引き続き、「そば猪口」の話を続けます。
「そば猪口」の文様について
・ 「そば猪口」を楽しむ方法は、色々あり、人によって異なりますが、描かれた絵を、見る楽しみも、
有ります。テーマを絞って、幾種類かを、集めるのも、楽しい事です。
・ 「そば猪口」で、多く見られる「染付」は、酸化コバルトを、主成分とした呉須で、模様を下絵付け
し、その上に、透明釉を掛けて焼いた物です。
・ そこに、描かれた文様は、多種多様で、目出度い文様や、我が国で好まれる文様、中国磁器の模倣
等ですが、その時代の、文化や生活習慣などの、影響も反映されています。
1) 菊、菊花文様
① 菊は、初期の「そば猪口」から、盛んに描かれた、文様です。特に、江戸時代に園芸ブームが
起こり、鉢植えの菊の栽培が、盛んに成ります。
② その影響で、17世紀末~18世紀に、多く菊が描かれました。
但し、19世紀に成ると、この文様も少なく成ります。
③ 菊文様は、花の他、茎や葉なども、一緒に描かれ、地面や生垣も、描かれた物も有ります。
菊花文様は、主に菊の花のみを、大きく描いた物が、多いです。又、18世紀に成ると、菊の周囲に
氷裂文(格子状の文様)を描いた物も、登場します。
④ 時代が下るに従い、丸い菊の絵柄も崩れ、菊花と解からない文様もあり、現在では「ミカン割り」
と呼ばれる、蜜柑を(横方向や、縦方向に)割った様な文様に、変化して行きます。
⑤ 窓絵文様: 丸や楕円形、四角などに、枠取りし、その中に主題の絵を描く方法で、周囲は蛸唐草
や、氷裂文などが、描かれています。(江戸中期~末期)
2) 牡丹(ぼたん)文
① 17世紀の、江戸の造園ブームでは、花木として、牡丹や躑躅(つつじ)等が、多く植えられて
います。その影響で、文様に取入れたと思いますが、牡丹は中国磁器に多く、描かれています。
② 牡丹は、花が大きく豪華で、花単体で、描かれた物もありますが、根元に石(太湖石)を配した
図柄も表れます。
3) 松竹梅文
松竹梅の組み合わせは、古くから、縁起の良い文様とされています。又、単体での、松文様、竹文様、
梅文様が、描かれています。
① 松文様: 松は、松飾りや、門松に使われる、神が宿る樹木として、親しまれている木です。
初期の松文は、松葉まで、丁寧に描かれていますが、時代が下るに従い、松葉は省略され、
丸い文様に変化し、更に、松原の表現や、若松も登場します。
② 竹文様: 我が国では、竹に雀(すずめ)や、竹に虎の組み合わせで、親しまれています。
竹の表現も、竹垣を表現した物(デザイン化した物)も、多いです。
18世紀に成ると、笹に雪が載った、所謂、「雪持ち笹」の図柄が多く見られます。
③ 梅文様: 梅単体で描かれるよりも、松竹梅の組合せで、描かれる事が多いです。
17世紀末には、柴垣と組み合わせた文が、描かれますが、18世紀に入ると、少なくなります。
18世紀後半に成ると、梅と石の組合せ、梅と雪の組合せなどが、見られます。
3) 蔓草(つるくさ)類の文様
葡萄(ぶどう)、瓢箪(ひょうたん)、瓜(うり)、朝顔、藤などの文様です。
4) その他の文様
① 植物関係: 柳文、鉄線文、藤文、紅葉(もみじ)、果実(桃、石榴など)、野菜(蕪、茄子)、
水仙、葦(あし)、霊芝(れいし=茸の一種)、桜、蘇鉄(そてつ)など。
② 動物関係: 鶴、雀、鷺(さぎ)、千鳥、鶉(うずら)、雁、獅子、兎、馬、蝙蝠(こうもり)、
鹿、蝶、蜻蛉(とんぼ)など。
③ 自然、風景、人物関係: 富士山、山水、流水、岩、瀧、雲、月、唐子、中国人、農夫など。
④ 生活用品関係: 水車、網、舟、帆掛け舟、蛇籠(じゃかご=漁具)、鳥籠、注連縄(しめなわ)
熨斗(のし)、帯、羽、矢羽、文字など。
⑤ 縁起物の文様: 良い福を招く文様で、中国磁器には、八宝文や八吉祥文が有ります。
宝、宝珠(丸くて先が尖った形)、輪宝(りんぽう)、七宝、丸文、松皮菱、蓮弁(蓮の花)
龍泉玉文などです。
以下次回に続きます。
そば猪口文様
「そば猪口」の文様について
・ 「そば猪口」を楽しむ方法は、色々あり、人によって異なりますが、描かれた絵を、見る楽しみも、
有ります。テーマを絞って、幾種類かを、集めるのも、楽しい事です。
・ 「そば猪口」で、多く見られる「染付」は、酸化コバルトを、主成分とした呉須で、模様を下絵付け
し、その上に、透明釉を掛けて焼いた物です。
・ そこに、描かれた文様は、多種多様で、目出度い文様や、我が国で好まれる文様、中国磁器の模倣
等ですが、その時代の、文化や生活習慣などの、影響も反映されています。
1) 菊、菊花文様
① 菊は、初期の「そば猪口」から、盛んに描かれた、文様です。特に、江戸時代に園芸ブームが
起こり、鉢植えの菊の栽培が、盛んに成ります。
② その影響で、17世紀末~18世紀に、多く菊が描かれました。
但し、19世紀に成ると、この文様も少なく成ります。
③ 菊文様は、花の他、茎や葉なども、一緒に描かれ、地面や生垣も、描かれた物も有ります。
菊花文様は、主に菊の花のみを、大きく描いた物が、多いです。又、18世紀に成ると、菊の周囲に
氷裂文(格子状の文様)を描いた物も、登場します。
④ 時代が下るに従い、丸い菊の絵柄も崩れ、菊花と解からない文様もあり、現在では「ミカン割り」
と呼ばれる、蜜柑を(横方向や、縦方向に)割った様な文様に、変化して行きます。
⑤ 窓絵文様: 丸や楕円形、四角などに、枠取りし、その中に主題の絵を描く方法で、周囲は蛸唐草
や、氷裂文などが、描かれています。(江戸中期~末期)
2) 牡丹(ぼたん)文
① 17世紀の、江戸の造園ブームでは、花木として、牡丹や躑躅(つつじ)等が、多く植えられて
います。その影響で、文様に取入れたと思いますが、牡丹は中国磁器に多く、描かれています。
② 牡丹は、花が大きく豪華で、花単体で、描かれた物もありますが、根元に石(太湖石)を配した
図柄も表れます。
3) 松竹梅文
松竹梅の組み合わせは、古くから、縁起の良い文様とされています。又、単体での、松文様、竹文様、
梅文様が、描かれています。
① 松文様: 松は、松飾りや、門松に使われる、神が宿る樹木として、親しまれている木です。
初期の松文は、松葉まで、丁寧に描かれていますが、時代が下るに従い、松葉は省略され、
丸い文様に変化し、更に、松原の表現や、若松も登場します。
② 竹文様: 我が国では、竹に雀(すずめ)や、竹に虎の組み合わせで、親しまれています。
竹の表現も、竹垣を表現した物(デザイン化した物)も、多いです。
18世紀に成ると、笹に雪が載った、所謂、「雪持ち笹」の図柄が多く見られます。
③ 梅文様: 梅単体で描かれるよりも、松竹梅の組合せで、描かれる事が多いです。
17世紀末には、柴垣と組み合わせた文が、描かれますが、18世紀に入ると、少なくなります。
18世紀後半に成ると、梅と石の組合せ、梅と雪の組合せなどが、見られます。
3) 蔓草(つるくさ)類の文様
葡萄(ぶどう)、瓢箪(ひょうたん)、瓜(うり)、朝顔、藤などの文様です。
4) その他の文様
① 植物関係: 柳文、鉄線文、藤文、紅葉(もみじ)、果実(桃、石榴など)、野菜(蕪、茄子)、
水仙、葦(あし)、霊芝(れいし=茸の一種)、桜、蘇鉄(そてつ)など。
② 動物関係: 鶴、雀、鷺(さぎ)、千鳥、鶉(うずら)、雁、獅子、兎、馬、蝙蝠(こうもり)、
鹿、蝶、蜻蛉(とんぼ)など。
③ 自然、風景、人物関係: 富士山、山水、流水、岩、瀧、雲、月、唐子、中国人、農夫など。
④ 生活用品関係: 水車、網、舟、帆掛け舟、蛇籠(じゃかご=漁具)、鳥籠、注連縄(しめなわ)
熨斗(のし)、帯、羽、矢羽、文字など。
⑤ 縁起物の文様: 良い福を招く文様で、中国磁器には、八宝文や八吉祥文が有ります。
宝、宝珠(丸くて先が尖った形)、輪宝(りんぽう)、七宝、丸文、松皮菱、蓮弁(蓮の花)
龍泉玉文などです。
以下次回に続きます。
そば猪口文様