わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 299 陶芸の手順とは16(施釉作業の手順7)。

2017-08-04 20:40:55 | 素朴な疑問
陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない

結果を招く事は多いです。

2) 施釉の手順。

 ⑦ 施釉を行う。

  ⅵ) 施釉の実際。 以下は当方のやり方ですので、皆様とは異なるかも知れません。

   a) 漬け(浸し)掛けの場合、施釉時間は最短で3秒、最長でも5秒で終わらせます。

   b) 袋物と呼ばれる壷や徳利の様な場合、先に内側を塗り、その後外側を施釉します。

   c) 漬け掛けの一種に「ガバ漬け」があります。

   d) 一般的な漬け掛けによる方法。

   e) 小さな手板を用いると、濡れた作品を触らずにテーブルに置く事ができます。

    (以上までが前回の話です。)

   f) 流し(柄杓)掛けの方法。

    イ) 大皿や壷などの大きな作品や、部分的に重ね掛けする時に行う施釉の一方法です。

     又、比較的口縁が大きく掌で蓋が出来ない、袋物と呼ばれる作品の内側に施釉する際にも

     利用されます。

    ロ)  用具は注ぎ口のある、釉が入りる容器であれば、何でも良いのですが、持ち手が

     付いた物の方が使い易いです。当然流れ出した釉を受け止める容器も必要です。

    ハ) 流し掛けの場合、内外を同時に施釉するのが難しいので、内側(又は外側)を塗って

     から外側(又は内側)を塗る事になります。手で蓋の出来ない口径の大きな袋物は、内側

     に流し込んだ釉を、作品を抱え回転させながら、内側全体に施釉する様に、外に流れ出し

     ます。滴は完全に切ってから、口を上に向けます。特に滴が外側に垂れない事が大切です。

    ニ) 柄杓に入れる釉の量によって、塗れる範囲と形状が変化します。

     即ち、たっぷり釉を取れば、広い範囲を一度で塗れますが、少量取れば細い線状に釉を

     流し掛ける事になります。

    ホ) 大皿などを施釉する際には、二人掛りで行う事が多いです。即ち一人が作品を両手で

     持ち、他の一人が釉を皿の内側(又は外側)に流し掛けします。持ち手の人も只持つだけ

     でなく、皿を回転させながら、全体に均一に施釉する様にします。

    ヘ) 重量のある壷などや大皿の外側を施釉する場合には、作品を手回し轆轤上に置き、

     ゆっくり回転させながら施釉します。急いで回転させると、塗り残しが出ますので、

     注意が必要です。作品を直接轆轤上に据えるのではなく、高台が載る程度の台があると、

     裾周りを不必要に施釉する事も少なくなります。尚、大皿などを伏せて施釉する際、

     高台内もしっかり塗ってください。又、作品と柄杓の距離が遠くなると、釉の掛かる位置

     がずれます。即ち予定していた位置より、下側から施釉する事になりますので、できるだけ

     注ぎ口は作品の近く、又は接した位置から流す事です。他の釉を部分的に二重掛けする際

     にも利用できます。但し釉は垂直方向に流れ落ちますので、斜め方向に施釉する際には、

     何らかの工夫が必要です。

  ⅶ) 施釉出来ない(してはいけない)部分の処置。

   釉は一種のガラスですので、窯の中で熔けた後、固まります。その為、棚板に接する部分や

   器本体と蓋が接する部分には、一般には釉を塗る事は出来ません。この処置の方法には、

   施釉前に釉が掛からない様にする方法と、施釉後に塗れた部分を剥ぎ取る方法があります。

   a) 施釉前の方法として、撥水剤や熔けた蝋を使います。但し、現在では手間隙の掛かる蝋

    を使う方法は少なくなっています。撥水剤は陶芸材料店で容易に入手できます。使い方は、

    筆や刷毛で塗ります。注意する事は、撥水剤は強力ですので、一度素地に浸み込むと素焼き

    する以外に取り除く事はできません。それ故必要な部分(面)より、少なめに塗り余分に

    掛かった部分はブラシ等で綺麗に取り除きます。又、蝋抜きと同じ技法の代用品として使う

    事もあります。特に脚の無い板皿は、広い裏面全体に釉は掛けない様にします。その為、

    撥水剤が有利になります。撥水剤で使った筆類は、使用後石鹸水で洗う事うと、何度でも

    使えます。

   b) 施釉後に取り除く。

    釉は単に作品の表面に載っているだけですので、ブラシ等で容易に取り除く事ができます。

    取り除く位置は、主に高台の下面と高台脇です。特に流れ易い釉薬を使う場合には、底面より

    5mm程度施釉しない場合もあります。取り除いた後は、濡れたスポンジ等で拭き取ります。

    蓋と器の合わせ目も施釉出来ない場所です。但し、器と蓋を一体で焼くのではなく、別々に

    焼成する場合には、器側は施釉できます。

3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業

以下次回に続きます。
     
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