福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

名画「絶世の美女130人」平松洋著 中経の文庫 2013年

2015年02月07日 14時26分16秒 | 書評
 私は女性が好きである。美人でなくとも美しい表情の人に惹かれる。「美しいとは何か」、私はまだ深くは追求していないが、感覚的にそう感じる美しい女性がいることは確かである。「美しい」か否かの判断は全くの個人的、趣味的価値判断と言えようが、何世紀に及んで美人が描かれ続けているということは、美の判断に比較的狭い法則性があるように思われる。

 書店にはグラビア雑誌とか女優、モデル等の写真集がたくさん並んでいる。大抵ビニールで覆われているので実際に手にとって中を見たことはないが、表紙だけでも十分に目の保養ができる。最近、男性の写真集も増えてきている。
 しかし、今まで写真集を一冊も購入したことはない。私が現存の、特定の女性の写真集などを見ている図は、我が家の健康の維持のためにはふさわしくない。

 決して代用品というわけではないが、私が好んで鑑賞しているのは内外の画集である。決して代用ではなく、画集の中の美女鑑賞の方が主である。画集では多数の美女を見ることができる。しかし、膨大な画集の中から美女を探し出して鑑賞するのは大変な手間がかかる。その点この本は便利である。

 この本はルネサンスからエコール・ド・パリまでの間に描かれた名画に登場した美女たちのうち130点を、作家であり美術キュレーターである平松氏が選び出し、そのうち50点に絞って紹介したものである。絵の紹介は100点以上である。文庫本サイズの読みやすい冊子である。

 紹介された作品は、裸婦の全身像、見事なコステュームを纏った作品、幼児を抱いた母子像、横たわる像を描いた作品、神話や歴史的な題材から取ったもの・・などに分けられる。全身像を見てもよし、一部のパーツをクローズアップしてみてもいい。あえてパーツを上げるとやはり目の表情の描写の素晴らしさに驚いている。

 現代は画像を記録することは簡単にできる。その技術がなかった時代には富裕層はお抱えの画家を雇い、こぞって肖像画を描かせた。描く方も細部まで緻密に、しかもバランスよく表現した。何しろ馘がかかっているからどれも力作ぞろいである。D・アングル(1780-1867)はドーゾンヴィル伯爵夫人の肖像画を書き上げるのに3年を費やした、と言われる。

 取り上げられている作品群は私の「違いがわからない」鑑賞力では優劣をつけられないが、私の好み、という点ではピックアップできる。10p「フローラ像」、36p「小椅子の聖母」、66p「ミランダ」、96p「オーストリア皇妃エリーザベト」、136p「真珠の耳飾りの少女」、138p「読書する娘」などの作品は見飽きることはない。

 こういった名画に接していると、一緒に働いている女性スタッフ達をはじめとして多くの人の表情が、ある作品とよく似ていることに気ずく。これは美人画鑑賞の福利品のようなもので日常生活の間接的な楽しみとなっている。尤も、プーチン大統領がTVに登場するたびに、R・ダ・ヴィンチの作品が思い出されるのはあまり快いとは言えない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする