ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「被ばく検査は不安をあおる」からと、検査をせずに有耶無耶にする⇒原発マフィアお得意の常套手段!

2014年03月13日 | 日本とわたし
文字制限のため、前回の記事『3.11・報道ステーション/子どもが甲状腺がんに… 母が苦悩の告白「甲状腺がん増加は4~5年後」チェルノブイリの“知見”検証』の続きの部分を、
ここに分けて転載させていただきます。
きーこさん、本当に、本当に、お疲れさまでした。ありがとうございます!

「不安あおる」と県に止められた、甲状腺初期被ばく調査・3/11報道ステーション(内容書き出し)

■「不安あおる」
止められた調査


福島県で見つかった甲状腺癌は、事故と関係あるのか?
だが、その検証に必要な、初期の内部被ばくのデータが、決定的に不足していた。


■被ばく検査「不安あおる」
データ不足 国・県の責任は?


国会の、事故調査委員会の委員だった崎山氏は、行政による初期の検査体制を、厳しく指摘する。


元原発事故調査委員会委員 崎山比早子氏:
一生懸命やろうと思えばできたはずなのに、それを止める力が働いた



原子力災害対策本部では2011年3月
飯舘村など、3つの自治体で、1080人の子どもに対して、甲状腺の被ばく調査を行っている。
あくまで簡易的な検査だったが、比較的被ばく線量の高い子どもが、3人見つかったのだ。
基準値は下回っていたものの、原子力安全委員会は、甲状腺モニターを使った詳しい検査をするよう助言



しかし、対策本部は検査を行わなかった
なぜなのか?

これは、当時、対策本部から、原子力安全委員会に送られた文書。


詳しい検査をしない理由について、

甲状腺モニターは、相当の重量物(約1トン)であり、その移動が困難である。
このような追跡調査を行う事が、本人、家族、及び地域社会に、多大な不安・いわれなき差別を与える恐れがある。



崎山氏:
常套手段ですよ。
いつもそうじゃないですか。
なにかの時に「やらない」という事の言い訳に、「不安を与えるから」ということを言うわけですよ。
きちんとちゃんと測ってもらった方が、不安はないんですよ。


国の動きとは別に、震災直後から福島に入り、放射線の影響を調べた研究者がいた。
弘前大学の床次(とこなみ)眞司教授だ。


弘前大学被ばく医療総合研究所 床次眞司教授:
まず、その初期の状況下で、住民の人達は、果たしてどれだけ被ばくしたのか?という事を知ろうと思いました。


甲状腺がんの原因となる、放射性ヨウ素の半減期は8日
物質が消える前の、早期の被ばく検査が重要だ。
床次教授は、浪江町などで調査を始めた。


しかし、横やりが入る
福島県の担当者からストップがかけられた
のだ。


床次教授:
そこは「もうやめてくれ」、という事だったです。
「これ以上やらないでくれ」と。
要は、人に関する事についてはやっぱり、「不安をあおる」というようなね、
そういったところ(行政)の協力がなければ、それ以上、これ以上勝手にやるわけにはいかないです。

こうして、貴重なデータを得る機会は失われた

崎山氏:
放射性ヨウ素の被ばく線量が分かっていないという事は
たとえばがんが出来ても、それが「放射線の影響ですよ」とも言えないし、「そうじゃない」とも言えない。
なんの根拠もない、という事です。


当時の放射線検査をめぐる異様な空気を、床次教授は覚えている。

床次教授:
なんか知らないですけど、その、静かだったんですよ。
静寂だったんですよ、研究者の世界で。
本来、普通だったら、甲状腺検査をやらなければいけないのは分かっているはずなんですけど、
誰も何も言わなかったんですよ、それを。
おかしいな」って思ったんですけど、その雰囲気が。


福島県は床次教授にストップをかけたのか?
県に聞いた。

Q:床次さんがおっしゃるには、調査を県側から止められたという事で、


福島県県民健康管理課 小谷尚克主幹:
私としては、「そこを止めたという話はない」というふうに聞いて、あの、聞いていますというか、あの…そうですね…。

その福島県こそが、様々な問題が指摘される甲状腺検査を、県立医大と二人三脚で進めてきた。



県による健康調査の問題点を取材してきた、毎日新聞の日野記者は、こう語る。


毎日新聞社会部 日野行介記者:
私が着目したのは、その(県による)情報の管理ですよね。
非常に、情報の公開度が低いというレベルではない程の、情報の管理。
自分たちで情報を独占して、評価は全部、自分たちでやる。


Q:独占することによって、何が得られるんでしょうか?

日野記者:
それはもう、「被ばくの影響はやはりない」という事を前提にする。
で、結論を付けられる、という事が可能になるのだと思います、このシステムだと。


Q:放射線の影響事態を、出来るだけ少なく見せようということが、
なにかしら命題としてあってやってらっしゃるという指摘については、どうお考えになりますか?


小谷主幹:
そういう批判があることも承知しているんですが、
わたくしどもにとって、そういうふうにする事が何のメリットもないという事は、あの、理解していただきたいなというふうには思います。


しかし日野記者は、県の目指すものについて、こう指摘する。

日野記者:
最近、住民の帰還、避難指示解除、もしくは自主避難も含めた部分でですね、
住民の帰還という事が、議論になっているんですけど、
人口減少を防ぐ、もしくはその先にある産業復興。
福島県が産業を立て直すという事以外に、(目的は)多分ない
と思うんですね。


原発事故から3年。
先の見えない日々を過ごしてきた、福島の人達。
放射能の影響とどう向き合うのか?
その答えもいまだ見えていない。


古舘:
恵村さん、ご覧になって、どういうご意見をお持ちになりますか?


恵村:
「被ばくで甲状腺がんになるには、何年もかかる」という通説ですよね。
これに、私自身が捕らわれていたなという事に、VTRであらためて気付かされました。
で、3つの事を思ったんですね。
ひとつは、被ばくによる子どもの甲状腺への影響について、
私たち、人間がですね、知っている事ってあまりにも少ない、という事なんですね。
広島・長崎では、十分な測定はしなかったでしょうし、チェルノブイリでは、何年も測定が遅れたし、
今回福島では、国や県が初期の検査ですね、これをやらなかったりさせなかったりという事が、VTRに紹介がありましたけれども、
ま、そういうことですよね。
それは極めて残念なことです。
それから、乏しい知見で判断すれば、間違える可能性というのは、常にあるわけですから、
今も福島で、「違う病院で検査がしにくい」という事が現状であればですね、
それは直ちに是正していただきたい、ということですね。

二つ目は、被災者が100人おられれば、100通りの悩みがある、という事なんですね。
しかもその悩みというのは、長ーく続いていく訳で、
国や県と医学会、それから学校もですね、可能な限り、一人一人の思いに添った検査とか治療とかですね、それから心のケアですね、
みていただきたいという事があります。

それから三つ目は、原発がひとたび事故を起こせばですね、本当に多くの人に苦労を背負わせるという、原発の罪深さですね。
原発再稼働というものに対する、根本的な疑問にもつながってくると思います。


古舘:
あの…、お子さんが癌になられたお母さんに取材して、つくづく思いましたのは、みんな、周りの方も悩んで苦しい。
だけど、さっきの毎日新聞の記者の方がおっしゃっていたように、
産業振興も含めて、前向きにやらなきゃってなった時
お子さんが癌になってこんなに悩んでいるっていう方に対して、人間っていうのは、無理解が始まってしまう
そして、家族の中で、お母さんが孤立していく
放射能っていうのは恵村さん、人間関係にひびを入れますね

恵村:
そうですね……分断を招いてしまいますよね、暮らしや心に。

古舘:
この件はですね、ここで終わる話では到底ありません。

ーーおわりーー

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
記事に感謝しております (ひょうたん)
2014-03-15 10:45:57
記事を読むことができ、感謝しております。原発に対する思いが薄れつつある今、三年間で変わったこと、変わっていないことの多さに気づかされました。私は九州の人ですが、“関心を失うことも罪”なのだと反省します。何か自分にできることを、この記事を読めたことでバトンを引き継ぎたいと思います。
「番組を切られても本望」 (sarah)
2014-03-15 11:03:32
古舘伊知郎氏は「抹殺」されないだろうか・・・、心配です。

http://financegreenwatch.org/jp/?p=42041
ひょうたんさんへ (まうみ)
2014-03-16 04:19:14
こちらこそ、読んでくださり、ありがとうございました。
記事として、文字起こしはもちろんのこと、ビデオが削除されることを踏まえ、画像まで残してまとめてくださるきーこさんの、労力を惜しまない情熱には、本当に胸が熱くなります。
ありがた過ぎて言葉にならないぐらいです。

ひょうたんさんが気づかれたこと、行動しようと思われたこと、本当にすばらしいと思います。
でも、無理をしないで、できることからでいいと思います。
つながっていきましょう!
sarahちゃんへ (まうみ)
2014-03-16 04:22:49
あの告白をした時と今では、少し事情も違うと思うし、ああやって伏線を張ることで、彼も自分の身を守ろうとしていると思っています。

実際に、彼がどうこうというのではなく、彼の周りを傷つけたり脅かすのが、原発マフィアの常套手段なので、どちらかというと、わたしはその方々の方が心配です。

いずれにせよ、けれどもそういうふうなことを、文字にしたり口にしたりすることが、そういう物事を呼ぶという場合もあるので、極力考えない、イメージしないようにもしています。

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