わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器の絵付け 5(下絵付)

2010-01-08 22:07:25 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
和紙染めの、話を続けます。

  b) 和紙と絵の具

    和紙染めで重要なのは、紙(和紙)の種類と、絵の具の粒子の細かさです。

   イ) 紙ならば、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、障子紙、毛筆用紙、

     手漉き和紙などが有り、どの紙が最適か、迷われた事と、思います。

   ロ) 現代の紙は、表面を滑らかにする為、手触りを良くする為、インクが乗り易くする為、

     水に強くする為、その他の理由で、色々の化学的添加物が、入ています。
 
     その為、水を吸い込む(呼吸する)性質が、犠牲になっています。

     即ち、余り加工されていない紙が、向いています。

     それは、必ずしも和紙である必要は、有りません。水(絵の具)を良く吸収する紙です。   

   ハ) 美しい和紙染めを、造るには、良い紙を、見つける事ともいえます。

     良い紙の条件は、吸水性があり、絵の具を、表から裏側へ、均一に通す事です。

     繊維が密な物(高級品)ではなく、粗い方(安物)が良いようです。

     又、何度も同じ紙を、使う場合いも多いので、水に対する強度も、ある程度必要です。   

     美濃紙や、手漉き和紙、障子紙などが、水の吸い込みが良いようです。

   ニ)  紙を一度、水に漬け、乾燥させてから使うと、吸水性が増すとも言われています。

   ホ)  絵の具が、紙を通り易くする為には、絵の具の粒子が細かい事と、濃度です。

     乳鉢で丁寧に磨り、粒子を細かくします。どの絵の具も、和紙染めが出来る訳ではありません。

     一般的には、呉須が多い様です。

  c)  和紙染めの技法

   イ) 和紙染めは、紙の形通りに、絵付けができます。

      和紙から、はみだす事は、ほとんど有りません。

   ロ) 紙の隅々まで、均一の濃度で、絵の具を、染込ませる事も出来るし、濃淡を付けて、

      染める事も出来ます。

   ハ) 紙を千切って、毛羽立たせ、和紙の雰囲気を出す事も、可能です。

   ニ) 紙を重ねると、重ねた部分が、濃くなり、コントラストが出せます。

   ホ) 素焼した素地は、水の吸収性が大きく、絵の具が、紙全体を、染めない内に、

      水切れに成り易いです。途中で液を足すと、濃淡が出て、均一に成りません。
  
      出来るだけ、絵の具の持ちの良い筆(だみ筆など)を、使います。

   ヘ) 逆に濃淡を付けたい時や、「ぼかし」を付けたい時は、水を上手に使い、筆を濡らしながら、

      描いていきます。

    ト) 和紙全体を、絵の具の溶液の中に入れ、全体を濡らし、滴が落ちない様になったら、

       素地に載せ、更に上から、筆で絵の具を、補給する方法も、有ります。

       どうしても、絵の具が、素地に載らない場合には、試す価値は、あると思います。

以下次回に続きます。

 和紙染めの技法

コメント
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