天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

ネット社会を熟知SOHO起業を目指す中国人ガイド胡さんと語った日中文化交流こぼれ話(苗字編)

2010-01-06 23:01:30 | 日記
今日の日記は、私の中国旅行記・その7です。
今回の北京観光のガイドをしてくれたインターネット社会を熟知し、将来SOHO起業家を目指す、中国旅行代理店勤務の中国人ガイドの胡さんと、旅行中にお互いに語り合った日中文化交流のこぼれ話です。そして今日は、その苗字編です。
(1).中国社会の苗字に対する深い拘り・・・ガイド役の胡さんが、最初に自己紹介した時、『私の姓の「胡」は「胡錦濤」国家主席と同じの「胡」です。』と誇らしげに、その苗字の話をしてくれました。この「胡」は、8世紀唐王朝の都・長安に登場する西方のペルシャ人やソグト人を示す「胡人」から派生した姓名です。
その頃の長安は、街路を行き交う女性は「胡服」を身に纏い、市場には胡桃・胡麻・胡椒・胡葱・胡蒜・胡瓜が溢れ、宴を催せば胡弓・胡笛が胡曲を奏で、胡姫たちが胡旋舞を舞っていました。このように、この姓名「胡」は唐時代のシルクロードを股にかけた国際商人「胡人」をルーツにしています。胡さんが「将来SOHO起業を目指す実業家になりたい」とその抱負を私に熱く語ったのは、その血縁のなせる技かもしれません。でも、当時の唐の一部の漢人は、この胡人を快く思っていませんでした。『胡散臭い』という言葉に「胡」という字が当てられたことがそれを歴史的に証明しています。コスモポリタン的な社会である国際都市・長安で異能な才能を発揮する「胡人」に対する漢人の強い反感があったのでしょう。胡さんも同じ実業家を目指すなら、この過去の歴史的な教訓を肝に銘じたほうが良いと、胡さんの自己紹介を聞きながら、私は老婆心ながら思ったりしました。
そして、中国社会では、日本と違い苗字の数はあまり多くありません。胡さんはその時、中国の「九大姓」を教えてくれました。李・王・張・劉・陳・楊・趙・黄・周の九つだそうです。自分の「胡」は中国では12番目に多い姓だとも語ってくれました。だから、胡さんは胡錦濤国家主席に親近感を持ち、強い同族意識を抱いているのでしょう。
さらに、彼の自己紹介を聞いていた時、私は昔見た中国映画『上海ルージュ』(張藝謀:チャン・イーモウ監督 鞏俐:コン・リー主演中国・フランス1995年製作)をふと思い出しました。
この映画の舞台は1930年代の上海です。14歳の少年が田舎から彼の叔父を頼って上海に出てきた1週間に起きた出来事を、美しい映像で描いたチャン・イーモウ監督の代表作です。叔父は少年を麻薬・売春のマフィア組織の顔役である唐一家のところへ連れて行き、彼を働かせてもらいます。少年は唐一家と同じ「唐」という苗字であったおかげで雇ってもらえたのです。中国社会は同族や血縁を大切にする儒教思想が根底にあるからです。そして、その少年に与えられた仕事は、組織のボスである唐の愛人(コン・リー)を世話することでした。この映画で、女優コン・リーはとても魅力的な上海一の歌姫を熱演しています。
胡さんにこの中国映画『上海ルージュ』を見ましたか?と旅行中に聞いてみれば良かったと、帰国してから思い、私は今悔やんでいます。
コメント
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