保健福祉の現場から

感じるままに

高齢者感染者対策

2020年12月06日 | Weblog
12.5朝日新聞「死者増加の北海道・大阪、抑制の東京 鍵握るクラスター」(https://www.asahi.com/articles/ASND55SNDND3UTIL01Q.html?iref=com_apitop)。<以下一部引用>
<新型コロナウイルスの「第3波」で急増している死者。北海道や大阪では、重症化しやすい高齢者が集中する病院や高齢者施設で大規模なクラスター(感染者集団)が起き、死者数を押し上げている。東京では春の「第1波」で起きたような病院や施設でのクラスターの発生は抑えられているものの、中高年世代の感染者が増えている。北海道では11月以降、6716人が感染し、131人が死亡した。死者は年初から10月末までは110人で、その後わずか1カ月余りで、それを上回る人が亡くなったことになる。今月1日には14人の死亡が発表され、公表日ベースの1日あたりの死者数は最多を更新した。死者の増加の背景にあるのが、医療機関や高齢者施設で相次ぐクラスターだ。免疫力が弱く基礎疾患がある高齢の入院患者や入所者が感染し、死亡につながる例が増えている。>

重症者増対策として、病床確保と感染予防徹底だけでは厳しいかもしれない。例えば、9.4「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第3版」(https://www.mhlw.go.jp/content/000668291.pdf)では「抗ウイルス薬の投与が考慮される」はp25「中等症」からで、p24「軽症」にはないが、「重症化リスクのある患者には確定診断後早期からウイルスの増殖を抑制する治療が望ましい」(http://www.kansensho.or.jp/uploads/files/topics/2019ncov/covid19_casereport_200512_10.pdf)のような意見は少なくないであろう。6.30「高齢者施設における新型コロナウイルス感染症発生に備えた対応等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000645252.pdf)p3「高齢者施設で、入所者に新型コロナウイルス感染症の感染が判明した場合は、高齢者は原則入院することとなること。ただし、介護老人保健施設又は介護医療院(以下「介護老人保健施設等」という。)においては、地域の発生及び病床等の状況によっては、入院調整までの一時的な期間について、都道府県の指示により、入所継続を行う場合があり得ること。」とあるが、7.15NHK「“崩壊”は介護現場で起きていた~コロナで12人死亡 実態は~」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200715/k10012516461000.html?utm_int=detail_contents_news-link_001)が出ているように、施設で感染者が発生しても、要介護感染者数の状況によっては、必ずしも病院での治療が受けられるとは限らないであろう。8.17「新型コロナウイルス感染症に対するファビピラビルに係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供に関する周知依頼について(その4)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000659871.pdf)の添付「新型コロナウイルス感染症に対するアビガン(一般名:ファビピラビル)に係る観察研究の概要及び同研究に使用するための医薬品の提供について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000659872.pdf)で「(問 10) 介護老人保健施設(老健)、重症心身障害児施設、精神科単科の病院において(転院が困難な)患者さんに対してアビガンによる治療を行いたいのですがどのようにしたらよいですか。(答) 転院が困難な症例は、医師の経過観察下で、各施設でのアビガン投与をお願いしております。」と示されているように、ファビピラビル(アビガン®)はすでに施設レベルで使用可能な薬剤であるが、観察研究である限りは制約が大きい。早期診断とともに、10.27Web医事新報「緊急寄稿(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアビガン承認に向けて(白木公康)」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15763)では「急性ウイルス性疾患の治療においては,抗ウイルス薬の治療開始時期は,水痘では24時間以内,インフルエンザでは48時間以内,帯状疱疹では72時間以内というように,早期に薬剤投与による治療が開始されている。この点を考慮すると,COVID-19は,発症3~5日後までに治療を開始して,肺炎や神経系・循環器系合併症を防ぎ,後遺症を残さない治療が理想であるように思う。」にできるだけ近づける必要がある。また、11.27Web医事新報「[緊急寄稿]これからの新型コロナ対策はどうあるべきか─universal masking,PCR検査,そしてアビガン 菅谷憲夫 (神奈川県警友会けいゆう病院 感染制御センター小児科,WHO重症インフルエンザ治療ガイドライン委員,日本感染症学会インフルエンザ委員,慶應義塾大学医学部客員教授)」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15981)の「ファビピラビルを院内感染,施設内感染対策にも使用することを考慮すべきである。」は、「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/dl/tebiki25.pdf)p10「施設内感染伝播が発生している場合には、適切なリスク評価のもと、早期の抗ウイルス薬予防投薬なども考慮されうる。」、「疥癬対策マニュアル」(https://www.maruho.co.jp/medical/scabies/manual/manual04.html)の「内服薬 原則的に確定診断がついた患者に投与する。その患者と接触の機会があり、疥癬様の症状がある方に予防的投与することがある:イベルメクチン 約200μg/kgを空腹時に1回、水で内服する。」のような予防投薬が考えられるであろう。
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HER-SYS

2020年12月06日 | Weblog
12.5日刊ゲンダイ「感染爆発の最中に…大阪府集計システム変更で現場は大混乱」(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/282264)が目にとまった。11.14NHK「新型コロナ情報システム「HER-SYS」活用時期は見通せず 厚労省」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201114/k10012711391000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_015)が出ていたが、感染者に関する分析評価は一丁目一番地であろう。2.7「新型コロナウイルス感染症患者の急変及び死亡時の連絡について」・2.14「新型コロナウイルス感染症患者の急変及び死亡時の連絡について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000641630.pdf)・6.18「新型コロナウイルス感染症患者の急変及び死亡時の連絡について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000641629.pdf)が繰り返し発出されており、5.10Abema「厚労省が死者・退院者数など大幅修正 東京都の死者は19人から171人に 新型コロナウイルス」(https://times.abema.tv/posts/7053339)、6.19読売「埼玉のコロナ死者数、13人上方修正…厚労省の基準で見直し」(https://www.yomiuri.co.jp/national/20200619-OYT1T50258/)が繰り返されている。統一ルールのもとで、時系列的な年齢階級別の重症化率、死亡率に関する情報公開が徹底される必要がある。当初の「疑似症サーベイランス」(https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/PDF/gijisyo-gildeline-200110.pdf)(http://www.toyama.med.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/09/osirase_iryoukikan_gizisyousa-beiransu.pdf)へのこだわりが影響しているかもしれない。3月4日からPCR検査が保険適用(https://www.mhlw.go.jp/content/000604470.pdf)になったが、行政検査と絡められている。10.5日本医師会「新型コロナウイルス感染症の検査体制並びに医療提供体制の影響等について活発に討議 令和2年度第1回都道府県医師会長会議」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/009611.html)では「長野県医師会からはPCR検査について、(1)民間検査の拡充とともに、(2)保健所が行う「行政検査」、県と委託契約し保険診療で検査を行ういわゆる「みなし行政検査」と「保険診療」が混同され、現場が混乱しているとして、その改善が求められた。釜萢敏常任理事は(1)について、「拡充できるようしっかり国に訴えていく」と回答。(2)に関しては、「基本的には医療機関で行う検査は全て行政検査であると整理されている」と説明。」とあるように、基本的構造(https://www.mhlw.go.jp/content/000604471.pdf)は変わっていない。11.6Web医事新報「【識者の眼】「いびつなインフルエンザ流行期の新たなCOVID-19対策事業」相原忠彦」(https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=15836)で、「新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム(G-MIS)および新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)に必要な情報の入力が、不慣れな医療機関にとってはとても負担が大きい。」とある。10.14「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令第三条の規定により感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の規定を準用する場合の読替えに関する省令の一部を改正する省令について(施行通知)」(https://www.mhlw.go.jp/content/000683020.pdf)の「HER-SYS への患者情報等の入力についても、当該患者について医師が入院を要すると認めた者に限られること。」で、HER-SYS(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00129.html)の入力負担はかなり軽減されている。11.11朝日新聞「感染症情報、一本化し収集検討 厚労省「HER-SYS」」(https://www.asahi.com/articles/DA3S14690479.html)で「「HER-SYS(ハーシス)」について、厚生労働省が2022年以降にインフルエンザやはしかなどほかの感染症の情報を収集するシステムとの統合を検討している。」と報じられている。まさか、2022年以降にならないとまともに分析・評価できないということではないであろう。
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鳥インフルエンザH5N8

2020年12月06日 | Weblog
12.7NHK「三原の養鶏場で鳥インフルエンザ」(https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20201207/4000009914.html)。<以下引用>
<三原市の養鶏場で、ニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、検査の結果、鳥インフルエンザウイルスが検出されました。広島県はこの養鶏場などのニワトリおよそ13万4000羽を殺処分する方針です。広島県によりますと、6日、三原市の養鶏場から「ニワトリ11羽が死んでいる」と連絡があり、県が簡易検査を行ったところ、陽性反応が出たため、さらに詳しく検査した結果、7日未明、致死率が高い高病原性の「H5亜型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたということです。これを受けて広島県は午前6時半に対策本部の会議を開き、この養鶏場などのニワトリおよそ13万4000羽を殺処分することを決めました。また、養鶏場の半径3キロ以内をニワトリや卵の移動を禁止する「移動制限区域」に、半径10キロ以内を地域外への出荷を禁止する「搬出制限区域」に指定し、まん延防止の措置をとることにしています。広島県によりますと県内の養鶏場のニワトリから鳥インフルエンザウイルスが検出されるのは、記録を取り始めた平成16年以降、初めてだということです。対策本部の会議の後、湯崎知事は報道陣の取材に応じ、「ニワトリの卵や肉を食べることで鳥インフルエンザウイルスに感染することはないのでご理解をいただきたい。広島県は全国でも鶏卵の生産が多く、厳しい事態と受け止めているが、県内の養鶏場には衛生管理の徹底をお願いしており、感染がこれ以上拡大しないよう万全を尽くしたい」と話していました。>

12.6NHK「奈良 五條の養鶏場で鳥インフルエンザウイルス検出」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201206/k10012748461000.html)。<以下引用>
<5日、奈良県五條市の養鶏場でニワトリが相次いで死んでいるのが見つかり、遺伝子検査の結果、「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。県は、この養鶏場のニワトリ、8万羽余りを処分することにしています。奈良県と農林水産省によりますと、5日午前、五條市の養鶏場から「ニワトリが30羽、死んでいる」と県の家畜保健衛生所に連絡がありました。県が、死んだ2羽を含む13羽の遺伝子検査を行ったところ、「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。高病原性とみられ、国が確定のためのさらに詳しい検査を行うということです。これを受けて県は対策本部を設置し、この養鶏場のニワトリ、およそ8万3000羽を処分することを決めました。県によりますと、鳥や卵の移動が禁止される半径3キロ以内にニワトリ以外の鳥を飼育する農場が2か所あるほか、地域外への運び出しが原則禁止される半径10キロ以内には、養鶏場などが合わせて10か所あるということです。奈良県内の養鶏場のニワトリから鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは、9年前の平成23年2月以来、2例目です。奈良県畜産課の溝杭和己 課長は「県内の養鶏場には衛生管理の徹底をお願いしている。消費者には鶏肉などを食べても感染しないことを呼びかける」と話しています。>

12.5NHK「韓国 鳥インフルエンザの感染確認相次ぐ 野生の鳥も」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201205/k10012748361000.html)。<以下引用>
<韓国政府は5日、南西部の農場で飼育されていたアヒルが、高病原性の「H5N8型」の鳥インフルエンザウイルスに感染していたことを確認したと発表しました。韓国では、農場だけではなく、野生の鳥でも鳥インフルエンザウイルスの感染が相次いで確認されていて、韓国政府は警戒を強めています。韓国の農林畜産食品省は5日、南西部チョルラ(全羅)南道の農場で飼育されていたアヒルが高病原性の「H5N8型」の鳥インフルエンザウイルスに感染していたことを確認したと発表しました。これを受けて、この農場で飼育されている9800羽のアヒルと、半径3キロ以内の農場で飼育されている49万羽余りのニワトリなどは殺処分されることになりました。韓国の農場では、先月28日にチョルラ(全羅)北道で、おととし3月以来となる鳥インフルエンザの発生が確認されたのに続いて、今月2日には南東部キョンサン(慶尚)北道でも鳥インフルエンザが発生し、この1週間余りで3か所目となります。農林畜産食品省は、野生の鳥でも感染が相次いで確認されているとしたうえで、「海外でも発生が急増するなか、来月にかけて渡り鳥が増えることなどを考慮すると、非常に厳しい状況だ。全国の農家は、最高水準の警戒心で基本的な防疫措置を実践してほしい」と呼びかけ、警戒を強めています。>

全国各地で農水省「鳥インフルエンザに関する情報」(https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/index.html)の「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_bousi/attach/pdf/index-9.pdf)に基づく対応が行われている。新型インフルエンザ等対策有識者会議(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi.html)の「鳥インフルエンザのヒトへの感染事例」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/yusikisyakaigi/dai17/siryou9.pdf)が警戒されるかもしれない。感染症法による届出(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html)では、「鳥インフルエンザH5N1」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-02-07.html)と「鳥インフルエンザH7N9」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-12-01.html)が二類感染症で、他の鳥インフルエンザは四類感染症である。厚労省「鳥インフルエンザについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144461.html)は更新されないのであろうか。環境省「高病原性鳥インフルエンザに関する情報」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/)、環境省「渡り鳥関連情報」(http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/index.html)も気になるところかもしれない。
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