福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

日本の人口問題2024(4) 家族の変化(1) 個人化は自立か? 孤立化か?

2024年02月04日 11時07分19秒 | 時事問題 社会問題
 日本の人口問題を論じる上で国民の生活の安定化したことを欠いては語れない。その背景には日本の社会保障制度の進展があった。
 特に「日本型の雇用形態」「家庭の機能」は高く評価されてきた。

 社会保障制度審議会は戦後間も無くGHQの指導で作られた組織で、2001年に経済財政諮問会議発足で廃止されたが、1995年に発した勧告ではそれまで社会保障が果たしてきた役割を三つあげた。
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第一として、国民生活の全面にわたって安定をもたらしたこと、
第二として、貧富の格差を縮小し、低所得層の生活水準を引き上げ、その結果、
      「今日、我が国は世界で最も所得格差の小さい国の一つとなった」こと、
第三として、社会保障は経済の安定的発展に寄与するところが少なくなかった。
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 一方で、この勧告は、21世紀の到来を目前にして、注目すべき「警告」も発していた。一部引用する。

 「21世紀に向けて我が国は基本的な問題に突き当たる。その一つは戦後における個人主義の進展である。個々人の人権、自主性が重んじられ、性差別の撤廃が社会的に支持されるようになる。それは日本社会の進展として歓迎されるべきものである」。
 「しかし、農村などにおける戦前から形成されてきた伝統的な家族制度の崩壊により家族による支え合いが低下する」。
 「個人化が進展すればするだけ、他方で社会的連関が失われ、連帯関係が同時に形成されないと、社会は解体する」。
  「社会保障は、個々人を基本とすると同時に、個々人の社会的連帯によって成立するものであり、今後その役割はますます重要になる」。

 「個人化」 を「自立」と肯定的に考える見方もあれば、「孤立」として、否定的に捉える見方もある。

 この勧告は、両方の側面があることを認めつつ、「連帯関係が同時に形成されないと、社会は解体する」と強い危機感を表していた。 

 勧告が、危機感を抱くに至った背景の一つには、「同居率の低下」に代表されるような「家族の変化」があった。


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