水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんです。小出さん、こんばんは」
小出「こんばんは」
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水野「小出さんはアメリカに行ってらした、というふうに聞いております。
3.11以降、データのある場所にいておきたいんだ。とおっしゃっておりましたけど、
1年少し経って、やっとアメリカに、まあ招かれていたのを、行けるようになられたんだと思うんですが。
あちらで、まあいろんなかたともお会いになったでしょう、1番、印象に強く残ったのはどんなことでしたですか」
小出「えー、私は、米国という国が大嫌いなんです」
で、行きたくなかったのですけれども、まあ、あの、米国に行ってみても、やはりそこに生きてる人は、みんな、おんなじ人間だと。
朝起きて、ご飯を食べて、子供を育てて、みんな苦労をしながら生きてる人が、そこにいるということを、改めて思いました、はい」
水野「うん…この日本の放射能については、あちらの方々どんな見方をして、いらっしゃいますか」
小出「はい。えー、それはですね、事故が起きてから、日本の政府、マスコミが、様々な情報を流してきたわけですけれども。
その情報が、世界で流されている情報と乖離があった、と思います。
で、世界の方々は、日本政府が流している情報を、どんどん信じることができなくなってきたと、いうことになっていて。
いったいホントは、どうなのかということで、大変困っておられたんだなと、いうことを改めて思いました」
水野「はあ…。アメリカのほうが、より、実態に近いものを、伝えていたんですか?」
小出「そうですね。え…事故が進行していた時に、ま、人類が初めて経験するような事故だった、わけで。
どんなふうに、この事故が進展するか、わからない。
わからないまま、例えば、原子炉建屋が爆発していく、というようなことがあったわけで。
大変みんな、不安に思っていた、のですね。
その時に、日本の政府は、ただただ大丈夫だ、大したことがない、というような情報を流し続けていたわけですが。
もちろん、そんなことはないわけで、みんな世界中が不安に思っていた。
そして米国にしても、50マイル以内の米国人は全部逃げろ、という指示を出していたわけで。
そういう世界での認識と、日本での情報の流れ方が違っていた、ということは、大変まあ、皆さんに対して、重荷を負わせたんだと思います」
水野「はあ。シカゴでも、講演なさったと聞いてますけれども」
このシカゴという街は、原子力にとっては、歴史的な場所なんですってね」
小出「そうです。米国が、ナチスに対抗して、原爆を作らなければいけないと決意をしまして。
その原爆を作るためには、原子炉を作らなければいけないと、まず思いました。
みなさんは、日本の皆さんは、原子炉というと原子力発電と思うかもしれませんが、
もともと原子炉というのは、原爆の材料にするプルトニウムを、どうやって作ることができるか、ということで作られたものなのです」
水野「ああ、もともと、電力を作るために考えだされたものではない」
小出「はい」
水野「はあ、兵器のための、プルトニウムを生成するための原子炉」
小出「そうでした。はい。で…その人類初の原子炉が動いたのが、シカゴ大学の、フットボール場があったのですが、
その観客席の下に、ちょっとした巨大な空間がありまして。
そこで初めて、原子炉が動き出したという、そういう歴史があった街です」
水野「はあ……。じゃあ、そこで取り出されたプルトニウムが、結局は、原爆として使われたことになるわけですよね」
小出「はい。ただあの、シカゴ大学でできた原子炉は、いわゆるおもちゃのような原子炉で。
ようするに、原子炉というものができるかどうかという、そのことすらわからなかった、わけで。
ようやく、原子炉が動くということが、そこで分かった。
そこであの、後は、プルトニウムを作るための原子炉は、ワシントン州のハンフォードというところに、巨大な原子炉を作って、初めて取り出すことができました」
水野「はあ。原子力が、どういう形でこの世に存在し始めたかっていう歴史を見ると、それは戦争だったってことですね」
小出「そうです。それで、私にとってはまあ、自分が歩み始めた原点なわけですから、一度は行ってみたいと思っていました」
水野「はあ。そこで、どんなメッセージを送られたんですか」
小出「はい。まああの、日本というこの国が今、福島原子力発電所の事故に直面しているわけですが、
それがどういう内容なのかということと、日本というこの国が、どのように原子力に関わってきてしまったかっていうことを聞いていただいて。
やはり、原子力は放棄すべきだ、という話を聞いて頂きました」
水野「さて、帰ってこられたら大阪で、今、注目されている問題の1つがですね、瓦礫の処理です」
これにつきまして、大阪府と大阪市が、震災瓦礫をですね、此花区にある人工の島であります夢島で、焼却した灰を埋め立てて処分する、という方針を固めた模様です。
この、焼却した灰を埋め立てる、ということについて、どうお感じですか」
小出「やってはいけません」
水野「ふうむ、これは、小出さんはやってはいけないと、おっしゃっていたんですが……、
でももう、環境省と、最終調整に入った模様なんです。
で、具体的な方法を、環境省が、いくつか提示しております。
え……1つずつ、どういう意味なのか教えていただきたいんですが」
小出「はい」
水野「まず1つが、焼却灰を処分地に『直接』埋め立てる。これはどうですか?」
小出「いけません」
水野「……まったくいけません?」
小出「はい!」
水野「はい、では…『セメントで固めた灰』を埋め立てるこれはどうですか」
小出「いけません」
水野「なんでセメントで固めてもダメなんですか?」
小出「放射性物質というのは、発生した現場に、とことん閉じ込める、ということが原則であって。
もともと福島のもの、福島、あるいは汚染地のものを、大阪に持ってくるという、そのこと自身がいけないのです、やっては。
はい。で、やってはいけないし、出てきたその、焼却灰というものは、放射性物質を濃縮していますので、
それを、それぞれのとこで受け入れるなんてことを、引き受けてはいけないのです。
元のあった場所に戻して、一括して、責任をもってお守りをする、ということをやらなければいけないのです」
どんな形でも受け入れてはいけません」
水野「灰は受け入れてはいけない」
小出「はい」
水野「どんな形でも駄目だとおっしゃいましたが」
小出「はい」
水野「今の案でですね、セメントで固めるのはコスト的に高いから、1番有力だと見られているのは、『ゼオライトを使う』案だそうです。
これは、放射性セシウムを吸着させる……ゼオライトをまず敷いて、その上に、灰を埋め立てるという案です」
小出「はい。あの、何がしかは効果がもちろんあります。
ゼオライトには、セシウムが吸着するという性質がありますので、何がしかは効果があるし、
セメントに固めてしまえば、セメントが崩れ落ちるまでは、何がしかの効果があります。
しかし、本当は、だからそんなことはやってはいけない。
原理・原則ということは、やはり今、考えていただきたいと私は思うし。
本来であれば…それぞれの場所に焼却施設を作って、そこで焼くということを、政府にやらせなければいけないのです。
なんでそれをやらせないままに、それぞれに自治体が、安易に引き受けてしまうのか、私にはまずそれがわかりません」
水野「ふうーん。確かですね、2月頃でしたか、大阪維新の会の方たちが、小出さんのところに大勢で出向かわれて」
小出「そうです」
水野「この瓦礫の処理の話、聞かれたんじゃないんですか?」
小出「そうです。
あの、私はその時にも、今聞いていただいたように、原則は、現地でちゃんと処理をして、焼却施設を作って、そこで焼くことだと私は聞いて頂きましたし。
でも、今のような無策な政府がある限りは、仕方がないから、全国の施設で引き受ける」
水野「焼くことについてはですね、引き受けるとしても」
小出「はい。焼く可能性はある、と言いましたし、焼く場合も、ちゃんと、環境に放射性物質をばらまかないような、フィルターをきちっと付けなければいけない。
そして、出てきた焼却灰は、現地に返さなければいけないと、いって、維新の会の人たちにもう、本当にあの、何度も何度も言ったつもりです」
水野「皆さん、反応いかがでした?」
小出「ええ、まあ、私がいた場所では、みなさん聞いて下さっていた、ようでしたけれども。
え…今のような結末になるのだとすれば、何を聞いて下さっていたのかなと、思います」
水野「近藤さ~ん、いかがですか」
近藤「うーん。それは、先生が言っている意見が通らなかったというのは、
大阪の、維新の会の人たちをコントロールする、もっと偉い人が、そういう考え方だっちゅうことなんですかねえ」
小出「多分そうだと思います」
近藤「うーん……」
水野「そうですか。もう、ゼオライトで幾分かは効果はあるけれども。
まあ、抜本的なところの考え方が、方向性が違うというふうな、小出さんのお考えですよね」
小出「そうです」
水野「うーん。このまま行ってしまうんでしょうか。大阪府と市は国と調整をしているようです。どうもありがとうございました」
小出「ありがとうございました」
水野「京都大学原子炉実験所助教、小出裕章さんに伺いました」
(文字起こし、ここまで)→文字起こしでは、会話上の、うなづきや返事を省略しています。
2月に小出氏のとこに、大勢で押しかけてった『大阪維新の会』の方々は、いったい何しに行かはったん?
今は5月で、これまでの3ヵ月の間に、何しはったん?
焼却場の整備?
ちゃんと、環境に放射性物質をばらまかないような(そんなもんがあるとは思わんけど)フィルターを、きちっと付けたん?
普通のもん燃やすんとちゃうねんし、そらもうぎょうさんお勉強しはったんやろから、手分けしてあちこち駆け回らはったんやろね。
ほんで、出てきてしもた焼却灰を、埋め立てんと現地に返すっていうのはどないなってんの?
此花区にある人工の島って……此花区に住んでたから知ってるけど、そんなとこに埋め立ててどないすんの?
わざわざ時間とってもろて話を聞きに行ったんやろ?
その専門家が、「絶対にやったらあかん」て、それもなんべんもなんべんも言わはったん、無視してどうすんの?
ただのパフォーマンスやったんかいな?
空っぽの、お得意の、目立ちさえしたらええねんなんでもって思て行っただけなん?
大阪はもっと、賢い人がぎょうさん住んでるとこやと思てた。
勉強やのうて、生きる上でどうしても必要なことについては、間違うた選択をせん人が多いと思てた。
言いたいこと言うし、やりたいことやる。
ウソのお愛想はせえへんし、おもろいこと好き。
そら、わたしも、みんながみんなとは思てへん。
いろんな人がいはるんやから。
けど、ここ最近特に、大阪はかっこ悪いわ。
おもろないわ。
オウム真理教の、なんやごちゃごちゃ派手なことやってた、初期の頃を思い出してしまうのはなんでやろ……。
ちょっと昨日の夜中から体調を崩し、今日の今までパソコンの画面を見るのがしんどかったんでした!
なんぼでもどうぞどうぞ。
ここの記事は、好きな時に持ってってください。
五郎さんの記事、軽いタッチで書いてはるけど、実は深いやん……と、かなりハマってしもてます。
これからもよろしゅうに!
ぼくの「おちゃらけブログ」にコメントを頂きまして、恐縮です。
いきなりですが、この小出さんのラジオ番組の文字おこしのエントリーをぼくのブログで転載(引用)したいんですが、よろしいでしょうか?
なお、引用元の掲載は困る…ということでしたら、掲載は致しませんので、その点についても、お手数ですがお聞かせ下されば幸いです。