わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬の原料 (草木灰1)

2008-12-09 22:12:55 | 釉薬の調合と釉を掛ける
釉薬は、焼成するとガラス質に成ります。 それ故、原料はガラスを構成する物質に成ります。

 灰を使った釉薬は、変化が大きい(一定しない)為、工業(量産)的な作品には、余り使用さず、

 その変化が、逆に面白味となる為、陶芸作家と言われる方が、好んで使う傾向に有ります。

1) 釉薬の起源である灰釉の原料、灰(草、木灰)から、お話したいと思います。

   灰は、木を焼いた灰と、草(特に稲科の植物)を焼いた灰に、分かれます。

 ① 木灰類について

  ・ 灰の種類は、非常に多く、木の種類、産地、生育する場所、伐採した時の季節、

    部位(幹、枝、葉、樹皮、根)、木の老若などによって、その性質(成分)が、違います。

  ・ 幹には、珪酸が、枝、葉、樹皮には、石灰分が、根には、燐酸が比較的多く含まています。

  ・ 木灰は、木の種類によって、松、杉、樫、楢、椚(くぬぎ)、栗皮(樹皮)、椿、橙、いす灰、

    などが有り、更に、囲炉裏や、昔の「かまど」にある雑木の灰=土灰(どばい)が、有ります。

  ・ 木灰は、石灰成分が20~50%含まれ、珪酸が30%前後、他に鉄分、マグネシュウム(M g)

    マンガン(M n)、カリウム(K)、燐(P)酸など、各種アルカリ類を多く含んでいます。

  ・ 自分で灰を作る事も出来ますが、各種灰が市販されています。

  ・ 市販の灰も、自然の灰と、合成灰があります。

    前述の様に、同じ木灰でも、色々な条件によって、品質が一定(安定)しません。

    それ故、常に安定した釉薬を作りたい場合、合成の灰が適します。

    (勿論、合成灰の方が安価です)

  ・ 灰を自作する場合:

    草木を焼くと、かなりの量の炭素分が、残ります。なるべく白くなるまで燃やして下さい。

    良く炭化した物を、乳鉢(少量の場合)や臼(大量)で、細かくし、何度も水に浸して、

    アルカリ分(水溶性)捨て、乾燥後、篩に掛けて燃えカスや、不純物を取り除きます。

  ・ 当然ですが、灰を作るには、その元と成る材料が、大量に要ります。

    元の量の1/1000以下に成る事も有ります。材料を手に入れるだけでも大変です。

 ② 草灰について

  ・ 藁灰など稲科の植物の灰は、70~80%程度の珪酸を含みます。

    それ故、この釉薬は乳濁し易く、藁白、糠白など白い釉薬を作る際使用します。

  ・ 藁灰の他に、籾殻(もみがな)灰、糠(ぬか)灰などがあります。

  ・ 蛇足ですが、藁灰などは、生の灰は真っ黒です。焼成すると真っ白に焼き上がります。

 ③ その他の灰について

   基本的には、どんな灰でも、釉薬の材料に成ります。

   (それが、使い物に成るかは、別にしての話ですが・・)

   ・ 茶の木、柚子(ゆず)の木、みかんの木、古材の灰など

   ・ 緑茶(葉)の灰、コーヒーの灰、線香の灰、火山灰、新聞紙や古紙の灰など

   ・ その他、邪道ですが、素焼した物に、直接マヨネーズや、靴墨などを塗り、焼成しても

     それらが灰なり、薄く色が出ます。


以下次回に続きます。
    
    
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 釉薬と素地との関係 | トップ | 釉薬の原料 (草木灰2) »

コメントを投稿

釉薬の調合と釉を掛ける」カテゴリの最新記事