「すぐき餅があった!」
雨の降る日は、男一人なら尚更買い出しに行く気にはなれない。
とは?言っても腹も減るとなれば冷蔵庫の中とストックのお湯入れ物やチンフードを探す。
「あるぞ!餅がーーあもが!」
それはありそうで、なかった餅なのだ。
すぐきの刻みを入れた餅で、それも「うる餅」と来たからウンン〜マンダムと唸る。
それは餅肌に例えられる、ツルッとした白いお餅ではない。
餅米と普通の米を混ぜて蒸したものをついた餅がうる餅なのだ。だから高貴とかロイヤルではないかもしれないが、市中で生きる者には、食べやすいし、野に咲く花ならば力の限りーーと賤しさも力強さに変わると言うもんなのだ!
これにすぐきを混ぜたアイデアは、閃いた一人の強い閃きではなく、代々続く先祖の人達の要請だったのかもしれない。いつかの時代に、ひとつ無くなってしまったものが、此処に来てヒョイと見つかった様な感じなのだ。
この間、従兄弟の送葬に、このすぐき餅を持って来る賀茂の人の可憐さを僕は見た。
「今はいないあの世のあの人らに食べさせてみて」と亡くなった従兄弟に託けたのだろう。僕にはそう見えた!。
そして仕事やすみの雨の金のない今日は、すぐき餅茶漬けを食す!
餅屋が作るすぐき餅ではこうは行かない!
すぐきを作る農家が作る餅だから美味し広がるのだ。
だって目を瞑れば太田神社が見え、明神川の流れが聞こえ、苦労をして来たあの女性(ひと)の優しさが伝わるのだからーー
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