マンガン、ニッケル、チタンはいずれも、適量を添加する事で、釉に熔け込み透明感のある
色釉となりますが、過剰に添加した場合には、乳濁や結晶釉と成ります。
いずれも、市販されている金属です。
1) マンガン釉
一般に入手可能のマンガンの酸化物は、二酸化マンガン(二価)(MnO2)です。
二価のマンガンは、白色、淡い黄色、茶色、褐色、茶系黒色の釉を作り出します。
尚、マンガンには三価(紫色)、や四価(褐色)、七価(濃い紫色)の酸化物が
あります。
① 基礎釉に、1%(外割り)の二酸化マンガンを添加した場合。
還元焼成で白色になり、酸化焼成で淡い黄色になります。
② 5%の二酸化マンガンを添加した場合。
還元焼成で黄色に、酸化焼成で薄茶色から赤紫に発色します。
強い酸化の雰囲気では、三価のマンガンが発生し、紫に発色すると言われて
います。 酸化焼成では還元焼成より、釉に透明感が出易いです。
③ 10~30%の二酸化マンガンを添加した場合。
添加量が増すに従い、酸化、還元に関係なく、濃い褐色になっていきます。
a) マンガン結晶釉
マンガンの添加量を増やすと、茶褐色地に黄色の斑点が現れます。
マンガンが安定した結晶となって析出した物で、還元よりも酸化の方が出易いです。
30%を添加した物は「マンガンラスター」と呼ばれ、表面にキラキラしたマンガンの
結晶が現れます。
b) 金色ラスター釉。
二酸化マンガン(約20%添加)を利用したラスターですが、マンガン以外に
酸化銅3%、酸化クロム0.5%程度含まれています。発色は不安定です。
④ アルミナと硼酸を含む釉に酸化マンガンを添加すると、濃い赤紫系の褐色に
なります。
2) ニッケル釉。
ニッケルを基礎釉に添加すると、結晶を作り乳濁する事があり、利用する事も
ありますが、多くの場合、色釉の金属材料として、使われる事が多い様です。
但し、色が不安定で「ムラ」が出来易く、使い難いかもしれません。
ニッケルが焼き物の釉に使われる様になったのは、歴史が浅いとの事です。
① 酸化ニッケル(NiO)は基礎釉の違いによって、以下の様な発色になります。
尚、添加量は1%~2%程度の場合です。
アルカリ系の釉に酸化ニッケルが少量の場合には灰色になり、アルミナや硼酸の多い
釉にニッケルを多量に添加すると、褐色になります。
a) CaO釉: 茶色、緑色、灰緑色、結晶性の乳濁釉。 還元炎で灰色に
酸化炎で緑色。
b) ZnO釉: 茶色、焦げ茶色。マット調になります。
c) MgO釉: 乳濁釉から緑色。
d) BaO釉: 茶色中に暗紫色。
尚、褐色や暗い黄色の濃淡は、温度の変化に敏感に反応します。
② 碧色の顔料をつくる。
酸化ニッケルと、1.5倍の「アルミナ」を混合し、1000℃で酸化焼成すると、
碧(青)色の顔料を作る事が出来ます。
③ 市販されている酸化ニッケルには、緑色の物と黒色の粉末の物があります。
緑色の物は、ニッケル含有量が70%程度の物で、黒色は90%の含有量の物です。
3) チタン釉。
酸化チタン(TiO2)は、黄色釉を作る原料です。
還元炎で、暗黄~茶褐色、酸化炎で、橙黄~茶褐色となります。
マットの黒地に燻し金のような表面を持つマグカップに水を入れるとキラキラしたものが浮いてきます。何度洗ってもでてくるので、厚塗りの釉薬が剥がれてるのかなと心配になっています。検索していたら、こちらで「マンガンラスター」をみつけ、この釉薬ではないかと思いました。マンガンを多く(厚く?)かけると、焼成後に定着せずに剥がれる可能性はあるのでしょうか?
販売先は、マンガンを使っており、浮いてくるのは「スス」とのことですが、どう見てもキラキラしているのです。体に有害だと嫌だなと思い使うのをためらっています。
ぶしつけに個人的な質問を失礼かと存じますが、回答を頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。