と関係改善」(http://www.saitama-np.co.jp/news/2016/11/29/05.html)。<以下引用>
<今年3月に吉川市の小中学校医らが大量辞任していた問題で、吉川市と吉川松伏医師会が「定期予防接種で同医師会非加入の医療機関と市が個別に委託契約を締結しないこと」「市民の健康増進に取り組むこと」の合意を巡り、中原恵人市長は28日、定例記者会見で、予防接種医療機関登録制度の導入の意向を示した。中原市長は「医師会に加入していない医療機関に登録してもらい、(市民が医師会に非加入の医療機関で公費予防接種を受けたとしても)市民はいままでと変わらず利用できるようにする。市民の利便性は下げない」と話した。市は予防接種の業務を医師会に委託しており、医師会非加入の医療機関では受診者が一時、予防接種の費用を立て替えなければならなかった。2015年の市長選で中原市長が当選後、市は医師会非加入の医療機関と個別契約を結んでおり、市議会では市と医師会の関係悪化が指摘されていた。松伏町と医師会が既に締結している災害協定についても、今回の医師会との合意による関係改善で、中原市長は医師会と協定締結を進める意向を示した。>
 
行政側は医師会非加入の医療機関の存在は無視できないかもしれない。しかし、健診・予防接種、学校保健、地域包括ケアなど、様々な施策で行政側は医師会の協力を得ている。それは、歯科医師会、薬剤師会、看護協会などでも同様である。医療機関側にとっても、医療事故対応、各種研修、情報収集、行政や他職種との連携などを踏まえると医師会に加入するメリットは大きい。病院勤務時代は医療管理に関心がないかもしれないが、例えば、開業後に行政の立入検査を受けると実感されるかもしれない。そういえば、「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)の「意見のとりまとめ(たたき台)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000143663.pdf)p2「CT・MRI 等の医療機器を有する診療所については、都道府県において、それらの機器の保守点検を含めた医療安全の取り組み状況について、定期的に報告を求めることとする。」とあった。
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感染防止対策加算2と感染症ネットワーク

2016年11月30日 | Weblog
一昨年12月に「医療機関における院内感染対策について」(http://www.medic.mie-u.ac.jp/kansen-seigyo/)(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20141219_01.pdf)が出されている。平成24年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021ei1-att/2r98520000021ele.pdf)p149~で、感染防止対策チームを持つ医療機関と300 床未満の医療機関との連携、及び感染防止対策チームを持つ医療機関同士が相互に感染防止対策に関する評価を行った場合や連携して院内感染対策に当たった場合の評価が行われており、保健所・地方衛生研究所とのネットワークが推進される必要がある。全国各地の病院で感染防止対策加算(http://2016.mfeesw.net/?page_id=2273)が算定されているが、感染防止対策加算2を算定する病院は感染症指定医療機関との連携が不可欠と感じる。感染防止対策加算2の施設基準(http://2016.mfeesw.net/?page_id=6620)には「少なくとも年4回程度、感染防止対策加算1に係る届出を行った医療機関が定期的に主催する院内感染対策に関するカンファレンスに参加していること。なお、感染防止対策加算1に係る届出を行った複数の医療機関と連携する場合は、全ての連携している医療機関が開催するカンファレンスに、それぞれ少なくとも年1回程度参加し、合わせて年4回以上参加していること。」があるが、当該医療圏内の感染症指定医療機関が開催するカンファレンスへの参加を要件とすべきであろう。ところで、エボラ出血熱(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ebola.html)の対応で、一昨年11月の厚労省通知(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20141128_01.pdf)で「消防機関との事前の協定等の締結が必要」とあったが、現在、どうなっているであろうか。
 
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医療介護連携と在宅医療データ

2016年11月29日 | Weblog
メディウォッチ「医療計画、介護保険計画の連携強化に向けた改訂「総合確保方針」、年内に告示へ―医療介護総合確保促進会議」(http://www.medwatch.jp/?p=11358)。<以下引用>
<2018年度からスタートする新たな医療計画(第7次)と介護保険事業(支援)計画(第7期)の整合性を図り、これまで以上の医療・介護連携を目指すため、「総合確保方針」が改訂されます。28日に開かれた医療介護総合確保促進会議では、改訂案を概ねで了承。厚生労働省は文言調整などを行った上で、年内に改訂「総合確保方針」を告示する考えです。医療計画と介護保険事業(支援)計画の整合性確保が重要課題 2025年には、いわゆる団塊の世代((1947-49年生まれの人)がすべて後期高齢者になるため、今後、慢性期医療や介護のニーズが加速度的に増加すると考えられます。こうしたニーズに、従前の医療・介護提供体制で対応していくことは困難なため(そもそもベッド数などが足らず、費用も高騰し、患者・利用者のQOLも低くなる)、国は「地域包括ケアシステムの構築」や「病院・病床の機能分化・連携の推進」などを柱とする医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)を制定。2013年から順次施行されています。医療介護総合確保推進法では、例えば「地域医療構想」や「病床機能報告制度」などのほか、医療計画のサイクルを従前の5年から6年に見直しも含まれています。これは3年単位の介護保険事業(支援)計画と整合性をとることが狙いです。2018年度から新たな医療計画、介護保険事業(支援)計画がスタートし、以後、両計画はいわば車の両輪として医療・介護提供体制のベースとなります。これらの計画はサイクルだけでなく、内容についても「整合性」をとることが求められ、厚労省は上位指針となる「総合確保方針」を2014年9月に策定しました。今般、新たな計画が策定されることを踏まえ、総合確保方針について、より医療・介護連携を強化するための見直しが行われるものです。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、「診療報酬や介護報酬、各種補助金、さらに地域医療介護総合確保基金によって医療提供体制、介護提供体制が整備されている。総合確保方針では、こうした整備がしっかりとなされることを前提に両者の整合性確保を目指している」と、改訂の意義を強調しています。特に在宅医療・介護連携に向け、行政、サービス提供者、利用者の各レベルで連携を 主な見直し内容は14日の前回会合で示されており、28日には、さらなる修正・追加案が厚労省から提案されました。前回の提示内容も含めて、見直し内容を眺めると、次のような点が目を引きます。(1)医療計画・介護保険事業(支援)計画の一体的かつ整合的な策定を目指し、「都道府県と市町村の関係者が協議を行う場」を設ける (2)医療計画の基礎となる2次医療圏(地域医療構想の構想区域も2次医療圏がベースとなる)と、介護保険の基礎となる老人福祉圏域について可能な限り一致させるよう努める (3)在宅医療の整備目標(医療計画)と、介護サービスの整備目標(介護保険事業計画)とを整合的なものとする (4)在宅医療・介護の連携を図るため、市町村の実施する「在宅医療・介護連携推進事業」について都道府県が必要な支援を行う【行政による在宅医療・介護連携の推進】 (5)在宅医療・介護を担う提供側(医療機関や訪問看護ステーションを含む介護サービス事業者などはもちろん、医師会などの職能団体)が、▼入退院支援▼日常の療養支援▼急変時の対応▼看取り―などの場面で切れ目のないサービス提供に努め、サービス利用者も医療・介護サービスについての理解を深める【利用者も含めたサービス提供側による在宅医療・介護連携の推進】 (6)医療・介護両分野に精通した人材の確保を進める (7)医療・介護連携はもとより、地域包括ケアシステムのベースとも言える「住宅や居住」に係る施策との連携も進める (8)医療・介護連携が特に重要な場面の1つとして認知症施策があり、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立し、早期からの適切な診断や対応などを行う必要がある (9)医療・介護連携を進めるための重要なツールとして情報通信技術(ICT)があり、多様な活用方法が期待されるが、「互換性が十分に確保されていない」といった課題があることを踏まえる (10)地域包括ケアシステムにおいては疾病予防・介護予防も重要な施策であり、疾病予防において、医療保険者(協会けんぽや健康保険組合、国民健康保険など)が実施する保健事業(ヘルス事業)との連携も重要である このうち(8)の認知症対策は、樋口恵子構成員(高齢社会をよくする女性の会理事長)や馬袋秀男構成員(民間介護事業推進委員会代表委員)の強い要望を踏まえて新たに追加された見直し項目です。高齢化の進展とともに認知症患者も飛躍的に増加すると見込まれており、早期の確定診断を前提とした初期集中支援が重要とされており、医療・介護の両方の側面からの支援が必要な分野です。(9)は、例えば「電子カルテにおいて、ベンダーが異なるとデータの互換性が極めて低い」といった課題を認識した上で、今後、医療・介護双方のデータを蓄積・連結してさまざまな事業に結びつけることの重要性を指摘したものです。医療・介護分野においてビッグデータを活用した研究(例えば画期的な医薬品の開発)や保健事業(いわゆるデータヘルス)が期待されており、将来を見据えた重要なテーマと言えます。また(10)は西澤寛俊構成員(全日本病院協会会長)の要望を踏まえた追加項目です。当初、「医療保険者はさまざまであり、総合確保方針などに医療保険者の保健事業を盛り込むことは困難」(盛り込まれずとも保健事業は当然推進する)とされていましたが、連携の重要性が謳われることになりました。部会では、こうした見直し案について前向きな「追加修正」意見が出されています。(5)のサービス提供者による在宅・医療介護連携の推進に関しては、「サービス提供者自身が予防の重要性を認識した上で連携することが重要である」(菊池令子構成員:日本看護協会副会長)、「サービス利用者はもちろん、背後にいる地域住民が医療・介護について理解を深めるべきである」(馬袋構成員や樋口構成員)といった指摘が出ました。厚労省保険局医療介護連携政策課の黒田秀郎課長は、こうした指摘を踏まえて、より分かりやすく記述する考えを示しています。また(6)の人材確保については、黒田医療介護連携政策課長から「医療の専門家が介護分野にも視野を広げ、介護の専門家が医療分野にも視野を広げる」ことで、両分野に精通する人材が育つという考え方が説明されています。この点について平川則男構成員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は「自治体では人事異動があり、専門的人材の育成が難しい。また両分野に精通した人材はなかなおらず、そこで連携が重要になる」と指摘したほか、「具体的にどういった人材が必要とされ、先行自治体ではどういった取り組みで人材確保しているのか」などを解釈通知などで示すよう厚労省に要望しています。さらに(7)の「住宅や居住」施策との連携に関連し、馬袋委員らから「地域づくり」の視点を盛り込んではどうかとの提案も行われています。こうした意見は、厚労省と田中滋座長(慶應義塾大学名誉教授)、森田朗座長代理(国立社会保障・人口問題研究所長)で忖度し、具体的な修正内容を固めることが了承されました。黒田医療介護連携政策課長は「修正内容を固め、年内に告示を行う」ことを明確にしています。なお、医療計画や介護保険事業(支援)計画の策定方針は、厚労省の別の審議会・検討会で議論が進められています。総合確保方針はこれらのベースとなるもので、医療計画などの策定論議の中に、医療介護総合確保促進会議で出された意見や考え方は随時盛り込まれていきます。具体的には、24日に「医療計画の見直し等に関する検討会」で示された意見とりまとめ(叩き台)や、25日に「社会保障審議会・介護保険部会」で示された意見素案には、両計画の整合性を図るために(1)の「協議の場」を設置することなどが、すでに盛り込まれています。>
 
医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は、医療計画については、医療計画の見直し等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)、また、介護保険事業(支援)計画については、介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の動向とセットでみておきたい。平成30年度から第5期障害福祉計画がスタートするが、障害者部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)の「平成30年度に向けた障害福祉計画及び障害児福祉計画に係る基本指針の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000139973.pdf)も踏まえたい。今年6月の「ニッポン一億総活躍プラン」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/pdf/plan1.pdf)p16「子供・高齢者・障害者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」を実現する。」とあった。医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)は障害者を除外してはならない。また、医療介護連携でますます重要になるのは、認知症のほか、地域緩和ケアがある。がん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-gan.html?tid=128235)、「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=355813)で協議されているが、国会がん患者と家族の会がとりまとめた「がん対策基本法の一部を改正する法律案」(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/index.html)の動向にも注目である。「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(医療介護総合確保促進法)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000052238.pdf)第二条「この法律において「地域包括ケアシステム」とは、地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防(要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。)、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制をいう。」と、地域包括ケアシステムが「高齢者」に限定されている点の見直しが必要であろう。そもそも介護保険の特定疾病(http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html)には、末期がん、神経難病、若年性認知症なども含まれており、法律で地域包括ケアシステムを高齢者に限定すること自体が間違っている。医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p55「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」を打ち出すのであれば、チームによる地域緩和ケアを地域包括ケアシステム(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)に組み込むべきである。ところで、地域包括ケアシステムにおける在宅医療・介護連携は市町村主体と位置づけられているが、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは都道府県単位のみである。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、なぜかレセプト分析データは除外されている。分析データがないわけではない。医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを公開すればよいだけである。しかし、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」では、医療計画作成支援データブックのNDB分析データの活用は医療計画・地域医療構想関係者に限定され、NDB分析データ(生データではない!)の活用には「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、地域包括ケアを担当する行政職員すら閲覧できないでいる。官邸資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai2/siryou8.pdf)p3「ICT・AI等を活⽤した医療・介護のパラダイムシフト」、p2「蓄積したビッグデータを国⺠・患者のために活⽤(真のデータヘルス)」とあるが、p5の工程表では「データベースの分析により、「科学的に裏付けられた介護」が受けられる。」「産官学が多様な⽬的で医療・介護データを活⽤できる。」は2020年度からとされる。なぜ、国はビッグデータの活用を先送りするのであろうか。「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129210)の資料「「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の主な改正内容」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000135183.pdf)にあるように、レセプト情報等の提供依頼申出者の範囲に「市区町村」が追加されていることを踏まえ、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の分析データを、少なくとも地域包括ケアに関わる行政職員に直ちに開放すべきである。また、地域住民への分析データの公表を規制してはならない。そういえば、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)については、「地域包括ケア「見える化」システムを用いた地域分析」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138621.pdf)が出ていたが、それと比べると、医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の厳格規制は全くヒドイといわざるを得ない。せめて、第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)での在宅医療データは二次医療圏単位で公開すべきであろう。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」にもレセプト分析データを出すべきであろう。
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糖尿病の医療連携体制構築が急務

2016年11月29日 | Weblog
朝日新聞「糖尿病予備群や患者のための賢い主治医選び(忍び寄る糖尿病6)」(http://www.asahi.com/articles/SDI201611162529.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<早期発見や治療のためには、主治医を中心としたネットワークを持つ医師との出会いが重要だと、日本糖尿病学会専門医・指導医である岩岡秀明さん(船橋市立医療センター代謝内科部長)は言います。忍び寄る糖尿病シリーズ(2型糖尿病)の最終回は、「糖尿病予備群や患者のための主治医選び」についてアドバイスをもらいました。糖尿病予備群でも糖尿病患者になってからも、主治医選びが重要になってきます。糖尿病専門医や内科専門医の資格を持つ医師を受診した方がいいでしょう。厚生労働省の統計では、日本には約30万人の医師がおり、主な診療科を「内科」と表示している医師は約60000人います。しかし、専門医の資格を持っている日本内科学会の総合内科専門医は約22000人で、日本糖尿病学会の糖尿病専門医も約5300人しかいません。また、インターネットで日本内科学会(http://www.naika.or.jp/nintei/seido/meibo/)や日本糖尿病学会(http://www.jds.or.jp/modules/senmoni/)のホームページを調べないといけません。ただし、内科を標榜しているいわゆる内科医の中には、もともと外科医や皮膚科、産婦人科だった医師も含まれます。血液検査はしても、尿検査はしない医師もいます。できるなら、糖尿病専門医を受診した方がいいでしょう。日本糖尿病学会のホームページ(http://www.jds.or.jp/modules/senmoni/)には、専門医の名前と勤務先の住所が出ています。糖尿病専門医なら、境界型であっても「急性心筋梗塞のリスクは2倍です」とまずきちんと説明します。問題は、境界型の血糖値の人は、糖尿病専門医のところまで受診しない場合が多いことです。まず、健診の結果を受けて自宅や職場の近くのクリニックに行くケースが多いと思います。そこの医師が、あなたにどう説明するかによって、あなたの10年後の健康を左右します。実は、境界型の人の方が、糖尿病や循環器の専門医を早く受診した方がいいとも言えます。境界型でも、その時点から合併症の治療は始めます。血糖値を下げる薬を使わなくても、脂質、血圧と禁煙、ダイエットについてはすぐに介入しないといけないためです。合併症の急性心筋梗塞のリスクがあるからです。つまり、リスクファクターをしっかり評価して、必要な治療を開始してくれる医師を探すということが重要です。■どこを受診するか 30代、40代、50代の人は仕事をしている場合が多く、大学病院や大病院での受診は難しいです。これらの病院は、平日の夕方までしか外来診療をしていないためです。土曜日に診てくれるところというと、開業医か民間病院になります。その中で糖尿病専門医の医師がいるところを探すと、かなり絞られてしまいます。平日は、東京の場合、会社の近くで受診できるかもしれませんが、地方だとなかなかそれもできません。この前も、30代の患者が紹介されてきましたが、食後血糖値が350mg/dlあり、ヘモグロビンA1cが9%でした。昔なら、すぐ教育入院を1週間しなければいけないくらいです。私が「外来でやりましょう。平日に毎月通えますか」と聞くと、「土曜日以外は、無理です」といわれました。その日は「たまたま代休で受診した」と言います。私は、検査データを渡し、すぐに土曜日に診てくれる開業していてかつ信頼のおける糖尿病専門医を紹介しました。治療を中断してしまうのを避けるための医師選びには、土曜日や平日の夜に通院できるところに診てもらっているかというところも重要なポイントになります。今、教育入院ができる人は、70歳以上の仕事をしていない人が中心です。私が勤務する病院も教育入院のベッドがありますが、毎週2人ぐらいしかいません。ほとんどは外来で対応しています。月に1回、平日に休みがとれて通院できる人はまだいいと思います。実社会では、それさえもできない人がいっぱいいます。最近は、24時間やっているクリニックも出てきていますが、コンビニエンスストアではありませんので、やはりどのような医師が診ているかが重要です。平日夜間や土曜日に診てもらえる糖尿病専門医のクリニックはとてもニーズがあると感じています。■いい糖尿病専門医の見分け方 糖尿病の専門医に主治医として診てもらいつつ、合併症がでてきたらそれぞれの合併症の専門医を適切に紹介してくれるかがポイントになります 目なら眼科、歯周病なら歯科、心臓なら循環器科、ED(男性機能不全)なら泌尿器科といったように、幅広いネットワークを持っている糖尿病専門医のことです。ただ、ネットワークを持つ糖尿病専門医を、一般の人が探すことは難しいです。日本糖尿病学会のホームページで専門医を検索しても、そこまでの情報はありません。みなさんが暮らす地域ですごく評判のいい糖尿病専門医は、そのようなネットワークを持っている可能性が高いと思います。口コミ(評判)と専門医資格の両方が大事です。混んでいるところは、レストランと同じようによいところが多いと言えるかもしれません。もう一つ重要なことは、「糖尿病診療はチーム医療が大切」という点です。日本糖尿病療養指導士(CDE-J)の資格を持った看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士が常勤でいる医療機関を選びましょう。(日本糖尿病療養指導士認定機構:https://www.cdej.gr.jp/modules/cdej/index.php?content_id=2)■民間療法に注意 健康食品や特定保健用食品(トクホ)は世の中にいっぱいあります。よくあるのは、「これを飲めば血糖値を下げる」というものです。血糖値を大きく下げるものではないので、これだけ飲んでいればよくなるわけではないということです。民間療法に頼ったとしても、糖尿病専門医への受診は続けて下さいと言いたいですね。民間療法に頼ると、通院をやめてしまう人がいるためです。糖質制限すればインスリンをやめていいというような本に頼って、インスリン注射をやめて、血糖値が上がって具合が悪くなって運ばれてきた患者もいるからです。■ショック 糖尿病と診断を告げると、「薬を一生飲み続けるんですか」とよく患者に聞かれます。ショックを受けますが、40代や50代になれば、普通に病気の一つもでてきます。血糖値がよくなって食生活が改善でき、体重を減らすことで薬を中止することもできます。ただ、今、80キロの人に「あと10キロやせて欲しい」と言って取り組むのは難しいでしょう。患者には、「薬を飲みながらでも適度に食べて、たまにならば、夜中にラーメンを食べてしまっても大丈夫ですよ」と言うことも伝え、「どちらが良いですか」と聞きます。ストイックに体重を減量して、食生活を改善して、薬をやめる人もいますが、現実はなかなか難しいです。無理な糖質制限食で体重を減らしても、リバウンドして病気が悪くなってしまう人もいます。半年ならできても、これは10年以上続けることですから薬の力も借りながら、適度な食事をして長生きしようというライフスタイルがよいと私は思います。>
 
「保険者努力支援制度における評価指標の候補」(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160506S0020.pdf)では糖尿病の重症化予防(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)の取組は「かかりつけ医と連携した取組であること」が条件の一つになっていることは認識したい。大きな病院では、糖尿病透析予防指導管理料(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1_27/b001_27.html)で、透析予防診療チームによる指導が行われ、eGFR (ml/分/1.73㎡)が 30未満では腎不全期患者指導加算が算定されている。しかし、大半の診療所では、透析予防診療チームの設置は厳しい。保険者による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)では、受診勧奨の抽出基準、保健指導の抽出基準を示して、医療連携による糖尿病透析予防指導管理料(https://clinicalsup.jp/contentlist/shinryo/ika_2_1_27/b001_27.html)で対応すべき対象を明確にした方がよいであろう。この際、かかりつけ医は大病院ではなく、診療所を中心に考えたい。第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ており、各都道府県において、40代、50代の男性で血糖コントロール不良者がかなり多いことがわかる。日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/)の「導入患者の主要原疾患の割合推移」(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p011.pdf)では「糖尿病性腎症」が圧倒的で、2014年の糖尿病性腎症による透析導入の平均年齢は67.2歳である(http://docs.jsdt.or.jp/overview/pdf2015/p012.pdf)。これはまさに現役世代の健康管理の悪さが反映しているであろう。「保険者インセンティブ」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)はまさに現役世代こそ急務と感じる。定年退職後からの取り組みでは遅い。例えば、大企業が多い「健康保険組合」(http://www.kenporen.com/)や公務員の「共済組合」(http://www.kkr.or.jp/)(http://www.chikyoren.or.jp/)が率先して、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)に取り組むべきであろう。今年は「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定の締結」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000117513.html)、「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html)、「国保・後期高齢者医療制度における糖尿病性腎症重症化予防プログラムに関する説明会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000125442.html)と進められてきたが、「医療計画の見直し」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)では、糖尿病の医療連携体制構築が急務と感じる。ところで、「医療機関届出情報(地方厚生局)」(http://caremap.jp/cities/search/facility)の「糖尿病合併症管理料(糖管)」「糖尿病透析予防指導管理料(糖防管)」をみれば、算定は専門医がいるような病院であるが、保険者が医療機関と連携して糖尿病重症化予防を進めるには、例えば、医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p37「地域包括診療料、地域包括診療加算」に保険者との連携を明確化する等があっても良いかもしれない。
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在宅看取り

2016年11月29日 | Weblog
キャリアブレイン「患者のほとんどは在宅医療を知らない-「在宅」進化論(5)」(http://www.cabrain.net/management/article/50055.html)。<以下一部引用>
<地域包括ケアシステムの構築に向け、国策として推進されている在宅医療。約1万5000施設が在宅療養支援診療所になるなど、一定の成果が見える。しかし辻彼南雄・ライフケアシステム代表理事は、「在宅医療のことを知っている患者はほとんどいない」と指摘。根強い病院志向を放置すれば、2025-40年に“看取り難民”が現れると警鐘を鳴らす。ライフケアシステムは、日本在宅医学会の佐藤智初代会長が中心となって1980年に設立した会員制組織だ。「病気は家庭でなおすものである」「自分たちの健康は自分たちで守る」がモットーで、医療に関する会員の相談に24時間応じるほか、在宅ケアを提供。さらに健康教育なども行っている。訪問診療は水道橋東口クリニック(東京都千代田区)から提供しており、辻氏はその院長も務める。佐藤氏との出会いをきっかけに、在宅医を約27年続けている。■40年には167万人が亡くなる 医療・介護サービスの提供が不足し、十分な看取りを受けることができない“看取り難民”はショッキングな問題だ。厚生労働省によると、昨年の死亡数は129万444人で、前年と比べ1万7440人増えた。死亡数は、高齢人口の増加などを受けて増え続け、40年には約167万人に膨れ上がると推計されている。昨年病院で亡くなった人は96万2597人で、全体の74.6%を占めた。この状況を踏まえれば、死亡数の増加への対策として、まず病院のベッドを増やすことが考えられる。しかし、病棟を新設すれば建築コストが掛かるし、維持コストもかさむ。現実的には難しい。そこで国が打ち出した対策は、在宅看取りを普及させ、死亡数の増加分をカバーするものだ。しかし、昨年自宅で亡くなった人は16万3973人(12.7%)で、その割合は前年と比べ0.1ポイント低下。病院で亡くなった人数には程遠い。在宅医療を提供する体制の整備が進んでいるにもかかわらず、在宅看取りが増えないのはなぜか-。辻氏は、その答えが死亡の場所の割合に表れていると指摘する。「日本では、医療といえば病院医療だ。専門家の間で知られるようになっても、一般市民で在宅医療を知っている人は1割くらい。それ以外の人は『病院で死んだ方が安心だ』と思っている」。■地域包括ケアは“災害”に強い街づくり 辻氏は、「医療=病院医療」というイメージは悪くなく、日本の病院が患者に信頼されている証しだと話す。しかし、病床数は限られる。本格的な“多死社会”が到来し、そうした患者が病院に殺到すれば、一部が受け入れを断られるのは明白だ。「高齢者が行き場を失う。このままでは危ないと、一般市民に伝えないわけにはいかない」(辻氏)。また、増加する高齢者の生活を支える地域包括ケアシステムは、在宅医療に在宅介護、地域住民の自身の健康づくり活動などを合わせたものだ。逆に言えば、一般市民の協力を得られなければ完成しない。「(高齢化の)波が押し寄せる。地域包括ケアシステムは、“災害”に強い街づくり。一般の人の協力が不可欠だ」と辻氏は訴え掛ける。■在宅医療やらざるを得ない時代に? むろん、この「街づくり」には病院も参加が求められる。訪問診療や訪問看護の提供に乗り出すほか、在宅医を養成すれば、「受け入れを断って悪くなった地域住民の信用を取り戻せる」と辻氏は指摘する。>
 
医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)での在宅医療は、「退院支援」「日常の療養支援」「急変時の対応」「看取り」の機能充実が図られている。すべて重要である。また、平成27年度からの第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/dl/tp0219-06-01p.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076407.pdf)における地域支援事業の目玉として、「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)が実施されている。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000143082.pdf)p16「在宅医療・介護連携推進事業の都道府県別平均実施数(8事業項目の実施数)」は、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で市町村の実施状況が一般公開されていることは常識としたい。「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)の「在宅医療に関する見直しの方向性について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135466.pdf)p3「在宅医療・介護連携推進事業にかかる8つの取組の中でも、医療に係る専門的・技術的な対応が必要な「(ウ)切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」や「(オ)在宅医療・介護連携に関する相談支援」、二次医療圏等の広域の視点が必要な「(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携」などが特に対応が必要な取組と考えられる。これらの取組については、在宅医療にかかる圏域毎の課題に鑑みて、医療計画に記載して確実に達成するよう支援するなど、重点的な対応の視点が必要である。」とあった。まさに保健所と市町村の連携・協働が不可欠である。医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)での保健所の役割を重視したい。ところで、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)の「在宅医療に関する見直しの方向性について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135466.pdf)p2「在宅で看取りまで実施した症例のみに評価が偏重することのないように、在宅死亡者数のみがアウトカム指標として設定されている点について、看取りに至る過程を把握するための指標を充実する等、見直しを行う必要がある。」とあったが、どうなっているであろうか。日本創成会議「高齢者の終末期医療を考える ―長寿時代の看取り―」(http://bookstore.jpc-net.jp/detail/books/goods003835.html)のように、それぞれの地域において、「長寿時代の看取り」を考えなければならない。「在宅医療・介護連携推進事業について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)p12「(カ)医療・介護関係者の研修」、p13「(キ)地域住民への普及啓発」において、「人生の最終段階における医療」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisyu_iryou/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000078983.pdf)の周知を図るべきであろう。DNAR(do not attempt resuscitation)も全く普及していないように感じる。日本老年医学会(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/)「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン ~人工的水分・栄養補給の導入を中心として~」(http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/guideline/index.html)よりも病院経営が優先されてはいけないであろう。
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医療保護入院件数の増加と認知症

2016年11月29日 | Weblog
平成27年度衛生行政報告例の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/index.html)では医療保護入院届出数は平成23年度20万2500件→平成24年度20万9547件→平成25年度21万1980件→平成26年度17万79件→平成27年度17万7640件と推移している(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka1.pdf)。医療保護入院件数が再び増加したのは認知症によるかもしれない。医療計画の見直し等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000124788.pdf)p162「別表5 精神疾患の医療体制構築に係る現状把握のための指標例」には「かかりつけ医認知症対応力向上研修参加者数」「認知症サポート医養成研修修了者数」「認知症新規入院患者2か月以内退院率」があるが、まずは、それぞれの市町村において、認知症による医療保護入院の状況を認識しておきたい。それには保健所運営協議会の資料等で、「器質性精神障害(http://health.goo.ne.jp/medical/10410100)による医療保護入院」をみればよい。認知症予防に関する評価は、3年ごとに全国の市町村が実施している「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)を活用したい。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)に「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)が再び組み込まれる意義は大きい。内閣府「障害者政策委員会」(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/)の資料「欧州諸国との比較からみる我が国の精神科強制入院制度の課題」(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_25/pdf/s1.pdf)p2「認知症の人の精神科入院(医療保護)の急増」、論点(http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_26/pdf/s1-4.pdf);p4「認知症に関しては、精神科医療での社会的入院の実態が容認されているが、その状況を改める必要がある。」とあり、以前の厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000046397.pdf)p5「1年以上精神病床に入院している75歳以上の精神疾患患者の47.3%が認知症」とある。「認知症患者の精神科病院への非自発的入院」が普遍化しており、精神科病院の一部には療養病床のようなところもみられるであろうが、これは目指すべき「地域包括ケア」の姿ではないであろう。そういえば、医療介護総合確保促進会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)の「総合確保方針の改定に向けた議論の整理(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000144174.pdf)p18「特に、認知症への対応については、地域ごとに、認知症の状態に応じた適切なサービス提供の流れを確立するとともに、早期からの適切な診断や対応等を行うことが求められている。」とある。医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。また、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での必要病床では精神病床は除外されている。「経済・財政再生計画 改革工程表」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/03.pdf)にも精神関係はないし、財政制度等審議会財政制度分科会(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障② 年金、生活保護、雇用、障害福祉、医療提供体制)」(http://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia281027/01.pdf)でも、なぜか精神関係は出てこない。第1回NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139390.html)では、都道府県別の各種精神科専門療法の算定回数が出ており、医療費適正化に結びつけない理由がわからない。平成27年度からの第4期障害福祉計画では、①平成29年度における入院後3ヶ月時点の退院率64%以上、②平成29年度における入院後1年時点の退院率91%以上、③平成29年6月末時点の長期在院者数を平成24年6月末時点の長期在院者数から18%以上減少、の目標値が掲げられているが、「長期入院精神障害者の地域移行に向けた支援方策に関する研究報告書」(http://www.nisseikyo.or.jp/images/about/katsudou/hojokin/h27_houkoku_6.pdf)の資料p4(p36)に都道府県別の「入院後3ヵ月時点の退院率」「入院後1年時点の退院率」「長期在院者数」の一覧をみれば、都道府県格差は小さくないことがわかる。医療保険データベース(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)の「医療費の地域差分析」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)では精神科レセプトの分析がぜひ必要と感じる。社会保障制度改革推進会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/)の資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai5/siryou1.pdf)p15では、今後の課題の一つとして「精神科レセプトの分析」があったではないか。精神病床を特別視することが精神疾患に対する偏見を助長しないとも限らないかもしれない。
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不妊と中絶

2016年11月29日 | Weblog
不妊治療費助成事業(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/funin-01.html)の一方で、平成27年度衛生行政報告例の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/index.html)では人工妊娠中絶件数は17万6388件(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/15/dl/kekka6.pdf)である。
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結核医療体制と地域連携パス

2016年11月29日 | Weblog
キャリアブレイン「結核治療、一般病院を加え体制強化へ- 厚労省が予防指針改正、地域連携を重視」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50074.html)。<以下引用>
<厚生労働省は、結核に関する特定感染症予防指針を改正した。全国の一般病院約200施設を結核の医療提供体制の柱の1つに位置付け、結核や感染症の専門医療機関と連携して地域の体制を強化する方針を明記した。管理が難しい患者を扱う「中核的な病院」と感染症指定医療機関の「基幹病院」の協力を得て、多剤耐性結核などの治療が終わった患者が身近な地域で治療を受けられる体制を整えたい考えだ。入院するケースが多い肺結核の喀痰塗抹陽性患者は、2000年以前は年間1万2000人を超えていたが、近年は減少傾向が顕著で、15年には約7100人まで減少。入院患者の減少に伴い、結核病棟・病床を廃止する医療機関が相次いでおり、15年の許可病床数は2000年に比べて半減の約5500床となっている。結核病床を持つ医療機関が少ない地域で結核病棟・病床が廃止された場合、患者が遠方の医療機関に入院せざるを得ないといった課題もあった。こうした状況を踏まえ、厚労省は、予防指針の「医療の提供」の項目に、結核患者が身近な地域で「個別の病態に応じた治療を受けられる地域医療連携体制を整備することが重要」と記載した。具体的には、多剤耐性菌に対応できる国立病院機構の病院などの「中核的な病院」と、二次医療圏のモデル病床・感染症指定医療機関の「基幹病院」に入院していた患者の病状が回復した際、患者の身近にある結核病床を持つ一般病院が受け入れることを想定している。「中核的な病院」と「基幹病院」が一般の病院に技術的な支援を行うことで、一般病院が患者を受け入れるハードルが低くなる可能性がある。すでにこうした体制を構築している地域もあるため、厚労省は予防指針に連携体制の在り方を明記した。患者が遠方の医療機関で治療を行わざるを得ないといった環境を改善する方針だ。■多剤耐性の結核菌収集、国の目標に このほか、長期入院の患者に関しては、退院を見据えて保健所が入院中から継続的に関与する必要性を追記。入院しない患者に関しても「治療初期の患者支援が重要」としており、保健所と地域の医療機関・薬局が連携し、直接服薬確認療法(DOTS)による確実な治療を行うことを求めている。院内感染の報告が相次いでいる多剤耐性結核については、病原体サーベイランス事業の対象としていない自治体が少なくないことを踏まえ、多剤耐性結核の患者の結核菌を収集可能な体制の整備を「国の目標」として予防指針に明記した。人口10万人当たりの結核の罹患率についても、改正前の指針では「15人以下」としていたが、15年に14.4人と目標を達成したため、「10人以下」とする新たな目標を設けた。「10人以下」はWHO(世界保健機関)が定める結核の低まん延国の条件で、東京五輪が開催される20年までの達成を目指す。>
 
厚生科学審議会結核部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=176318)で結核に関する特定感染症予防指針改正が協議されてきた。「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)で「結核の医療提供体制について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000143661.pdf)p4「都道府県は、引き続きユニット化や病床単位の入院医療体制の確保に努め、病床利用率が低い都道府県は特に努めることと記載してはどうか。国は、低まん延国化を達成した後の結核の医療提供体制のあり方について、全国の状況を踏まえて、改めて検討することとしてはどうか。」とあった。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p22「結核病棟入院基本料における入院初期加算の見直し」がされているが、退院後も同じ病院に通院とは限らない。「DOTS(直接服薬確認)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000110058.pdf)を考慮すれば、身近な医療機関での通院が不可欠であり、高齢結核患者が多い状況を鑑みると、介護サービス事業所との連携も重要であろう。糖尿病、心筋梗塞、心不全など、様々な疾患で地域連携診療計画(地域連携パス)が運用されているであろうが、平成25年7月「地域連携クリニカルパスを用いた結核の地域医療連携のための指針」(http://www.kekkaku.gr.jp/commit/tiryou/201309.pdf)を踏まえて、結核の地域連携パスをぜひ期待したい。医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p44の「地域連携診療計画加算」について、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335811&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114867.pdf)A246 退院支援加算「地域連携診療計画は、疾患ごとに作成され、一連の治療を担う複数の保険医療機関又は介護保険法に定める居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者若しくは施設サービス事業者等(以下「A246」において「連携保険医療機関等」という。)との間であらかじめ共有して活用されるものであり、病名、入院時の症状、予定されている診療内容、標準的な転院までの期間、転院後の診療内容、連携する保険医療機関を退院するまでの標準的な期間、退院に当たり予想される患者の状態に関する退院基準、その他必要な事項が記載されたものであること。」、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335825&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114881.pdf)p54「連携保険医療機関等の職員と当該保険医療機関の職員が、地域連携診療計画に係る情報交換のために、年3回以上の頻度で面会し、情報の共有、地域連携診療計画の評価と見直しが適切に行われていること。」とされたが、以前の地域連携診療計画管理料と異なるのは、疾患限定(脳卒中、大腿骨頚部骨折)ではないこと、「急性期・回復期 ⇒ 慢性期・介護事業所」が評価されていることが挙げられる。但し、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335825&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114881.pdf)p54「地域連携診療計画加算に関する施設基準」には「退院支援加算1又は退院支援加算3に係る施設基準の届出を行っている保険医療機関であること。」の要件があることは認識したい。
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鳥インフルエンザの行方

2016年11月29日 | Weblog
農林水産省「鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/)。
 
環境省「高病原性鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/)。
 
官邸「鳥インフルエンザ関係閣僚会議」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/)。

NHK「新潟 上越の養鶏場 詳しい結果待たず23万羽処分へ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161130/k10010789911000.html)。<以下引用>
<新潟県上越市の養鶏場でニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、県の簡易検査で、6羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ました。県は現在詳しい検査を行っていますが、農林水産省からの要請に基づいて、詳しい検査の結果を待たずに、30日夜のうちに、この養鶏場のおよそ23万羽の処分を始めることを決めました。新潟県によりますと、上越市の養鶏場の鶏舎の中で、29日と30日、ニワトリ合わせて100羽ほどが死んでいるのが見つかったということです。県がこのうちの7羽を簡易検査した結果、6羽から鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たということです。この養鶏場ではおよそ23万羽を飼育していて、新潟県は鳥インフルエンザの疑いがあるとして、この養鶏場への部外者の立ち入りを制限し、出入りする際の消毒の徹底を指示しました。また、この養鶏場から半径10キロ以内にあるほかの養鶏場などに対して、ニワトリや卵などの移動を自粛するよう要請しました。新潟県はウイルスの遺伝子を調べる詳しい検査を行っていますが、結果が出るのは30日夜遅くになる見通しです。このため新潟県は、農林水産省からの要請に基づいて詳しい検査結果を待たずに、この養鶏場のおよそ23万羽の処分を30日夜のうちに始めることを決めました。新潟県では、上越市から150キロ余り離れた県北部の関川村の養鶏場で29日、鳥インフルエンザウイルスが検出されています。上越市でも対策会議 新潟県は30日夜、対策会議を開き、2か所で50万羽を超えるニワトリの処分を早急に行うため、自衛隊や県内の市町村に支援を要請することなどを確認しました。県庁で開かれた会議には、県の幹部のほか自衛隊や警察などおよそ20人が出席しました。この中で米山知事は上越市の養鶏場のニワトリから簡易検査の結果、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たことについて、「国からは『遺伝子検査の結果を待たずに対処を始めてほしい』と言われた。関川村と2方面でやるのは大変だが、封じ込めに全力を尽くしてほしい」と述べました。このあと、会議は非公開で行われ、県によりますと、2か所で50万羽を超えるニワトリの処分を早急に進めるため、自衛隊や県内の市町村に支援を求めることを確認したということです。会議のあと、米山知事は「非常に重大な事態だと受け止めている。県内のどこでも感染が起こるおそれがあり、徹底的に対処し、封じ込めを行いたい。養鶏業者には新たな感染が起きないよう全力を尽くしてもらいたい」と述べました。>
 
鳥インフルエンザ関係閣僚会議資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/influenza/pdf/siryou-161129.pdf)には目を通しておきたい。「鳥インフルエンザA(H7N9)」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/h7n9.html)と「鳥インフルエンザA(H5N1)」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/)は感染症法の二類感染症(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html)であるが、それ以外の鳥インフルエンザ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-21.html)は四類感染症である。将来、ヒト-ヒト感染の度合いによっては、新型インフルエンザ(http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html)まで進まないとも限らない。通常インフルエンザの流行時期と重なって少々厄介かもしれない。交叉予防として、通常インフルエンザの予防接種を徹底しておくべきと感じる。殺処分従事予定者はどうなっているであろうか。今年10月に一部改正された「新型インフルエンザ等発生時等における初動対処要領」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku/pdf/syodoutaisyo2810.pdf)は知っておきたい。
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高病原性鳥インフルエンザ

2016年11月29日 | Weblog
NHK「新潟 関川村 養鶏場のニワトリ 31万羽処分 鳥インフルエンザ」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161129/k10010787761000.html?utm_int=news_contents_news-main_002)。<以下引用>
<新潟県関川村の養鶏場で28日、ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、県の詳しい検査でH5型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。新潟県はこの養鶏場で飼育されているニワトリおよそ31万羽をすべて処分することを決めきょう午前4時半から作業を始めました。28日、新潟県関川村の養鶏場で、ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、県が簡易検査で陽性となった死んだ5羽について詳しく検査を行った結果、すべてからH5型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。新潟県は、29日午前4時前から対策本部会議を開き、本部長を務める米山知事は「初期対応が大切だ」と述べて、全力で感染拡大を防ぐよう指示しました。県はこの養鶏場で飼育されているニワトリ、およそ31万羽すべてを処分することを決め、29日午前4時半から作業を始めました。またこの養鶏場から半径10キロ以内にある59の養鶏場などを対象にニワトリや卵の移動や出荷を禁止する措置を取りました。>

環境省「高病原性鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/)の発表では、野鳥の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)の検出が続いている。ヒトへの感染の有無に注目である。
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国民保護

2016年11月28日 | Weblog
以前の原子力規制委員会(http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/h26fy/20140502.html)の資料2(http://www.nsr.go.jp/data/000047934.pdf)で、「故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対処等に係る事業者から説明の聴取」とあり、NHKスペシャル「原発テロ ~日本が直面する新たなリスク~」(https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2013051403SA000/)の放映内容はまさに現実的な問題と認識すべきなのかもしれない。国民保護(http://www.kokuminhogo.go.jp/pc-index.html)は様々なケースが想定される必要がある。そういえば、以前、ハザードラボ「絶滅したはずの天然痘、米保健機関にウイルス」(http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/6/5/6506.html)と報道されていたが、天然痘ウイルスをはじめとするバイオテロ関連微生物の保管は米国機関だけではないであろう。新型インフル対策はバイオテロにも役立つように感じる。
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職域での肝炎ウイルス検査とがん検診

2016年11月28日 | Weblog
キャリアブレイン「肝炎対策「全国民が一度はウイルス検査を」- 厚労省、がん対策推進協議会で提案」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/50063.html)。<以下引用>
<厚生労働省は24日に開かれた「がん対策推進協議会」(会長=門田守人・堺市立病院機構理事長)で、がんの予防策の方向性を示した。肝がんのリスク要因とされる肝炎ウイルスについては、すべての国民が一度は検査を受けることを提案。また、肺がん対策として、受動喫煙防止策を強化する必要性も示した。こうした取り組みについて、委員から反対の声は上がらなかった。同協議会は、がん対策基本法に基づき厚労省に設置された組織で、来年6月に施行予定の第3期がん対策推進基本計画の策定に向けて議論している。この日の会合で、厚労省は今後のがん予防策の柱として、「肝炎対策」と「たばこ対策」を示した。肝炎対策については、インターフェロンを使わずに治療が可能で、従来の薬よりも副作用が少ない薬剤が2014年9月に発売されたことを受け、重症化予防と肝がんの減少につながることが期待できると指摘。その上で、今後の対策として、地域の医療機関や職場でのウイルス検診を推進し、「すべての国民が一度は肝炎ウイルス検査を受けるように促す」ことを提案。また、その検査で陽性と判断された人に対し、「専門医へ受診するように勧奨する」とした。■禁煙治療の保険適用拡大も提案 たばこ対策に関しては、喫煙しない人が受動喫煙を経験する割合が依然として高いことから、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止対策を強化する必要があるとした。さらに、今後の施策として、▽喫煙による健康被害についての啓発▽禁煙治療の保険適用拡大▽未成年者や妊産婦らへの健康教育―も示した。このほか、感染や生活習慣によって発症するがんについて、学校現場での教育や食生活改善運動などを通じた啓発を推し進める必要があるとした。意見交換で、がん予防策の方向性に反対意見は上がらなかった。ただ、田中秀一委員(読売新聞東京本社調査研究本部主任研究員)が、「2020年までに受動喫煙ゼロを目指すべき」とし、目標を定めて対策を進める必要があるとの考えを示した。また、難波美智代委員(一般社団法人シンクパール代表理事)は、「子宮頸がん予防ワクチンについて、国として立場を明らかにしてほしい」とし、同ワクチンの接種勧奨を再開するかどうか、方向性を明確にする必要性を強調。その上で、同ワクチンの接種をがん予防策に加えるかどうかを検討すべきだとした。>
 
がん対策推進協議会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-gan.html?tid=128235)の「がんの予防・早期発見について~議論の背景~」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000143967.pdf)p12「がんの予防に関する今後の方向性;身近な医療機関や職域での検査実施などを進め、全ての国民が一生に一度は肝炎ウイルス検査を受けるように促し、陽性者に対しては、専門医へ受診するように勧奨する。」、p22「職域において保険者が提供するがん検診が、今やがん対策において重要な役割を担っていることを踏まえ、以下の施策を実施する。• 保険者と協力し、職域において保険者が提供するがん検診の実態を早急に把握する。• 職域においても、検診受診率のみならず、精密検査受診率等に関する目標値を設定する。• 目標値を達成するには、モニタリングが重要であることから、各保険者が全国での位置づけを確認し施策に役立てるため、各保険者のがん検診受診率や受診率向上に向けた取組等を比較可能な形で公表する。• 検診対象者、保険者それぞれの特性に応じて、行動変容を起こすためのインセンティブ策及びディスインセンティブ策を導入する。• 上記の実態調査結果を踏まえて、保険者が提供する職域におけるがん検診に対するガイドラインを早急に策定する。• 時間がない人でも簡便にがん検診を受けられるよう、特定健診とがん検診を同時に実施するため、都道府県、市町村及び保険者の協力を得て、同時実施体制が取られている取組事例を収集し、広く普及することにより、さらに同時実施を推進する。• 上記の受診率向上のための施策については、実施されているかどうかを把握し、より実効性のある仕組みを講じる。」とある。「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129197)、「特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=322611)、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=328053)、「健康診査等専門委員会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=311909)はセットで動向をみておきたい。連携が必要なのは特定健診だけではない。ところで、「保険者データヘルス全数調査」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dhcs28/)の結果について、日本健康会議データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)に出ており、データマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)の都道府県地図をクリックし、「詳細」をみれば、それぞれの都道府県内の取り組み状況(市町村、保険者)がわかる。宣言5「協会けんぽ等保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を1万社以上とする。」について、都道府県地図、詳細クリックで取組企業・事業所紹介をみておきたい。
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介護保険法第38条の改正が必要

2016年11月28日 | Weblog
メディウォッチ「軽度者への生活援助サービス、総合事業への移行は時期尚早―社保審・介護保険部会(2)」(http://www.medwatch.jp/?p=11347)。<以下引用>
<2017年に予定される次期介護保険制度改革に向けた議論が大詰めを迎えています。25日の社会保障審議会・介護保険部会では、厚生労働省から、これまでの議論を整理した「介護保険制度の見直しに関する意見」(素案)が提示されました。素案では、(1)地域包括ケアシステムの深化・推進(2)介護保険制度の持続可能性の確保―の大きく2つのテーマについて、どの部分で部会の意見が一致し、どの部分で意見が乖離しており、さらなる検討が必要かどうかを整理しています。例えば「「軽度者に対する生活援助サービスの総合事業への移行」については、すでに移行が進められている「要支援者に対する訪問・通所介護」の状況を把握・検証した上で検討すべきとの考えを明確にしたほか、福祉用具貸与について全国平均価格を公表した上で、適切な貸与価格を確保するために「貸与価格の上限」を設定することが適当としています。市町村が国値などの支援受けてPDCAサイクルを回し、地域包括ケアシステムを推進 ここでは素案を眺めるとともに、25日の部会で委員から出された意見を、ポイントを絞って紹介しましょう。まず(1)の「地域包括ケアシステムの深化・推進」に関しては、(a)自立支援・介護予防(b)医療・介護連携(c)地域包括ケアシステム推進のための基盤整備―の3項目について改革の方向性を探っています。(a)自立支援・介護予防は「介護保険法」の理念に基づく重要なテーマです。今後、高齢化が進行する中では、後述する介護保険制度の維持のためにも、また高齢者自身のQOLを高めるためにも自立支援・介護予防をさらに推進する必要があります。こうした状況を踏まえ部会では、次のようなPDCAサイクルを保険者(市町村)自身が回していくことが適当と提言しています。▼保険者(市町村)において各地域の実態把握・課題分析を行う▼実態把握・課題分析を踏まえ、地域の共通目標を設定・共有するとともに、達成に向けた具体的な計画を作成する▼計画に基づき、地域の介護資源の発掘や基盤整備、多職種連携の推進、効率的なサービス提供も含め、自立支援・介護予防に向けたさまざまな取り組みを推進▼取り組みの実績を評価した上で、計画の見直しを行う ここで重要なのが、最初のステップである「実態把握・課題分析」でしょう。部会では「データに基づく地域課題の分析」の重要性を指摘し、▼市町村から国へ介護給付費や要介護認定などのデータ提出義務付け▼国がこれらのデータに基づいて地域包括ケア「見える化」システムを通じて、市町村・都道府県の地域分析に資するデータの提供―などを行うことを提言。さらに公益性の高い場合には、「第三者へのデータ提供」を可能とするよう求めています。また実績の評価においては、市町村・都道府県が「自己評価」と合わせて「国への報告」を行うことで客観性を担保することが求められます。その際の評価指標に関して部会では「要介護状態などの維持・改善の度合い」「健康な高齢者の増加」「地域包括ケア見える化システムの活用状況も含む地域分析の実施状況」「地域ケア会議の実施状況」「生活支援コーディネーターの活動状況」「地域包括支援センターにおけるケアマネジメント支援などの実施状況」「介護予防・自立支援の取り組み状況」など、適正なサービス利用を阻害せず、保険者の取り組みの成果を反映するものが適当としています。なお、こうした実績に基づく財政面での支援(インセンティブ)を行うか否かについては、将来の検討課題に位置づけるに止めています。なお、この「インセンティブ」について部会では、自治体サイドの委員から「財政中立のためマイナス評価も行うとなれば、財政調整交付金(高齢化や災害などによる保険料高騰を調整するための仕組み)と変わらない。プラス評価のみとすべき」との要望が改めて出されています。このほか、▼地域包括支援センターの機能強化▼介護予防推進に向けたインセンティブ付与を既存事業で行えることの明確化▼新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)の基本的な考え方の介護保険法への反映▼適切なケアマネジメント推進に向けた「ケアマネジメント手法の標準化」に向けた取り組みの推進▼―なども提言されています。また2018年度の介護報酬改定において、▼居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)の運営基準見直し▼通所リハビリと通所介護の役割分担と機能強化▼特別養護老人ホームでの医療ニーズや看取りに適切に対応できるような仕組み―などを検討するよう求めています。(b)の医療・介護連携については、「在宅医療・介護連携推進事業」の全市町村での完全実施(2018年度まで)に向けて、▼医療介護連携の実態把握→課題の検討→課題に応じた施策立案、に至る方法を国が具体化し、市町村にその実施を求める▼都道府県の定める介護保険事業支援計画に、在宅医療・介護連携推進事業に対する医療部局との連携を含め、より実効的な市町村支援を盛り込み、都道府県の介護部局及び医療部局の双方が市町村支援に取り組むこと―などが必要としています。この点について土居丈朗委員(慶應義塾大学経済学部教授)は、「医療と介護のデータの連結」の重要を指摘します。現在、「データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会」などでこうしたテーマについて検討が進められており、介護保険部会でのこの点について言及すべきと土居委員は求めています。さらに(c)の基盤整備に関しては、▼介護保険サービスの1類型に「共生型サービス」を位置づけ、障害福祉サービス事業所が介護保険の指定を受けやすくする▼人材確保の一環として「ロボット・ICTなどを活用する事業所」における、介護報酬や人員・設備基準の見直し▼ショートステイへの市町村協議制(都道府県による居宅サービス事業者指定に市町村が関与する仕組み)の拡大▼地域密着型通所介護における市町村が指定拒否を可能とする仕組みの導入▼都道府県による居宅サービス指定に対する市町村の関与強化▼有料老人ホームにおける前払金保全措置の対象拡大―などを行うよう提言しています。このうち「ロボット」などを活用する事業所の人員配置基準については、齋藤訓子委員(日本看護協会常任理事)や陶山浩三委員(UAゼンセン日本介護クラフトユニオン政策顧問)らは慎重な検討を求めています。しかし、介護人材が圧倒的に不足し、将来的にも確保が難しい状況に鑑みたとき、ロボットやICTの活用は積極的に推進すべきであり、前向きな議論を期待したいところです。福祉用具、国が全国平均貸与価格を公表し、貸与価格に上限を設定 (2)の介護保険の持続可能性確保については、まず「軽度者の生活援助サービスの総合事業への移行」について、時期尚早との見解が大多数を占めたことを紹介。2014年の介護保険制度改正で「総合事業への移行」が先んじて進められている要支援者への訪問・通所介護の状況や、「多様な主体」による「多様なサービス」展開が進んでいるか否かなどを把握し、検証した上で検討することが適当としています。なお、生活援助中心の訪問介護の報酬については、「制度の持続可能性」「サービスの質の確保」「事業者の確保」などといった点を考慮して、2018年度の介護報酬改定に向けて検討するよう要望しています(関連記事はこちらとこちら)。また福祉用具貸与については、▼全ての全国平均貸与価格を公表する▼福祉用具専門相談員に、貸与しようとする商品の全国平均貸与価格等を説明すること、機能や価格帯の異なる複数商品を提示することを義務付ける▼適切な貸与価格を確保するため、一定の上限を設定する―という具体的な提言を行っています。厚労省は「著しく高額な貸与価格を設定する場合には保険者の了承を得る」仕組みを導入してはどうかとの提案も行っていましたが、小規模な保険者(市町村)では負担が大きいとの指摘も踏まえ、今回の提言につなげています。また住宅改修については、▼住宅改修の見積書類の様式(改修内容、材料費、施工費などの内訳が明確に把握できるもの)を国が示す▼住宅改修に関する知見を備えた者が適切に関与している事例など、保険者による好事例を拡大する―ことを提言しました。この点、「住宅改修業者の登録制度」を求める意見も強く、将来的な検討課題となっています。このほか、▼要介護認定の有効期間上限を36か月まで延長することを可能とする▼長期間状態が安定している利用者における二次判定手続きの簡素化―によって保険者の事務負担を軽減することも提言されています。一方、▼補足給付における不動産資産の勘案▼被保険者範囲の拡大▼現金給付の導入―などについては、さまざまな課題があり「引き続きの検討課題」とするにとどめています。「負担の公平性の確保」や「介護保険制度の持続可能性」などを考えたとき、これらのテーマについても今後、積極的な議論が必要でしょう。さらに、給付範囲の適正化・重点化なども避けて通れるテーマではありません。なお、「利用者負担」(一部高所得世帯への3割負担導入)や「費用負担」(被用者保険の負担する介護納付金への総報酬割導入)については、25日の議論を踏まえて次回以降に、素案に追記されることになります。介護保険部会では年内に意見を取りまとめ、厚労省がこの意見をベースに年明けから具体的な制度改革案(介護保険法改正案など)を策定することになります。>
 
介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の「介護保険制度の見直しに関する意見(素案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000143991.pdf)で、地域包括ケアシステムの深化・推進として、①自立支援・介護予防に向けた取り組みの推進、②医療・介護の連携の推進等、③地域包括ケアシステムの深化・推進のための基盤整備等の3本柱は理解したい。、医療計画に関する厚労省医政局通知(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_keikaku.pdf)p36「圏域連携会議は、各医療機能を担う関係者が、相互の信頼を醸成し、円滑な連携が推進されるよう実施するものである。その際保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとする。」とあり、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)での保健所の役割を重視したい。保健所が医療介護連携に関与する理由は、①市町村域を越える広域的連携、②医療計画・地域医療構想との連動、③精神障害、難病、医療的ケア児等のケアがあるが、非常に重要な役割として、「地域評価」がある。「医療介護総合確保促進会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000129397.pdf)p13「在宅医療・介護連携推進事業の実施状況 ~都道府県別の平均実施数~」が評価されているが、これは一面でしかない。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では市町村別の居宅死亡割合や施設死亡割合をはじめ、在宅医療に関する市町村別の各種データが出ているのであるが、全く不十分である。医療計画作成支援データブック(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)の在宅医療関連分析データで評価する必要がある。介護保険法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kaigo_ho.htm)第38条「保健所による技術的事項についての協力その他市町村に対する必要な援助」が認定業務に限定されている点の見直しが必要であろう。なぜ、二次医療圏、老人福祉圏、障害保健福祉圏を一体的に考えないのであろうか。都道府県単位で市町村支援は当然であるが、それだけでは弱い!
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