わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器の絵付け(ラスター彩) 1

2010-01-21 17:33:00 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
上絵付けで、色を付ける方法に、ラスター彩(さい)が有ります。

① ラスター彩とは、錫を含む鉛釉で、焼成した白い釉の上に、銅や銀などの、酸化物で文様を描いて、

  低温度還元焔で、焼成された、ものです。

② 還元状態の中で、金属の酸化物が、薄い金属の膜を作り、光の当たり方によって、金属光沢の、

  虹彩(ラスター)を、生じさせる技法です。

  ラスター(luster)とは、英語で「輝き・煌き(きらめき)」、落ち着いた輝き、という意味です。

③ 虹色の模様は、自然界の生物にも、多く見られます。

  玉虫や、コガネ虫、ある種の蝶などの、昆虫でみられ、反射する基材の上に、薄い膜があると、

  膜の表面で、反射した光と、膜を通過し基材で、反射した光とで、干渉が起きます。

  その結果、見る方向によって、特定の色の光が、強まったり、弱まったりして、虹色にもなります。

④ 中国建窯の、曜変、油滴、禾目などの天目茶碗は、この影響を受けて作られ、ラスター現象が

  見られます。

・ ラスターは、ペルシャ陶器が、起源とも言われています。
 
⑤ 9世紀のペルシャ陶器に、この技法が見られ、その後エジプトで、生産された後、12~13世紀に

  再びペルシアにおいて、全盛期を向かえたと、言われています。

  陶器の表面に、金属的な輝きを、与える事により、金属の器の如く、見せかけました。

  しかし、これが、イスラム陶器の代表的な、ものと成っています。

⑥ 錫白釉をかけた上に、またコバルトを含んだ、藍釉を地に、銀、銅などの特殊な金属を含む

  泥状の顔料で、器面に文様を描き、低火度で、焼き上げます。

  古代ペルシャの陶器の中で、最も気品に満ち、最も高度な、技術を有するのが、ラスター彩陶器です。


尚、現在では、普通の釉と同じ、本焼きの際に、掛けるだけで、各種金属を使った、様々な色の

ラスター彩があります。 (ラスター結晶釉、真珠ラスター釉などで、市販されています。)


ラスター釉の、調合方法については、次回に述べたいと思います。
 
ラスター彩
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