わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉薬の調合 (ジェーゲル式3)

2008-12-18 22:40:03 | 釉薬の調合と釉を掛ける
前回の続きを述べます。

 前回のジェーゲルコーン(錐)のS K 値と化学組成の、表から解かる事は、

 ① R O 成分が多くなると、融点は下がる。

 ② R O 成分を多くし、更にAl2O3、SiO2を少なくすると、更に融点は下がる。

 又 表には現れていませんが、

 ③ R O 成分の、ZnO (亜鉛華)やPbO(鉛)が入ると、融点は下がります。

 尚、釉薬としては、コーンの番号より100℃程度低い温度(S K 値で5番程度低い)で、

   調合する様にします。(再確認)

ロ) 釉の状態に付いて。

  釉が透明か、不透明か、光沢釉か、マット釉かが推測れきる。

  Al2O3 と SiO2 との比(モル数)によって、釉の状態が変化します。

  (以下に述べる事は、理論値です、使用する際には、若干の手直しが必要かも知れません)

 ① 仮に、良い釉薬とは、光沢が有り、透明に溶ける釉と言う事にすると、

  R O 1モルに対し、Al2O3 : SiO2 = 1 : 7~11 位が経験的に、良い釉薬になります。

  例 Al2O3=0.2(モル)  SiO2= 2.5(モル)で透明(灰釉系)

    Al2O3=0.4       SiO2= 3.5 で透明 (磁器釉系) 

 ② マット釉(艶消し釉)

  透明釉より、Al2O3 を多くし、SiO2 を少なくすると、マット釉に成ります。

  例 Al2O3=0.45     SiO2= 2.5   でマット釉

 ③ 乳濁釉

  透明釉より、Al2O3 を少なくし、SiO2 を多くすると、乳濁釉に成ります。

  例 Al2O3=0.30    SiO2=4.0  で乳濁釉

ハ) 失透釉に付いて

  透明でない釉薬、乳濁、結晶、マットを、まとめて、失透釉と言います。

  結晶釉: 釉のガラスの中に、微細な金属などが、浮遊している場合です。

        結晶の大きさも、目に見える物から、結晶状態が良く解からない物も、あります。

       一般には、光沢が有ります。

  マット釉: 微細な結晶が存在していても、光沢の無い釉を、マット釉と呼びます。

  乳濁釉: ガラスで有りながら、釉の中で、成分が溶けても、混じり合わない場合(分相という)

  又 失透釉を作るには、失透剤(乳濁剤)を加えると、効果が有ります。

   ・ 失透剤には、骨灰、酸化チタンを少量加えると、分相を起こし、乳濁します。

   ・ ジルコンを加えると、冷却時に、結晶化し失透します。

以下次回に続きます。

 参考資料を挙げて置きます。

 ① 「入門やきものの科学」 田賀井戸秀夫著 共立出版 科学ブック28

 ② 「図解 工芸用陶磁器」 素木(しらき)洋一著 (株)技報堂出版

 陶芸釉薬の調合 
 
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