父の入院ｖｓそして集中治療室へｖｓポリシーにより私が戒名を書く・・・・ 12/108

とにかく生きてみる。そしてとにかく生きている。生きてる限りはそれはそれでいろんなことがある。
深夜バイトは夏休み前の連休で、とんでもなく忙しいのである。深夜１２時３０分に入って、出てくるのは朝の１０時ごろである。冷蔵庫の寒さと空腹と、足の疲れと眠たさで、もうどうにでもなれと喚きたくなる。それもこれも銭の為やと思えばの我慢のしどころであると、言い聞かせ頑張っているが、私の体にも限界の信号がともっている。歯茎がはれて顔が、次長課長の河本のようにエア張りになっている。歯医者に行き痛い痛い・・・・治療で、腫れは徐々に収まりかけている。

そこに・・・・・父の入院が起こった。
４～５日前に自転車でこけたそうで、左肘の裏がすりむいていた。ラグビーやサッカーでは日常茶飯事のことである。ところがその後３日くらいたって、急に体調が変化し始めた。
まず・・ロレツが回らなくなった。そして食べたものは戻すし、水系も、口に持っていっても、ダラダラと口の外へこぼしてしまう。話すことも歩くこともままならなくなった。年も８０歳をまわっているので、てっきり痴呆から脳にきていると思った。物忘れの激しいのは母のほうである。その母が父の看病をするのだが、それはどう見ても風邪引きの看病であり、水枕や、冷たいタオルや、お茶やプリンを次から次に出すのだが、父はまったく受付けない・・・・・もう最後には母も気がおかしくなりかけてきた。たまたま外出中だった私に携帯がなり・・・「おとうちゃんもうあかんは・・・」と言う。びっくりした私は、すぐに救急車を呼び（外出先から）そのまま病院に直行した。
初めに運ばれた病院でＭＲを受けた結果・・脳・・内臓とも異常がないとのこと・・
ひょとしたら・・と思うのですが・・「破傷負・・・」の疑いがありますと診断され、ここでは設備がないので転送をしていいただき、緊急集中治療が出来る大学病院に行くことになった。
到着と同時に１０名位のドクターが父を集中治療室に運びこんだ。
３０分後「破傷負・・」です。とのことだった。去年でもわが国では５０名位しか感染されなかった感染病であるとのことで・・「何処で転ばれたのか・・土のあるところかとか？」と聞くが・・私にはさっぱり判らないのである。しかし・・自力呼吸が出来ず、体に菌が、廻っている可能性があるので・・集中治療室で管に繋がれ生かされている状態になった。
薬でしか治癒する方法がないので、それに対応できる体力がいるとのことで・・・時間のかかることになりそうなのである。

年金暮らしの年老い父母には・・贅沢な貯蓄もない。
それも私がかなりの部分で迷惑をかけたことが大きいと思う。
でも・・何とか父以上に、毎日毎日、ちょっとしかない通帳を見ている母の不安を脱ぐわなければならない。役所に行き・・・高齢者の未収入者の場合の公共のサービスを教えてもらった。
私の持っている何とかのお金で、何とかいけるところまでの算段はついたが、それでも親戚の方からは笑われそうな計らいであるのは間違いない。

父は私と正反対の性格である。父は大変な倹約家であり、人付き合いもしなければ、酒を飲んで歌の一つでも・という陽気さもない。それでもただただ・・一人黙々と競馬だけは楽しんでいた。
楽しいみは競馬だった。父の財布にはいつも何枚かの当たり馬券が次のレース用の軍資金として納められていた。競馬の帰りもどこにも寄らず、母へのお土産も買って帰った、ためしがない。
私は・・いつも「セコイ、ビビンチョな男やな・・」と思っていたし、その血がこの私にも流れていることに何かを恨んでいるようであった。
父は本当に倹約家である以上に銭を使わん人なのだ。そんな父の万が一の時の用意は私がしなければならない。不謹慎だが、いろいろ調べた結果、僧侶に払う戒名について・・最低でも１０万くらいはかかる・・それも最低である。そこそこなら３０万は必要であるらしい。
まったく見ず知らずの坊さんにそれはちょっと・・・と思い始めた。あのケチな父も１０万あるなら・・
あれも、これも直せて、何ヶ月食えるし、また一人残った母の負担になることも考えて、「そんな戒名ならいらんわい・・」と言うだろうと思う。もともと無宗教、無神論者というか・・まったく神仏を省みない男であるのだから。「それも・・いい？？」とそこは納得する。

そこでだ、私が一世一代の思いを込めて・・私が戒名を書いてやろうか？！！と大胆な罰当たりな思考になった。銭がないからが一番の理由であるが、まったく父の人生を知らない僧侶に本当に、その人生にあった戒名がかけるのかが疑問であり、それを普通にしていることが当たり前なのかが、腑に落ちないのだ。

集中治療室に入って１週間になる。
せめて擦り傷の時に、医者にでも往って化膿止めでも処置してればと・・思う。
それをケッチタのか？安物買いの銭失いとは、よく言ったものだ。
それなら・・いっそ徹底的に、父子でそれを貫いてみせようじゃないか・・・
笑うものは笑わせておけばいい・・・・　他人様はわかるまい。
それがオヤジのポリシーなんだから
どうだい？？　オヤジよ・・・・・

ユーミンと尾崎亜美と広瀬香美ｖｓ合コンのあとで誰を選ぶかについて 11/108

夜勤の出動にはどうしても、２０時には一旦寝る必要がある。そこで色々と考えだした中で、最もポピュラーであるが、効き目があるのが、やっぱり音楽である。以前は、モンロー研究所のヘミンシンクなる麻薬みたいな音楽にはまったが、なにやら飽きてもきたので、クラシックのマーラーのアダージェット交響曲第５番がお気に入りというか・・よく早く眠れる。
変ったところでは、詩吟を入れた武田節なる、甲斐の山々・・・・人は石垣、人は城の・・・石原ジュン子バージョンも戦国時代に嵌らせてくれながら、ゆっくりと瞼を閉じさせてくれる。
その中で、シンガーソングライター特集なるもので、特に私達のアノ時代を共に過ごしてくれたユーミンと尾崎亜美と広瀬香美がどうも、鼻に付く・耳に残る・・・あそこが熱くなるのである。
ちょと下種な話で申し訳ないが、今の熟女風俗の「当店指名上位ランク」には、この３名の女性の顔と雰囲気がアップされている。
一昔前のように、熱苦しいぐらいの色気ムンムンでは、その世界でも流行らなくなっているのである。ちらりと光る個性と、女性の愛らしさの中に、助平的なヤラシサをもっていなければならないということである。

ユーミンと亜美と香美との合コンの話である。
盛り上がりもそこそこにいよいよ誰が誰を狙うかというミーティングに入った。
ミニスカートでの井手達のユーミンの足の形というか、そこからかもしだす色気は到底アンジェリカやローラーも叶うまいと思うほどいいのだ。昔はまったく気にならなかったのに、少々下手なギコチナイダンスもそそるものがある。ディスティニーで踊るユーミンの可愛い子ぶりと、あの日にかえりたいの（裏バージョンのスカイレストラン）を歌うアンニュウイな様子は、きつく抱きしめたくなるのである。しかし・・私とユーミンとは付き合ってもうまくいかないような気がする。
彼女の都会的センスと結構自由に生きる行動の前では、私はただの飯友や、ギャグ友になってしまう。とにかく彼女は突き放されたりしたりして・・・どこかで見返してやるという気持ちを、愛に替えて歌に表現しているのだから・・・それともう一つ、彼女以外に他のことに夢中になってることがユーミンと付き合う条件であるような気がする。
ラグビー、野球、サーフィン、スキーなども大事な要素であり、それに勝手に行ってくる男でなければ、ユーミンの思いがスパークしないのだと思う。
それでも・・・ユーミンが履いてくる勝負パンツには、必ずや一曲の作品になるくらいのサプライズがあるのだと思う。そしてその勝負パンツがお披露目されることなく、あっさりと家まで送るくらいの男でなければ、あのユーミンとは付き合えない気がする訳で・・・・・

次は・・・尾崎亜美である。年齢的なものと、その思考とのギャップにはほどほど参るのだが、惚れられるととことん尽くしてもらえる気がする。しかし・・・そのタイプが問題なんだろうな・・・
まず爽やかでなければならないのだ・・・それは亜美が「あぁ・・気持ちが動いている・・」とたった今気づいてもらわなければならないのだ。それはブルースカイであり、口笛であり、ショーウインドに映る自分の姿をパッションしなければいけないのだ。偶然の爽やかさ＞赤い糸に繫がれた運命・・・を興さなければならないちょっとメンドクサイ女なのだ。それでも天使の羽を生やして真っ白いランジェリーでの初めてのお泊りは悪くないけど、連れて行くところがないのが問題になる。そうそう・・青い空ばっかりで、白いＴシャツも着てられないのだ。
それでも当然・・・ちょと電話でもと掛けたら、
「もう二度としないで・・・私の幻を愛したの・・」なんて言われたら「はぁ・・」となりそうで、「なんなんこの女は・・えらい勘違いしとるで」見たなことになる気がする訳で・・・・・・

最後は広瀬香美である。香美のようなタイプには・・私の友達の高居君がベストだと思うし、このコンパでは間違いなしに彼女は高居君と、意気投合＞抜け出し＞お持ち帰りにされていることであろう？？てな訳で私の守備範囲ではないのだ。
まず絶好調真冬の恋など・・・季節のモチベーションがまったく薄く、私は雪を見たらスキーに行こうか見たいな発想にならないのだ。クリスマスを二人で過ごす約束など・・秋ごろには到底出来ない達である。またクリスマス最高ビュウポイントもまったく知らないしそれほど興味もない。
それよりもクリスマスイブにキャバクラで働く、風俗で働く、潔い女の子のいじらしさに、可愛いらしさに愛を感じるのである。
また香美の場合は斑尾高原の８５点が、大阪南では５５点くらいになるゲレンデ映えする女の子であることが変に完璧主義の私には少々不満が残るのである。
性格よければいいそんなの嘘だと思いませんか・・を実際私はその通りであると思うので・・香美に熱く語れば語るほど、彼女を苦しめる気がするし・・コート上から抱きしめて「ちょっと太った？」なんて言えるハニーワードも出てこない。それでもお泊りの時はじらしながらも、急上昇して尽くしてくれるというか・・・「君だけや君だけや」言いながらウェディングベルをちらつかせながら付き合えば案外いい彼女になるかもしれない。

「北村・・・はよ決めろよ・・」
「今日はお前が選択権があんねんぞ！」と高居君と原口君にせかされる。

こんなとき私は先も後も考えない主義である。
その今の態度や振る舞いや、言葉尻で決めるのである。

おれ・・・「ユーミンでいいわ・・」
あの声とミニスカートと、のりのいい昭和的なダンス・・
そして出かけに髪を洗ってきたこと・・・
「ユーミンがいいわ！！」

そこで高居君が言う
「おっさん・・・中央フリーウエイの行き方知っているか？」と。
「判らん・・・何とかなるやろ・・　舞鶴自動車道ではあかんのか・・」僕が答える。
本当にやさしい原口君に、尾崎亜美がよりかかりながら・・
「北村・・・アホや・・」と笑いながらなんやったら前走ろうか？と言ってくれる。
「中央フリーウエイもチャイニーズスープも詳しくないけど・・・」と呟く。

「そやけど・・・夕焼けに小さくなる癖のある歩き方は得意やで・・・・」
僕はダンデライオン・・・