わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 308 陶芸の手順とは25(本焼きの手順5)

2017-10-01 13:29:18 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

4) 本焼きの準備と手順

 ① 設備の点検作業。 

 ② 窯に点火(又はスイッチON)。

  ⅰ) 窯を焚く天候と時間。

  ⅱ) 電気窯の点火方法。

  ⅲ) ガス窯の点火方法。(以上が前回の話です。)

  ⅳ) 灯油窯の点火方法。

   以前は陶芸の窯と言えば、燃料の安さから灯油窯が多かったのですが、近頃は電気やガス窯を

   使う人が増えています。燃料が値上がりした事と、操作の難しさ及び騒音や黒煙、匂いなど

   近隣への悪い影響も出易く、住宅地などでは敬遠される様に成って来たのが原因と思われます。

   又、灯油用のバーナーは、電気で作動するブロアー(送風機)と一体に成っていますので、

   窯の横方向のスペースが他の窯より若干広くとる必要があります。更に灯油缶(タンク)等

   の設置も必要になります。但し、ガス漏れによる爆発が無い為、危険性は少ないです。

   a) 灯油窯もガス窯と同様に倒炎式が多いです。

    窯の両側面より噴出した炎は側壁を這って天井まで上り、その後下降に転じ窯底の煙道から

    煙突に抜ける構造に成っています。その為、比較的窯内の温度は一定になる利点があります。

   b) ダンパー(バカ穴)とドラフト、及び色見穴に付いて。

    ブロアーによる強制吸気ですので、煙突の途中に設けられているドラフトは、煙突の引きの

    影響が弱くなり易いです。それ故、外気を取り入れる煙突の底近くに設けられたダンパーの

    効果は大きいですので、ダンパーによる調整で煙突の引きの強さを調整する事に成ります。

    点火の際には、ドラフトは開け、ダンパーは閉じておきます。(窯を焚く人によって違いが

    あります。)バーナーの真上にある色見穴は、二次空気穴を兼ねていますので、開けておく

    のが一般的です。

   c) 点火の手順は以下の通りです。(操作手順は人によって変わる事も多いです。)

    イ) 灯油タンクの元栓を開く。

    ロ) バーナーの電源を入れる。

    ハ) 点火スッチの電源を入れ(ON)、点火ボタンを押す。

    ニ) 点火を確認したら点火スイッチをOFFにする。

    ホ) ブロアーから空気を送る。

   d) 灯油窯は油量の少ない低温時には、焔が不安定に成り易いです。

    その為、安定する迄の間は扉を開けて、焔の状態を確認する必要があります。

    灯油は電磁ポンプによってバーナーに送られます。それ故、タンクが高い位置に有る方が

    灯油の流れは良くなります。当然ですが油量が少なく成ると、圧力も弱くなります。

    焔を見ながら油量と空気量を調整します。両方とも目盛りがありますが、参考程度に利用し

    ます。バーナーは一個口と二個口(ヅインバーナー)があります。各々にブロアーが一個付

    いています。左右ある二個口のバーナーは二個とも同じ様な焔の状態に成る様に調整します。

    調整は空気量調整板を少しづつ開き、焔が明るくなり更に黒煙が出ない様にします。

  e) 全てのバーナーを同時に点火する事は少なく、順次個別に行います。但しツインバーナーは

   同時に点火します。

5) 窯の温度を上げる。 

  電気窯の場合には、電力(電流量)をあげるに従い、温度は上昇しますが、ガスや灯油の場合には

  一概に燃料を増量すれば、温度が上がる訳ではありません。空気量との関係で、むしろ温度が

  低下する事も稀では有りません。


  以下次回に続きます。


 参考文献:「陶芸窯焚きマスターブック」(株)誠文堂新光社:2016年発行
  
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