ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

ピアノ狂想曲

2016年02月20日 | 音楽とわたし
腕のいいペンキ屋さんであり、友人でもあるデイヴから、今仕事をしているお家のピアノを、見に行かないか?と誘われました。
17年前に買ったボールドウィンのベビーグランドピアノ、ということで、伺ってきました。
ボールドウィンは、1862年に設立された、アメリカの老舗ピアノ・オルガンメーカーです。
鍵盤は少し重めで、音質が河合ピアノに似ていて、わたし個人としては好きな方のピアノです。


2009年の11月に、ニューヨークでピアノデュオのピアニストとして活躍していた故カルロス氏のピアノに出会い、
彼の死の悲しみに打ちひしがれながらも、彼の持ち物すべてを処分し、故国ペルーに戻らなければならなかったお母さまの、
「息子の分まで、このピアノを大切にしてください」という言葉と共に、家に引き取らせてもらいました。
それからの経緯を、わたしは何回か、ここに記してきました。

http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/2787e511ce875d6b96775251b37adadb
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/1634ff5805cfd273a7975be632e4accc
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/531d36cc1a4c7f7c36a3f90f4d5ffe8a
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/c/57d3acbef8583ba1818bb6947f2811cf/18
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/e1a5caffc16a7fcaebd0463087ae4ca4
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/58f9d3d0cdff7822f5a6bc70bcb9d594
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/4225d7f9cd50c9a607024d2c8a79d0d8
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/db20c5de8d07f21829de1c8e71404947
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/2bcf29e5805cbee09648fff9ba6c0300
http://blog.goo.ne.jp/mayumilehr/e/bf0944ceb13d742c88eb75358bae1e2a

かなり古いピアノであること、体格のいい男性ピアニストが長年弾き続けてきたことから、鍵盤全体がかなり疲弊していましたが、
非常に分厚い一枚板の反響板と、大柄の体から湧き出てくる、温かな深い響きにすっかり魅せられたわたしは、鍵盤を修理することの大変さを、つい甘く考えてしまいました。

ピアノは、専門の運搬会社の専門職の男性が、口を揃えて文句を言うほどにとんでもなく重く、カルロス氏が暮らしていたアパートの部屋から運び出さなければならなかったのは、本当に大変だったのですが、
その時に、考えられない事件が起こりました。
運搬人のひとりが、取り外された鍵盤の上に足を乗せてしまい、破損してしまったのでした。
すでに非常にもろくなっていたとはいえ、ミスはミスとして、会社の保険で直してもらったのですが、
それからというもの、現在に至るまで、鍵盤の修理と調整に、時間とお金を費やさなければなりませんでした。
ところが、どうやっても、またどこかがおかしくなって、まるでモグラ叩きのような状態が続いています。
うちのピアノをずっと調律してくれているアルバートがとうとう、「ピアノを替えた方がいいと思う」と、わたしに忠告してきました。
彼ほど、このピアノの状態を知っている人はいないので、その忠告はズシンと心に響きました。
「まうみの気持ちはわかるけれども、このピアノは、我々の手に負えない問題を抱え過ぎていると思う」

わたしは、大きなミスを犯してしまったのでしょうか。
あの時、あの場所で下した判断は、間違っていたのでしょうか。
実は、とうの昔から、そう感じていたし、認めていました。
でも、気持ちがそれを、どうしても認めたくなかったのです。
そしてまた、このことに費やした時間やお金が無駄になることを、認めるのが恐かったのです。
そしてもちろん、カルロス氏のお母さまとの約束も。
日本で所有していたのは、中学生の時に買ってもらった、ヤマハのグランドピアノC3でした。
このピアノは、波乱万丈のわたしの人生の中で、わたしと同じく、翻弄され続けたピアノでした。
ヤクザの若い衆たちの手で持ち去られたこともあったし、そこから取り戻してくれた友人の家にしばらく居候していたこともありました。
それを、わざわざ床の補強をして仮置きさせてくれた母の家から、とうとう元の持ち主であるわたしの嫁ぎ先に戻ってきたのは、持ち去られてから3年後のことでした。
それからは、もう絶対に手放さないからと固く約束をしたのに、離婚をして、また引っ越しをして、その時も一緒に付いてきてもらったのに、
日本を離れなければならなくなった時、手持ちのお金が本当に無くて、50万円の運搬費をどうしても払えなくて、泣く泣く手放すことにしたのです。
でも、わたしが手放したことで、ピアノはある若い学生の家に引き取られることになり、彼女は今、立派なプロのピアニストになったのだから、それはそれでよかったのだと思っています。
けれども、やっぱり、いいピアノを弾きたい。
この気持ちは、こちらに引っ越して来てからずっと、わたしの中にじくじくと居座り続けています。
練習をしている間中、コンディションの悪さを嘆きながら、それらの問題に目を瞑りながら、良い音を求めることのストレスというのは、なかなかに大変なものですから。

そんなこんなの気持ちを抱えながら、6年以上もの年月が経ちました。
やっと気持ちを整理して、とりあえず1台のピアノのままで、またお金を少しずつ貯めて、修理の不必要なピアノを手に入れようと思います。


というわけで、新たな出会いを求めて、ボールドウィンのピアノを見に行きました。







刻印が非常に渋いので、これは少なくとも60年以上は前に作られたものだと思います。






ピンが少し傾斜しているのは、1960年代に作られたピアノの特徴だと、アルバートが教えてくれました。


かなり古いピアノです。




ナットも渋い。


鍵盤は重く、ベビーグランドにしては音の広がりに奥行きがあります。



残念ながら、わたしが欲しいと思うものではありませんでしたが、持ち主さんから希望の売値を知らせてもらったら、生徒たちに写真と一緒にメールしようと思います。

ちゃんと論議できない無責任首相を筆頭に、自民党のバカ丸出しの税金泥棒たちを、次の選挙で追放しよう!

2016年02月17日 | 日本とわたし
これは、17日の参議院の憲法審査会で飛び出した発言です。
憲法審査会ですよ憲法審査会!
こんな認識を持つ人間が、憲法審査会のメンバーなんですよ!

これはあくまでもわたし個人の想像ですが、自民党議員の間では、考えられないような内容の会話が、日常茶飯事に、議員の間で交わされているのではないかと思うのです。
そうでないと、ここまで、しかも公の場で、当たり前のように、ツルリと口から出てくるはずがないと。
どれだけ閉鎖的で非常識な世界なんだろうと、恐ろしくなります。
一党独裁と世襲が、長々と続いた、長々と続けさせてしまった、一旦解除してもまた、選べるような党や人間がいないからと、選挙で戻してしまった。
そして、議員や政権が入れ替わっても、絶対に入れ替えさせられることのない制度に守られている官僚…。

この現実を、未来に続けさせてはいけません。


「日本が米国の51番目の州になれば、『日本州』出身者が大統領になる可能性が出てくる。
世界の中心で行動できる日本になりうる」

















呆れ果てついでに、これまで載っけるのもバカらしいと思っていた連中の大バカ発言を、まとめてくださったページがありましたので、ここでも紹介させていただきます。


自民党の惨状 ― 死語となった「選良」
【HUNTER】 2016年2月16日

自民党 安倍政権の閣僚による相次ぐ失言・暴言、果ては育休宣言した議員が自宅で不倫していたというのだから、納税者はたまったものではない。
劣化というより崩壊現象――税金で飯を食い、さらに政党交付金までせしめている連中の暴走に、国民の怒りは増すばかりだ。
 
安倍独裁政権の下、問題発言や不祥事を繰り返す、愚かな自民党議員たちの言動をまとめた。


無節操に無知、無自覚
口利き疑惑で経済再生担当相を辞任した甘利明衆院議員に続いて、自民党の政治家たちによる暴走が止まらない。
無節操な不倫に無知、傲慢。
当選2回のひよっこから閣僚まで、バカ丸出しの様相だ。
以下、税金泥棒たちの行状











不倫で辞職した宮崎氏も含めて、共通しているのは「驕りの姿勢」。
一強状態をいいことに、緊張感を欠いた結果がこの惨状である。
税金泥棒とは、まさにこの連中のこと
これで増税というのだから、国民は泣くにも泣けない。


相次ぐ暴言
自民党議員の暴走は、今に始まったことではない。
昨年6月、安部晋三首相に近い自民党議員が開いた勉強会で、井上貴博、大西英男、長尾敬の衆院議員3人が、言論封殺発言
礒崎陽輔総理大臣補佐官(当時)は、国家のためなら法的安定性など関係ないと断言し、世の批判を浴びた。



問題児はまだいる。
問題発覚後に自民党を離党しているが、武藤貴也衆院議員(滋賀4区。当選2回)は、安保法案への反対運動を主導した学生団体「SEALDs(シールズ)」について、
「彼ら彼女らの主張は『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく。
利己的個人主義がここまで蔓延したのは、戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ」
――。
この男のケースを含め、戦前の軍部を彷彿とさせる、最低レベルの暴言が相次いだのが昨年だった。


粗製乱造―「当選2回組」のお粗末さ
宮崎謙介、井上貴博、大西英男、長尾敬、武藤貴也の4人に共通しているのは「当選回数」。
いずれも、自民党が政権を奪回した、平成24年暮れの総選挙で初当選し、26年に再選された2回生
国会議員歴わずかに3年の陣笠組だが、もともと政治家としての資質・資格を欠いていたとしか思えない。
全選挙区での候補者擁立を優先した結果、風に乗って当選した素人以下の連中が、バッジを付けたということだ。
これは、民主党政権の時と同じ。
風向き次第で与野党の勢力図が大きく変わる小選挙区制が、「粗製乱造」を招くのは確かなようだ。

ちなみに丸川珠代、島尻安伊子、礒崎陽輔の参院組も当選2回
任期6年の参院で、政治経験を積んでいるはずだが、こちらも資質・資格に疑問符が付いた状況だ。
「選良」という言葉が、死語になりつつある

↑以上、転載おわり

↓おまけ

「日本が抜ければTPPは発効しません。年明けの国会が最後の勝負です」堤未果氏

2016年02月16日 | 日本とわたし
実際に身を置いて暮らしてみなければわからない問題、というものがあります。
アメリカに移住してからそろそろ16年。
いろんなことに驚いたり感心したりがっかりしたりしてきましたが、中でも健康保険の問題については、今なお、なんで?という気持ちが拭えません。
1%の支配を、強烈に感じるのです。
オバマケアというものが、やっとのやっとで始まって、ついにわたしたちにも春が来るかと期待していたのですが、
これから読んでいただく記事の中で、堤氏がおっしゃっているように、なんのこっちゃない、同じようなもんじゃん…な結果に終わってしまっています。
わたしたち夫婦ふたりだけの健康保険の支払い額は、月々10万円。
これでも少しだけ、安くにはなりました。
けれども、結局は、民間の保険会社が指定した病院や医師でないと、治療を頼むことはできません。
そして、パッケージにはいろいろな選択肢があるのですが、どれもこれもがややこしくて、これを移民家族の、あまり英語が堪能ではない家族が、書かれていることをちゃんと把握できるかどうか、非常に疑問です。
英語人の夫でさえ、自分たちに一番合いそうな、というか、コレにするしかないじゃないか、みたいな心持ちで選ぶ作業に、長い時間と手間がかかりましたから。
そしてやっとのことで選んだパッケージが、月々の支払いが10万円のもので、
もちろん、今までと同じく、歯と目の治療には保険が使えませんから、実費での支払いになります。
巷の噂で流れている、虫歯治療に何十万円というのは、実際の話です。
月々の支払いを10万円ぐらいまで下げるために選んだパッケージは、治療費が、例えば25万円を超過すると、その後の治療費は無料(または少額)にしてやるよ、というもので、
だから今年は、せっせと、一昨年からうるさく言われていた検査を、次から次へと受けました。
でも、残念ながら、その最低ラインには到達できず、結局、国から検査を受けるよう指定されているもの以外は、すべて実費になりました。
どんな状況でも、まず必ず行かなければならないのが、プライマリードクターといって、いわゆる一般的な診察をする医者のところです。
その病院に行くと、治療や検査の有る無しに関わらず、必ず窓口で、数千円(うちの場合は4000円)払わなくてはなりません。
症状を診た後、紹介してもらった専門の医者に行くと、もっと高くなります。
おかげさまで、夫もわたしも、これまで深刻な病気というものにかかったことがありません。
腎臓結石でとんでもなく痛い思いをしたことはありますが、薬を数日服用しただけで、後は夫の鍼治療で回復しました。
でも、その極限の痛みの中でも、救急車を呼ぶことを躊躇したこと。
救急医療には保険が利かないという、この恐ろしいシステムが、たくさんの人に痛みや苦しみを余計に与えているのです。
それだけではありません。
躊躇したがために、命を落としてしまった人もいます。
なんでそんなことに躊躇するのだ?と、疑問に思われるかもしれません。
でもそれは、日本の健康保険事情が、いかに恵まれているかの証です。

こんなくそったれな、すでにこの国ですっかり肥えている保険会社の、餌食になるようなことを許してはなりません。
議員にハッパをかけてください。
電話でも事務所の訪問でも、そしてファックスやメールでも、なんでもいいので翻訳して、読んで、討議しろ!と命じてください。

↓以下、転載はじめ

ジャーナリスト堤未果氏 「国民皆保険の切り崩しは始まっています」
【日刊ゲンダイ】2015年12月7日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/170925/1

臨時国会を拒否し、2日間の閉会中審査でTPP審議をはぐらかした安倍政権が、バラマキを始めた。
最も反対の声が大きい農林水産業界を黙らせ、国民が売国条約の全容を知る前に、承認に持ち込もうというハラなのだが、問題は農業だけじゃない
米国が狙う本丸は、医療分野だ。
その懸念を早くから訴えてきた、この国際ジャーナリストの堤未果氏は、
「国民皆保険制度の切り崩しはすでに始まっている」と、警鐘を鳴らす。


――10月に大筋合意したTPPの全文が、11月にようやく公表されました。

日本政府が作成した、30章97ページの「TPP協定の全章概要」は、かなりはしょっています
ニュージーランド政府の英文文書は、まったく同じ内容なのに598ページ
文書を含めた全体では、1500ページ超が215ページに縮められています
話になりません。


――日本政府が公開したのは、本当の意味の全文じゃないんですね。

私が取材している、医療や食品にとって重要な「知的財産章」「投資章」「透明性及び制度に関する規定章」は、138ページが21ページに圧縮されています

そもそも、TPPの正文(国際条約を確定する正式な条約文)は、英語、仏語、スペイン語
域内GDPで、米国に次ぐ経済力のある日本が入っていないことに、なぜ外務省は抗議しないんでしょう? 
「不都合な真実」を国民に知られまいと、外務省が正文扱いを断ったんじゃないか、という臆測まで広まっています。


――一般の国民が全容を知るのは、不可能に近いですね。国会議員でも怪しいところですが。

外務省は、英語正文を読み込める国会議員はいない、とタカをくくっているんです。
外務省が都合よく翻訳した「概要」をベースに、いくら審議を重ねても意味がない
いつものように、手のひらで転がされるだけです。


■TPPの正文翻訳を急がなければ安倍政権の思うツボ

――国会議員がしっかりしないとマズい。

正文に記された内容を、正確に把握した上で、問題点を追及しなければ、承認を急ぐ安倍政権の思うツボ
日本語の正文がない以上、外注でも何でもして、大至急翻訳する必要があります
法律には、巧妙な言い回しで、“地雷”を埋め込まれていますから、国際弁護士のチェックも欠かせません
適用範囲が拡大した、TPPの肝であるISD条項(国と投資家の間の紛争解決条項)は、すべての国会議員が目を通すべきですし、
厚労委に所属する先生だったら、食の安全と医療は最低限押さえるとか、それぞれの専門分野の正文を読むべきです。

こういう時のために、税金から政党助成金が配分されているんです。

30人の国会議員で、1章ずつ翻訳を頼めば、アッという間にできる作業でしょう。
臨時国会が召集されず、審議が本格化する年明けの通常国会まで、時間はあるんですから。


――正文の翻訳をHPなりSNSにアップしてくれれば、一般の国民も内容に触れやすくなります。

そうですね。
まずは全章翻訳ですが、TPPは、付属書と、日米並行協議などの内容をまとめた2国間交換文書の3つで1セット。
法律は、付帯文書に核心を仕込んでいることがままありますし、
TPP参加の入場券と引き換えに、日米並行協議で、非関税障壁を要求されています
ここで日本がのんだ「譲歩リスト」は、特にしっかり精査しなければなりません
TPPは、「1%VS99%の情報戦争」
時間との勝負なんです。



米国でTPPが批准されないという見通しは甘い

――「1%VS99%」とは、どういうことですか?

TPPは、「1%のクーデター」とも呼ばれています。
1%というのは、米国の多国籍企業や、企業の利益を追求するロビイスト、投資家やスーパーリッチ(超富裕層)のこと。
彼らの目的は、国から国家の機能を奪い、株式会社化して、効率良く利益を最大化することなんです。
民営化は、彼らをますます潤わせる手段です。

いま、米国で最も力のあるロビイストは、製薬業界
彼らが虎視眈々と狙っているのが、日本の医療分野で、30年前から自由化の圧力をかけてきた
TPPはその総仕上げなんです。


――中曽根政権時代ですね。

86年のMOSS協議(市場分野別個別協議)で、米国から、薬と医療機器の市場開放を求められたのが皮切りです。
その後も、対日年次改革要望書などで、
・混合医療の解禁や米保険会社の市場参入
・薬や医療機器の価格を決定する中医協に、米企業関係者の参加を要求するなど、
さまざまな注文を付けてきた。
TPPを批准したら、安倍首相の言う通りに、皆保険の仕組みは残りますが、確実に形骸化します
自己負担限度額を設けた高額療養費制度も、なし崩しになるでしょう。
米国民と、同じ苦しみを味わうことになってしまいます。


――米国では14年にオバマ大統領が皆保険を実施しましたが、そんなにヒドイ状況なんですか?

通称「オバマケア」は、社会保障の色合いが濃い日本の皆保険とは、似て非なる制度。
民間医療保険への加入を、義務付けられたのです。
日本では、収入に応じた保険料を支払い、健康保険証を提示すれば、誰でもどこでも病院で受診できる。
オバマケアは、健康状態によって掛け金が変動する、民間保険に強制加入させられる上、無加入者は罰金を科されます
オバマケアは、政府に入り込んだ、保険会社の重役が作った法律
保険会社は、リスクが上がるという口実で、保険料を引き上げ、プランごとにカバーできる医療サービスや処方薬を見直した
保険料は毎年値上がりするし、米国の薬価は製薬会社に決定権があるため、非常に高額
日本と同程度の医療サービスを受けられるのは、ひと握りの金持ちだけ
当初喝采していた政権びいきのNYタイムズまで、保険料や薬価が高騰した、と批判し始めました。


――盲腸の手術に200万円とか、タミフル1錠7万円というのは大げさな話じゃないんですね。

WHO(世界保健機関)のチャン事務局長も、TPPによる薬価高騰の懸念を示していますし、国境なき医師団も非難しています
「特許期間延長制度」「新薬のデータ保護期間ルール構築」「特許リンケージ制度」は、いずれも後発薬の発売を遅らせるものです。
製薬会社にとって新薬はドル箱です。
TPPによって、後発薬発売が、実質延長されるでしょう。
米国では、特許が切れたタイミングで後発薬を売り出そうとする会社に対し、新薬を持つ製薬会社が難癖をつけて、訴訟に持ち込む
裁判中は後発薬の発売ができませんから、引き延ばすほど、製薬会社にとってはオイシイんです。


■「TPPの実態は独占」

――HIVや肝炎などを抱える患者にとっては死活問題ですが、日本の薬価や診療報酬は中医協や厚労省が決定権を握っています。

TPPの「透明性の章」と関係するんですが、貿易条約で言う「透明性」は、利害関係者を決定プロセスに参加させる、という意味
米国は、小渕政権時代から、中医協に民間を入れろと迫っているんです。
TPPでそれを許せば、公共性や医療の正当性を軸にしている審査の場に、ビジネス論理が持ち込まれてしまう
グローバル製薬業界は、新薬の保険適用を縮小したり、公定価格との差額を政府に穴埋めさせるなどして、皆保険を残したまま高く売りつけたい
医療費がかさめば、民間保険に加入せざるを得なくなり、保険会社もニンマリですよ。

TPPが発効したら、政府は、医療費抑制のために、3つの選択肢を示すでしょう。
▽皆保険維持のために、薬価は全額自己負担
▽自己負担率を8割に引き上げ
▽診療報酬の引き下げ――。


診療報酬が下がれば、儲からない病院は潰れ医師は米国と同じように、利益を意識して患者を選ばざるを得なくなる
最終的に、シワ寄せは私たちにきます


――安倍政権が取り組む国家戦略特区で、大阪は、医療分野の規制緩和に向けて動き出しています。

大阪だけではすみません。
特区内に本社を置けば、特区外でも同様の医療サービスを展開できる。
事実上の自由診療解禁です。
マスコミは、TPPを、自由化というスタンスで報じていますが、TPPの実態は独占
国内産業保護のために規制していた、参加国のルールは自由化されますが、製薬会社などが持つ特許や知財権は、彼らの独占状態になる

1%の人々にとって、TPPは夢
ロビイストが米議会にバラまいた献金は、100億円を超えましたが、その何百倍もの恩恵を未来永劫得られるのですから、安い投資です。
米国でTPPが批准されない、という見通しは甘い
実現に向けて、彼らはさらに、札束をまくでしょう。
日本が抜ければ、TPPは発効しません
年明けの国会が最後の勝負です

▽つつみ・みか 
1971年、東京生まれ。
NY市立大学大学院修士号取得。国連、証券会社などに勤務。
「報道が教えてくれないアメリカ弱者革命」で、黒田清日本ジャーナリスト会議新人賞。
「ルポ 貧困大国アメリカ」で、日本エッセイスト・クラブ賞、新書大賞。
「政府は必ず嘘をつく」で、早稲田大学理事長賞。
近著に「沈みゆく大国 アメリカ」(2部作)。

『「戦争ができる国=主権国家』という等式しか脳内にはない安倍政権から、国を取り戻そう!

2016年02月16日 | 日本とわたし
今から8ヶ月も前の記事ですが、今こそ読まなければならないものだと思いました。
胴着を身につけた内田氏の後ろに、合気道の創始者である植芝盛平氏の写真を見つけて、ニンマリしました。
掲載にあたり、わたしの判断で文字の強調などをしたのですが、強調したい文章ばかりで、作業を終えてから、これならみんな一括して太字にすればよかった…などと思いました。

↓以下、転載はじめ

対米従属を通じて「戦争ができる国」へ
【BLOGOS】2015.06.22



ある月刊誌のインタビューで、安倍政権の進める安保法制についての所見を求められた。
「戦争ができる国」になることが、安倍首相にとって「主権国家」と等値されているというところに、現政権の倒錯があるということを縷々述べた。
いつもの話ではあるけれど、あまり目に触れる機会のない媒体なので、ここに再録。

──「安倍政権は対米従属を深めている」という批判があります。

内田 
先日、ある新聞社から、安倍政権と日米同盟と村山談話のそれぞれについて、100点満点で点をつけてくれという依頼がありました。
私は、「日米同盟に関する評点はつけられない」と回答しました。
日米同盟は、日本の政治にとって、所与の自然環境のようなものです。
私たちは、その「枠内」で思考することを、つねに強いられている
「井の中の蛙」に向かって、「お前の住んでいる井戸の適否について評点をつけろ」と言っても無理です。
「大海」がどんなものだか、誰も知らないんですから。

そもそも、日米が「同盟関係」にあるというのは、不正確な言い方です。
誰が何を言おうが、日本はアメリカの従属国です。
日米関係は、双務的な関係ではなく、宗主国と従属国の関係です。

現に、日本政府は、外交についても国防についても、エネルギーや食糧や医療についてさえ、重要政策を自己決定する権限を持たされていない
年次改革要望書や、日米合同委員会や、アーミテージ・ナイ・レポートなどを通じて、アメリカが要求してくる政策を、日本の統治者たちはひたすら忠実に実行してきた
その速度と効率が、日本国内におけるキャリア形成と同期している
つまり、アメリカの要求を、できる限り迅速かつ忠実に物質化できる政治家、官僚、学者、企業人、ジャーナリストたちだけが、国内の位階制の上位に就ける
そういう構造が70年かけて出来上がってしまった
アメリカの国益を最優先的に配慮できる人間しか、日本の統治システムの管理運営にかかわれない
そこまでわが国の統治構造は、硬直化してしまった
アメリカの許諾を得なければ、日本は重要政策を決定できない
しかし、日本の指導層は、アメリカから命じられて実施している政策を、あたかも自分の発意で、自己決定しているかのように見せかけようとする
アメリカの国益増大のために命じられた政策を、あたかも日本の国益のために自ら採択したものであるかのように取り繕っている
そのせいで、彼らの言うことは支離滅裂になる。
国として、一種の人格解離を病んでいるのが、今の日本です。


──いま、日本のナショナリズムは、近隣諸国との対立を煽る方向にだけ向かい、対米批判には向かいません。

内田 
世界のどこの国でも、国内に駐留している外国軍基地に対する反基地闘争の先頭に立っているのは、ナショナリストです。
ナショナリストが反基地闘争をしないで、基地奪還闘争を妨害しているのは日本だけです。
ですから、そういう人々を「ナショナリスト」と呼ぶのは、言葉の誤用です。
彼らは対米従属システムの補完勢力に過ぎません


──どうすれば、対米従属構造から脱却できるのでしょうか。

内田 
まず私たちは、「日本は主権国家でなく、政策決定のフリーハンドを持っていない従属国だ」という現実を、ストレートに認識するところから始めなければなりません
国家主権を回復するためには、「今は主権がない」という事実を認めるところから始めるしかない
病気を治すには、しっかりと病識を持つ必要があるのと同じです。
「日本は主権国家であり、すべての政策を自己決定している」という妄想から、まず覚める必要がある

戦後70年、日本の国家戦略は、「対米従属を通じての対米自立」というものでした。
これは、敗戦国、日占領国としては、必至の選択でした。
ことの良否をあげつらっても始まらない
それしか生きる道がなかったのです。

でも、対米従属は、あくまで一時的な迂回であって、最終目標は対米自立であるということは、統治にかかわる全員が了解していた
「面従腹背」を演じていたのです。

けれども、70年にわたって、「一時的迂回としての対米従属」を続けてるうちに、「対米従属技術に長けた人間たち」だけがエリート層を形成するようになってしまった
彼らにとっては、「対米自立」という長期的な国家目標は、すでにどうでもよいものになっている
それよりも、「対米従属」技術を洗練させることで、国内的なヒエラルヒーの上位を占めて、権力や威信や資産を増大させることの方が、優先的に配慮されるようになった

「対米従属を通じて自己利益を増大させようとする」人たちが、現代日本の統治システムを制御している

安倍首相が採択をめざす安保法制が、「アメリカの戦争に、日本が全面的にコミットすることを通じて、対米自立を果すための戦術的迂回である」というのなら、その理路はわからないではありません
アメリカ兵士の代わりに、自衛隊員の命を差し出す
その代わりにアメリカは、日本に対する支配を緩和しろ、日本の政策決定権を認めろ、基地を返還して国土を返せというのなら、良否は別として話の筋目は通っている

でも、安倍首相は、そんなことを要求する気はまったくありません
彼の最終ゴールは、「戦争ができる国になる」というところです。
それが最終目標です。
「国家主権の回復」という戦後日本の悲願は、彼においては、「戦争ができる国になること」にまで矮小化されてしまっている
「戦争ができる国=主権国家」という等式しか、彼らの脳内にはない
アメリカの軍事行動に、無批判に追随してゆくという誓約さえすれば、アメリカは、日本が「戦争ができる国」になることを認めてくれる
それが政府の言う、「安全保障環境の変化」という言葉の、実質的な意味です。

そこまでアメリカは、国力が低下しているということです。
もう「世界の警察官」を続けてゆくだけの、体力もモチベーションもない
けれども、産軍複合体という巨大なマシンが、アメリカ経済のエンジンの不可欠の一部である以上、戦争は止められない
でも、アメリカの青年たちを、グローバル企業の収益を高めるために戦場に送り出すことには、国民の厭戦気分が臨界点を超えつつある今はもう無理である。
だからアメリカは、「戦争はしたいけど、兵士は出したくない」という、「食べたいけど、痩せたい」的ジレンマのうちに引き裂かれている
そこに出て来たのが安倍政権である。
アメリカがこれまで受け持っていた軍事関係の、「汚れ仕事」をうちが引き受けよう、と自分から手を挙げてきた
アメリカの「下請け仕事」を引き受けるから、それと引き替えに、「戦争ができる国」になることを許可して欲しい
安倍政権はアメリカに、そういう取り引きを持ちかけたのです。

もちろんアメリカは、日本に軍事的フリーハンドを与える気はありません
アメリカの許諾の下での武力行使しか認めない
それは、アメリカにとっては当然のことです。
日本が、これまでの対米従属に加えて、軍事的にも対米追随する「完全な従属国」になった場合に限り、日本が「戦争ができる国」になることを許す
そういう条件です。

しかし、安倍首相の脳内では、「戦争ができる国こそが主権国家だ」「戦争ができる国になれば国家主権は回復されたと同じである」という奇怪な命題が成立している
自民党の政治家たちの相当数も、同じ妄想を脳内で育んでいる
そして、彼らは、「戦争ができる国」になることをアメリカに許可してもらうために、「これまで以上に徹底的な対米従属」を誓約したのです。
かつての日本の国家戦略は、「対米従属を通じて、対米自立を達成する」というものでしたが、
戦後70年後にいたって、ついに日本人は、「対米従属を徹底させることによって、対米従属を達成する」という、倒錯的な無限ループの中にはまりこんでしまったのです。
これは「対米自立」を悲願としてきた、戦後70年間の日本の国家目標を、放棄したに等しいことだと思います。


──どうして、これほどまでに対米従属が深まったのでしょうか。

内田 
吉田茂以来、歴代の自民党政権は、「短期的な対米従属」と「長期的な対米自立」という二つの政策目標を、同時に追求していました
そして、短期的対米従属という「一時の方便」は、たしかに効果的だった
敗戦後6年間、徹底的に対米従属をしたことへの見返りに、1951年に、日本はサンフランシスコ講和条約で、国際法上の主権を回復しました
その後、さらに20年間、アメリカの世界戦略を支持し続けた結果、1972年には、沖縄の施政権が返還されました
少なくともこの時期までは、対米従属には、主権の(部分的)回復、国土の(部分的)返還という「見返り」が、たしかに与えられた
その限りでは、「対米従属を通じての対米自立」という戦略は、実効的だったのです。

ところが、それ以降の対米従属は、まったく日本に実利をもたらしませんでした
沖縄返還以後43年間変わることなく、日本はアメリカの衛星国、従属国でした。
けれども、それに対する見返りは何もありません
ゼロです
沖縄の基地はもちろん、本土の横田、厚木などの米軍基地も、返還される気配もない
そもそも、「在留外国軍に撤収してもらって、国土を回復する」というアイディアそのものがもう、日本の指導層にはありません
アメリカと実際に戦った世代が政治家だった時代は、やむなく戦勝国アメリカに従属しはするが、一日も早く主権を回復したいという切実な意志があった
けれども、主権回復が遅れるにつれて、「主権のない国」で暮らすことが苦にならなくなってしまった
その世代の人たちが、今の日本の指導層を形成しているということです。


──日本が自立志向を持っていたのは、田中角栄首相までということですね。

内田 
田中角栄は1972年に、ニクソン・キッシンジャーの頭越しに、日中共同声明を発表しました。
これが、日本政府が、アメリカの許諾を得ないで、独自に重要な外交政策を決定した最後の事例だと思います。
この田中の独断について、キッシンジャー国務長官は、「絶対に許さない」と断言しました。
その結果はご存じの通りです。
アメリカはそのとき、日本の政府が独自判断で外交政策を決定した場合に、どういうペナルティを受けることになるかについて、はっきりとしたメッセージを送ったのです。


──田中の失脚を見て、政治家たちはアメリカの虎の尾を踏むことを恐れるようになってしまったということですか。

内田 
田中事件は、アメリカの逆鱗に触れると、今の日本でも事実上の「公職追放」が行われるという教訓を、日本の政治家や官僚に叩き込んだと思います。
それ以後では、小沢一郎と鳩山由紀夫が、相次いで「準・公職追放」的な処遇を受けました
二人とも、「対米自立」を改めて国家目標に掲げようとしたことを咎められたのです。
このときには政治家や官僚だけでなく、検察もメディアも一体となって、アメリカの意向を「忖度」して、彼らを引きずり下ろす統一行動に加担しました。


──内田さんは、1960年代に高まった日本の反米気運が衰退した背景に、アメリカの巧みな文化戦略があったと指摘しています。

内田 
占領時代にアメリカは、日本国民に対して、きわめて効果的な情報宣伝工作を展開し、みごとに日本の言論をコントロールしました
しかし、親米気運が醸成されたのは、単なる検閲や情報工作の成果とは言い切れないと思います。
アメリカ文化の中には、そのハードな政治的スタイルとは別に、ある種の「風通しのよさ」があります
それに日本人は惹きつけられたのだと思います。

戦後まず日本に入ってきたのは、ハリウッド映画であり、ジャズであり、ロックンロールであり、レイバンやジッポやキャデラックでしたけれど、これはまったく政治イデオロギーとは関係がない、生活文化です。
その魅力は、日本人の身体にも感性にも直接触れました
そういうアメリカの生活文化への「あこがれ」は、政治的に操作されたものではなく、自発的なものだったと思います。

同じことは、1970年代にも起こりました
大義なきベトナム戦争によって、アメリカの国際社会における評価は、最低レベルにまで低下していました。
日本でも、ベトナム反戦闘争によって、反米気運は亢進していた
けれども、70年代はじめには、反米気運は潮を引くように消滅しました。
それをもたらしたのは、アメリカ国内における「カウンター・カルチャー」の力だったと思います。

アメリカの若者たちは、ヒッピー・ムーブメントや「ラブ・アンド・ピース」といった反権力的価値を掲げて、政府の政策にはっきりと異を唱えました
アメリカの若者たちのこの「反権力の戦い」は、映画や音楽やファッションを通じて、世界中に広まりました
そして、結果的に、世界各地の反米の戦いの戦闘性は、アメリカの若者たちの発信するアメリカの「カウンター・カルチャー」の波によって、いくぶんかは緩和されてしまったと思います。
というのは、そのときに世界の人々は、「アメリカほど反権力的な文化が受容され、国民的支持を得ている国はない」という認識を抱くようになったからです。
「ソ連に比べたらずっとましだ」という評価を、無言のうちに誰しもが抱いた
ですから、東西冷戦が、最終的にアメリカの勝利で終わったのは、科学力や軍事力や外交力の差ではなく
「アメリカにはカウンター・カルチャーが棲息できるが、ソ連にはできない」という、文化的許容度の差ゆえだったと思います。

統治者の不道徳や無能を告発するメッセージを、「文化商品」として絶えず生産し、自由に流通させ、娯楽として消費できるような社会は、今のところ、世界広しといえどもアメリカしかありません
アメリカが、世界各地であれほどひどいことをしていたにもかかわらず、反米感情が臨界点に達することを防いでいるのは、
ハリウッドが、大統領やCIA長官を「悪役」にした映画を大量生産しているから
だと私は思っています。
アメリカの反権力文化ほど自国の統治者に対して辛辣なものは他国にありません。
右手がした悪事を左手が告発するという、このアメリカの「一人芝居的復元力」は、世界に類を見ないものです。
アメリカの国力の本質はここにある、と私は思っています。
これは、アメリカ政府が、意図的・政策的に実施している「文化政策」ではありません
国民全体が無意識的にコミットしている、壮大な「文化戦略」なのだと思います。


──長期的にアメリカの国力が低下しつつあるにもかかわらず、親米派はアメリカにしがみつこうとしています。

内田 
アメリカが覇権国のポジションから降りる時期が、いずれ来るでしょう。
その可能性は直視すべきです。
直近の例として、イギリスがあります。
20世紀の半ばまで、イギリスは、7つの海を支配する大帝国でしたが、1950年代から60年代にかけて、極めて短期間に一気に縮小してゆきました
植民地や委任統治領を次々と手放し、独立するに任せました
その結果、大英帝国はなくなりましたが、その後もイギリスは、国際社会における大国として生き延びることには成功しました
いまだにイギリスは、国連安保理の常任理事国であり、核保有国であり、政治的にも経済的にも文化的にも、世界的影響力を維持しています

60年代に、「英国病」ということがよく言われましたが、
世界帝国が一島国に縮減したことの影響を、経済活動が低迷し、社会に活気がなくなったという程度のことで済ませたイギリス人の手際に、私たちはむしろ驚嘆すべきでしょう。
大英帝国の縮小は、アングロ・サクソンにはおそらく、成功例として記憶されています
ですから、次にアメリカが、「パックス・アメリカーナ」体制を放棄するときには、イギリスの前例に倣うだろう、と私は思っています。
帝国が、その覇権を自ら放棄することなんかありえない、と思い込んでいる人がいますが、ローマ帝国以来すべての帝国は、ピークを迎えた後は必ず衰退してゆきました
そして、衰退するときの「手際の良さ」が、それから後のその国の運命を決定したのです。
ですから、「どうやって最小の被害、最少のコストで帝国のサイズを縮減するか?」を、アメリカのエリートたちは今、真剣に考えていると私は思います。

それと同時に、中国の台頭は避けられない趨勢です。
この流れは止めようがありません。
これから10年は、中国の政治的、経済的な影響力は、右肩上がりで拡大し続けるでしょう。
つまり、東アジア諸国は、「縮んで行くアメリカ」と「拡大する中国」という二人のプレイヤーを軸に、そのバランスの中でどう舵取りをするか、むずかしい外交を迫られることになります。
フィリピンはかつて、クラーク、スービックという巨大な米軍基地を、国内に置いていましたが、
その後、外国軍の国内駐留を認めないという憲法を制定して、米軍を撤収させました

けれども、その後、中国が南シナ海に進出してくると、再び米軍に戻ってくるように要請しています。
韓国も、国内の米軍基地の縮小や撤退を求めながら、米軍司令官の戦時統制権については、返還を延期しています。
つまり、北朝鮮と戦争が始まったときは、自動的にアメリカを戦闘に巻き込む仕組みを温存している、ということです。
どちらも中国とアメリカの両方を横目で睨みながら、ときに天秤にかけて、利用できるものは利用するというしたたかな外交を展開しています。

これからの東アジア諸国に求められるのは、そのようなクールでリアルな「合従連衡」型の外交技術でしょう。
残念ながら、今の日本の指導層には、そのような能力を備えた政治家も官僚もいないし、そのような実践知がなくてはならないと思っている人さえいない
そもそも、現実に何が起きているのか、日本という国のシステムがどのように構造化されていて、どう管理運営されているのかについてさえ、主題的には意識していない
それもこれも、「日本は主権国家ではない」という基本的な現実認識を、日本人自身が忌避しているからです。
自分が何ものであるのかを知らない国民に、適切な外交を展開することなどできるはずがありません
私たちはまず、
「日本はまだ主権国家ではない。
だから、主権を回復し、国土を回復するための気長な、多様な、忍耐づよい努力を続けるしかない」という、
基本的な認識を、国民的に共有するところから始めるしかない
でしょう。

こな雪とみぞれと引越しオバケと

2016年02月16日 | 家族とわたし
零下18℃などという、とんでもない寒さが続いた上に、今日はまたまた雪が降り、10センチぐらい積もったかと思ったらみぞれになった。



気温は零下のままだったけど、零下なりに少しずつ上昇してきて、今(夜中の12時)でやっと0℃になった。
そんな、誰もが外に出たり車を運転したりしたくない日に、次男くんとまなっちゃんが引越しの総仕上げにやって来た。
まずは、近所の、次男くんいわく、東海岸で一番美味いベトナム料理店!に行き、夫と彼らの3人が牛肉のフォを食べ、わたしは香辛料が苦手なので、別のライスヌードルスープを食べた。
揚げ春巻きと生春巻きも、仲間で注文して食べた。
うーん…次男くんではないけれど、やっぱりこの店は美味い!
近所に居てくれることがありがたい!
道路状況は既にかなりひどくなっていて、行き帰りの両方とも、タイヤが数回ツルッと滑った。

戻ってから、夫が特別に、若者好みにブレンドした豆を挽いたコーヒーをご馳走して一休み。
天気を心配して、今夜は諦めて電車で帰ったら?などと言う心配性の母親を尻目に、3階の3室全部、残っていた荷物を寄付するもの、捨てるもの、持ち帰るものに分け、部屋の掃除を済ませた。

車がまたまた荷物でぎゅうぎゅうになる。
引越しオバケの本領発揮。
本当に、どうしてこうも、運んでも運んでも運んでも、引越しというものは終わらないのだろう…。

公共の交通機関が便利に使える都会には、そもそも自家用車なんて必要無いし、駐車する場所を見つけるのに下手をすると2時間近くも彷徨わなければならない。
次男くんが乗っている車は、わたしたちが夫の父からのお下がりを貰い受けて乗っていた車で、そのまたお下がりなのだから走行距離はとんでもなく長い。
そしてなぜだか次男くんには、追突されるという事故が何回も起こり、なので外見は誰の目から見てもオンボロそのもの。
でも、次男くんもまなっちゃんも、別に気にすることもなく、ずっと今まで乗ってきた。
が、とうとうのとうとう、駐車場の確保はもちろん、保険や維持費もかかるし、もうそろそろ寿命もきている感じなので、手放すことにした。

ところが、この引越しがちゃんと終わらないことには、車を手放すことができない。
だから、こんな悪天候の横綱みたいな日でも、とにかく終わっちゃいたい!ということなのだろう。
心配だけどしょうがない、ほんっとに気をつけてねと念を押して、帰っていくふたりを見送った。

3階に上がると、すっからかんになった部屋が、ちょっと落ち着かない顔をして沈んでいた。
いろいろ楽しかったな…。
そんなこんなを思い出して、心がしんしんと寂しくなった。

でもまた会える。
今週の金曜日に、マンハッタンで行われる在外選挙イベントで。

などとぼそぼそ書いていたら、たった今、無事に着いたという連絡があった。
よかった…。
あの荷物をまた、ふたりでアパートの部屋まで運ぶのかと思うと気の毒になるけれど、独り立ち、いや、ふたり立ちするってこういうことだ。
頑張れ若者よ、いつだって応援してるからさ。

自民党独裁が生んだ原発事故で弱らされ、日米地位協定で縛り付けられ、TPPで地獄の底に叩き落される日本

2016年02月15日 | 日本とわたし
いろんなものが破壊されることになる、非常に恐ろしいTPP。

TPPとは
【とはサーチ】さんより
http://www.toha-search.com/keizai/tpp.htm

TPPとは、日本・米国を中心とした、環太平洋地域による経済連携協定(EPA)の略称のこと。
日本は、アベノミクスの政策の一環として、2013年7月より正式参加
2015年10月5日、日本の交渉参加から2年以上を経て、大筋合意に至る
これにより、5年程度をめどに、段階的に関税が撤廃されることが決まりました。
世界のGDPの4割を占める巨大経済圏の誕生により、貿易のルールのスタンダードとなることが期待されています。


▪️TPPのメリット・デメリット
様々な主張・意見・反論・異論があり、効果の試算についても学者間で開きがあるが、
概ね以下のようなメリット・デメリットが生じると推測されている。

・TPPのメリット
関税の撤廃により、肉・野菜・果物・乳製品などの輸入食品が安くなる
関税の引き下げにより、貿易の自由化が進み、日本製品の輸出額が増大する
整備・貿易障壁の撤廃により、大手製造業企業にとっては企業内貿易が効率化し、利益が増える
鎖国状態から脱し、グローバル化を加速させることにより、GDPが10年間で2.7兆円増加すると見積もられている


・TPPのデメリット
海外の安価な商品が流入することによって、デフレを引き起こす可能性がある
関税の撤廃により、米国などから安い農作物が流入し、日本の農業に大きなダメージを与える
食品添加物・遺伝子組み換え食品・残留農薬などの規制緩和により、食の安全が脅かされる
医療保険の自由化・混合診療の解禁により国保制度の圧迫や医療格差が広がりかねない


▪️TPPの問題点

・ISDS条項(ISD条項)
海外起業を保護するために、内国民待遇が適用される
これにより、当該企業・投資家が損失・不利益を被った場合、国内法を無視して、世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターに提訴することが可能
2013年11月6日、訴訟の乱発を防ぐことを条件に、合意に至る。

・ラチェット規定
ラチェット規定とは、一度自由化・規制緩和された条件は、当該国の不都合・不利益に関わらず、取り消すことができないという制度である。
2013年11月23日、日本を含む参加12カ国により、合意に至る。

・TPP離脱に対する訴訟リスク
TPPのルール上、離脱はいつでも可能とされるが、実際上は、海外企業からの莫大な損害賠償請求が予想され、TPP離脱は極めて困難と考えられる。



このようなものに参加しようとしている自民党政権。
では、彼らはこの、TPPというものの実態を、きちんと把握しているのでしょうか?
答は否!です。

どちらも古い記事ですが、どうしてもみなさんにお伝えしたくて、ずっとパソコンの画面に残してあったものを紹介します。

許していいのか TPP合意文書「日本語訳」がない驚愕
【日刊ゲンダイ】2015年12月3日

TPP大筋合意を受けて、安倍首相は、「攻めの農業に転換し、商品の輸出額を1兆円にする」などと吠えているが、
そんな中、とんでもない事実が明らかになった。
合意文書の全容が、日本語で公開されていないのである。
臨時国会も開かず、議論から逃げ回っているうえに、文書も翻訳しないとは、怠慢の極みというか、よほど後ろ暗いことがあるとしか思えない
「英語化は愚民化」(集英社新書)の著者で、九大准教授の施光恒氏は、「これぞ、TPP交渉の本質」と看破した。


■政治家は誰も読んでいない?

政府は、11月5日に、TPP合意文書の概要を公開しましたが、
2000ページに及ぶ正文(英語)の翻訳は、作成されていません
日本語に翻訳されたのは、わずか97ページの「概要」だけですが、正文も100人ぐらいの翻訳者を動員すれば、あっという間にできるはず。
やっていないのは、そもそも説明する気がないのでしょう。
大筋合意した以上、いまさら覆されたくない、内容に関して突っ込まれたくないのだと思います。

これだけ大量の英語の文書に、政治家が目を通しているとは思えません。
官僚だって、全容をきちんと把握している人はいるのだろうか。
だとしたら、検証も何もない。
これだけ重要、かつ広範な領域にわたる条約の正文を、英語のまま放置したうえに、臨時国会も開かないのですから、とんでもない話です。

農業分野では、各県のJAから、自民党の公約違反という声が噴出していますが、
農業以外の分野はどうなっているのか、ちっとも伝わってこない
合意事項は7年後に見直すといいますから、なおさら懸念は膨らみます。

たとえば、医療問題。
政府は、「国民皆保険は守る」と繰り返していますが、
TPP発効後、政府が薬価を取り仕切る今の制度は、障壁だといわれる可能性は否定できない
「医薬品の償還価格(日本では薬価)」の決定ルールについて、将来協議を行うことが、日米間の交換文書に記されているのです。

こうした懸念事項を、政治家、マスコミ、そしてもちろん一般市民が十分に議論して、TPPという条約を批准すべきか議論するのが民主主義です。
しかし、日本語訳がなければ始まりません
政治的に重要な文書を、英語のまま放置するのは、
英語の分かる「上級国民」だけが政治に参加する資格があり、英語の分からない「愚民」はつべこべ言うなと、
安倍政権が考えているからなのでしょう。

そもそも、大筋合意文書に日本語がない、ということもおかしいのです。
正文は英、仏、スペイン語だけ。
日本はTPP経済圏の中で、経済規模は2番目に大きいのですから、交渉過程で日本語も公用語にしろと主張するべきでした。

TPPでは、政府調達の入札手続きにも、英語での公示文書を作ることが、努力義務として課せられる
入札だけでなく、その後の行政手続きも、すべて英語との併用を義務付けられていくのでしょう。
こんなふうに、小さな自治体から霞が関まで、日本中が英語化されれば、参入してくる外資に対して、日本人は、国内でも競争や交渉に負けることになるでしょう。
日本の国力は地に落ちます
言語という問題ひとつとっても、TPPが、日本にとってロクでもないものであることがわかります。


ということで、当然こうなるわけです。
↓↓↓
岩城法相は答弁不能で立ち往生

岩城光英法相(66)が、TPPについて、全く理解していないことが明らかになった。

9日の衆院予算委員会で、外国企業と訴訟になった場合、国際機関と日本の最高裁判決のどちらが優先されるのか、野党議員に問われたが、答えられず、審議が度々ストップ。
岩城大臣はシドロモドロになりながら、
「どちらも有効。当事者が選択することも可能だ」と答えた。
竹下亘予算委員長も、
「答弁できますか?」と、呆れ顔だった。

8日の予算委でも、
「国際交渉だから法務省には答えられない」
「国内では最高裁判決が優先する」と、意味不明の答弁を連発していた。

国会でもっと、徹底的に、TPPの大筋合意文書や協定の内容そのものを、公にきちんと説明するよう要求し、実際にさせるべきです。
そしてそれの一部始終を、報道機関は伝えるべきです。

TPPの実の姿はコレ↓なんですから。

『サブプライム住宅ローン危機に端を発し、2008年のリーマン・ショックで深刻な不況に陥ったアメリカは、
2010年1月、5年間で海外輸出を二倍に増やすとする、輸出倍増計画を立ち上げ、
一般教書演説で、大統領バラク・オバマは公にした。
輸出促進関係閣僚会議が、この計画の為に纏めた報告書では、
「アメリカの経済的利益の増進を図る手段と輸出拡大のツールを生み出す」として、TPPの実現を明記している』

極寒の日曜日に『SELMA』を観て思ったこと

2016年02月14日 | ひとりごと
どえりゃ~寒いです。
零下も零下、0℉となりました。
℉で0ということは、℃ではマイナス18…。
運動をしたい夫は、それでも散歩に出かけて行きましたが、ただでさえ冬の間は家の中にこもりたいわたしは、今日とばかりにカウチの上でゴロゴロ。
せっかくのヴァレンタインズデーも、ここまで寒いと盛り上がりません…。

ということで、ずっと観たいと思っていた映画『SELMA』を観ました。


この映画は去年上映されたもので、アラバマ州の都市セルマで起きた流血事件が主題になっています。
その事件が起こったのは、1965年の3月7日。今から約51年前のことです。
夫が生まれた年で、わたしは8歳になろうとしていました。

ウィキペディアの説明に書き加えながら、『血の日曜日事件』の話を少し、ここに紹介したいと思います。

血の日曜日事件(1965年)
https://ja.wikipedia.org/wiki/血の日曜日事件_(1965年)

1965年の血の日曜日事件(ちのにちようびじけん)は、1965年3月7日に、アメリカの公民権運動中にアラバマ州の都市セルマで起きた流血事件。

詳細は「アフリカ系アメリカ人公民権運動」を参照。

1965年3月7日、525から600名ほどの公民権運動家達が、セルマを出発する。
セルマの人口の半数ほどの黒人達は、差別と脅迫により、有権者登録を妨害された。
同じ年の2月18日に、セルマの隣町のマリオンで行われた公民権運動デモ、といっても、ただ静かに行進しているだけの人々に、州警察が棍棒を振り回し襲いかかった。
警察官たちの暴力から逃れるため、喫茶店に避難していた黒人ジミー・リー・ジャクソンと彼の母親と祖父を見つけた警官は、
店の中に入るなり3人に殴りかかり、母親と祖父を守ろうとしたジミーに、殴る蹴るの暴行を与えた末、至近距離から発砲した。
ジミーは、その町のどの病院からも治療を拒まれ、セルマの町の病院に運び込まれたが、8日後の2月26日に、感染症のため死亡した。

3月7日のデモ隊は、州都モンゴメリーまで行進を続けることで、警官隊達が合衆国憲法違反をしたことをアピールしようとした。
キング牧師がセルマからモンゴメリーへのデモを組織したのは、有権者登録をした黒人達を、知事に保護させようとしたためである。
白人の知事は、そのデモ行進が、公共の秩序を乱す恐れがあるとしてこれを非難し、あらゆる手段を使ってデモの阻止を宣言。
選挙権を求めて行進する黒人の、極めて平和的な行進であったにも関わらず、待ち構えていた州兵やダラス群保安官たちは、報道機関の目の前で、非常に残酷な暴力を加えた。
彼らは、無抵抗のデモ隊に対して、こん棒(鉄条網を巻いていたものもあった)や催涙ガス、鞭などを使って襲いかかった。
逃げる人たちを馬で追いかけ、性別も年齢も問わず、無抵抗の黒人たちを攻撃した。
中には、瀕死の重傷を負った女性もいた。
ひどい傷を負い、血だらけで倒れる人々の残酷なシーンは、テレビで報道され、合衆国の公民権運動を後押しすることになった。

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これは、ほんの、夫の人生分だけ前の話なのです。
もっとわかりやすく言えば、夫の親の世代の人たちの話なのです。
当時、アメリカの南部ではまだ、黒人への差別が激しく行われていました。
セルマの町では、町の人口の半数以上が黒人が、半数以下の白人による差別と脅迫を受けていました。
セルマの町の人口は2万人。
この町はアラバマ川に面し、もともと綿花の積み出しなど内陸港として栄えた町です。
そして、黒人奴隷を供給する奴隷市の町としても有名でした。
1965年当時、町の黒人9,600人のうち、選挙権が得られたのはたった150人(1.6%)でした。
選挙権登録は、月に2日しか出来ず、黒人の行列が長くなると、係の役人はわざと、昼の休憩を長くしたりしました。
黒人は、有権者登録ができないままでいたのです。
投票ができなければ、自分たちの意思が政治の世界に反映されることは不可能であり、それはつまり、黒人を差別する環境を変えることもできません。
暴力には暴力を、という意見も少なくなかったのです。
そういう人々の怒り、恨み、焦りを、必死になって抑え、非暴力の行進へと導いていったキング牧師をはじめとする指導者や支援者の方々の苦しみ、恐れ、虚無感。
そして、どんどんとエスカレートしていく、州兵や警官隊の暴力のひどさ、醜さに、胸が押しつぶされそうになりました。

投票したい。
その願いのために、投票権を手にするために、ほんの50年前に、命がけで戦っていた黒人の人たち。
夫は、映画の途中でポツリと「恥ずかしい」とつぶやきました。
州兵や警官だけでなく、日常のありとあらゆる場面で、黒人を堂々と差別していた白人市民の姿を見てのつぶやきでした。
夫がそれを、同じ人種の人間として、恥ずかしいと思う気持ちはよくわかります。
でも、当時の、そして今も少数ではあっても、差別行為をしていた(いる)人たちは、何も悪いことをしていないと思っていた(いる)のだと思います。
黒人が奴隷だった時代には当然だった、「白人が黒人を管理する」という常識が、根強く頭に染み込んでいたのだし、
そういう社会が正しいと疑わない人たちの中で、そういうことはいけないことだ、などと声に出すことはきっと、とても難しかったでしょう。
このようなことは、アメリカに限らず、どんな社会でも、長く続いた、あるいはそうであることが快適だった常識やしきたりを変えるのは、容易なことではありません。


わたしが生まれた年にはもう、当たり前のようにあった選挙権。
でも、あまりにも当たり前過ぎたからか、それとも、学校や家庭での、選挙や政治についての真剣な教育や話が行われずにきたからか、
一党独裁の政治があまりにも長く続き過ぎ、さらには人の入れ替えも多くなく、世襲の人間や国内最大の右派組織のメンバーに、国会を牛耳られてしまいました。
そしてその70年の間に、世界でも有数の地震大国である国の領土に、原子力発電所などという、地面の揺れに非常に脆弱で、極めて深刻な放射能汚染を誘発するものが、次々と建てられてしまいました。
それでも2度だけ、国民の意思が強く反映された選挙で、社会党と民主党が政権を取りました。
ところがどちらの党も、政権を取った期間は、自民党のそれに比べると、非常に短かったのです。
なぜかどちらの時も、偶然なのか必然なのか、未曾有の巨大地震や津波、さらには原発の過酷事故にも襲われ、社会が非常に混乱しました。
いえ、今もなお、来月には事故から丸5年が経つというのに、事故の収拾の目処は立っていません。
作業をしておられる人たちの被ばく量は深刻なのに、生活環境も労働環境も劣悪です。

映画の中の、黙々と静かに、ただただ前に向かって歩き続ける人々の姿を見ているうちに、ある思いがふつふつと湧き上がってきました。

被ばく差別、基地差別、民族差別、貧困差別…。

それらに苦しめられている人たちがまず、その地から国の中心に向かって歩く。
一人ひとりが歩ける距離は限られているので、行進をバトンタッチしていく。
歩いている人は、伝えたいメッセージを文字や写真にして、関心の無い人、知らずにいる人に伝えていく。
そして、バトンタッチしていく間に、どんどんと人の数が増えていく。

インターネットがこれだけ普及している国だから、きっと実現できると思うのです。
日本が、差別に苦しむ人たちを我がことのように捉え、苦しみや悲しみを共有し、少しでも良い環境にと支えることができる大人でいっぱいになると思うのです。
そして、そのための手段として、政治参加を真剣に考え、投票できる権利をドブに捨てたりしない、未来への責任を果たせる大人でいっぱいになると思うのです。


国家神道復活を狙う神社本庁と、待望の安倍内閣による憲法・教育等の戦後の諸問題の総決算をしたい日本会議

2016年02月11日 | 日本とわたし
神社本庁「安倍応援団」の中核

改憲への意欲あらわ
政教分離の例外狙う




【東京新聞・こちら特報部】
道政治連盟の主張は、東京裁判の否定、教育勅語の賛美など、復古色が濃い。

神社は神道の宗教施設だが、戦前は『国家神道』の装置として機能した

国家神道とは何か
大阪大の子安宣邦名誉教授(日本思想史)は、
1889年(明治22年)に交付された大日本帝國憲法で、神道は祭祀体系として他の宗教とは区別され、憲法を超越した存在とされた
これが法制度としての国家神道の出発点だ」と語る。

1900年には、内務省に神社局が設置され、神社の社格の体系化や、まつり方の統一などが実施された。

「それまでの神道は、私生活の安泰などを願う素朴な信仰だったが、
国家神道は、天皇への忠誠を核に、日本を神聖な国と規定し、国教化により、戦前の全体主義を支える基盤となった

『皇軍』を動員する装置であり、その機能は、子安氏もじかに目撃した。
「兄が出征する際、近所の神社に詣でてあいさつした。
中国で戦死した後は、靖国神社に『英霊としてまつられた』。
これらを正当化する仕組みが、国家神道だ」

敗戦後、連合国軍総司令部(GHQ)は、国家神道が日本の全体主義の根源と見なし
1945年12月の神道司令で、国家神道を廃止した
さらに日本国憲法は、戦前の反省から、20条で政教分離を定めた

戦後、大半の神社は、宗教法人・神社本庁の包括下に置かれた
靖国神社が、独立した別の宗教法人として、今日まで存続してきた。

形の上では、政教分離が図られているように見えるが、子安氏は、
「GHQも、その元凶までは排除できなかった」と語る。
日本人は、自ら戦争責任を追及しきれず、国家神道を支えた軍人や官僚、学者、神社関係者などは、戦争責任を免れた。
その後、彼らは再び、国家とかかわりたいという願望を持ち続けてきた


実際、靖国神社を戦前同様、国家管理しようとする法案は、69年以降、自民党から5回にわたり、提出された(いずれも廃案)

だが、こうした動きに対し、戦前を知る市民たちからの抵抗も強く、神道行事への公費支出を市議らが問題視した、津地鎮祭訴訟(原告側の敗訴)、
県が、靖国神社への玉串料を、公費から支出したことを批判した、愛媛玉ぐし料訴訟(原告側の勝訴)などが相次いだ。
歴代首相の靖国公式参拝をめぐる訴訟も続いてきた

だが、戦争体験のある人びとが減ってきた現在はどうか。
子安氏は、
国内でナショナリズムが高まり、戦後の歴史観を書き換えようとする、安倍首相らが登場したことで、
国家神道を復活させよう、という動きが表立ってきた
」と警戒する。

具体的には、自民党が、12年に発表した改憲草案でも、国や地方自治体による宗教行為を禁じた20条3項に、
ただし、社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りではない
との一文が追加されている。

神道を、政教分離の例外にしようという主張は、戦前と同じだ」(子安氏)

千葉大の小林正弥教授(政治哲学)は、安保関連法をめぐる議論で、政府に異を唱えた宗教者らの存在を挙げ、
「宗教団体である神社本庁が、政治的な活動を行うこと自体は否定しない」と述べる一方、
宗教としての神道と、現政権の方針との矛盾を指摘する。

日本の神々を敬う神道に対し、現政権は、米国や資本を重視する『親米』『新自由主義』の色合いが濃い。
だが、それでも神社本庁が改憲を求める理由について、小林教授は、
過去の国家神道への強い批判に対する反動がある」とみる。
「だが、神道が再び国家と結びつけば、戦前のように、政治の道具として、国民を戦争に動員するスローガンとして使われるだろう」


デスクメモ

国家神道の復活などというと、「まさか」と言われそうだ。
だが、現実味を帯びてきた改憲にしても、約4年前には、妄想に近い扱いだった。
まして、推進する日本会議の原型は、1978年に結成された、元号法制化実現国民会議だ。
つまり、40年弱の潜伏期間を経ての今日である。
その『本気』は、決して侮れない。(牧)


↑以上、書き起こしおわり



というわけで、今朝見つけたこの方の体験談をぜひ、続けて読んでください。

↓以下、転載はじめ

日本会議から勧誘の電話がかかってきたのでやりとりを全公開!
安倍首相を絶賛、結婚を戸主の許可制にすべきと、トンデモ主張

【LITERA】2016.02.11
http://lite-ra.com/2016/02/post-1967.html

「もしもし、日本会議です」
 
2月9日、ライターAの携帯電話に突然、知らない番号からコールがあった。
出てみると、相手はこう名乗ったという。
 
本サイトの読者にはおなじみだと思うが、「日本会議」とは、日本最大の右派政治団体
下部組織の「日本会議国会議員懇談会」には、安倍晋三首相をはじめ、現内閣のほとんどの閣僚が参加しており
英紙「The Economist」や仏誌「L'Obs」などの海外メディアからも、その戦前回帰的思想の危険性を指摘される、極右団体だ。
 
いったい、何事かとおもったら、有料会員のお誘いだった。
実は昨年11月、Aは、日本武道館で開催されたある集会に、本サイトの記者と一緒に参加していた。
それは、「今こそ憲法改正を!1万人大会」という、安倍首相もビデオメッセージを寄せ、改憲への意気込み語った大規模集会だ。
同大会の主催は、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」なる団体で、Aは、同会HPの応募フォームから、電話番号や住所などの個人情報を記入していた。

「電話を受けるまで気に留めなかったのですが、前日には、自宅にA3サイズの封筒が届いていました。
差し出し人は日本会議事務総局で、“去年の11月の改憲集会の参加の御礼と、日本会議ご入会のご案内”とありましたから、個人情報を流用したのでしょう。
しかし、直接電話までしてくるとは驚きました」
 
Aは、「ちょっと面白そうなので」、会話を録音しておいた。
聞いてみたら、なかなか香ばしいやりとりしていたので、ここに公開したい。
できるかぎり忠実なかたちで再現するために、註釈を入れる場合はカッコで表しているので、ご了承いただきたい。


日本会議 
その節は、(「1万人大会」に)どうもご参加ありがとうございました。
日本会議は常日頃、尖閣諸島をはじめとした日本の領土を、なんとしても守りながらですね、
戦後最大の課題であります憲法改正と、教育の正常化という問題に、全力で取り組んでるんですがね。

A 
あの、ちょっと、すみません。
今お話されている方は日本会議の…?

日本会議 
事務局でございます。

A 
職員のかたですか?

日本会議 
ええ。あの、この度、待望の安倍内閣によりましてね、これら憲法、教育等の戦後の諸問題の総決算したいというので、日本会議は全力で取り組んでるんですがね。
Aさんには、安倍内閣による憲法、教育、領土に対するこの取り組みをですね、どのようにご覧になってますか?

A 
僕個人がですか? 
それはあの…。

日本会議 
私は、この安倍内閣で憲法改正が実現しませんでしたらね、日本はまた、4、50年間できないんじゃないかと思っております。

A 
な、なぜですか。

日本会議 
それらしき人材がいない、というところでございます。
少なくとも、私は、戦後70年というとてつもない長い時間をかけてね、憲法が議論の俎上にあがったのは今回が初めてだと思います。
まあ、歴史的にいえば、岸内閣のときにちょっとはでましたけどね。
これもすぐ終わってしまいました。
それから、中曽根内閣のときにちょっと憲法議論がでましたけれども、これも終わりました。
すくなくともこれで、3年4年にわたって憲法を改正しようという内閣は、今回が初めてだと思いますね。

A 
はあ。あの、それだけ安倍内閣を、日本会議は評価しているということなんですか。

日本会議 
評価していますね。

A 
歴代内閣のなかで一番、日本会議の悲願にマッチしている、というふうに考えているんですか。

日本会議 
一番マッチしているというよりも、初めてマッチしたということでしょうね。
いままで議論にならなかったわけですよ。
一応いま議題にあがってきていますよね。
それは、戦後70年経過して、初めての現象だと思います。
いままでにはございません。


以上は録音の冒頭部分にあたり、電話口の人物が、日本会議を名乗った直後のやりとりである。
日本会議が安倍内閣を絶賛し、この機を逃すものかと力を込めているのがわかる。
しかし、その後の通話では、日本会議は、最終的目標を「自主憲法制定」としながらも、具体的に憲法のどの部分を変えるべきなのかについては、説明を曖昧にする


A 
僕もその、憲法改正の大会に興味があったので、参加したんですけども、
日本会議さんの憲法改正の一番の目玉っていうのは、やっぱり第1条(天皇条項)なんですか?

日本会議 
最終的にはね、日本の国にふさわしい自主憲法を制定すべきだと思います。

A 
前文も含めて?

日本会議 
前文も含めて
ただね、いまの安倍内閣で全部それができるかといったら、なかなかそうはいかないですよ。
したがいまして、いますぐに目指すのはですね、たとえば98条ですかね、
(衆参での憲法改正の国民投票発議を)3分の2条項を、2分の1にするとかですね。

A 
98でしたっけ、96でしたっけ?(実際には憲法96条

日本会議 
それから、あー、緊急事態条項を加味するとかね。
いうようなところがまず、それも個々の問題ですけれども、いまの安倍内閣にまず期待したいところはですね、
70年間開かずの扉の憲法を、開けるというところに意味がある
と思います。
これは開かずの扉で、錆びついてるんですよ。
世界中にこんなものはありませんわね。
 

日本会議による「自主憲法制定」への“戦略”が、見事なまでに、これまでの安倍首相の発言と一致していることがわかる。
実際、その後のやりとりのなかでは、Aが、
日本会議としてもとりあえず、憲法を変えてみるというところで、国民のアレルギーといいますか、拒否反応をなくしていこうということですか」と聞いているのだが、
これに対し日本会議は、
「そういうことですね」とあっさりと認めている。
“お試し改憲”の先に、日本会議が目指すものは何か
通話記録からは、そのひとつとして、“家父長制の復活”が垣間見れた。


日本会議 
あの結局ね、教育を本当の意味で正常化しようと思ったら、憲法を改正しないと正常化できないんですよ。
尖閣をはじめ、国を守ろうということになれば、いまの憲法のままでは守れないと思います。
だから、憲法に行き着くんですよ。
たとえばいま、少子化という問題がありますよね。
これだって憲法に行き着きますよ! 
結婚は両性の合意のみでできるなんてことはね、そもそもこれはね、日本の国にふさわしくないですわね。
その考え方の条文のなかにはね、先祖とか一族とか同族とかという家族といいますかね、そういう思想が抜けてしまったわけですよ。
たとえばね、私はそれに戻れとは言いませんけども、戦前はですね、戸主の認可が必要だったわけです。
両性の合意だけでは結婚できなかったんです。

A 
ああ、戸籍の主、ようするにお父さんとかですよね。

日本会議 
そう、いわばお父さんです。
ですが、いま、戦後はですね、お父さんが反対しようと叔父さんが反対しようと、誰が反対しようと、二人だけがいいって言えば、結婚できるようになっちゃったわけですよ。
だから、そういうものがね、いきつく先が、いまの「結婚をしようがしまいが自由じゃないか」と。
「子供なんか産もうが産ままいが自由じゃないか」と。
自由、自由、自由に基づいて、みんな楽を求めてですね、少子化につながってしまった

A 
はあ、なるほど……。
個人的には少子化に関しては、いろいろ経済や福祉の問題が非常に大きいと思うんですけど、まあそれはさておき、
ようするに、そういった、父権的な明治のような戸籍制度が、日本会議としては復活すべきだと、憲法に織り込むべきだと考えているわけですか?

日本会議 
というよりも、家族というものをね、バラバラにしちゃったのが、いまの憲法のなかには、そういう精神があるわけですよ。
マッカーサーの考えでしょうね。
日本を弱体化して、またアメリカに歯向かうようなことがないためにはですね、家族が強固なもので結ばれていたんじゃあそうはいかないということで。
家族解体ですね。

 

日本会議は、こうした主張をひとしきりぶった後、Aに、
このような日本会議の運動にご賛同いただけたらですね、是非、会員としてご協力をお願いしたい」と要請した。

通話時に、日本会議は、会員の種類と年間費などについても説明。
一番低額なのが、機関誌「日本の息吹」の事実上の定期購読コースである3800円の「支援会員」、
続いて、バッジが贈呈される1万円の「正会員」、
3万円の「維持会員」(正会員とはバッジの色が異なる)、
10万円の「篤志会員」(同)などがある。
電話での説明によれば、「支援会員」の3800円は、「日本の息吹」1年分の実費であるらしく、他の会員の差額分を活動費に充てているという。
その際、こうした電話勧誘は、少なくとも、「今こそ憲法改正を!1万人大会」に参加した、非会員全員を対象に行っていると説明。
そこで、Aは、1万人大会と日本会議の関係を聞いてみた。


A 
確認なんですけど、あの集会って、美しい憲法をっていうあれ(=「美しい日本の憲法をつくる国民の会」)で。
いま、電話をいたただいているということは、あれは日本会議が、実際には事務局となってやっているということなんですか。

日本会議 
そういうことですね。
ただ、あえてそういうもの(=別の名称)をつけたのはですね、憲法改正というものはもっと幅広く訴えたいんですわね。
そのために、美しい日本の憲法をつくる会というのを組織したわけです。
 

さらに、この日本会議の職員は、本日2月11日に、明治神宮で開催される集会についても、勧誘してきたという。


日本会議 
明後日(11日)の建国記念日にですね、これの中央集会というのは、明治神宮でやりますよ。

A 
それは日本会議がやるんですか。

日本会議 
いや違いますよ。

A 
どこがやるんですか。

日本会議 
日本の建国をお祝いする会(=「日本の建国を祝う会」)っていうのがあるんだと思いますね、たしか。
場所は、明治神宮のなんとか会館ですよ。

A 
それには日本会議は関係しているんですか?

日本会議 
あのー…応援してますね。職員を派遣したりとかしてね。

A 
じゃあ、この前の1万人大会と同じような感じで。

日本会議 
そうです、そうです。

A 
つまり、違う名前だけど、日本会議も全面的にバックアップしていると。

日本会議 
そうですね。毎年やってます


日本会議は、通話の終わり際にも、この建国記念日の集会の正式名称や、開催の時間帯を伝えていた。
実際、本サイトが調べてみると、日本会議のHP上にて、「建国記念の日奉祝中央式典」の概要と参加を促す旨が、アナウンスされていた
しかも、こうした集会は、東京都・明治神宮をはじめ、北は北海道から南は鹿児島まで、全国約40箇所で同時開催される予定となっている。
主催や連絡先はまちまちだが、日本会議の地方本部、または支部の名が、記載されているケースも少なくない。
その内容は、予定されている講演者の顔ぶれを見れば、想像に難くないだろう。
以下、ほんの一例をあげる。

●東京都 「建国記念の日奉祝中央式典」……山谷えりこ参議院議員、八木秀次氏(麗澤大学教授)、石平氏(評論家)/主催・日本の建国を祝う会
●北海道 「建国記念の日奉祝道民の集い」……小川榮太郎氏(文藝評論家)/主催・日本会議北海道本部
●大阪府 「建国記念の日をお祝いする府民の集い」……安本寿久氏(産経新聞編集委員)/共催・日本会議大阪、美しい日本の憲法をつくる大阪府民の会
●福岡県久留米市 「日本の建国をお祝いする市民の集い」……門田隆将氏(ノンフィクション作家)/連絡先・日本会議福岡県南支部
 
日本会議側の発言とあわせると、あらためて、日本会議が、右派の全国運動において、中心的役割を果たしていることがわかる。
しかも、今日の建国記念日に行われる日本会議の集会の多くは、入場無料や事前予約不要のようだが、
おそらく改憲の署名活動なども、同時に行われる可能性が高い
 
そうしたものにうっかり個人情報を書き込むと、今回のAのように、ある日突然、日本会議から電話がかかってくることになるだろう。
 
日本会議のダミー団体である、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」HPでは、個人情報の取り扱いについて、こう記載されている。

〈当会の活動を通じて得た個人情報は、当会からの連絡、当会の業務改善のためのアンケート等の送付、当会が主催・共催・後援するシンポジウム・フォーラム等のご案内、当会が発行する刊行物、その他の情報・資料等の発送、当会WEBサイトのコンテンツ制作の参考等に利用し、利用目的の範囲内で適切に取り扱います〉
 
どう考えても、この「当会」とは、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のことであって、日本会議ではないはずだが、
しかし、連中は、この“グレーな勧誘手法”について少しも悪びれないどころか、会員にすることで活動費を捻出しようとしているわけだ。
 
改憲論議が盛り上がりを見せる昨今、読者諸賢はどうか、こうした日本会議によるダミー団体を使ったオルグにひっかからないよう、くれぐれも注意してもらいたい
(編集部)

『命』より『国』が大切だという狂気に巻き込まれそうになっている日本の人たちに→『戦争のつくりかた』

2016年02月11日 | 日本とわたし
「戦後70年間、直接は戦争に関わってこなかったこの国は、これまでより遥かに、「戦争ができる国」「戦争をする国」に近づいてしまっているかもしれません」

これは、新たに戦争の悲しみと不条理を繰り返してはならないと考えた、日本の映像・アニメーション作家たちが、「戦争のつくりかた」という絵本を短編映画にしたものです。

↓以下、文字起こしはじめ




戦争のつくりかた
What happens before WAR?



あなたは、戦争がどういうものか、知っていますか?

おじいさんやおばあさんから、昔のことを聞いたことがあるかもしれません。


学校の先生が、戦争の話をしてくれたかもしれません。


話に聞いたことは無くても、テレビで戦争をしている国を見たことならあるでしょう。


わたしたちの国は、70年近く前に、戦争しないと決めました。




だからあなたは、戦争のために何かをしたことがありません。


でも、国の仕組みや決まりを少しずつ変えていけば、戦争しないと決めた国も、戦争できる国になります。






その間には、例えばこんなことが起こります。


わたしたちの国を守るだけだった自衛隊が、武器を持ってよその国に出かけるようになります。


世界の平和を守るため、戦争で困っている人々を助けるため、と言って。


攻められそうだと思ったら、先にこっちから攻める、とも言うようになります。


戦争のことは、ほんの何人かの政府の人たちで決めていい、という決まりを作ります。


他の人には、「戦争することにしたよ」、と言います。


時間が無ければ、後で。



政府が戦争するとか、戦争するかもしれないと決めると、テレビやラジオや新聞は、政府が発表した通りのことを言うようになります。




政府に都合の悪いことは言わない、という決まりも作ります。



みんなで、普段から戦争の時のための練習をします。
なんか変だなーって思っても、「どうして?」と聞けません。
聞けるような感じじゃありません。



学校では、いい国民は何をしなければならないか、を教わります。


どんな国やどんな人が悪者か、も教わります。


町のあちこちに、カメラが付けられます。


いい国民では無い人を見つけるために。


わたしたちもお互いを見張ります。
いい国民ではない人が周りに居ないかと。


誰かのことを、いい国民では無い人かもと思ったら、おまわりさんに知らせます。


おまわりさんは、いい国民では無いかもしれない人を捕まえます。





戦争が起こったり、起こりそうな時は、お店の品物や、あなたの家や土地を、軍隊が自由に使える、という決まりを作ります。


いろんな人が、軍隊の仕事を手伝う、という決まりも。


例えば、飛行機のパイロット、お医者さん、看護師さん、トラックの運転手さん、ガソリンスタンドの人、建設会社の人などです。





戦争には、お金がたくさんかかります。


そこで政府は、税金を増やしたり、わたしたちの暮らしのために使うはずのお金を減らしたり、わたしたちからも借りたりしてお金を集めます。



味方の国が戦争をする時には、お金をあげたりもします。



わたしたちの国の憲法は、戦争しないと決めています。


憲法は、政府がやるべきことと、やってはいけないことをわたしたちが決めた、国の大本の決まりです。


戦争をしたい人たちには、都合の悪い決まりです。


そこで、わたしたちの国は、戦争に参加できると、憲法を書き換えます。


さあ、これで、わたしたちの国は、戦争できる国になりました。



政府が戦争すると決めたら、あなたは、国のために命を捨てることができます。


政府が、「これは国際貢献だ」と言えば、あなたは、そのために命を捨てることができます。




戦争で人を殺すこともできます。


おとうさんやおかあさんや、学校の友だちや先生や、近所の人たちが、戦争のために死んでも、悲しむことはありません。




政府は褒めてくれます。


いいことをしたのですから。


国や、国際貢献のために。


人の命が、世の中で一番大切だと、今まで教わってきたのは、間違いになりました。


一番大切なのは、国、になったのです。





もしあなたが、そんなのはいやだと思ったら、お願いがあります。


ここで見たことが、ひとつでも起こっていると気づいたら、大人たちに言ってください。


「たいへんだよ、なんとかしようよ」と。


大人は、忙しいとか言って、こういうことになかなか気づこうとしませんから。



わたしたちは、未来を創り出すことができます。


戦争しない方法を、選び取ることも。



↑以上、文字起こしおわり



みなさま、『戦争のつくりかた』という絵本を知っていますか?

Hello all,
Are you familiar with a book called What Happens Before War?


これは2004年、この国が戦争へと近づいていくのではないかと気づいた人たちによっ­て制作された「絵本」です。

This is a picture book produced in 2004 by a group of people who had the realization that Japan might be headed toward war.


しかし、この絵本をいま開くと、驚くべきことに、いまの日本や私たちの日常はその絵本­に描かれている「戦争へと導かれていく国」の姿へと日々近づいているように思えます。


終戦70周年を迎えた2015年、新たに戦争の悲しみと不条理を繰り返してはならない­と考えた私たちは、この物語を広く伝えるためにアニメーション映像化しようと考えまし­た。

2015 marked the 70th year since World War II came to an end. We thought the sorrow and absurdity of war must not be repeated and decided to make this picture book into an animation piece in order to make the story known to a wide audience.


3.11の東日本大震災とそれにまつわる福島原発事故をきっかけに立ち上げられた映像­作家やアーティストたちの集団「NOddIN(ノディン)」が中心となって、日本の数­多くのアニメーション作家と共に「絵本の言葉をリレー形式でアニメーション化する」と­いう自主制作のプロジェクトが始動し、構想期間を含めのべ1年以上の制作期間を経てこ­の短編映画を完成することができました。

“NOddIN” (pronounced NOddIN) is a collective launched by filmmakers and artists in the wake of the 3.11 Great East Japan Earthquake and related Fukushima nuclear power plant accident. With the cooperation of a large number of Japanese animation artists, we spearheaded this self-production with the aim to animate the words of the book round-robin style, and our collaborative project was begun. After over a year of production including the conception period, we completed our short film.


私たち日本に住む国民は、約70年、直接には戦争を経験していない国の中で生きてきま­した。しかしこのまま行けば、次の世代が戦争を経験することになってしまうかもしれな­い。
戦争を知らない世代が、自分たちの都合や責任感の無さによって、次の世代に戦争を押し­付けてしまうことになるかもしれないのです。


Those of us residing in Japan have lived for the past 70 years in a country with no direct experience of war. If we continue on the way we have been heading, however, the next generation may end up having to experience it. A generation with no knowledge of war themselves may, by their own convenience or through lacking a sense of responsibility, end up pushing it onto the generation following them.


わたしたちはそれぞれに、いろんな立場があります。

We each have our own standpoint.


でも、どんなに政治的な議論をしても、それぞれの解釈を持ってしても、「戦争をしては­ならない」という想いだけは、誰もが疑いなくイエス!と言えるものであると思っていま­す。

However we might debate it politically, though, and whatever interpretations we might hold, our belief is that the thought we can all say YES! to without question is: “We must not go to war.”


憲法で戦争を放棄すると決めた国、日本。
大きな犠牲のもとに築かれたこの平和な70年という遺産を、次の世代にきちんと手渡し­できるかは、
私たちひとりひとりが一歩を踏み出せるかどうかにゆだねられているのです­。


The legacy of these 70 years of peace ― of Japan, this country that made the choice to renounce war constitutionally ― was built on great sacrifice. Whether or not that legacy can be passed on to the next generation will depend on the ability of each of us to make a step toward that end.


この作品に協力してくれた数多くの人々に感謝を込めて。
そして、この物語が、多くの人の心に触れ、平和の礎の一つになることを願って。


With gratitude to the many people who collaborated with us on this, and in the hope that this story might touch the hearts of many to become a foundation stone for peace,


2015年10月2日
チーム 一同

The NOddIN team
October 2, 2015


戦争のつくりかた特設サイト
http://noddin.jp/war/

NOddIN HP
http://noddin.jp

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お~い、海外在留邦人のみんな、投票率2.7%(あっちゃ~!)の汚名を晴らそうぜぃ!

2016年02月10日 | 日本とわたし
本日2月10日から今夏参院選在外投票暫定最終日まで残り144日!
衆院選はもっと早いかも!


で、すごくタイムリーなイベントのお知らせです!
イベントの日時は2月19日、金曜日の夜7時です!
めんどっちぃと有名な在外選挙人登録を、総領事館からの手続き出張サービスで済ませちゃえる上に、山本太郎議員のビデオメッセージも聞けるという!
そしてそして、在外選挙制度の実現に奮闘してくださった竹永浩之氏の講演と質疑応答まであるという、てんこ盛り過ぎのイベントです!

18才以上の国民全員に与えられた参政権。
日本国憲法の第三章で、「国民の権利及び義務」について記されています。

その中の第十五条では、次のように規定されています。
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第十五条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。
選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問はれない。

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我々国民に、憲法が保障してくれた基本的人権のひとつ。
それが「参政権」であり、「選挙権」です。
しかし「主権在民」の原則から見て、自らの主権を行使することは、自らが自らに課す義務とも言えるのではないでしょうか。
もちろん、あくまでも、個人それぞれの「自発的な義務感」であり、何が何でもという類のものではありません。
自分が政治と関わる。政治とつながる。
これがまだ、何か特別なことだと感じている人が少なくありません。
でも、ちょっとだけ、数分でもいいので、自分の生活と政治の関わりに思いを馳せてみてください。
わたしたちに課せられた物事の多くは、いったい誰がどのようにして決めたのでしょうか?
政治を自分の身に置いて考えない人が多くなれば多くなるほど、政治は悪党たちに利用され、本当にとんでもない世の中が作られていってしまいます。
もう十分にとんでもない世の中ですが、せめてこれ以上悪い方に進まないよう、できればマシな方に修正できるよう、

投票しましょう!



海外在住でも、日本の選挙に投票できるということを、皆さんはご存知でしょうか?

海外在留邦人126万人のうち、推定12%しか在外選挙人登録をしておらず、投票率に至っては、全体のわずか2.7%です。
これはとてももったいないことです。
この少なさは、在外投票に必要不可欠な在外選挙人登録が、複雑で面倒だと言うのが、理由の一つに挙げられると思います。

この在外選挙人証が皆さんのお手元に届くのは、申請してから約3ヶ月後
今夏7月に予定されている参院選に在外投票するためには、すぐ申請手続きを始めなければなりません

では、何が面倒なのでしょうか?

1番面倒なのは、総領事館への申請書提出だと思います。
申請書提出は、郵送などは出来ず、領事館の開館時間内に、直接赴き提出しなければいけないのです。
平日の9時から5時まで…これでは会社員の方は行けません

そこで、今回私共は、この複雑な申請手続きのお手伝いが出来たらと思い、このイベントの開催を決定しました

なんと、午後7時から1時間、ニューヨーク総領事館の方が会場で、手続きの出張サービスをしてくれます!
お仕事帰りでも間に合います。
ついでに、ご家族の分も代理申請出来ちゃいます!

申請用紙をダウンロードして、ご自宅で記入していただいても良いですし、
会場に申請用紙を用意しておきますので、来場してからの記入でも大丈夫です。
その際、在外選挙に熟知したスタッフが、皆様のお手伝いを致します。



持参するもの等の詳細は、下記ブログを参照ください。
「在外選挙に行こう!」
http://zaigaisenkyo.blogspot.com/2016/01/lets-go_30.html


▪️当日持参するもの
http://zaigaisenkyo.blogspot.com/2016/01/lets-go_30.html

基本は、パスポートと記入済みの申請用紙ですが、
VISAの申請関係でパスポートがお手元に無い方や、代理申請の場合は、用意するものが変わりますので、こちらを参照ください。

申請書類ですが、ご自宅で記入後に、持参して頂くこともできます。
もちろん会場で、スタッフの手伝いのもと、記入する事も出来るので、ご安心ください。

こんなチャンスは滅多に無いことなので、是非会場に足をお運びくださいね。

但し、ニューヨーク総領事館の来場は、申請者が10名以上集まった場合のみになります。
申請者名簿を、2月15日までに提出しなければならないので、申請ご希望の方はお早めに、下記メールアドレス又は、コメント欄にてご連絡ください
折り返し連絡させていただきます。

また、ゲストスピーカーとして、海外有権者ネットワークNY(JOVNY)共同代表の竹永浩之氏に、
・在外投票制度成立までの簡単な説明
・在外投票制度の基本情報
・現在の在外投票制度が抱える問題点
について話して頂き、皆様のいろいろなご質問にお答えいたします。


OVERSEAs NY 「Let's go 在外選挙!」
https://www.facebook.com/events/1029267313782826/permalink/1029285537114337/

-詳細-

*日時: 
2月19日の在外選挙イベントは、2部構成になっております。
在外選挙人登録済みの方は、第2部からの参加でも大歓迎です。

2月19日金曜日 午後7時から午後9時 (開場 午後6時45分)
第1部 19:00~ (在外選挙人登録申請会)
第2部 19:40~ (有権者ネットワークNY共同代表竹永氏講演、山本太郎参議院議員ビデオメッセージ)
第2部から参加希望の方は、午後7時半までにご来場ください。

*場所: 
CRS
http://www.crsny.org/ja
123 4th Ave, 2nd FL, New York, NY 10003
TEL:212-677-8621

*主催: 
OVERSEAs NY

*ゲストスピーカー: 
海外有権者ネットワークNY共同代表・竹永浩之氏

*推奨寄付 :
一人10ドル(会場費、チラシ等経費)---当日現金でお支払いください。

*要予約


*ゲストスピーカー・竹永浩之氏プロフィール
熊本県八代市出身。
琉球大学海洋学科中退後、沖縄で素潜り漁師。
その後、アジアを放浪して、92年NYに。
93年10月から、在外選挙制度実現の運動を開始。
98年4月に、同法案が成立。
海外有権者ネットワークNY共同代表。
新聞社勤務を経て、現在男児2人を育てる主夫。
NJ在住。


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