陶磁器の、絵付けについて、述べたいと、思います。
・ 陶磁器の装飾法として、焼く前(生の状態)に、素地とは異なる土の色で、模様を付ける、
方法があります。練り込み、化粧掛け、搔き落とし、象嵌などの技法です。
・ 素焼後に行う装飾方法に、釉薬のみで行う方法と、これから述べる、絵付けの方法が、有ります。
・ 釉薬のみの場合は、焼きの状態によって、その発色、模様が左右され、出来、不出来が決まります。
・ 絵(又は字、模様)を付ける事は、絵を付ける人の、意思が、かなり反映されます。
それ故、釉薬のみの場合より、造り手の思いが、強く表現されます。
では本論に入ります。
絵付けには、大きく分けて、下絵付けと、上絵付けが有ります。各々長所、短所が有ります。
・ 下絵付:釉の下に、絵付けをした物で、即ち、素焼や、焼結(1000℃~1250℃)した素地の
表面に、絵を付け後、透明釉などを施釉し、本焼する方法です。
・ 上絵付:施釉し本焼した作品の、表面に、絵を付け、更に、低い温度で、もう一度焼き付ける方法。
1) 下絵付けと、上絵付けの長所、短所
① 下絵付けの長所
) 焼く回数が、素焼、本焼の2回で済む事。
) 絵が、釉で覆われている為、使用中に、色落や、色が剥がれる恐れは、皆無です。
同様な理由で、絵の具に含まれる、顔料(有毒の場合あり)が、熔け出す事も有りません。
② 下絵の短所
) 磁器などは、高い温度(1300℃以上)で焼成する為、発色する顔料の種類が、少ない。
) 絵付けの上に、掛ける釉は、下の絵を隠さない事、絵の具に影響を与えない事が、
必須条件で、透明釉や、これに類する釉である事です。
③ 上絵付けの長所
) 低い温度(800℃前後)で、焼き付ける為、絵の具の色が、豊富で鮮明な色に、成ります。
金色、銀色なども、可能です。
) 釉の種類は、絵付けの色が、映える色ならば、好みの釉が、使えます。
④ 上絵付けの欠点
) 焼成を3度する必要が有る。(手間が掛かる)
) 絵付け用の、専用の焼成窯(錦窯)が、必要である。
焼成温度は、素焼程度で、素焼と一緒に焼成すると、良いのですが、水蒸気を嫌う事、
酸化焼成すると、発色が良いので、酸化焼成の電気の窯が、一般的です。
) 釉の表面に載っている為、絵が剥がれ易く、絵の具の顔料が、熔け出す可能性もあり、
健康上、問題に成る事も有ります。
但し、現在では、釉の中に、溶け込ませる、方法(シンクイン)も、開発されています。
2) 絵の具の組成(材料)、絵の具の種類、選定、絵付けの技法、その他、転写紙などについて、
順次述べて、行きます。
① 絵具の組成
) 絵具の成分は、一般的に、種々の金属酸化物、或いは、化合物(硼酸、硼砂など)の混合物を、
焼成、水洗、粉砕して作られます。さらに、その顔料の呈色、焼成後の安定性を、目的として、
さまざまな補助材を、配合してあります。
) 一般的に金属酸化物の発色は、酸化コバルトで種々の色調の青、酸化ニッルは茶色、グレー
酸化銅は緑、トルコ青、酸化マンガンは茶色、紫、酸化鉄は茶、黄、赤、酸化クロムは緑、赤
これらの酸化物に、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸、アルミナ、石灰、粘土等の混合で、
種々の絵具が作られます。
・ 日本の焼きものに、古くから伝わる“呉須”や、大倉陶園の“岡染”といった、紺青系の顔料は、
下絵の具の代表的なもので、酸化コバルトに、マグネシウム、アルミナ等を、
調合して作られる顔料です。
以下次回に続きます。
陶磁器の絵付け(下絵付)
・ 陶磁器の装飾法として、焼く前(生の状態)に、素地とは異なる土の色で、模様を付ける、
方法があります。練り込み、化粧掛け、搔き落とし、象嵌などの技法です。
・ 素焼後に行う装飾方法に、釉薬のみで行う方法と、これから述べる、絵付けの方法が、有ります。
・ 釉薬のみの場合は、焼きの状態によって、その発色、模様が左右され、出来、不出来が決まります。
・ 絵(又は字、模様)を付ける事は、絵を付ける人の、意思が、かなり反映されます。
それ故、釉薬のみの場合より、造り手の思いが、強く表現されます。
では本論に入ります。
絵付けには、大きく分けて、下絵付けと、上絵付けが有ります。各々長所、短所が有ります。
・ 下絵付:釉の下に、絵付けをした物で、即ち、素焼や、焼結(1000℃~1250℃)した素地の
表面に、絵を付け後、透明釉などを施釉し、本焼する方法です。
・ 上絵付:施釉し本焼した作品の、表面に、絵を付け、更に、低い温度で、もう一度焼き付ける方法。
1) 下絵付けと、上絵付けの長所、短所
① 下絵付けの長所
) 焼く回数が、素焼、本焼の2回で済む事。
) 絵が、釉で覆われている為、使用中に、色落や、色が剥がれる恐れは、皆無です。
同様な理由で、絵の具に含まれる、顔料(有毒の場合あり)が、熔け出す事も有りません。
② 下絵の短所
) 磁器などは、高い温度(1300℃以上)で焼成する為、発色する顔料の種類が、少ない。
) 絵付けの上に、掛ける釉は、下の絵を隠さない事、絵の具に影響を与えない事が、
必須条件で、透明釉や、これに類する釉である事です。
③ 上絵付けの長所
) 低い温度(800℃前後)で、焼き付ける為、絵の具の色が、豊富で鮮明な色に、成ります。
金色、銀色なども、可能です。
) 釉の種類は、絵付けの色が、映える色ならば、好みの釉が、使えます。
④ 上絵付けの欠点
) 焼成を3度する必要が有る。(手間が掛かる)
) 絵付け用の、専用の焼成窯(錦窯)が、必要である。
焼成温度は、素焼程度で、素焼と一緒に焼成すると、良いのですが、水蒸気を嫌う事、
酸化焼成すると、発色が良いので、酸化焼成の電気の窯が、一般的です。
) 釉の表面に載っている為、絵が剥がれ易く、絵の具の顔料が、熔け出す可能性もあり、
健康上、問題に成る事も有ります。
但し、現在では、釉の中に、溶け込ませる、方法(シンクイン)も、開発されています。
2) 絵の具の組成(材料)、絵の具の種類、選定、絵付けの技法、その他、転写紙などについて、
順次述べて、行きます。
① 絵具の組成
) 絵具の成分は、一般的に、種々の金属酸化物、或いは、化合物(硼酸、硼砂など)の混合物を、
焼成、水洗、粉砕して作られます。さらに、その顔料の呈色、焼成後の安定性を、目的として、
さまざまな補助材を、配合してあります。
) 一般的に金属酸化物の発色は、酸化コバルトで種々の色調の青、酸化ニッルは茶色、グレー
酸化銅は緑、トルコ青、酸化マンガンは茶色、紫、酸化鉄は茶、黄、赤、酸化クロムは緑、赤
これらの酸化物に、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸、アルミナ、石灰、粘土等の混合で、
種々の絵具が作られます。
・ 日本の焼きものに、古くから伝わる“呉須”や、大倉陶園の“岡染”といった、紺青系の顔料は、
下絵の具の代表的なもので、酸化コバルトに、マグネシウム、アルミナ等を、
調合して作られる顔料です。
以下次回に続きます。
陶磁器の絵付け(下絵付)