想いのままに…

日々の生活の中で感じたことを、想いのままに綴りたいと思います。

着物の思い出

2015-11-01 22:14:13 | 日記
10月は、我が家の片付け強化月間でした。
かなりの部分がすっきりとしましたが、もう少し気になっている個所があります。
月が変わった今日も、今までの勢いで片付けを続けることができそうです。

今日は、着物を出してみました。
遠い昔に買ったものばかりです。

私が子供の頃には、母が日常の生活にも着物を着ていました。
それは、かなり昔のことではありますが、
当時はもう、日常の生活には洋服を着る人がほとんどでした。
それこそ、入学式や卒業式などの行事や参観日などに着物を人があるくらいでした。

そんな中で、私の母は、着物を着ていました。
豊かではなかった我が家…むしろ貧しいともいえる我が家でしたので、
洋服を買うのも難しかったかもしれません。

いずれにしましても、私は母の着物姿がとても好きでした。
朝早く起きる母が、着物に着かえる様子をお布団の中から見ることは、
私が中学生の頃、母がお仕事に出ることになって洋服を着るようになるまで、
大袈裟ではなく、私の楽しみとなっていました。
毎日同じ順番に手際よく着て行く様子を見るのは、心地よいものでした。

私は高校を出て就職をしましたが、着物を初めて買ったのは、二十歳を過ぎてからでした。
当時、大阪の会社にお勤めをしていましたので、知り合いの紹介で着物を買うことになり、
京都の呉服屋さんへ行きました。
私が買った着物はすべて(と言いましても僅かですが)、この呉服屋さんで買ったものです。

その中の一枚は、ある秋の日、その呉服屋さんの奥座敷の衣桁に掛けられていて、
私の心を引き付けました。
黒っぽい縮緬にあしらわれた絵柄と色合いが気に入ったのです。
ところが、当時の私にとっては、かなり高額のお値段でした。
その日は、買うことができなくて帰ったものの、
翌週(その翌週だったかしら)に再度訪ねて、買い求めたのでした。

その着物は、田舎に帰ってから着るつもりでした。
その予定だったのですが…、
私が大阪で働いていた約4年の間に、母が体調を崩し、
私が田舎に帰るとすぐ、待っていたかのように母が寝込んでしまったのです。
それ以来、母の病状は良くなることなく、
8年半(足掛け9年)、寝たきりで亡くなりました。

着物が好きだった母に着付けを教えてもらい、
着物を着た母と並んでお出掛けをしたかったのですが、
そんな小さな夢を叶えることもできませんでした。

それ以来、その着物を着たことはもちろんありません。
今も裾まわりと袖口に仕付け糸が付いたままです。

『そろそろ、この着物を処分しようかしら』
今日、そんなことを思っていた私の気持ちを察したかのように、主人が言いました。

「その着物は、大事にしまっておくといいよ。」と。

ありがとう、あなたに言われて気付きました。
もうしばらく、大事にしまっておくことにします。


 落ち葉もきれいです。
コメント
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