僕は見た!「何を?」て聞くだろうな。
もう見れないものを、いや見れないだろうなーと思っていたものを。
「涙を」をみたんだ。
それは女性の涙なんだ。
それは三条堺町イノダコーヒ本店のテラスが見える端の席だったんだ。
夏の午後のイノダコーヒの店内って、ブルーのワンピが似合う大人の女性が最高に絵になるのを知っていたんだ。
だからその席に誘ったんだ。
話しをしていたら、彼女の瞳に涙が溜まっているのがわかったんだ。
僕は話しも上の空でその涙に捕まったんだ。
その涙はそれ以上大きくなることもなく、瞳は潤んだままだった。
綺麗な涙だったから、その涙の訳は心配ないけど、その「涙」を見た僕は、永い時間固まったみたいな数秒を過ごしたんだ。
綺麗な涙は、どんな言葉よりも早く届くのだ。
見た瞬間に僕が止まる。そして何も言えなくなる。だからその涙を拭いてあげる事も出来ない。すぐ女性の涙を拭きたがる男は綺麗な涙の扱い方を知らないのだろうと思う。
本当に綺麗な涙は、そっとしておくことなんだ。そしてその後に来るあの瞬間を待つことなんだ
その女性の、涙を溜めた潤んだ瞳が、「微笑」に変わる瞬間を僕は見た。
「めちゃくちゃ可愛い」という言葉では尽くせないくらい可愛いかった。
女性の「涙」の映画があるとしたら、潤んだ瞳のまま、微笑みに変わる瞬間のシーンがなければそれは二流という事にしなければならないと思うくらいだ。
綺麗な涙だけでは、その物語は薄いのだ。
その綺麗な涙を溜めた瞳が、微笑む瞬間が僕は好きなんだ。
涙を溜めていた瞳が笑った。僕はそれを見た瞬間「このまま止まれー」と願った。
泣き笑いは楽しく生きると言うサインなんだ。
素敵な瞳の涙から、潤んだ瞳で微笑む、笑顔のスイッチは、それを見ていた人に大きな「生きよう」を贈ってくれる
それは今の僕には、本当に大きなプレゼントになる。
でもお返しが大変だ!