想いのままに…

日々の生活の中で感じたことを、想いのままに綴りたいと思います。

ふるさと

2015-11-10 21:58:49 | 日記
昨日、主人が、尋ねるでもなく、ふと言いました。
「今度、府中にも行ってみようかな?」と。

広島県府中市は、私の生まれ故郷です。
両親が亡くなってから30数年経っていますので、実家もなくなり、
帰省することがなくなりました。
私のふるさと…それは、私の心から遠く離れたものになっていきました。

主人と結婚する時には、私の故郷ですと紹介できるものがなかったことは
ちょっと寂しい気もしますが、それが事実でした。
それでも、主人には、結婚以来、私が幼かった頃からのいろいろを話してきましたので、
主人なりに、私の故郷を思い描いてくれていたことでしょう。

あなたが大切にしているものは、僕も大切にしたい…。
そう言ってくれる主人は、年に2度、私の実家のお墓参りに行ってくれています。
ただ、福山市にあるお墓から約20kmも山寄りに入る実家のあたりには
行くことがなかったのです。

そんな8年前、「一度、ふるさとに行ってみたくなったわ。」と言った私を、
主人が連れて行ってくれました。
初めて、主人に紹介する私のふるさとでした。

両親との思い出の場所や通った保育園、小学校への道を歩きながら、
私はいろいろなことを思い出し、遠い日々を振り返りました。
きっと、同じ思いで、主人も振り返ってくれたと思います。

ただ、長い長い年月が過ぎたことを思わざるを得ませんでした。
私が通った保育園こそありましたが、小学校も中学校も、
そして高校までもが統合されていて、事実上の廃校になっていました。
両親も、実家もなくなり、過疎化により街並みも全く変わって…、
私の歩いてきた道がなくなっているような気がして、淋しさが募る思いでした。

二人で並んで歩きながら、たぶん、言葉が少なくなっていたでしょう私の手を、
主人が優しく包んでくれました。
私の気持ちを感じてくれる人…。
温かくて優しい…、そんな人。

『ふるさと』とは、家や人という形あるものではなく、
温かくて優しい『心』なのかもしれない…。
主人の手のぬくもりが、そんなことに気付かせてくれたのでした。

そして、今週の金曜日、福山へのお墓参りの足を延ばして、
幼い頃から楽しく過ごした思い出の地、府中へ行くことにしています。
目に見えるものはほとんどないのですが、もう、寂しくなんかありません。
主人と手をつないで、あの地を歩いてくるつもりです。

もう、行くことはないと思っていましたが、
やはり、もう一度行くことができることを嬉しく思っています。

ありがとう、優しいあなた。
コメント
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