ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

クウカイの災難

2015年04月23日 | 家族とわたし
葉桜になる直前のポンちゃん。




レイチェルからもらったカボチャの赤ちゃん。


そして…、

大変な思いをしている空ちゃんと海ちゃん。




去勢手術を受けてから、丸一週間が経ちました。
手術の二日後の朝に、二匹ともに、とても良いウンチをしたことに喜んだのも束の間、
それ以降ずっと、ずっとずっと、24時間、二匹の看病(といっても良いと思う)をしています。
カラーをつけた空ちゃんを海ちゃんが、海ちゃんを空ちゃんが、どうも認識できないようで、なかなか近づかなかったのですが、
三日目の午後になってようやく、ここまで近づけるようになりました。


なぜだかチャイルドポーズをしている海ちゃん。


それをボーッと見ている空ちゃん。


そしてその日の夕方、とうとうこんなにくっついているのを見て、嬉しいやらホッとしたやら。


元の二匹に戻ったみたいで、夫もわたしもそぉーっと近づいてってニヤニヤ。





ここからのお話は、彼らの排出物についてのことが多いので、苦手な方や食事中の方は、ご自身の判断で読んでいただけたらと思います。

手術後、それまでどちらかというと軟便だった空ちゃんの便が、少し固めになって安心していたら、
海ちゃんのそれが、日が経つにつれてどんどん崩れていって、ついには血が混じり始めました。
1日に何度も何度もするので、夜中といえども放っておけず、空ちゃんと数日隔離して、下の世話を続けていました。

食欲も元気も少しずつなくなってきて、しかも全身をブルブルと震えさせ始めたのでいよいよ心配になり、手術を受けたクリニックに連れて行ったのが水曜日、
電話をしたその日に診察をしてくれるというので、とてもありがたかったのですが、避妊手術を専門にしているクリニックなので、手術が終わるまでかなり待たなければなりません。
海ちゃんにとっては、これまでで一番怖い思いをしたばかりのところです。
シーツを被せたキャリーの中で縮こまっている彼に、網越しに精一杯の愛を送りつつ、やっぱりここで手術を受けたのは失敗だったかなあ…などと後悔していました。

何十匹もの手術を終えたばかりで疲れ切っておられるだろうに、先生はとても丁寧に診察をしてくださいました。
ひとまず、脱水症状になっていないし、腎臓の状態も良いし、熱も無い。
もしも、以前寄生虫の問題を持ったことがある仔なら、それがまだ完全に解決しておらず、手術の影響で復活してしまったという可能性が考えられる。
との診断を受けました。
そしてなんと、傷の治りが順調なので、カラーを外しましょうとおっしゃったのです?!
え?え?10日間は外してはいけないっていうことだったのに…いいんですか~?
「先生、海はもちろん大喜びすると思いますけれども、家で留守番をしている空はきっと、なんで僕は?って怒ると思います」
「普段から喧嘩とかしますか?」
「全般的には仲良しだと思いますが、遊びが高じて引っ掻きあいや噛み合いになることも少なくありません」
「うーん…じゃあ、空くんも2日後に取り外すということで、それまでは二匹を別々にしてください」

大っ嫌いな冷たいステンレスの診察台の上で、皮下注射を受けた後、海ちゃんは晴れてカラーから解放されました。
そして、良質のたんぱく質の餌にご飯を混ぜて与え、様子を見て欲しいと言われ、ご飯ならいっぱいあるぞ~と、早速おかゆを作って少し混ぜてみました。
2日間様子を見ましたが、便の方は全く改善せず、血の量も減りません。
でも、鬱陶しいカラーが無くなって、それだけでもう幸せいっぱいな海ちゃん。
やっぱり相当なストレスだったんだなあ…としみじみ思いながら、そして空ちゃんにはごめんねと思いながら、走り回る海ちゃんを見ていました。
これでウンチさえ良くなってくれたら…。

そして…、
木曜になって、ちゃんと眠れない夜が丸1週間続いていたことでさすがにフラフラになってしまい、これ以上の寝不足をするとヤバいぞ!という信号が体の中から発せられてきたので、
とりあえず今夜は、寝室を誰にも解放せずにたった一人で寝る!と決め、運(ウン)を天に任せることにしました。
ついでに、といってはなんですが、今だに(猛獣の)サイ歩きをしている空ちゃんのカラーも、思い切って取り外すことにしました。
手術の傷口を舐め過ぎるかもしれない、という心配が無いこともなかったのですが、二匹を別々にしておくこともできないので、これまた運を天に任せることに。

そしてそして…、
まさに1週間ぶりに、続けて6時間も寝ることができた割にはボケボケの頭で寝室から出ると、家中にモワ~ンと漂う臭いが…。
我が家の中で一番早起きのアードリィが、仕事に出る前に少し、そして夫が続きを少しと、それぞれに掃除をしてくれてたみたいなんですが、
すべての汚れを拭き取ったり洗い流したりするのに、実にたっぷり2時間かかってしまいました…。
これをカオスと言わずに何をカオスと言うか…。
久々に眠れた分の元気をすっかり使い果たしてぐったりしていたら、夫が仕事から戻ってきました。
たった一晩放っておいただけでコレだけの大変なことになってしまうなら、やっぱり寝られない方がマシかもしれない。
そんなことを暗~く思いながら、全然良くならない海ちゃんのウンチを採取して、「これを病院に持って行くわ」と夫に話すと、
「ああ言い忘れてた。今朝、多分空ちゃんが吐いたんやと思うけど、その中にこんなのが混じってた」と、
台所のシンクの排水口の受け網の中から、何やら細長いモノをつまみ出してきました。

………。
そ、そ、それ、回虫さんちゃうん?
あ、やっぱり?

ここずっと見なかった回虫さんでしたが、これまで見た中でもひときわデカイ!
背中がゾワゾワするのをこらえながら、小さな密閉袋に入れ、おっしゃ、ちょうど良い、これも一緒に持ってけ~!
というわけで、海ちゃんのウンチ2種、そうして空ちゃんの虫一匹を、大急ぎでクリニックに持って行きました。

ちょうど一週間前にここに来て、めっちゃ心配しながら家に帰ったんだよな~と、空いている受付のカウンターに行くと、

「あら、クウとカイのおかあさん、今日は何?」と、すっかり馴染み深くなった受付さんに、
「すみません、本日はかなり気色悪いのん持ってきました」と言って、コソッと手渡すと、
「ああまだ良くならないのね。かわいそうに。これ、すぐに先生に診てもらうから、ちょっと待っててくれる?」と言いながら、診察棟の方に行きました。
こんなにすぐに受け付けてもらえ、さらにそれを先生が診てくださり、その診断結果を話してくださるのだと分かり、
先日の診察も含め、このクリニックの運営の仕方や対応に、動物のためのわたしたち、という精神が脈々と流れている温かさが感じられ、
自分勝手な印象で良く思っていなかったことを深く反省しつつ、待合室の椅子に座って待っていました。

「ごめんね、今日もまた長いこと待たせてしまって」と、手術着のままやって来た、先日とはまた違う先生が、袋をふたつ手に持って、わたしの隣の席に座りました。
「液体の薬を口から飲ませることはできるかしら?」
「はい、何回か経験があります」
「じゃあ、これを飲ませてあげて」


まずは今日一本、そして10日から14日後にもう一本。
それから少し時間を置いて検便をし、その結果次第でまた次の治療を考える、という計画です。

受付で、二匹の出したブツの検査と薬代、合わせて45ドル(普通の獣医に比べると安い!)を払い、ありがとう~と帰ろうとすると、
「ちょっと教えて欲しいんだけど、この二匹の名前はどういう意味なの?」と尋ねられました。
「ええと、空(くう)はSky、海(かい)はOceanで、ほんでもって空海っていうのは、日本の有名なお坊さんで」
「やっぱり日本語だったのね~。実はわたしの息子が日本人の女性と結婚したの。これでちょっと驚かせてやろうっと」
と、空と海の漢字が書かれたメモ用紙を、大事そうにバッグの中に入れながら、
「じゃあ、あなたとはもうしばらくは会わないでもいいように祈るからね」と、ウィンクをしてくれました。

少しだけ高速に乗って(といっても高速代は往復で75セント)20分近くかかるし、基本的には獣医ではなく、避妊手術専門のクリニックですが、何かの時にはいろいろと相談に乗ってくれることが分かり、ありがたい気持ちでいっぱいです。
なんて…ほんと、勝手なもんですね。

というわけで、今夜もまた、海ちゃんのウンチ掃除をやりながら寝て、またガサガサという音とともに起き掃除をする、ということになりそうです。
明日、海ちゃんの検便の結果が出ます。
寄生虫なら解決可能。
もしも、ちょっと手強い持病があるなら、またその治療に励むのみです。
抱き上げると、悲しいぐらいにふわりと軽くなってしまった海ちゃん。
空くんも、見た目は全く普通っぽいけれども、お腹の中には悪い虫がいっぱいいる。

なんでもできることするからね。
一緒にがんばろうね。