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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬とガラス 7(アルカリ元素4)

2011-10-25 21:30:01 | 釉薬に付いて 釉薬の種類 熔融剤
4) 三要素の原料

 ② アルカリ土類(金属)の種類と効果

  ) 酸化亜鉛(ZnO、亜鉛華)

    亜鉛は周期表ではアルカリ類に入っていませんが、同じような働きをする為、頻繁に釉に

    使われます。添加する量で透明、乳濁、マット、結晶釉と変化します。

   a) 石灰系透明釉に亜鉛華を適度(3%以下)に入れると、透明度を落とさずに、融点を

     下げる事ができます。但し、量が多くなると、耐火度は上がります。

   b) 分相による乳濁を起こします。乳濁釉を作るのに適しています。

     分相による乳濁とは、性質の異なるガラスが、その境界面で乱反射する為に、光沢が

     有りながら不透明に乳濁する現象です。更に、ホウ素が入っていると、効果は強くなります。

   c) 光沢の無いマット釉を作ります。亜鉛華を多く入れると、微細な結晶が釉の表面に拡散して、

     飽和状態に成ると、マット釉に成ります。

   d) 亜鉛華を過剰に入れると、珪酸亜鉛(2ZnO・SiO2)結晶が生成され、大きな星型文様に

     成長し、亜鉛結晶釉と成ります。大きな結晶を作る結晶釉の条件として、以下の事が必要です。

    イ) 釉の粘性が少ない事。

    ロ) アルミナ成分を少なくして、アルカリ分を多くする事。

    ハ) 結晶が十分成長する時間が必要な事。

    ニ) 一定温度を保持する事。この場合は、1150~1100℃の間をゆっくり冷やす事です。

   e) 亜鉛華は、釉に弾力性を与える為、貫入の発生を抑えます。

     又、表面張力をやや大きくしますので、釉の「ちぢれ」を起こす事もあります。

   f) カリウム、ナトリウム、リチウム等を、亜鉛に置き換えると、物理的(機械的)、化学的な

     強度が増します。

   g) 釉の色調に変化を与えます。

     酸化コバルトは、青が強調されます。酸化クロムは緑掛かった茶色になり、クロムピンク釉は

     緑色に褪色するのを防ぎます。

  ) 酸化鉛(PbO): 鉛もアルカリ元素ではありませんが、同じ様な働きがある為、掲載します。

     唯一の低火度用の熔融剤です。生の状態の鉛白、硫酸鉛などは有毒ですので、「鉛フリット」

     として使います。更に、焼成後であっても、酢酸(食酢)等の酸に溶け出す恐れが有りますので、

     食器類などは、特別の場合以外は使用できません。食品衛生上からも、禁止されています。

    ・ 但し、楽焼の抹茶々碗のみ、特別認められています。

   a) 鉛は焼成中でも、簡単に蒸発しますので、室内の窯は換気に十分注意する必要が有ります。

   b) 鉛の熔ける温度範囲は大変広く、必ずしも厳密な釉の調整でなくとも、適応できます。

   c) 他の元素の結晶化を防ぐ為、透明度の高い釉を作る事が出来ます。

   d) 釉の表面張力を弱め、弾力性を増して、貫入の発生を防ぎます。

     但し、鉛の量が多くなると、逆に貫入が発生し易いです。

     又、物理的(機械的)、化学的強度が弱くなり、釉の磨耗性も弱くなります。

   f) 釉の色調に変化を与えます。

     鉛と酸化アンチモンで黄色、鉛と酸化ウランで赤色の釉を作る事が出来ます。

以下次回に続きます。

 
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