天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

日航新会長兼最高経営責任者内定の稲盛和夫氏に、石川島重工業・東芝を見事に再建した土光敏夫さんの覚悟を

2010-01-15 22:57:18 | 日記
今日の日記は、日本航空の新しい会長兼最高経営責任者(CEO)への就任が内定した稲盛和夫・京セラ名誉会長のことです。
ネット掲示板に投稿されていた、ある意見『稲盛は日本における最高の経営者の一人だがな。』に、私も異論はないです。稲盛和夫さんの自身が起業した小さなベンチャー会社を大企業にまで大きく発展させた経営手腕は、とても高く評価できます。しかし、彼には企業再建の実績が、まったく皆無です。経営不振会社をM&A(合併・買収)で自社の傘下に収めていますが、経営の危機にあった大会社を必死な思いで立派に再建したことはないです。
彼の『年なので、週3、4日の勤務で、無給でやらせてもらう。』の記者会見談話には、ユニクロの柳井正さんが語ったグローバル産業の経営者ポリシーや、必死になって再建を成し遂げる熱意が、私にはまったく感じられなかったです。功成り名遂げ億万長者になって実業界から引退した彼には、無給でも経済的な問題などまったくなく、何も驚くことでもないのです。逆に、世論向けの彼のスタンドプレーと、私は思ってしまいます。この無給発言とひとごとのような「やらせてもらう」に、彼自身の人生最後の輝ける名声・名誉を得ようとする「顕彰欲」を私は感じてしまいました。
そして、その会長就任を受諾する前に、彼は企業再生支援機構から日航再建の方策を聞いています。彼には自身の日航再建の経営方針私案などないから、そのような聞き取り行動をとったのかも知れません。これでは、企業再生支援機構言いなりの小沢幹事長推薦「お飾り会長」になってしまう恐れがあります。ましてや、日本航空は「親方日の丸体質」が強く残った大企業病に陥った事なかれ主義の会社です。この発言を聞いた日航従業員には、彼のもとで必死に汗を流し頑張って会社を再建しようとする気概・情熱が、まったく何も生まれてこないでしょう。私もこの稲盛氏の談話を聞いて、とても悲しくなりました。
でも、過去の日本には、とても素晴らしい再建実績を成し遂げ最高の評価を受けた経済人で、今回の日航人事に最も相応しい人がいました。それは、第4代経団連会長・土光敏夫(1896年9月15日生~1988年8月4日没)さんです。
土光さんは1950年に石川島重工業、1965年に東芝の再建を成し遂げた名経営者です。最後には、1981年には当時の鈴木善幸首相、中曽根康弘行政管理庁長官に請われて第二次臨時行政調査会長に就任され、政府の行政改革に大きな尽力をされた方です。土光さんは、その謹厳実直な人柄、抜群の行動力、質素な生活ぶりから、私がとても敬愛した偉大な経営者です。
そして、土光さんには、日航再建の重責を担う稲盛氏に捧げる名言が多々あります。以下にそれを引用します。
土光さんは自身の著書『経営の行動指針』の中の記述で、
『座右の銘を一つだけあげろといわれれば、躊躇なく「日に新たに、日々に新たなり」をあげる。・私は一日の決算はその日のうちにやることを心がけている。・きのうを悔やむこともしないし、あしたを思いわずらうこともしない。このことを積極的に言い表した言葉が日新だ。きのうもあしたもない。新たにきょうという清浄無垢の日を迎える。きょうという一日に全力を傾ける。きょう一日を有意義に過す。これが私にとって、最大最良の健康法になっているかもしれない。』と書かれています。
稲盛氏の「週3、4日の勤務で」発言とは、まったく正反対の土光さんの立派な経営信条です。だから、土光さんは自らが全社員の先頭に立って会社を再建しようとしました。そして、土光さんは、ユニクロの柳井正さんが語ったグローバル産業の経営者ポリシーと同じ思いの言葉も残されています。
『60点主義で即決せよ。決断はタイムリーになせ。決めるべきときに決めないのは、度しがたい失敗だ。こちらがやる気を出せば、部下はついてくる。』
稲盛氏には是非、土光さんのような必死な覚悟を持って、日航再建に当ってほしいと、私は今思っています。
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