今日の日記は、私が大好きだった俳優・藤田まことさんのとても悲しい逝去ニュースのことです。以下に、その新聞報道を読売新聞夕刊から、長文になりますが一部抜粋転載します。
『--藤田まことさん死去「てなもんや三度笠」「必殺」シリーズ76歳--「テレビのお笑い番組「てなもんや三度笠」や時代劇「必殺」シリーズなどで人気を集めた俳優の藤田まこと(本名・原田真)さんが、17日午前7時25分、大動脈破裂のため、大阪府内の病院で亡くなった。76歳だった。・・・1933年、東京生まれ。父は無声映画時代に活躍した時代劇俳優の藤間林太郎、伯父は女形の曽我廼家弁天という芸能一家だった。京都などで育ち、19歳で歌手を目指して上京。地方回りの劇団で司会やコント、声帯模写など様々な芸を磨いた。1950年代後半から、大阪・朝日放送の「びっくり捕物帳」「スチャラカ社員」で頭角を現した。62年から始まった同放送の公開コメディー番組「てなもんや三度笠」では、白木みのるさんと珍道中を繰り広げて爆発的な人気を獲得、50%を超える高視聴率を記録した。72年に始まった「必殺」シリーズでは、表向きは妻と義母には頭が上がらないが、人知れず悪を倒す仕事人の首領役を好演。硬軟両面を巧みに表現した。その後、ドラマ「はぐれ刑事純情派」で刑事役に挑戦。一見地味だが、人情味あふれる刑事役が共感を呼んだ。・・・ミュージカル「その男ゾルバ」で91年に芸術選奨文部大臣賞を受けるなど、舞台でも活躍。2002年に紫綬褒章を受けた。・・・』
私は、私と20歳違いの役者・藤田さんをTVドラマ「てなもんや三度笠」の「あんかけの時次郎」役からとても良く知っています。でも、私は藤田さんの一番の当り役は、「必殺」シリーズの「中村主水」と池波正太郎著「剣客商売」の「秋山小兵衛」が双璧だと、個人的な思いを抱いています。それは、その藤田さんが演じた人物二人が、私の理想とする男の姿であり、それを藤田さんが自然体で巧みに演じていたからです。
私は、中村主水の生き様、表(公的な生業)と裏(プライベートな自己の信念を発現する行動)でまったく違う隠された人間の二面性に強い共感を抱き、主水のその裏家業を心から応援していました。そして、裏家業の殺し屋同志が、お互いの身の上にまったく干渉しない男の掟を、男の世界で美しく生きる者の非情の約束事(御法度)だと痛感していました。何故なら、私自身はプライベートな自己の信念を発現する行動を、その裏世界の人間から卑劣な行動で阻害された悲しい現在があるからです。
「必殺シリーズ」で飾り職人の秀役で共演した三田村邦彦さん(注:私と同年齢56歳)は藤田さんの訃報を聞いて『今はただ無念、残念で仕方がありません。藤田さんは、ぼくの「希望の星」だったので』と語っておられます。私も三田村さんとまったく同じ思いです。
もう一つの藤田さんの当り役、若い妻を持った老剣豪「秋山小兵衛」は、九十三歳まで生きると作者・池波正太郎さんは自身遺作『剣客商売・浮沈』で何度も触れています。その遺作からその関係する一文を抜粋します。
『小兵衛は得体の知れぬ目眩におそわれて、「わしも、あの世へ行くときが切迫して来たようだな」と思うのだが、暑い真夏を無事に乗りきった。「先生は天狗さまだから、決して死ぬようなことはないのですよう。」と若い妻のおはるを安心させた。おはるは、小兵衛より四十も年下で、健康そのもののような女であったがあの世へ旅立ったのは、おはるのほうが先である。』
その役を演じられた藤田さんが、小兵衛の大往生の齢より17歳も早く逝去されたのが、私にはとても辛く悲しいことです。私にとっての『希望の星』が昨日消滅したので、もうこの世は、悲しい『真っ暗闇』の世界になりました。
私を元気にしてくれた俳優・藤田まことさんのご冥福を、私は衷心よりお祈りします。
『--藤田まことさん死去「てなもんや三度笠」「必殺」シリーズ76歳--「テレビのお笑い番組「てなもんや三度笠」や時代劇「必殺」シリーズなどで人気を集めた俳優の藤田まこと(本名・原田真)さんが、17日午前7時25分、大動脈破裂のため、大阪府内の病院で亡くなった。76歳だった。・・・1933年、東京生まれ。父は無声映画時代に活躍した時代劇俳優の藤間林太郎、伯父は女形の曽我廼家弁天という芸能一家だった。京都などで育ち、19歳で歌手を目指して上京。地方回りの劇団で司会やコント、声帯模写など様々な芸を磨いた。1950年代後半から、大阪・朝日放送の「びっくり捕物帳」「スチャラカ社員」で頭角を現した。62年から始まった同放送の公開コメディー番組「てなもんや三度笠」では、白木みのるさんと珍道中を繰り広げて爆発的な人気を獲得、50%を超える高視聴率を記録した。72年に始まった「必殺」シリーズでは、表向きは妻と義母には頭が上がらないが、人知れず悪を倒す仕事人の首領役を好演。硬軟両面を巧みに表現した。その後、ドラマ「はぐれ刑事純情派」で刑事役に挑戦。一見地味だが、人情味あふれる刑事役が共感を呼んだ。・・・ミュージカル「その男ゾルバ」で91年に芸術選奨文部大臣賞を受けるなど、舞台でも活躍。2002年に紫綬褒章を受けた。・・・』
私は、私と20歳違いの役者・藤田さんをTVドラマ「てなもんや三度笠」の「あんかけの時次郎」役からとても良く知っています。でも、私は藤田さんの一番の当り役は、「必殺」シリーズの「中村主水」と池波正太郎著「剣客商売」の「秋山小兵衛」が双璧だと、個人的な思いを抱いています。それは、その藤田さんが演じた人物二人が、私の理想とする男の姿であり、それを藤田さんが自然体で巧みに演じていたからです。
私は、中村主水の生き様、表(公的な生業)と裏(プライベートな自己の信念を発現する行動)でまったく違う隠された人間の二面性に強い共感を抱き、主水のその裏家業を心から応援していました。そして、裏家業の殺し屋同志が、お互いの身の上にまったく干渉しない男の掟を、男の世界で美しく生きる者の非情の約束事(御法度)だと痛感していました。何故なら、私自身はプライベートな自己の信念を発現する行動を、その裏世界の人間から卑劣な行動で阻害された悲しい現在があるからです。
「必殺シリーズ」で飾り職人の秀役で共演した三田村邦彦さん(注:私と同年齢56歳)は藤田さんの訃報を聞いて『今はただ無念、残念で仕方がありません。藤田さんは、ぼくの「希望の星」だったので』と語っておられます。私も三田村さんとまったく同じ思いです。
もう一つの藤田さんの当り役、若い妻を持った老剣豪「秋山小兵衛」は、九十三歳まで生きると作者・池波正太郎さんは自身遺作『剣客商売・浮沈』で何度も触れています。その遺作からその関係する一文を抜粋します。
『小兵衛は得体の知れぬ目眩におそわれて、「わしも、あの世へ行くときが切迫して来たようだな」と思うのだが、暑い真夏を無事に乗りきった。「先生は天狗さまだから、決して死ぬようなことはないのですよう。」と若い妻のおはるを安心させた。おはるは、小兵衛より四十も年下で、健康そのもののような女であったがあの世へ旅立ったのは、おはるのほうが先である。』
その役を演じられた藤田さんが、小兵衛の大往生の齢より17歳も早く逝去されたのが、私にはとても辛く悲しいことです。私にとっての『希望の星』が昨日消滅したので、もうこの世は、悲しい『真っ暗闇』の世界になりました。
私を元気にしてくれた俳優・藤田まことさんのご冥福を、私は衷心よりお祈りします。