最近、医療機関への立入検査(医療監視)において、療養病床転換の話題になることが多い。本年7月から、医療療養病棟について、医療区分・ADL区分等に基づく患者分類を用いた評価(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/ryouyou02.html)が導入され、経営に大きな影響がでているという。先般公表された、日本医師会療養病床の再編に関する緊急調査(http://www.med.or.jp/nichikara/kaigo/index.html)では、今般の診療報酬改定によって、医療療養病床は約10%の減収になったとされる。介護老人保健施設等への移行・転換を予定する介護保険移行準備病棟や経過型介護療養型医療施設(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/ryouyou01b1.pdf)も検討すべきであるが、平成21~23年度の第4期介護保険事業計画における介護老人保健施設等の「参酌標準」が、今後どうなるかわからないため、慎重にならざるを得ない、とのことである。国が示す療養病床の再編成に関する全体スケジュール(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk02-05-01.pdf)によれば、平成19年夏(~秋)までに都道府県において、「地域ケア整備構想」が策定され、療養病床の再編成については、この構想に定められた内容が、第1期医療費適正化計画(H20~24)、医療計画(H20~24)、第4期介護保険事業支援計画(H21~23)に反映されることになっている。つまり、「地域ケア整備構想」が全体のカギを握り、法に規定されない「構想」が法定の各計画を先導する構図である。先日の医療構造改革に係る都道府県会議では、療養病床アンケート調査;10月開始・12月4日提出期限(http://www.pref.kagawa.jp/imu/soumuiji/sub2.htm)結果をもとに、厚生労働省から来年1月にソフト(短期・長期ワークシート)が都道府県に配布され、平成19年3月までにそれを活用して将来推計が算出された後、平成19年9月頃までに平成23年度末までの年次別・圏域別の療養病床の転換見込みと財政影響額が算出されることが説明されている。しかし、各医療機関では、大幅な減収の中で、なるべく早く対策を講じたいところかもしれない。例えば、診療報酬が大幅に引き下げられた「医療区分1」の患者を、報酬が高い区分2・3の患者に切り替えることも考えられるが、では、医療区分1の患者がどこへ行くかが問題となる。日本医師会調査(http://www.med.or.jp/nichikara/kaigo/index.html)によると、医療区分1の患者の約4割は、病状面からは退院可能ではあるが、現実には在宅・施設での介護サービスが未整備なための「介護難民」であり、また、医療区分1の患者の約2割には、医師の指示のもと看護師の業務独占である対応が行われており、現状の介護保険施設における医療対応からして退院を迫ることで「医療難民」となるとされている。現場では当面、療養病床の動向に目が離せないところである。ところで、「医療施設動態調査」;平成18年2月末(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m06/is0602.html)、3月末(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m06/is0603.html)、4月末(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m06/is0604.html)、5月末(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m06/is0605.html)、6月末(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m06/is0606.html)、7月末(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m06/is0607.html)、8月末(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m06/is0608.html)をみると、療養病床の再編は徐々に始まっているようである。それによると、病院療養病床数は平成18年2月35万8087→3月35万7971→4月35万7836→5月35万6902→6月35万6279→7月35万3679→8月35万2328床で徐々に減少している、一方、病院一般病床数は平成18年2月90万5731→3月90万5887→4月90万5739→5月90万7260→6月90万8375→7月90万8789→8月90万9892床と増加傾向にあり、療養病床から一般病床に流れる現象がうかがわれる。果たしてこの現象は、医療費適正化を至上命題とする国において当初から意図されていたのであろうか。そして、平成20年度からの後期高齢者医療制度とその診療報酬が注目されるところであるが、「後期高齢者にふさわしい診療報酬体系」はどうなるであろうか。
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