「魔術はささやく」宮部みゆき

宮部みゆきさん本を読むきっかけになったのはたまたま違う世代の人たちから同じ言葉を聞いたから。
「宮部みゆきは全部読んでいる」
多分、1人だけの意見だったら聞き流していたと思う。でも、世代を超えて楽しめる作品なのだろうか？と思って、手にとってみた。1冊読んだら、面白くてたしかに次々と読みたくなりました。
宮部みゆきの本の魅力はまず読む側を引きつける文章のうまさ。そして最大の魅力は人物のディテールの丁寧さにつきます。この人物はどこでどういう家族とどんな風に暮らして、どう考えるように育った。というのがとても丁寧にかかれているので、登場人物がとても地に足をつけて呼吸をしている生身の人物像として映ります。だから、犯罪のトリックや犯人を知るドラマチックな展開より、一文一文を興味深く読んでしまいます。
恐らく宮部みゆきさんが人情豊かな下町で育ち、作家になる前に社会人経験があるから書ける世界なのだからだと思います。
はじめての人は「魔術はささやく」をお勧めします。宮部みゆきさんの特徴を最大限に出しており、本の長さも適度です。この本を読んで、私も「宮部みゆきは全部読みたい」と思うようになりました。