4) 三要素の原料
② アルカリ土類(金属)の種類と効果
) 酸化亜鉛(ZnO、亜鉛華)
亜鉛は周期表ではアルカリ類に入っていませんが、同じような働きをする為、頻繁に釉に
使われます。添加する量で透明、乳濁、マット、結晶釉と変化します。
a) 石灰系透明釉に亜鉛華を適度(3%以下)に入れると、透明度を落とさずに、融点を
下げる事ができます。但し、量が多くなると、耐火度は上がります。
b) 分相による乳濁を起こします。乳濁釉を作るのに適しています。
分相による乳濁とは、性質の異なるガラスが、その境界面で乱反射する為に、光沢が
有りながら不透明に乳濁する現象です。更に、ホウ素が入っていると、効果は強くなります。
c) 光沢の無いマット釉を作ります。亜鉛華を多く入れると、微細な結晶が釉の表面に拡散して、
飽和状態に成ると、マット釉に成ります。
d) 亜鉛華を過剰に入れると、珪酸亜鉛(2ZnO・SiO2)結晶が生成され、大きな星型文様に
成長し、亜鉛結晶釉と成ります。大きな結晶を作る結晶釉の条件として、以下の事が必要です。
イ) 釉の粘性が少ない事。
ロ) アルミナ成分を少なくして、アルカリ分を多くする事。
ハ) 結晶が十分成長する時間が必要な事。
ニ) 一定温度を保持する事。この場合は、1150~1100℃の間をゆっくり冷やす事です。
e) 亜鉛華は、釉に弾力性を与える為、貫入の発生を抑えます。
又、表面張力をやや大きくしますので、釉の「ちぢれ」を起こす事もあります。
f) カリウム、ナトリウム、リチウム等を、亜鉛に置き換えると、物理的(機械的)、化学的な
強度が増します。
g) 釉の色調に変化を与えます。
酸化コバルトは、青が強調されます。酸化クロムは緑掛かった茶色になり、クロムピンク釉は
緑色に褪色するのを防ぎます。
) 酸化鉛(PbO): 鉛もアルカリ元素ではありませんが、同じ様な働きがある為、掲載します。
唯一の低火度用の熔融剤です。生の状態の鉛白、硫酸鉛などは有毒ですので、「鉛フリット」
として使います。更に、焼成後であっても、酢酸(食酢)等の酸に溶け出す恐れが有りますので、
食器類などは、特別の場合以外は使用できません。食品衛生上からも、禁止されています。
・ 但し、楽焼の抹茶々碗のみ、特別認められています。
a) 鉛は焼成中でも、簡単に蒸発しますので、室内の窯は換気に十分注意する必要が有ります。
b) 鉛の熔ける温度範囲は大変広く、必ずしも厳密な釉の調整でなくとも、適応できます。
c) 他の元素の結晶化を防ぐ為、透明度の高い釉を作る事が出来ます。
d) 釉の表面張力を弱め、弾力性を増して、貫入の発生を防ぎます。
但し、鉛の量が多くなると、逆に貫入が発生し易いです。
又、物理的(機械的)、化学的強度が弱くなり、釉の磨耗性も弱くなります。
f) 釉の色調に変化を与えます。
鉛と酸化アンチモンで黄色、鉛と酸化ウランで赤色の釉を作る事が出来ます。
以下次回に続きます。
② アルカリ土類(金属)の種類と効果
) 酸化亜鉛(ZnO、亜鉛華)
亜鉛は周期表ではアルカリ類に入っていませんが、同じような働きをする為、頻繁に釉に
使われます。添加する量で透明、乳濁、マット、結晶釉と変化します。
a) 石灰系透明釉に亜鉛華を適度(3%以下)に入れると、透明度を落とさずに、融点を
下げる事ができます。但し、量が多くなると、耐火度は上がります。
b) 分相による乳濁を起こします。乳濁釉を作るのに適しています。
分相による乳濁とは、性質の異なるガラスが、その境界面で乱反射する為に、光沢が
有りながら不透明に乳濁する現象です。更に、ホウ素が入っていると、効果は強くなります。
c) 光沢の無いマット釉を作ります。亜鉛華を多く入れると、微細な結晶が釉の表面に拡散して、
飽和状態に成ると、マット釉に成ります。
d) 亜鉛華を過剰に入れると、珪酸亜鉛(2ZnO・SiO2)結晶が生成され、大きな星型文様に
成長し、亜鉛結晶釉と成ります。大きな結晶を作る結晶釉の条件として、以下の事が必要です。
イ) 釉の粘性が少ない事。
ロ) アルミナ成分を少なくして、アルカリ分を多くする事。
ハ) 結晶が十分成長する時間が必要な事。
ニ) 一定温度を保持する事。この場合は、1150~1100℃の間をゆっくり冷やす事です。
e) 亜鉛華は、釉に弾力性を与える為、貫入の発生を抑えます。
又、表面張力をやや大きくしますので、釉の「ちぢれ」を起こす事もあります。
f) カリウム、ナトリウム、リチウム等を、亜鉛に置き換えると、物理的(機械的)、化学的な
強度が増します。
g) 釉の色調に変化を与えます。
酸化コバルトは、青が強調されます。酸化クロムは緑掛かった茶色になり、クロムピンク釉は
緑色に褪色するのを防ぎます。
) 酸化鉛(PbO): 鉛もアルカリ元素ではありませんが、同じ様な働きがある為、掲載します。
唯一の低火度用の熔融剤です。生の状態の鉛白、硫酸鉛などは有毒ですので、「鉛フリット」
として使います。更に、焼成後であっても、酢酸(食酢)等の酸に溶け出す恐れが有りますので、
食器類などは、特別の場合以外は使用できません。食品衛生上からも、禁止されています。
・ 但し、楽焼の抹茶々碗のみ、特別認められています。
a) 鉛は焼成中でも、簡単に蒸発しますので、室内の窯は換気に十分注意する必要が有ります。
b) 鉛の熔ける温度範囲は大変広く、必ずしも厳密な釉の調整でなくとも、適応できます。
c) 他の元素の結晶化を防ぐ為、透明度の高い釉を作る事が出来ます。
d) 釉の表面張力を弱め、弾力性を増して、貫入の発生を防ぎます。
但し、鉛の量が多くなると、逆に貫入が発生し易いです。
又、物理的(機械的)、化学的強度が弱くなり、釉の磨耗性も弱くなります。
f) 釉の色調に変化を与えます。
鉛と酸化アンチモンで黄色、鉛と酸化ウランで赤色の釉を作る事が出来ます。
以下次回に続きます。
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