骨董品で傷があるのもは、珍しくありません。時代が古くなればなるほど、無傷な焼き物は少なく
なります。それ故、傷の程度によって作品が売買される値段に差は有るものの、骨董品として大手を
振って自由に流通しています。ここで取り上げるのは、窯から取り出したばかりの新品の焼き物が、
明らかに傷が有るにもかかわらず、高価で販売されている事実です。
但し、ここで言う傷とは、単に破損していると言う狭い意味ではなく、釉の剥がれ、窯変などや、
作品の形の不揃い(セット物の場合)、描いた絵の不揃いや、擦れ(かすれ)など広い意味で使って
います。多くの場合、作家の個展などに展示されている場合が多いです。当然、作者はその傷を逆手
に取って、この傷が作品を引き立っている事を認めている事です。それ故作者の考えに共鳴した人が
買う事になります。又、自分の作品を紹介する書籍などにも、堂々と掲載してあるのを見掛ける事も
あります。それも高価の場合が多いです。傷と見るか景色と見るかは、見る人の考え方や好みにより
ます。但し、公募展や多くの人が出展する展示会等では、ほとんど見掛ける事はありません。
多分、傷のある作品と見る人が多い事を恐れている為とも思われます。
1) 世の中の多くの焼き物では、狂いが無く綺麗で揃った形や絵付けの物は、多く存在しています
むしろその様な作品ばかりと言って良いでしょう。即ち量産された作品群は、ほとんどこの様に
成っています。しかも安価に入手が可能です。
2) 陶芸の作家が、一個一個手造りした作品だから、貴重なものに成っているのかも知れません。
現在では、手造りと言うだけで世界に一つしかない物と、見なされる場合も多いです。
① 我が国では、歪んだ(ひしゃげた)作品が持て囃される傾向が強いです。
特にこの傾向は、昔から抹茶々碗に多いのですが、その影響か他の食器や酒器、花器などの
あらゆる焼き物に言える様に成っています。現在でもその流れは変わりません。一個造りの場合
の他、セット物と呼ばれる数個の作品であっても、全く同じ形である必要は無く、若干差が
あった方が喜ばれる場合も多いです。それ故、作家も意識して同じ形にしようとはしません。
但し、陶芸技術を修行する人であれば、出来るだけ寸分違う事の無い作品を作る事を心掛ける
事が大切です。この技術を習得した人であれば、あえて形に差を付けても、嫌味が出る事は
ありません。なぜなら、未熟者の作品と熟練した人の作った作品では、歪んだ様子に差が出来る
からです。この差は、見る人が見れば判るだけでなく、一般の人であっても、違和感を感じる
はずです。 歪みがその作品全体に良い影響を与えるならば、良い歪みと言えます。
② 大きく割れた平皿であっても、堂々として売られ、しかも高価な値段が付いている場合も
あります。我が国には重要文化財の水指、銘「破袋」があります。袋状の底分が大きく火割れ
した著名な焼き物です。ビードロ釉の美しさ故に生き残っているとも言われています。
その他にも重要文化財の志野芦絵水指、銘「古岸」があります。この作品は絵志野の最高峰と
言われている作品です。但し、口縁に大きな割れがあります。使用中に割れたのでは無く、
窯の中で割れた物です。以上の様に、割れた傷よりも、その作品の中にそれを上回る何かが
有れば十分価値のある焼き物になる訳です。
) 小さな「ひび割れ」よりも大胆に割れた方が見栄えがします。特に肉厚の平皿が割れた
場合、それを「金継ぎ」等で補修しない事が多いです。但し使用勝手の悪い割れ方は実用に
耐えませんので、世に出る事もありません。
) 割れは窯の中で自然に割れた状態でなければ成りません。
故意に割った様に見える場合は、「アウト」です。あくまでも何らかの理由で自然に割れた
事が大切です。割れた部分の断面と、その周辺の釉の状態を見れば、ある程度割れた原因を
突き止める事が出来る場合が多いです。
③ 釉の剥がれ、釉の斑(むら)、窯変のある作品の場合。
以下次回に続きます。
なります。それ故、傷の程度によって作品が売買される値段に差は有るものの、骨董品として大手を
振って自由に流通しています。ここで取り上げるのは、窯から取り出したばかりの新品の焼き物が、
明らかに傷が有るにもかかわらず、高価で販売されている事実です。
但し、ここで言う傷とは、単に破損していると言う狭い意味ではなく、釉の剥がれ、窯変などや、
作品の形の不揃い(セット物の場合)、描いた絵の不揃いや、擦れ(かすれ)など広い意味で使って
います。多くの場合、作家の個展などに展示されている場合が多いです。当然、作者はその傷を逆手
に取って、この傷が作品を引き立っている事を認めている事です。それ故作者の考えに共鳴した人が
買う事になります。又、自分の作品を紹介する書籍などにも、堂々と掲載してあるのを見掛ける事も
あります。それも高価の場合が多いです。傷と見るか景色と見るかは、見る人の考え方や好みにより
ます。但し、公募展や多くの人が出展する展示会等では、ほとんど見掛ける事はありません。
多分、傷のある作品と見る人が多い事を恐れている為とも思われます。
1) 世の中の多くの焼き物では、狂いが無く綺麗で揃った形や絵付けの物は、多く存在しています
むしろその様な作品ばかりと言って良いでしょう。即ち量産された作品群は、ほとんどこの様に
成っています。しかも安価に入手が可能です。
2) 陶芸の作家が、一個一個手造りした作品だから、貴重なものに成っているのかも知れません。
現在では、手造りと言うだけで世界に一つしかない物と、見なされる場合も多いです。
① 我が国では、歪んだ(ひしゃげた)作品が持て囃される傾向が強いです。
特にこの傾向は、昔から抹茶々碗に多いのですが、その影響か他の食器や酒器、花器などの
あらゆる焼き物に言える様に成っています。現在でもその流れは変わりません。一個造りの場合
の他、セット物と呼ばれる数個の作品であっても、全く同じ形である必要は無く、若干差が
あった方が喜ばれる場合も多いです。それ故、作家も意識して同じ形にしようとはしません。
但し、陶芸技術を修行する人であれば、出来るだけ寸分違う事の無い作品を作る事を心掛ける
事が大切です。この技術を習得した人であれば、あえて形に差を付けても、嫌味が出る事は
ありません。なぜなら、未熟者の作品と熟練した人の作った作品では、歪んだ様子に差が出来る
からです。この差は、見る人が見れば判るだけでなく、一般の人であっても、違和感を感じる
はずです。 歪みがその作品全体に良い影響を与えるならば、良い歪みと言えます。
② 大きく割れた平皿であっても、堂々として売られ、しかも高価な値段が付いている場合も
あります。我が国には重要文化財の水指、銘「破袋」があります。袋状の底分が大きく火割れ
した著名な焼き物です。ビードロ釉の美しさ故に生き残っているとも言われています。
その他にも重要文化財の志野芦絵水指、銘「古岸」があります。この作品は絵志野の最高峰と
言われている作品です。但し、口縁に大きな割れがあります。使用中に割れたのでは無く、
窯の中で割れた物です。以上の様に、割れた傷よりも、その作品の中にそれを上回る何かが
有れば十分価値のある焼き物になる訳です。
) 小さな「ひび割れ」よりも大胆に割れた方が見栄えがします。特に肉厚の平皿が割れた
場合、それを「金継ぎ」等で補修しない事が多いです。但し使用勝手の悪い割れ方は実用に
耐えませんので、世に出る事もありません。
) 割れは窯の中で自然に割れた状態でなければ成りません。
故意に割った様に見える場合は、「アウト」です。あくまでも何らかの理由で自然に割れた
事が大切です。割れた部分の断面と、その周辺の釉の状態を見れば、ある程度割れた原因を
突き止める事が出来る場合が多いです。
③ 釉の剥がれ、釉の斑(むら)、窯変のある作品の場合。
以下次回に続きます。