保健福祉の現場から

感じるままに

特定健診・保健指導の展開

2006年11月02日 | Weblog
昨日、町の保健センター保健師から、「ようやく国保サイドと特定健診・保健指導の協議に入ることになったが、どのように準備を進めればよいか」と問い合わせがあった。国が示す作業工程案(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/08/dl/s0830-2d01.pdf)に基づけばよいのであるが、まずは、老人保健事業の基本健診に関する現状分析をすべきであろう。即ち、基本健診の対象者・受診者について、保険種別で年齢階級別に整理しておくのである。平成20年度以降、町は国保加入者については、主体的に特定健診・保健指導を行う必要があり、国保加入者についての整理はもちろんである。しかし、従来から基本健診は、被扶養者を中心に国保以外のかなりの人数をカバーしてきており、この調整は今後大きな課題となるはずである。被用者保険の被扶養者に対しては、①保険者自らが健診機関に委託する方式、②保険者が他の被用者保険に委託する方式、③保険者が代行機関を通じて他の被用者保険に委託する方式、④保険者が国保に委託する方式、⑤保険者が代行機関・健診とりまとめ機関を通じて健診機関に委託する方式の5パターンが示されている(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1011-6b.pdf)が、実際には、国保に委託される例が多くなるのは間違いないであろう。その場合、費用決済、健診・保健指導データの送受信、健診・保健指導の案内(未受診者への勧奨含む)、結果通知等について、各保険者(広範囲にわたる)との調整がどうなるかは、国の検討結果(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1011-6a.pdf)を待ちたいところである。さて、基本健診結果を分析すれば、標準的な健診・保健指導プログラム暫定版(http://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/kenshin/index.htm)による保健指導対象者の選定と階層化(http://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/kenshin/data/2_3.pdf)により、「動機づけ支援」、「積極的支援」が必要な人数が推定できるであろう。基本健診とは健診項目が若干異なるが、大体の人数を把握できると思われる。それらの方々に対する保健指導をどのように実施するか、町で検討する必要がある。積極的支援は、まさに老人保健事業の「個別健康教育」のイメージであり、従来からの個別健康教育担当者が引き続き従事してもよいのではないかと思われる。また、町が直接実施する場合には、従事予定者(事務方含む)は各地で行われる研修事業に参加する必要がある。では、国保ヘルスアップ事業等のように、保健指導を委託する場合であるが、その委託先と単価に関する情報を収集しなければならない。但し、委託実施の場合は、国保ヘルスアップ事業のようなわけにはいかないかもしれない。先般、平成18年度の国保ヘルスアップ事業は、被保険者に個別健康支援プログラムを作成して生活習慣病対策を進める2年次目の国保ヘルスアップ事業には345保険者・24億8617万円が内定されたと発表があった(http://www.kokuho.or.jp/intra/owa/KNWP00_10?PRA_FIND=&PRA_ENTRYDAY=200608200000&PRA_MPG=1)。ハイリスク者に個別健康支援プログラム(http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/07/tp0703-1.html)を行い、介入群の数に応じて5年間助成(100人未満800万円、100~500人未満1500万円、500~1000人未満2500万円、1000人以上3500万円)されるのであるが、平成20年度以降も潤沢な予算が使えるかどうかである。国は積極的なアウトソーシングの活用を推進しているが、果たして、特定保健指導の単価、あるいは保健指導を含む特定健診の単価はどの程度と見積もられているのであろうか。そして、どうもはっきりしないのは、医療機関受診者の取扱いである。従来、基本健診では医療機関受診者は対象から外されていたケースが少なくなかったのであるが、特定健診・保健指導では医療機関受診者にも実施することになっている。糖尿病、高血圧、高脂血症、痛風等で受診している方は「積極的支援レベル」と区分されるであろうが、その保健指導はどこで行うのであろうか。医療機関で診療報酬(生活習慣病管理料等)で指導されている場合は実施とみなされるのであろうか。また、保健指導対象者の選定と階層化(http://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/kenshin/data/2_3.pdf)の受診勧奨の検査数値基準について、現場サイドからは疑問の声があがっている。例えば、尿酸は8.0以上で比較的高く設定されているが、中性脂肪は150以上、血圧は収縮期140以上又は拡張期90以上とやや低めの設定であるとともに、年齢・性別が考慮されていないからである。果たして、医療機関受診者や受診勧奨後の保健指導はどうなるか、注目したいところである。標準的な健診・保健指導プログラム暫定版(http://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/kenshin/index.htm)の「暫定」の文字が妙に気になるこの頃である。そして、もう一点、市町村で重要になるのは、高齢者の医療の確保に関する法律(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83b.pdf)第125条に規定される後期高齢者に対する保健事業である。今年度から、基本健診にあわせて実施されている「生活機能評価」は果たしてどのように実施されるのであろうか。
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