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大阪鋼巴球迷的博客(だあばんがんばあちうみいだぼーくぉ)

熱烈なるガンバ大阪サポの筆者が、世界で最も多くサッカーファン人口を持つ中国にガンバの名前を広めんと日中二ヶ国語で発信する

我々は中国のようになれないし、なる必要もないし、なってもいけない

2015-02-26 00:00:33 | ガンバ大阪
先制されて引きこもられてしまってやられるパターンってなんか大分に万博でやられたような試合やったな。まあ、大分とはお互いアウェイの時の方が成績が良かった相手なんだけども、大分同様に引きこもられた相手を攻めあぐねたというのなら、アウェイで頑張らないといけないだろう。その際自分も参戦する。4月下旬での再戦の際にお互いがどんな状態で迎えているかでしょうね。あちらもACLは初めてなんでリーグが始まってからの両立の難しさで、中超恒例のACL組による解任ダービーが再発するかもしれないw
そう考えると、スロースタートじゃACLで勝てないやり方だからといって健太監督サヨナラっていうのをやるのは短絡すぎるとは思うし(序盤は我慢の時期だけどそのうちにまた外野がうるさくなりそうなので先に行っておく)、それどころか今の清水みたいになるリスクはあるとは思う。 

まあ、健太監督のチームの特徴としてはオフ明けのスロースタートっぷりは見慣れた光景だけども、ACLはその序盤のうちに決着を付けないといけないわけなんだから、悪いなりにも結果を出す方法論っていうのを考えないと行けないわけだけですけどもね。サポミで出たビッグネーム獲得という話が出たんだっけ?まあ、社長にお願いしたいのは単純にネームバリューで食いつくのはやめたほうがいいし、その金があったら寧ろネームバリューはともかく独力で突破出来るタイプの外国人を連れて来た方がいいかな、とは思いますけどもね。単純に名前だけで飛びつくとフォルランの二の舞いになりそうだからそこはしっかり学習してほしいけども・・・もっとも、そういう選手連れてきて活躍してもウチの場合中東からの魔の手が伸びるっていう問題が出てくるわけですがw そこは半期限定で、夏には換金することを前提として割り切っていくしかないんかな、というところかもしれないけども。

まあ、それは将来的に考えて行くことにしましょう。中超のクラブがACLで力をつけてきたのはオーナー企業が利益度外視でクラブ経営を宣伝の一貫として捉え(それゆえチーム名前にはオーナー企業の名前が出せる)ているからに他ならないんだけども、これはこれで良し悪しがある。

一つには代表への強化のおいて国産ストライカーの職場を奪っていること。日本に限らず中韓などでも同様だが、極東の国々のプロリーグが、元々代表チームを強化する為の一貫として産声を上げてきた経緯を考えると(だからまあ、JFAからすると、Jリーグって秋春制にいちゃもんつけるどころか2ステージ制で試合数を増やすなどして、自分らの言いなりにならないところに不満なんだろうけども)、ちょっとこれは度を過ぎているかもしれない。まあ、クラブの場合はクラブを勝たせる為の編成を行うわけだから、クラブにとっての損得が必ずしも代表のそれとは結びつかないどころか、寧ろ相反するものとなっている。これは欧州リーグで言えばプレミアなんかがその最たる例といっていいかもしれない。まあ、これについてはリーグが何を重視するかにもよるとは思うわけですけどもね。まあ、ここで代表というのを錦の御旗にすると大仁センセイの思うツボになりそうだからこれ以上はやめておくけども。

もう一つは、そうした反則外国人連れてくる資金力があるうちはいいとしても、そうしたマネーウォーズに勝てなくなって金回りが悪くなると、クラブは身売りを考えざるを得なくなる。地元で引受先が見つかればいいけども、なければ引き取ってくれるところを探して移転を余儀なくされる場合もある。この天津(あえてネタにつられてみますがw でもそれだと去年自分らが対戦したクラブの名前すら忘れているんじゃないですかねw)、じゃなかった広州富力にしても瀋陽から長沙、深センと来て最後広州と移転を繰り返して来た歴史がある。

だからまあ、我々のJリーグは中国のようになれないし、なる必要もないし、なってはいけないということはお判りになるだろう。だからこそ中西哲生氏のツイートがアレなんだけどもw 私に言わせれば中西氏こそ何を理解しているんだろう、ってことになりますねw まあ、ツイッターの140時内って限られてるんで一つのツイート自体が舌足らずな分炎上してしまいがちなんだけども・・・まあ、彼ぐらいメディアに露出していたら、下界の庶民らが何か喚いても、全て黙殺することぐらいはわけないんだが、それだったらSNSなんかを使わずに、旧来のメディア-に自分が持っている連載とか出演番組とかで意見を発信するのに止めたらいいんじゃないかって思うけども・・・

個人的に中西氏に訊いてみたい点があるとしたら昨日の富力戦での最初の失点シーンにおける岩下の対応が同じプロの目-特に元DFであった氏の視点-からしてどう映ったのかということかな(この意味で、人間力さんの評論なんかは、そらアンタどこからも声掛からんわ、というものだろうけど)。特にデータもあまりなく、初めて対戦する相手のFWがドリブルで仕掛けてきた際にどう対応するのが正解なのか。中国のネット掲示板ではまさかガンバは富力の試合の録画を今まで見てなかったんちゃうやろな?みたいな挑発的なタイトルでもって最初の失点場面の動画をUPしてくれたお陰で、このブログでも検証出来るんだけどw あれよく見ると岩下はドリブルのコースの前に立って、縦を切ってから外へ追いやろうとしていたんよね。恐らく阿部が戻って来るところを待っていたような感じではあったわけなんだけど、誤算があったとしたら阿倍のスライディングで奪えなかったところと外に追い出してもそこから決められたところか。

強いて言えば、ペナのエリア内に入る前にファウル覚悟で止めるっていう選択もあったかもしれない。もしかしたら現セレッソのソータとかCBのコンちゃんなら食らいついていったかもしれないな・・・それで引っ掛けられたらいいけど、逆にかわされるリスクはあったかもしれない。実際ACLにおいて、2年前にムリキにかわされた森脇のことを思えば前でガッツリは行きにくかったし、第一、行こうにも後ろの人数が足りていない状況だったとも言えるわけです。

そう、阿部がボールをロストする前まで、岩下が後ろに残り、右CBの大輝がサイドへポジションを押し上げて米倉を高い位置に押し出していたような状態で失い方が悪かったわけですね。裏返せば、ある程度相手が引いてくることは事前情報で解っていたからこそ、ハルヨネのサイドバックで高い位置を取ってサイドから押し込むことを意図していたんだろうし、奪われても小椋というフィルターを置いておけば、っていう考えがあったかもしれない。この点だが狙いは悪くはなかったし、失点する前までもハルを使っていい形を作れていたのを忘れてはならない。だからまあ、次の試合以降はもう少しこのビルドアップの精度を上げて行ってほしいけどもね。

今の現状においては反則外国人を急に手に入れられるものでもないし、別に中超のやり方がそんなに優れているわけでもない。しかしそれでも、強力な個のFWを持った相手とやらなければならない現実がある。その点は一つ一つ課題をクリアしていくしかないでしょうな。一度対戦して分かったんだから、次はハメドアラーにはやられないようにな!

今一番の健太チルドレンとも言うべき男

2015-02-17 06:10:12 | ガンバ大阪
と言えば誰に当たるかと言えばそれは丹羽大輝になるかな、と思いますね。オフにFM千里の番組のインタビューでは守備は個人ではなく組織でやるものだというのを語ってくれた(その時は「箕面のライアン・ギグス」ネタにあやうく霞んでしまいそうやったけどw)。

失点を減らそうと思えば基本的には二通りの考え方があって、一つは守備の組織を充実させるもの。そしてもう一つは後ろに対人に強いCBとシュートストップに優れたGKを置くというもの(セホーンがインタビューで言っていたのはこういうことだろうが、それは裏返せば彼は守備組織を構築できない、というかその気がない。その理由は後述します)。まあ、ガンバで守備がようやく整って来たのは前者の考えに基づいて組織を構築してきたからなんだけども、その守備組織の中で恐らく忠実なパーツであろうとしているのが大輝なんだし、それは彼自身が臨んだことでもあるわけです。もっとも、後者の考えに基づく人が多いのも事実で、エルゴラで小見幸隆氏が提言していたCBの補強というのも、要は対人に強いタイプを連れて来いってことなんですけどね。

大輝自身試合に出られない時もポジティブに考えていたというけども、逆に言えば彼も今の組織の庇護がなくなってもよそで渡り歩けるわけではないことも重々承知しているんで、それは不安の裏返しととれなくもない。まあ、対人系のDFであればその個人の資質を見込んでよそでも引く手あまたなんだけども。今西野君なんかの名前が聞かれなくなったのがちょっと気になるけども、これは怪我やコンディションの問題だけでなく、今の守備組織においてビルドアップやラインコントロール等に彼が課題を抱えているからだとも言える。その意味で今のガンバは皮肉なことにかつてのような対人系というのを一番必要としなくなっているというのが現実なわけ。皮肉にも3年前ウチに来た時には対人の強さを見せていた岩下が、今一番守備においてポカをやらかしそうになっているのは、裏返せばガンバの守備組織があまり破綻せず、逆にやられるとしたら個人のマーキングのズレとかクリアミスとかいうものに限定されるようになったからとも言える。

大輝以外に健太システムの中で守備の頑張りを見せ出しているというのが米倉かな。彼来る前はザルがザルを取ってどうする、なんてジャイキリの作者さんんから揶揄されていたんだけども、昨年自陣バイタル辺りで再三のピンチをインターセプトで救ってくれたりしたのも、彼がボールを奪えるポイントに守備組織で追い込めているからでもある。それまでは恐らく彼が一対一で野ざらしにされる場面が多かったかもしれないが。逆に清水時代に健太監督の組織の元でA代表に呼ばれていた和道や、五輪代表に呼ばれていた海人、青山なんかが健太監督の庇護を離れた途端に個人としての守備力を求められる難しさを経験するようになったのは皮肉なものではあるけども。

だからまあ、守備に関して言うならば、守り方をきちんと教えればその組織の中で忠実なコマになってくれるというタイプを今後外から連れてこれるかという話になるわけです。例えばSBについて言うならば、スピードがあるとか、上下動の運動量が豊富とかいう資質があれば後は守り方を教えればいいとか。対人の強さはないけれども頭が良くて戦術の理解能力が高いとか。あるいは、小椋のようにボールダッシュ力に長ければ、そうした個々の長所を活かし、短所を隠しつつ、組織の中で如何に彼をはめ込むか、ってことを考えればよい。NBAで言えばシカゴ・ブルズのティボドーなんかがローズが不在でも他のロールプレーヤーを上手く守備戦術に当てはめて使いこなしているっていうのとよく似ている(だからニックスをバイアウトになったアマレもその考えの延長線上で欲しがっているという話らしいがどうでしょうw まあ、今ならロスターに空きがあれば最低年俸レベルで契約できるんだろうけど)。

ただ、健太システムの場合、守備に尽力する分攻撃力は総体的に落ちる傾向にはある。その分どうするかなんだけども、昨年夏からやっているようにパトを上手く運用して低い位置からでも前に持っていこうとする。これがなかなか出来ないから多くの監督は悩むところで、だからこそ、冒頭で述べたような後者の考えかた、即ち攻撃に力を注ぐ分手薄になった守備をどうするか、ってところで対人系の選手らに後ろでしっかり止めてもらうっていう、発想も出てくるわけだけども。

続・育成も補強もバランスやねん

2014-12-23 23:18:07 | ガンバ大阪
Jユースカップの決勝を長居で観戦したけども、ユースまでもが見事に良くも悪くもガンバのサッカーではあった。真ん中の狭いところを愚直にまでこじ開けようとするのはやはりガンバらしいw まあ、両サイドが高く張る陣形なんでリスクを冒している分その裏を狙われやすかったけども、そうしたリスク冒してでも攻める心意気は良かった。ただ、彼らがこのままトップ上がっていくと最後の崩しやフィニッシュのところでいかにスパイスをつけるか、というのが足りない部分だったけども、そこはトップチームでは補強で賄っていくことになるのだろう。その意味でこれから育成にしても補強にしても適正なコストで廻して行けるかがカギになってくるだろう。

その意味では、ブルズ王朝はピッペンの年俸を長期間に渡って低く抑えていたことだったからこそ可能だった、ということからもっと学ばないといけないのだけどもw(もっとも最後はMJの年俸が高騰しすぎてさすがにチーム維持が困難になったけど)。まあ、ピッペン本人はブルズでのキャリア後半はその年俸水準には不満だったけども、こうして歴史に残るNBA選手として名を残すことが出来たし、何よりも何度も優勝して知名度も日本で上がったことで、デミオの売上にも貢献出来たわけですしねw

話をサッカーに戻すと、そこで気になるのがセカンドチーム運営を見据えた大量昇格をどう見るか。まあ、過去ジェフや徳島の例を見れば運営費がトップチームの経営を逼迫するということを顧みたら、仮に実現したところで気になるのが、

1.何人で廻していくのか
2.J3のカテゴリーで本当に育成ができるのか

というところか。

1に関してだが、ネクスファジ(ウチにいた三木良太も最終的にはここ送りになったけど)なんかを例に取ると19人で廻していて、しかもGKは一人しかいない!試合中にGKが怪我なんかしたらそれこそ、こないだの皇后杯の湯郷ベルみたいにフィールドプレーヤーの選手が代わりに急造GKをやらされるハメになるんだけども・・・まあ、さすがにウチのセカンドチームでそういう状況にはさせないんだろうから、控えのGKには大学生とかを登録させたりするのだろうか?全員プロ契約ってことにするとさすがにチームの維持は厳しいかな、という気はするけども。

まあ、セカンドチーム発足の目的がユース組の試合経験を積ませるためのものであるとしたら、要はそこで如何にチームを成立させるための人数を揃えるかということだろう。とするとGKに限らず足りない部分は大学生で賄って人件費を抑えるという形にするんかねえ・・・

結局、トップチームにしても戦術練習や紅白戦、それにSULなんかをやろうと思えばある程度人数は居るわけであって、チームヒエラルキーであれば、1)トップチームでベンチ入りできる選手 2)トップチームでベンチ外だけども練習や紅白戦で必要な人員をトップで確保しないといけなくなる。岡山でさえもトップには27人選手を保有しているわけやし。

あと、セカンドチームはセカンドチームで別々に練習ってことにはなるわけで(岡山の影山監督はネクスファジの練習まできちんと見ていた)、年2回の入れ替えに際してシビアな決断をしないと行けない分、当然トップ監督の負担は増える。

2についてだけども、J3が出来たばかりなんでまだ何ともいえないが、これまでの歴史を振り返って見ると、J3よりはむしろ若手をJ2でやらせる方が経験値を還元できるとも言える。J1でいきなり主力の座を掴んだ宇佐美は別格として、ウチで今主力でもある、大輝や秋なんかは修行を積んで帰ってきたし、大森や西野君も去年J2で試合経験を積んだ。チンの場合は今横浜FCでボランチでキャプテンやっているけど、彼の場合現在のポジションを考えると巡り合わせが悪かったかな、とは思う。

ただ、セカンドチームという話が出てくるのは、裏返せば今までユース上がりの選手に十分チャンスを与えてあげられなかったからだ、とも言えるわけで、ここは試行錯誤していくしかないのかな、とは思いますけどもね。ただ、セカンドチームで運営費が嵩むようだと、いずれトップの運営費も縮小することになる。まあ、それこそスペインのフットサルのエルポソみたいなケースですね。岡山なんかを見ていると彼らがネクスファジを運営しているのも、人件費が外部の補強選手>内部昇格、という考えがあるからのようだが、それも目に見える効果が挙げられるかですね。エルポソみたいな形でやっていけるんならそれはそれで意味がある話なんだけども。

3冠に寄せてーやっぱ編成も戦術もバランスやねん

2014-12-18 23:05:35 | ガンバ大阪
こないだ心斎橋の串カツ屋さんの忘年会に参加した際に、私のブログ更新を楽しみにしておられる方に出会うと、まだまだやらないといけないな、とつくづく思ったりもする。個人的には普段はツイッターでつぶやいて、まとまった文章書きたい時にブログでいいかと思うんだけども、ツイッターというのもまだまだネットの世界では小さなコミュニティでしかないな、ということを、こういう声を聞くとつくづく感じさせられる。自分のブログにツイッターも貼り付けているんで気軽にフォローして頂いてもいいんだけども、世間的にはやっている人よりもやっていない人たちの方がまだまだ多数派だったりもするということですね。だからまあ、こないだの選挙結果なんか見ても、TLでは現政権の政策に批判的な意見が結構出ていたりするんだけども、与党の支持基盤の大半はツイッターどころかネットにすら縁のない人たちで、世間的にはサイレント・マジョリティだったりするんよなあ・・・

ということで、ブログも書くことにしますw

天皇杯決勝では、山形の不器用さ(実は個人的には結構好きだったりもする)の象徴とも言うべき前プレをうまくいなしたカウンターとヒガシからのロングキックを早々とゴールに結びつけていたけども、これはある意味今季のガンバが新たに見せた縦への早さを象徴するゴールだったかもしれない。ただ、決してそれだけではなく早く行くところと行かないところとのメリハリはしっかりと分けていた。だからこそ某高名なライターさんが大きなサイドチェンジだとか縦への早さとかがあまり見られなかったなんて一面しか見ない見方(というか彼は自身のモノサシでしか見ていないだろうが)で記事を書いたりするのかもしれない。自分から見ると、カウンターサッカーにスタイルチェンジした、という見方にしてもその逆に縦への早さが足りないとかいう見方も(だから15秒理論を標榜する人間力さんのチームってアテネ五輪の時がそうだったけど、あまりにもドタバタしすぎていた)どちらも一面的な見方じゃないかと思ったりもするんだけども。

すなわち、縦への早い攻撃を健太監督は中断明け以降求めていたし、実際右サイド裏にパトを走らせてもいた。その一方で、早く行けない時、行く必要のない時、或いは相手の守備を引き出したい時などにおいてはヤットが手綱をしっかりとしめて、コントロールする。この両者がバランスを取り合っていたことこそが重要ではなかったかと思うわけですね。今までは後者に多少偏りがあった。だからと言って前者にばかり傾倒しすぎると落ち着きがなくなることも考えられる。今までパスサッカーのスタイルだったチームが、ゴールまでへのスピードを求める余りにバランスを崩していった事例が少なくないだけに、この両者のバランスこそが今のガンバのキモなのだ。

だからまあ、ガンバ3冠へと導いたのは健太監督が新たに守備組織と縦への早さを持ち込んだんだが、それと従来あったガンバのパスサッカーの技術やスタイルがうまい具合に融合したのが今季後半からのガンバだったと言える。これはひとえに指導する側の能力だけでなく、指導を受ける側の資質の賜物とも言えるかもしれない。

あと、見逃せないのが編成のバランスの良さだろう。今のガンバの編成ポリシーは、その年に必要な補強ポイントには投資する(今年で言えばヒガシ、パト、米倉)資金を残すために、他のポジションは下部組織からの一貫育成を含めてコストを抑えるというものだ。そのためには、樹の幹(補強)に対する投資は妥当な額である必要はあるし、樹の枝(その周りのポジション)についても、適正価格を超えて高すぎては行けないということも言えるだろう。

余談になるんだけども、サラリーキャップの枠組みがあるNBAなんかではこの枠組みの中で中心選手にどれだけ年俸を払い、残りの枠でどのような選手を留めておけるかで大方勝負が決まるとも言えるわけですね。例えば、トッテナム、じゃなくてサンアントニオの方のスパーズなんかはダンカンが我慢出来たからこそ、やれトニパカだの河合さんだの、ジノビリだのを引き止めておけるわけ。レブロンのケースで言えば、ウェイドやボッシュを減俸させられなかったからこそ、レブロンの条件を満たすための引き止めがヒートは出来なかったのがキャブス復帰の真相じゃないかと思ったりもする。実際ヒートのビッグ3なんかは全員ほぼ20M台だったのに対し、キャブスの新ビッグ3ではカイリー・アービングの年俸がヒートのそれよりは低めで、おまけにケビン・ラブまでもが来ている。一番やり方がダメなのはレイカーズでコービーの年俸が優勝した時期よりもずっと上がり続けているし、大金はたいて獲得したナッシュまでもがシーズンほぼ全休状態になっているわけだから、もう何をいわんやという状態ですね。

話はそれてもうたけどw NBAから学べることは、幹と枝葉に水をやる量をどれだけ調整できるかってことですね。往年のブルズなんかは皮肉にも自ら望んだとはいえ、ピッペンを長期的に安く雇えたことが大きかったわけです。

で、サッカーの話にようやく戻りますw ここまで書くと、次に私がどのチームのことについて書こうとしているか、勘の良い人ならお分かりですね・・・

今オフの主役とも言うべき浦和の補強リストを見ていると、06年のポンテ・ワシントンのコンビと比べると突出した個を補強している感じでもない。どちらかと言えば幹よりも枝はに水をやりすぎてるような感じ。日刊の選手名鑑での推定年俸を比較してみると、ワシントン、ポンテ、そして欧州帰りの小野伸二以外のほとんどの日本人選手らは割りと低く抑えられていた(闘莉王ですら5千万を超えていなかった)のに対し、現在では5千万プレーヤーが何人かいる状態になっている。まあ、一昔前の浦和の方がJリーグでは反則レベルな外国人を連れてくるだけの人脈と補強資金があったとも言えるかもしれない。現在では契約が切れた日本人選手で代表もしくは準代表クラスを連れてきているんだけども、枝と幹にやる水の量のバランスが崩れていない気がしないでもない。

まあ、でもそうせざるを得ない理由があるとしたならば・・・やはり育成のために我慢しつづけることが難しいのかもしれない。フィンケの時に大型補強を封印して山田直輝ら若手を鍛え上げたりもしたけど、勝つということに対するプレッシャーというのが相当厳しいのだろう。そのこと自体はミシャが一番感じているからなのだろう。NBAのいくつかのチームや浦和の事例から学べることというのは、予算の多寡はあれど、手持ちの資金からいかに幹と枝の選手に適正年俸水準に振り分けていくか、ということかもしれない。

まあ、今のところウチは枝葉への水の量はなんとか抑えられている。けど、勝っていくにつれて人件費はやはり上がっていくわけなんで、やはり若手への新陳代謝というのはどこかでやらなければならなくはなる。まあ、A契約の保有人数に関する規約改正でますます育成へ傾倒し、ゆくゆくはセカンドチームへの構想にもつながって行くのでしょう。多分それはセカンドチームの運営費を一人頭で割っても十分安上がりだし、大学へ放流させて他のチームと競合になるリスクも避けられるという読みがあるのかもしれないが。




改めてリーグ優勝を振り返ってみて

2014-12-10 00:20:39 | ガンバ大阪
権田っぽい言い方をすれば、「名古屋に期待していなかった僕が馬鹿でした」って言えるかもしれないw 基本的には自分たちで決めなければ優勝はないやろな、とは思っていた。今季の名古屋の対ミシャ型の対戦成績を見れば、対広島にはリーグ戦で2試合とも4点以上取られているし、浦和相手に至っては、原口のラストゲームを含めてもやはり惨敗している。ただ、最近の名古屋が負けなしであることと、最近の浦和自体が失速気味であることを考えたら多少何かはあるものの、西野氏って基本ミシャ型とは相性悪いし、先月の埼スタ2連勝などは、あの人が今でもガンバの監督だったら恐らくはありえなかったんじゃないか、って思ってたりもしていたからだった。でも、徳島遠征から戻って浦和と名古屋の試合を見なおしたけども、後半は時には5バック気味になることはあってもしっかりと中を固めていたんだから、さすがに対策はしていたのは分かった。まあ、こういう割り切った守り方をさせたらむしろガンバよりは名古屋の方にこそ低い位置での跳ね返しに長けた人材は揃っているわけだけども。

とは言え、最後の方になれば不本意ながら他会場の結果を気にする羽目になってしまったけども・・・それぐらい、首位で最終節迎えるのが初めてだったとはいえ、難しい戦いを強いられた。もちろん選手たちはいつも通りで特に変わりはないと平常心を口にしていたけども、それは裏返せばそう口にせざるを得ないような見えないプレッシャーというのはあったかもしれない。そしてそれは、9年前に同じ経験をしたであろう、対戦相手の監督には見透かされていただろう(まあ、その時に彼に煮え湯を飲ませた相手が今度はガンバのボランチに居るというのが何とも運命的なものを感じる。そしてその時セレッソのGKが今やウチのユースのコーチをやっているのだから)。

ということで、過去セレッソの監督時代から幾度となくガンバにやられっぱなしだった徳島の小林監督にしてみれば、目の前でガンバの優勝なんかは絶対に見たくはなかったに違いない。前節の仙台戦まででやっていた3-4-3から4-1-4-1に変えたのは、ガンバのスカウティングもさることながら、こちらに4-1-4-1の想定をしていなかったところの裏をかいた狙いがあったのだろう。加えてどこかこちらも優勝を意識してか硬い立ち上がりだったところで徳島のカウンターを浴びてしまっていた。高崎をベンチスタートというのは後半から逆算してのことだったのだろう。逆にアドリアーノって堅守速攻でやる場合にはあまり役に立たない。11年シーズンにウチにも居たんでよく分かるんだけど、彼は数打てば当たるタイプなんで、基本チャンスを多く作れるチームじゃないと生きない選手ではある。

ただ、最終節の浦和と明暗を分けたのが、一つはリスク管理。カウンターでもしっかりと2,3人戻ることができていたガンバと、最後永井に決められた時には自陣に鈴木啓太しか残していなかった浦和との差が出たとも言える。つまり、こちらは徳島相手に決めきれなかったけども、逆に相手にも決めさせることもなかったのが両者の明確な差であった。もう一つは他会場の途中経過をどこで伝えるかというマネジメントの部分。浦和はそれまで取り決めていたことを破って、なぜか槙野を通じてミシャがガンバと徳島がスコアレスであることを伝えていたようだが、こちらは後半アディショナルタイムにおいてようやく健太監督が大輝に指示を伝え、そしてゆっくりと後ろでボールを回し出したことでうまく引き分けで終えることができた。なんでミシャがそれまでの禁を破ったのかは不明だが、同点に追いつかれた後に選手にハッパかけるつもりだったのか?もっとも、情報ってどこでどう漏れるかわからないもので、ガンバTVで岩下が語っていたんだけど、徳島の選手が、浦和がリードしているけど点取りに行かないと駄目じゃないか、って挑発的に言っていたらしいが。

改めて今季のリーグ戦を振り返ると、前半宇佐美の怪我で大きく出遅れながらも後半巻き返しを見せて逆転優勝、っていう展開はしびれるけども、裏返せば勝ち点63で優勝出来てしまうような混戦模様だったのが幸いしたし、この状況をものに出来たというのが大きかった。もうこんな劇的なまくり方はもう出来ないかもしれないけど、だからこそ、自分たちに流れが来ている時にしっかりと結果を残すのが大事なのかなとは思うんですね。

来季はより対戦相手からの厳しいマークが予想されることにはなるが、それゆえにもう少し戦力の上積みー特に今季序盤の失敗を繰り返さない為にも、前線の選手の質と量の確保っていうのが必要になるとは思われる。あと、外国人枠の問題。ACLにおいてはジョンヤも「外国人」枠には入ることになる。もし残すんであれば、11年の時のように登録枠に入れるのか、或いは12年の時のように外すのかによって外国人の構成もまた変わる。今季のジョンヤはバックアップとしてはよくやってくれたし、彼が出ていた試合は負けてない分、貴重な戦力としてはおいておきたい気もするんだけど、枠の運用という観点からすると、バックアップとして日本人のCBがもう一人いた方がいいんじゃないかって思うことがある。エルゴラで小見幸隆さんが言っているのは多分そういう意味合いでCBの補強というのを言っているんじゃないか、と解釈している。

え、あの人そこまで言っていないんじゃないかって?まあ、ジョンヤへの気遣いを考えて小見さんもその辺の真意は敢えて伏せているんじゃないかって思えるんですね。なんせ柏時代サポミで南の移籍の「真相」を語ってみせた方ですから、その意味では本当に「食えないやつ」っていう表現がぴったり来る人だし、それぐらいの人でないと強化担当者なんかの仕事は務まらないんじゃないですかね。多分小見さんも強化担当っていう観点から見て言っておられると思うから。

10月初旬から決戦は既に始まっていた

2014-11-25 08:04:21 | ガンバ大阪
現地参戦の後に、ネットを徘徊するとドローで良いはずの浦和が勝ちに色気が出た、というコメントが浦和サポさんの方達の声が多かったけど、多分その一部には心情的なものが含まれていたのかもしれない。

というのも、この試合での先制ゴールに場面を改めて見直してみると、こちらは自陣に全員戻っている状態でエリア内でも8対6という数的優位を保っている。一方の浦和は画面で確認する限り敵陣にいるのは8人で、画面に映っていないフィールドの選手は少なくともあと2人は後ろに残っていたが、上から俯瞰する動画では浦和のフィールドプレーヤー10人全員が敵陣に入っていたのが解る。

話はちょっとそれるけど、翌日に観戦した横浜FCと北九州の試合でもお互い自陣でのセットプレーの守備では全員が戻ってるんだけど、北九州のGKの大谷がなでしこリーグでしか見られないハーフウェイ付近まで上がって来てケアしてたりした時はオイオイって突っ込みそうになったw

まあ、それは極端だとしても、自陣に全員で戻る守備しているチームじ対する攻撃側の配置としては取り立てて悪かったわけでもないし、寧ろああいう場面で、前に敵が誰も居ない中でハーフウェイ付近に2人も残しておく必要はないもんね。

多分浦和側から見て悔やまれるのは、柏木の一連のプレーかもしれない。柏木が蹴ったFKがあんまり意図の感じられないような低いクロスだった(その前のヤットが蹴ったCKと比べると尚更そう感じる)。それをこちらが簡単にクリアすると、まるで狙いすましたかのようにカウンターを発動していたわけだから、一応そういう形を狙って健太監督はこの試合で今一守備タスクを減らしてでも得点に絡むことを期待した2トップに替えてリンス佐藤を投入したということが考えられる(ダイヤの布陣を捨てて通常の形に戻してサイドのケアをSHに任せるとなると、必然的に中を固めて最後の所で跳ね返し、攻撃ではカウンター狙いになるだろうが)。佐藤はそういう長い距離走ってフリーの廻りにたどり着くのが得意らしく、横浜FCサポの人の方に言わせるとJ2時代そういう形で実際佐藤にやられてたらしい。

話を元に戻すと、そのカウンターでリンスが持って上がると浦和はマルシオがすぐリンスに対して右サイドでついて行くわけだが、そこでなんと柏木は自分のすぐ後ろから駆け上がる阿部を捨ててリンスに対してダブルチーム(と書くバスケ脳w)に行ってしまったわけです。で、ここで柏木クンの記憶の残像が蘇ってるわけですな…何をって?リンスが鹿島戦で挙げた決勝ゴールの場面ですよ。

実はアウェイ鹿島戦での劇的勝利の夜のJリーグタイムで柏木がゲストに呼ばれていて、この試合の映像を本番だけでなく、本番前での打ち合わせでも見せられてることでしょうw そらあんなもん見せられたら意識するなというと嘘になるけどw

改めて鹿島戦でのリンスの決勝ゴール見直すと…やっぱ凄いな。ヤットのクロスを外側に膨らんでトラップして西を引きつけてから切り返しのズドン!まあ、こんなもん何遍も映像で見せられたら、マルシオ1人には任せておけないって思うかもね。浦和がこの試合に向けて周到な準備をして来たには先発2トップへの対応でも十分伺えていたし、実際2トップでの決定機は前半終了間際のパトのヘディングのみ。まあ、リンスに対してもそれなりに警戒はしていたし、(ただ如何せん情報が少ない為リンスには強く当たれていなかった)、柏木はリンスを意識していたからこその対応だったんだろうけども、それを逆手に取ったカウンターでしたな。

そうした形が大一番で可能になったのは18人誰が出てきても戦えると信頼していたマネジメントだと言える。対する浦和は先制されたら興梠を慌てて投入する無茶な起用をミシャはやってしまっていた。

このオフシーズンにも浦和の補強話って色々出てるんだけど、ボランチにしてもシャドーにしても選手が揃ってるわけであって、補強の必要性があるとしたら寧ろ1トップ型だとは思うけどもね…原口が抜けた後は寧ろ現有戦力で、残った選手にチャンスを与えることで選手の不満を和らげてチームマネジメントを安定させる狙いがミシャにはあったのだろうけども…確かに終盤失速気味でもあと一歩で優勝までこぎつけて来た訳だからその手法も解らないわけではないけどね。

そのタイトル、獲ったったで!w

2014-11-11 16:29:10 | ガンバ大阪
試合開始当初の4312というダイア型はてっきり情報戦かと思っていた。それを90分やるにしては、明神がフルには持たない。かといってバックアップとして内田達也は長期離脱している。そして何よりも報道に出てしまっているわけw フツーに考えるとこれを90分やるなんて不可能でしょw

さすがに広島だって、予告先発投手が相手から発表されてしまっていたらそれに合わせた攻略法は考えて来るわけですな・・・実際それは前半の前プレに表れていたけども、あそこまでボールが刈れていたのも想定外じゃなかったですかねW それで変に広島は前半で体力使ってしまっていたような気がするわけですよ。こちらがダイア型にして、2シャドーと青山のところを3枚で見る代わりに相手WBをこちらのSBが見るようになった分、4バック同士の距離が開きすぎてしまい、CBが見る範囲も広がってしまっていた。2失点目の部分は岩下がクリアミスしたけども、普段出来る範囲よりも大きな負担となってしまっていた。

けれども、2失点した後にすぐ1点返せたのが大きかった。やべっち以外でのダイジェストではカットされていたけど岩下のロングフィード(これについてはガンバのDFの中で彼が随一)で左サイド深い位置に張っていたヤットに渡ると、ヤットからのクロスにレブロン(このネタすっきやなw)、じゃなかったパトが頭でズドン!この試合広島に対して勝てていた部分がレブロン(しつこいw)、じゃなくパトだったわけなんだが、リーグ戦では佐藤をスタメンに出していて、パトをあまり使っていなかったのがここで効いていたわけね。この試合でのパトはまさにレブロンが今シーズン開幕2戦目のブルズ相手にオーバータイムで見せた他を寄せ付けない圧倒的なフィジカルの強さでもってグイグイ猛進ペネトレイトして得点を重ねていったことを思わせるようだったけども。

ところで、話はそれて最初の失点のPKの場面なんだけども、西村主審は、今年ACL決勝第2戦でのPK3つ見逃しを気にしていたんかね?見逃したとされる3つの場面の中で明らかにPKと思えるのは後半のハンド見逃しだろうけど、あれは西村主審の位置からは死角になっていたもので、むしろ副審が気付かなかったのが問題だとは思うんだけども(いつぞのガナーズの試合では50メートル以上離れた位置から副審がPKをアピールしていたこともあったわけなんで)、たぶんそれで見えているものに対して笛吹こうって意識が過剰に働いたからなのかね・・・

で、話をもとに戻すと、後半は明神を下げて大森を投入し、普段やっている形に戻した。これだと広島の青山に対するマンマークがなくなるけども(その分もうちょっと2トップには青山に入るコースをケアする守備はせめてしてほしかった)、どうせマンマークつけてもいなされるということならそこを捨ててしまい、青山からワイドに展開されても両サイドハーフが相手のWBを見る形になり、4バックがボックスの横幅の距離内に収まって中でしっかり跳ね返すことが出来た。つまり、きっちり閉じるところと捨てるところを明確にしたわけね。それによって相手の攻撃を抑えつつ攻撃でも徐々に流れを手繰り寄せていった。

後半の同点および逆転のゴールでもしっかり阿部が絡んでいたな・・・試合前のアップでのシュート練習でもいい感じで枠に飛ばしていた調子をここでも見せてくれていた。

逆に広島は後半のジョーカーが皆川と森崎浩司っていうテンプレ通りのものでしかなかった・・・まあ、交代カードといっても持っているベンチの選手の質の問題も絡んでくるので、ここでは監督の切り方をうんぬん出来るものではないんだけど、中断明け以降ガンバがリーグ戦で敗れた相手(ナビスコ準決勝の第2船は実質180分勝負の後半戦に過ぎないと考えておくと)というのが名古屋と柏という、奇しくもジョーカーの切り方が上手い監督相手にやられているわけなんよね・・・しかも奇しくも0-1というスコアだった。

もし決勝で負けるとしたら健太監督が清水時代にダイヤ型を継続していた08年の決勝のように前半は様子見で後半勝負にかけられた場合、ってことだったかもしれない(その意味では次のリーグ浦和相手に警戒せねばならないのは、0-0で迎えた後半にミシャがこないだのマリノス戦のように関根を投入してくるような展開なんだろうが)。皮肉なことに前半で早々と当初のゲームプランが決壊した分開き直って修正しやすく、前プレもハマったとも言える。そんなこんなでナビスコのタイトル獲得できて、このエントリのタイトルのように高らかに叫べるわけですなw

だからまあ、野球に例えれば、予告先発した元阪神のボーグルソンの球筋がロイヤルズ打線に見切られて序盤に打ち込まれてKOされたものの、中継ぎがしっかり持ちこたえてゲームを立て直して最後ジャイアンツが逆転勝ちした今年のワールドシリーズ第4戦みたいな展開だった、と言えるわけなんですが。

東京のインテンシティがこちらのポテンシャルを引き出してくれた

2014-10-28 07:58:48 | ガンバ大阪
インテンシティという言葉はザックが使い出してから注目され出したんだけど、フィジカル的な意味で使うなら、東京には間違いなくこのインテンシティがあった。球際で簡単に倒れないフィジカルコンタクトの強さ(特に武藤)あったり、前線の献身的な守備でボールを奪うと素早いパス回しでゴールに迫る。守備時に回る時の切り替えも早い。システムは違えど、アギーレジャパンがやろうとしているサッカーの方向性に近いのかもしれない。実際国内組で今一番代表に選出を送り込んでいるのは東京であるわけだし。まあ、そうなると個人の頑張りだけで代表が見えてくるものではないかもしれないけどね…

ただ、そうやって早いチェックをしてくれたからこそ、こちらが相手のプレスをかわした時には、20分過ぎの宇佐美(この試合再爆発まであと一歩のところまで来た。後はゲーム終盤での守備時に空気にならないような体力なんだけど)のミドルのようなチャンスが訪れた。この辺最終ラインの方を低めに設定し、バイタルでの食いつきを減らした柏とは大違いであったけども、その内弁慶な柏とは言え味スタで大勝しているのだから、東京はいいチームであると言える。

だが、4-3-1-2の弱点でもあるサイドチェンジの部分で逆サイドで一対一を作りやすい利点を生かして大森のミドルで先制した。東京の4-3-1-2のシステムだと確かに一方のサイドに寄った場合に中央からボールサイド寄りで数的優位が作りやすく、それがこちらのバックパスでの作り直しや、中盤の底からのヤットの楔パスを限定してのインターセプトには役立っていた。

けど、このシステムの弱点は、セリエAでも良く見られるのだけども、サイドチェンジされた時の対応。大森が先制ミドル放った瞬間では、米本が対応し切れなかったんだけども、これが通常のいわゆる4ー4ー2であればサイドハーフが中を絞って対応出来ていた位置だったかもしれないけど、東京のフォメだとそこに人がおらず、かつ米倉のフリーランで太田が付かざるを得なくなっていた。まあ、ボールサイドの方をケアすることを優先するのがイタリア人監督らしいところではあるんだけども。多分こういう形が弱いことはフィッカ監督が一番良く分かっているんだけども、こういう地を這うようなミドルでやられることはそうはない、ということとなんだろう。だからこそ、相手の弱点を突くことが出来た大森が素晴らしかったんだけども。

その後ヤットが技ありFKでダメ押し。まあ、確かにニア空いていたと言っても誰でもあれ狙えるわけではないからね…前半最後のCKで負傷した権田(1日も早い回復を願っています)に代わって入った塩田は試合終了間際に仕上げのリンスのシュートを止めてたから、ガナーズ戦でクルトワ負傷で急遽入ったツェフ、とまでは行かなかったものの、彼なりに役割は果たしていたからこそ、ヤットのFKゴールは価値があるものではなかったか?まあ、イタリア人の戦術家だってまさかこんな形で2点も入れられるなんて思ってなかったでしょw

ただ、それだけで終わらないのがイタリア人のフィッカ監督の引き出しの多さだろう。今度は逆にサイドを広げて4ー3ー3に変更し両サイドからクロスを上げる作戦に転換してきた。失点場面は、こちらの両サイドハーフが疲弊した時間帯に一点返されたものであったが、あれは珍しく切り返して右足クロスで上げた太田のクロスに、秋が付いていけなかった松田に合わせられたもの。しかし、この日藤春をSH投入する形でサイドを押し返し、最後は敵陣右サイドコーナー付近で時間を上手く使い切って逃げ切りに成功。いよいよ首位浦和との差を3差までに縮めたのだった。

互いの修正で引き締まった内容の川崎連戦の最終戦

2014-10-20 00:35:11 | ガンバ大阪
短い期間に3回対戦となると、流石にお互い手の内を分かっていて、相手のストロングポイントを消してくるなというのは痛感させられた。これは、欧州なんかでも、同国同士の強豪が、リーグ戦やCLなんかと合わせて3連戦ともなるとよく見られる現象ではある。

実際、右サイドへパトの抜け出しにしても、左SB登里だけでなくCBの谷口まで寄せられて対応されていた(とはいえ、決勝ゴールとなる一連の連続CKを呼んだのは、パトだけでなく、大森ぼポジションチェンジによる飛び出しによるものだが)。

ただ、そうした連戦の最終戦においては互いの修正箇所を意識し、パスサッカーということで比較されがちのガンバと川崎との相違を観察出来たという意味においては、非常に濃厚な90分であったと言える。

ナビスコの等々力ラウンドで喫した久しぶりの公式戦での敗戦を受けて、こちらも川崎にやられた形をキッチリ修正はしていた。川崎のパス回しは、ブロックの大外で五角形或いは六角形を形成するんだけども、サイドに二三人で狭いエリアを突破するとか一方のサイドに敵を引き付けるといったものではなく、あくまでも守備側のスライド対応でズレた所へ勝負パスを入れる布石でしかない。

これを逆手に取り、健太監督が採った対策は、

1.レナトに対して、阿部米倉の2枚を当てて縦を切る
(ヒガシが見せたビッグセーブはこの2枚が抜かれた唯一の場面だったが、クロスのコースをキッチリ限定していた)
2.それで川崎のパス経路を中央に戻し、楔パスを入れてきたところをカットする

といったもの。2についてはコンちゃんが居なかった分だけ、鯔一枚が押し上げてパスコースを限定するのはなかなかままならなかったが、終盤時間限定で明神がそのタスクを担った。

この試合見た目1番危なかったのが前述したようにレナトに突破されたところからの速くて低いクロスに小林に合わせられたのをヒガシがセーブした場面だった。ただ、後半に入ってからは、ギアを上げて、守備意識をより高め、先制後は2トップまでもが憲剛大島のWボランチのところをチェックしていたことで、全体的に守備意識が高まっていた時間帯での事だった。

そう考えると、実は寧ろ前半の方こそが、潜在的に危ない場面があったんじゃないかとも言える。オフサイドは取れたものの憲剛が小林に出したスルーパスの場面はキチンとラインコントロール出来ていたものの、憲剛に対して2トップがプレスバックしていなかった。まあ、そんなんだから前半無失点で折り返せたのは大きいけども、川崎の攻撃力を抑えるにはFWの献身的な守備も必要だと思わされた。

多分、2トップが鯔を見るという約束事については、連戦を見る限りでは、時間帯(あまり長くやると体力的にも厳しく、かつフィニッシュまでに体力を使い切ってしまう)や状況を見て運用することを健太監督は考えていたかもしれない。それがあったからこそ後半頭に宇佐美がフィニッシュに絡み出していたし、宇佐美がゴールを決める確率と、憲剛大島から起点の勝負パスにやられる確率とを天秤にかけて、宇佐美を下げて守備で試合をコントロールする方を健太監督は決断したとも言える。

反対に川崎の風間監督って、そういうFWの守備のコントロールというのをあまり意識はしていないのかもしれない。だからこそこの試合でも大久保森島のコンビではこちらが中盤の底にいるヤットにつけるパスのコースをケア出来てない分、ヤットがそこで展開できてしまう。こんだけヤットを気持ち良くプレーさせるとセットプレーでのキックの精度も上がってしまうわけでねw

これは恐らくFWには得点の仕事をしてもらう為に守備をある程度免除しているということなんだろうけども(そういう特権を享受していて自分だって穴を少しずつ空けてるけども、ウチのことを穴だらけと言い切ってしまう嘉人クンってさぞかし偉大な選手なんでしょうね)。

川崎の場合守備での約束事と言えばセットプレーの守備は全員戻ってゾーンで守るということではあるんだけども…そこはヤットがニアの守備を上手く動かして最後ヨネが決勝ゴールを頭で叩き込んだわけで。

まあ、革命軍の場合ポゼッションによって守備機会を減らすという基本思想がありそうなんでね。多分、大外での五角形に拘るのも、守備に切り替わった時の安定した形を意地するっていう考えもあるのかもしれないとも思った。というのも、ウチらでやってるような狭いエリアで三角形作ってディフェンスを引きつけておくとか、その狭い片方のエリアをユニット組んで突破するとかいう形跡が革命軍のパス回しには余り見られないからだった。

ところで、FWの守備に関してなんだけども、川崎との連戦を通して改めて痛感させられたのは、FWの守備する程度というのをチームの中に如何に組み込むかという事が大事なわけで、そこを無視して単純に宇佐美とか川崎の2トップが守備しないという事実だけをあげつらうのはどうなのよ、って話。そんなに守備するFWが好きならセレッソの永井杉本のコンビはそれだけでもっと評価されるべきなのにねえ…例えば同日に行われたアウェイの鳥栖戦で前半5分過ぎに永井のオサレヒールのシュートが外れたけども、高い位置でボールを奪った理想的なカウンターだったわけ。その起点は杉本が鳥栖の最終ラインに前プレかけたところによるもの。その他彼ら二人は検診的に守備して、鯔に入るコースをケアのしている。

ただ、皮肉なことに、というかそのせいで決定力を欠くことにはなっているんだけどもね…まあ、各チームそれぞれやり方があるから、セレッソのやり方が一概にダメだと言うつもりはないけども、宇佐美に関して守備力がどうこうなんていう声が日増しに高まるもんなんで、一度考え直してみたら、って思うわけですよ。

川崎・風間監督が見せた修正範囲とその限界~ナビスコ準決勝を振り返って

2014-10-13 22:51:08 | ガンバ大阪
川崎の風間監督は、一般的に相手によってやり方を変えずに自分たちのスタイルを貫く、ということで知られているわけだけども、だからといって、試合を進めて行くディテールまでが毎試合全く同じってわけではない(そのことは川崎サポの人たちが一番よく解って居るとは思うが)。勿論この人にはパスサッカーで勝つという明確な目標はあるけども、その戦略を達成する為の引き出しというのはいくつか持っているということがナビスコカップ準決勝で川崎と2試合やって感じたことだった。

それは端的には2nd legの前半の最初の部分に現れていた。即ち、万博ラウンドでは真ん中から切り崩そうとして、こちらの鯔やSHのチェックによってクサビを入れるパスのコースが限定されたところを最終ラインに再三カットされていたわけだけども、等々力ラウンドにおいては、自軍のボランチの山本と大島には距離を取らせてこちらのWボランチコンビが容易に食いつけないようにし、大外でのボール回しでこちらを揺さぶりに出た。そしてボールをロストしても、前半4分過ぎに大島がかなり高い位置にまでプレスを掛けにきたように、この試合の最初の時間帯に限定してラッシュを掛けてゴールを奪って主導権を握ろうとしていた。

まあ、こちらとしても連戦による疲労で2トップがなかなか大島のところを見れず(途中からパトが下がって大島をチェックし出したが)、その結果田中裕介へのスルーパスを出されてあわや、という場面があったんだけども・・・あれで0-2とされていたら危なかったけどもね。このような状況になると相手への鯔をどう見るか、という問題は出てくる。

そして、冒頭で述べた川崎の大外からの揺さぶりとなった場合に問題になるのは、

1.レナトのドリブルへの対応
2.クロスへの跳ね返し

ってことになる。まあ、その意味では、2についてなんだけども、岩下には簡単に負けて欲しくはなかったんよね・・・最初の失点は大久保がマークを外すのが上手かったし、その前にこちらから見た左サイドで3対3の状況から自分の目の前が野ざらしになったことで、ポジションへの戻りに若干ズレが生じたかもしれないけども、ジェシには競り負けて欲しくなかったんよね・・・

ただ、攻撃に関してヤッヒーの修正力というのはただただ脱帽するしかないんだけども、守備に関して細かい指示というのはあまり出していないのかな、という印象はあった。こちらが例によってパトを裏に出して、川崎の最終ラインに裏を意識させながら下げさせ、かつ最初のラッシュが一段落してしまうと、こちらもボールを回せるようになったわけだけども、それはひとえに大久保と森島の元セレッソの2トップコンビが、こちらが鯔につけるパスコースをまともにケアしていなかったから。そうなればヤットだって中盤の底から自在に展開出来るようになって来るわけで、前半同点に追いついたゴールは万博ラウンドでの先制点を思わせるような片方のサイドでディフェンスを引きつけておいてから、阿部が流し込んだんだけども、これもこちらが右へ大きく中盤の底から展開出来たところが起点になっているわけで、川崎の2トップがさしてそこをケアしていないんよね・・・この二人がもし今でもセレッソに居たら、ユース監督は恐らく彼らを干しているかもしれないなw (と書いてしまう当たり私はやっぱりガンバサポですがねw)。まあ、それはともかく、試合後のコメントで大久保センセイはエラソーにチームメイトに説教するような調子で喋って居るけども、それを言うなら自分は守備が免除される程のスーパーな選手なんですか、って逆に聞きたいですけどもね。

流石に後半に入ると、パトが最初から大島を見るようになり、、かつこちらの両ボランチも積極的に前に出るようにはなった。まあ、後半最初の失点はその形が裏目に出たけども、そうした形に修正したからこそその後の守備は安定したとも言える。疲れが出ていた宇佐美に替わって大森が入ったけども、この交代によって秋が前線に上がり、パトに替わって入った佐藤と一緒にケンゴ・大島のコンビをしっかりと見ていた。サイドのクロスへの対応も落ち着くようになった。

そして、守備だけではく、見逃せないのはこちらがボールを保持している場合には割りと敵陣深い位置にまで運べており、追加点狙うぞ、という素振りを見せていた分だけ相手にも守備を意識させていたことだろう。まあ、これはこちらが後半もパトを裏に走らせて相手にカウンターを意識させたし、相手のファーストディフェンスが機能していない分だけ運べたからだけども。それによって、中盤が間延びしてしまっている分だけ、敵陣のボックス付近でもボール回しが出来て、その結果時間とエリアマネジメント(つまり、自陣のゴールよりも離れたところでプレーするという意味で)がしっかりと出来たわけでもある。

だからまあ、後半の失点も、こちらがやるべきことをやっていた上での失点だったし、ボックス付近での川崎が上手かったとも言えるわけで、失点で一番悔やまれるのは前半最後の失点だったかな、というところかな。等々力ラウンドは良くも悪くも、風間監督、というか川崎との試合だったってと言えるかもしれない。失点したのもこちらが得点出来たのも(阿部のゴールは確かに本人のシュート技術が秀でていたけども)、根本的には彼が志向するフットボールの方向性がもたらしたものだからだ。

こういうサッカーってウチらからすれば親しみは湧いてきますけどねw 確かに勝つためには内容を高めて行くってことは間違いない。けど、後世において、あの時のこのチームはいいサッカーやっていた、ということが語り継がれるには、最終的に結果を出さないといけないのも確かなわけです。そのためには自分たちの基本的な土台からどのような家を築き、最後どのような塗装をして仕上げるか?その仕上げにおいて何が足りなくて、その足りないものをどう埋めるか?川崎が今直面している問題かもしれないし、それをどう埋めて行くかは他サポながら興味深いところではある。