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わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器の絵付け 1(下絵付)

2010-01-03 22:54:41 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
陶磁器の、絵付けについて、述べたいと、思います。

・ 陶磁器の装飾法として、焼く前(生の状態)に、素地とは異なる土の色で、模様を付ける、

  方法があります。練り込み、化粧掛け、搔き落とし、象嵌などの技法です。

・ 素焼後に行う装飾方法に、釉薬のみで行う方法と、これから述べる、絵付けの方法が、有ります。

・ 釉薬のみの場合は、焼きの状態によって、その発色、模様が左右され、出来、不出来が決まります。

・ 絵(又は字、模様)を付ける事は、絵を付ける人の、意思が、かなり反映されます。

  それ故、釉薬のみの場合より、造り手の思いが、強く表現されます。

 では本論に入ります。

絵付けには、大きく分けて、下絵付けと、上絵付けが有ります。各々長所、短所が有ります。

 ・ 下絵付:釉の下に、絵付けをした物で、即ち、素焼や、焼結(1000℃~1250℃)した素地の

   表面に、絵を付け後、透明釉などを施釉し、本焼する方法です。

 ・ 上絵付:施釉し本焼した作品の、表面に、絵を付け、更に、低い温度で、もう一度焼き付ける方法。

 1) 下絵付けと、上絵付けの長所、短所

  ① 下絵付けの長所

   ) 焼く回数が、素焼、本焼の2回で済む事。

   ) 絵が、釉で覆われている為、使用中に、色落や、色が剥がれる恐れは、皆無です。

     同様な理由で、絵の具に含まれる、顔料(有毒の場合あり)が、熔け出す事も有りません。

  ② 下絵の短所

   ) 磁器などは、高い温度(1300℃以上)で焼成する為、発色する顔料の種類が、少ない。

   ) 絵付けの上に、掛ける釉は、下の絵を隠さない事、絵の具に影響を与えない事が、

     必須条件で、透明釉や、これに類する釉である事です。

  ③ 上絵付けの長所

   ) 低い温度(800℃前後)で、焼き付ける為、絵の具の色が、豊富で鮮明な色に、成ります。

      金色、銀色なども、可能です。

   ) 釉の種類は、絵付けの色が、映える色ならば、好みの釉が、使えます。

  ④ 上絵付けの欠点

   ) 焼成を3度する必要が有る。(手間が掛かる)

   ) 絵付け用の、専用の焼成窯(錦窯)が、必要である。

      焼成温度は、素焼程度で、素焼と一緒に焼成すると、良いのですが、水蒸気を嫌う事、

      酸化焼成すると、発色が良いので、酸化焼成の電気の窯が、一般的です。

   ) 釉の表面に載っている為、絵が剥がれ易く、絵の具の顔料が、熔け出す可能性もあり、

      健康上、問題に成る事も有ります。

      但し、現在では、釉の中に、溶け込ませる、方法(シンクイン)も、開発されています。

2) 絵の具の組成(材料)、絵の具の種類、選定、絵付けの技法、その他、転写紙などについて、

   順次述べて、行きます。
 
 ① 絵具の組成

  ) 絵具の成分は、一般的に、種々の金属酸化物、或いは、化合物(硼酸、硼砂など)の混合物を、

    焼成、水洗、粉砕して作られます。さらに、その顔料の呈色、焼成後の安定性を、目的として、

    さまざまな補助材を、配合してあります。

  ) 一般的に金属酸化物の発色は、酸化コバルトで種々の色調の青、酸化ニッルは茶色、グレー

    酸化銅は緑、トルコ青、酸化マンガンは茶色、紫、酸化鉄は茶、黄、赤、酸化クロムは緑、赤

    これらの酸化物に、酸化錫、酸化亜鉛、アンチモン酸、アルミナ、石灰、粘土等の混合で、

    種々の絵具が作られます。

  ・ 日本の焼きものに、古くから伝わる“呉須”や、大倉陶園の“岡染”といった、紺青系の顔料は、

    下絵の具の代表的なもので、酸化コバルトに、マグネシウム、アルミナ等を、

    調合して作られる顔料です。

以下次回に続きます。

 陶磁器の絵付け(下絵付)
 
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