2) 英国の「スリップウェア」とはどんな焼き物なのでしょうか?
英国で「スリップウェア」の作品が、目立って作られる様になったのは、17世紀頃からと言われ
ています。勿論英国以外でも、17世紀以前より存在していました。
① 最初は飾り皿が多く作られていました。
形は丸形、角に丸みのある正方形、長方形などが多く、かなりの大皿です。丸形の場合直径
35~45cm程度の作品で、正方形では、30~40cm、長方形では、35~45cm程度が多く作られ
ています。長方形の場合は、模様の付け方により、縦長と横長の形に分かれます。
飾り皿ですので、多くは皿立てに立て掛けられて使われていました。
) 地の色(粘土の色)は、黒と黄色味かかった色が多く、黒地には黄色のスリップが、
黄色地には黒色のスリップ(化粧土)が掛けられた物が多い様です。描かれた模様は人物や
鳥類、ライオンなど具象的なものが多いです。特に鶏や小鳥などの鳥類が多く見られます。
模様はスポイト状の用具で描かれた様で、細い線で描かれ、面状に塗り潰された作品は稀
かも知れません。中央に描かれた鳥類の他に、草花や意味不明な抽象的な模様(線)が
添えられています。描き方は鳥類と同じ技法です。
) 飾り皿の特徴として、極浅めに作られ浅皿で、高さが5~8cm程度の物が多いです。
底部が広く周囲がやや盛り上がった形に成っています。盛り上がった皿の周囲全体に、
細かい凸凹(鋸歯状)が付けられた作品が多いです。この件は後で述べます。
② 18~19世紀になると、実用的な皿(料理を盛る皿)が作られる様なります。
描かれた模様も、具象的な物から、抽象的な物へと替わって行きます。
) 縞(しま)模様の器。
黒色の地に黄色いスリップ(化粧土)で器内部全体に塗り、その上から細い棒(カンナ)で
引っ掻き傷を付けた物や、櫛を使って平行線の模様の物、あるいは、隙間を空けながら、
スポイト技法を駆使し、平行線を作り出す方法などがあります。黄色地に黒い色が浮き出て
来る視覚的効果があります。更に、黒線の強弱、幅の広い狭い、湾曲した線などの違いに
よって、皿の印象は大きく異なります。
) 羽模様(フェザーコーム)の器。
これも英国を代表する絵柄です。上記縞模様と直角方向に、強く動かして櫛を入れる方法で、
櫛の動いた方向に模様が引っ張られます。我が国では鶉紋(うずらもん)と呼ばれる模様です
縞模様の間隔と、櫛目の粗さによって作品のイメージが大きく変化します。
) 一筆書きの模様の器。
一本の線が途切れる事無く、一思いに描き切った模様です。イッチン(スポイト掛け)技法で
抽象的な模様が、器全体に描かれています。ジグザク線や連続した円、八の字状の模様、
更にこれらの組み合わせ文様も見られます。
) 格子文様の器。黒地に黄色い線描きで表現されています。
縦線と横線を交叉させた格子文様です。縦横ではなく左右に傾斜した線で描かれたものも
あります。交叉の仕方によって多くのバリエイションが生まれます。
) 捻り(ひねり)文様の器。小振りな皿の場合が多い。
直線の途中から捻って円を描き又直線に戻ってから、更に逆方向に捻った円を連続して描く
方法です。多くは一本線ではなく平行した三本線で描かれています。三本線はスポイトを三本
並べて使い、一度に描いています。
③ 皿の鋸歯状の縁も、見所の一つに成っています。
以下次回に続きます。
英国で「スリップウェア」の作品が、目立って作られる様になったのは、17世紀頃からと言われ
ています。勿論英国以外でも、17世紀以前より存在していました。
① 最初は飾り皿が多く作られていました。
形は丸形、角に丸みのある正方形、長方形などが多く、かなりの大皿です。丸形の場合直径
35~45cm程度の作品で、正方形では、30~40cm、長方形では、35~45cm程度が多く作られ
ています。長方形の場合は、模様の付け方により、縦長と横長の形に分かれます。
飾り皿ですので、多くは皿立てに立て掛けられて使われていました。
) 地の色(粘土の色)は、黒と黄色味かかった色が多く、黒地には黄色のスリップが、
黄色地には黒色のスリップ(化粧土)が掛けられた物が多い様です。描かれた模様は人物や
鳥類、ライオンなど具象的なものが多いです。特に鶏や小鳥などの鳥類が多く見られます。
模様はスポイト状の用具で描かれた様で、細い線で描かれ、面状に塗り潰された作品は稀
かも知れません。中央に描かれた鳥類の他に、草花や意味不明な抽象的な模様(線)が
添えられています。描き方は鳥類と同じ技法です。
) 飾り皿の特徴として、極浅めに作られ浅皿で、高さが5~8cm程度の物が多いです。
底部が広く周囲がやや盛り上がった形に成っています。盛り上がった皿の周囲全体に、
細かい凸凹(鋸歯状)が付けられた作品が多いです。この件は後で述べます。
② 18~19世紀になると、実用的な皿(料理を盛る皿)が作られる様なります。
描かれた模様も、具象的な物から、抽象的な物へと替わって行きます。
) 縞(しま)模様の器。
黒色の地に黄色いスリップ(化粧土)で器内部全体に塗り、その上から細い棒(カンナ)で
引っ掻き傷を付けた物や、櫛を使って平行線の模様の物、あるいは、隙間を空けながら、
スポイト技法を駆使し、平行線を作り出す方法などがあります。黄色地に黒い色が浮き出て
来る視覚的効果があります。更に、黒線の強弱、幅の広い狭い、湾曲した線などの違いに
よって、皿の印象は大きく異なります。
) 羽模様(フェザーコーム)の器。
これも英国を代表する絵柄です。上記縞模様と直角方向に、強く動かして櫛を入れる方法で、
櫛の動いた方向に模様が引っ張られます。我が国では鶉紋(うずらもん)と呼ばれる模様です
縞模様の間隔と、櫛目の粗さによって作品のイメージが大きく変化します。
) 一筆書きの模様の器。
一本の線が途切れる事無く、一思いに描き切った模様です。イッチン(スポイト掛け)技法で
抽象的な模様が、器全体に描かれています。ジグザク線や連続した円、八の字状の模様、
更にこれらの組み合わせ文様も見られます。
) 格子文様の器。黒地に黄色い線描きで表現されています。
縦線と横線を交叉させた格子文様です。縦横ではなく左右に傾斜した線で描かれたものも
あります。交叉の仕方によって多くのバリエイションが生まれます。
) 捻り(ひねり)文様の器。小振りな皿の場合が多い。
直線の途中から捻って円を描き又直線に戻ってから、更に逆方向に捻った円を連続して描く
方法です。多くは一本線ではなく平行した三本線で描かれています。三本線はスポイトを三本
並べて使い、一度に描いています。
③ 皿の鋸歯状の縁も、見所の一つに成っています。
以下次回に続きます。