福田の雑記帖

www.mfukuda.com 徒然日記の抜粋です。

避難勧告に反応しない住民(2)津波警報の場合

2013年09月01日 03時22分24秒 | 時事問題 社会問題
 近年の津波警報を受けてどれだけの住民が避難したのかを示すデータがある。

 ■2006年11月千島列島の地震で北海道と東北地方に津波警報が出たが、消防庁の同様の調査で、避難率は前者が平均13.6%であった。
 ■2007年1月の千島列島の地震で北海道と東北地方に津波警報が出たが、避難率は8.7%だった。

 ■1960年南米チリの大地震による津波が日本まで到達した。この津波で被害が大きかったのはリアス式海岸の奥にある港で、大船渡市で53名、志津川町(現在の南三陸町)では41名が犠牲になった。このときの避難率については私の手元にデータが無い。

 ■2010年南米チリの大地震による津波が日本まで到達した。日本国内で人的被害は無かったが、大津波警報が発令された東北地方の太平洋沿岸地域を中心に養殖施設の網が流されるなどの漁業被害や、道路などが浸水する被害が出た。陸前高田市両替漁港で1.9m、気仙沼で1.8m、大槌漁港で1.3mの津波であった。これらの地域は翌年の東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた。

 この時、避難指示や勧告が出た地域の住民のうち、避難所などで実際に避難が確認された人の割合は3.8%であった(総務省消防庁のデータ)。津波警報を発した地域のうち、市町村長が避難指示や勧告を出したのは20都道県の189市町村。対象人口は約168万人で、このうち市町村が避難所などに遊難していることを確認した住民は6万3千人(3.8%)であった。

 1万人以上に勧告や指示が出された道県のうち、最も避難率が高かった道県を順に並べると、岩手県(対象8万3千人、避難率12.2%)>北海道(11万人、6.8%)>宮城県(19.1万人、6.6%)>沖縄県(23.6万人、5.6%)>福島県(1.7万人、5.5%)の順だった。

 ■2011年の東日本大震災で被災し、現在避難生活を過ごしている870人に対して総務省消防庁が聞き取り調査で地震直後に避難した人は57%にとどまった。42%は家族を捜したり自宅に戻ったあとに避難していた。大津波警報に気がつかなかったは58%、半数以上が車を使って避難し、うち1/3が渋滞に巻き込まれていた。

 私は沿岸に住んでいる訳でないから、沿岸の住民の方々の考え方は解らないが、印象として避難勧告に対して住民の反応は乏しいと思われる。チリ地震の際には実際は揺れていないのに避難勧告が出た。あれほど遠方の地震で津波が到達するなど考え難かったのかもしれない。また、徐々に避難率が下がっているのは経験の風化と防波堤の整備が住民に過剰の安心を与えたからなのかもしれない。

 ただ、私の場合をいえば、2年間岩手県宮古市で働いていてその間磯釣りを楽しんだ。その際、少しでも地震を感じたときには直ちに切り立った崖に避難するようその道のベテランから厳しく指導を受けた。この言葉はいまだに耳に残っている。東日本大震災のほどの巨大な地震を感じ取っていながら直ちに避難行動をとらなかった住民が生存者の中これだけおられた事は信じ難い。
 避難に対する私の感想である。
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