スピリチャルTIMES 「とにかく生きてみる!」

スピリチャルTIMESの編集長北村洋一が、この不確定な社会に生きている人々の喜怒哀楽をレポートする。

歓喜!花の占い研究会・・・・第6話「OH・マイゴッド!」  空創笑説シリーズ

2011年10月17日 | 創作小説

 僕は、江井華美にキャチされ、占い研究会オーラー写真ブースでサクラにされた。
 そもそもオーラー写真そのものが、今メチャクチャ人気があるわけでない。
 特殊なカメラとパソコンのソフトと手のひらの温度で、その人の体調パターンを選び、それに対して後付の説明をしているのだ。体の周りの色が、オレンジから赤ほく写れば、情熱的な正確であり、理想化であったり、正義感が強い・・また青ポク写れば、知的で現実的で、向上心が強いとか、紫色では、情愛が深く、思慮深く、強調性があるなど・・と判断する。それを後つけで、パソコンが、沢山のネタのなかから、ちょっとずつ話をピックアップして、「今・・人間関係で疲れているので・・(緑の色の輪郭がぼけている)、癒しの為の行動をとるように・・大自然の中に体と心を委ねてみたらいい・・」とかの診断をするのだ。コンピューター占いと言って過言ではない、そのオーラー写真に・・僕のオーラーがまったく写らないのだ。

「長井君・・・オーラーが出てこないねんけど・・・」「しっかり手を置いてくれた?・・」と江井華美さんは聞く。「はい・・ちゃんと右手を置きましたけど・・」と自信なく答える。
「試しに、私がしたら・・」と言って、江井華美さんがやると、パソコン画面には、江井華美さんの上半身に、薄い赤から外側に向かってだんだん水色になるのが確認できた。
「あなた・・・何かおかしいえわねぇ・・」と言って、私の手やらおでこを触った。
「何か心持ち冷たい感じがするけど・・」と考える素振りをしながらも、機械とパソコンのよくある、相性の悪さということで・・落ち着いた。
近くで話をしていた、女子大生のグループが、近づいてきて、興味ありそうに質問しながら、「うそぅ・・」とか「すごい・・ね」とか言って騒いでいるのを、僕は横で何にも考えずに見ていた。

何か・・・目の前を影が行ったり来たりするのが、ちらつきだした。
僕は目を擦り、再度その女子大生のグループを見た。
さっきより・・その影の輪郭がはっきりして、言ったり来たりしている影を見る事が出来る。
そして耳から、ザーと言うノイズが入って来る。「何の音・・」と自問しながらも、ゆっくり深呼吸をすると、そのノイズが、人の会話に聞こえてきた。
それは、そのグループの中では、一番ブサイクな、ちょっと太目の女子大生の会話であると気がついた。
「気持ちよかった?」
「うん、メチャクチャ気持ちよかった・・」
「拓也に入れてもらうとき、本当に天国に登るみたいや・・」
「もう一回しよぅ・・今度は私が上になるし」
僕はおいおいと思いながらも、この女子大生の昨日したセックスを、僕自身の頭の中で見てしまった。これが当っているのか、僕の妄想かどうかは今判らないが、かなりリアルな光景がそこに映った。「やばい・・・」と思ったのもつかの間、今度はそのグループの中では、一番派手で、スタイルの良い女子大生の映像も頭に現れてきた。
「全然気持ちよぅない・・・!!」
「あんた下手やね・・もっとぐりぐりしたり・・早くしたり遅くしたりして・・考えてやりぃ・・」
「そんな下手クソのチンポなんか・・なんで私が舐めやなあかんの・・」
「前戯はいらんのよ・・とにかく入れて、突いて突きまくってくれたいいから・・」
「あかん、いかへん、今日はやめや・」と暴虐無人に男を虐げている。
僕はコイツ・・と思いながら目を再び目を擦った。
もう、そこには今映った光景が消えていた。
「長井君・・何に女子ばっかりガン見してるの・・」と江井華美が突っこみをいれた。
僕は、ボーとしたまま、「何もないけど・・」ととぼけた。

見える、女性のセックスの様子が見える。えらいこっちゃである。
しかしこれは偶然であるかもしれないし、見えてる内容も全く僕妄想である可能性だってある。いや、絶対これは僕の妄想なのだと思うことにしようと決めたのもつかの間、さっき食堂でランチを出してくれた、おばちゃんが通りかかった。
おばちゃんはこっちを見て、軽く会釈をしてくれた。おばちゃんの体に影が行ったり来たりするのが見える。目をこする、その時・・・
おばちゃん裸で、後から・入れられているのが見える。
気持ちよさそうに、朗らかに腰を振っている・・
おばちゃんの顔が・・だんだん絶頂に向かっていく・・
「いいいぃ・・・もっともっと・・来る来る・・・あぁ・・・」と言う瞬間
おばちゃんの口から、悲鳴のような叫び声があがる・・・
「OH・・マイゴッド!!・・・・・」
おばちゃんは気絶していた。

思いは確信にかわろうとしていた。見える・・視える。


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歓喜!花の占い研究会・・・・第5話「オーラー写真」  空創笑説シリーズ

2011年10月14日 | 創作小説

 学生交流広場では、占い研究会の人達が、学生服姿で、正面のステージに立った。
7名の部員が、一列に並び、手を後にして凛々しくたっている。真ん中にいる羽織はかま姿の、リーダーらしい人間の口上が、始まった。
「遠く日和山より聞こえる、天の声、晴れなら耕せその土地を、雨なら本でも読んでいよう・・
本校占い研究会がおとどけする、お昼のお天気占い・・・信じるものこそすくわれようぅ・・」と大きな声が響く。そして、7名のお天気占いの部員達が、肩を組んで、右足をぶらぶら前後に振り始めた。そして7名が一斉に大きな声で「あーした天気ななーれ・・」と言って右足の靴・・ではなく下駄のようなものを飛ばした。「カラン・・コロン・」と乾いた音と共に、その下駄は、コンクリート製のタイルに落ちた。3つの下駄が、表を向いていた。3つ下駄が裏返えっていた。そして一つだけ、下駄が横向きになっていた。
リーダーは、「晴れ・晴れ・晴れ・雨・雨・雨・・雹(ひょう)・・」と言った。
何人かの見物学生はその雹の下駄に近づき、携帯で写メールを取っている。
近所の農家らしいおじさんも、日に焼けた顔をにやけさせ、「雹が出るのは、今年で2回目やわ・・」と隣の婆さんに話している。婆さんも「雹が出たからの・・・ありがたや、ありがたや・・」と一人呟いている。そしてリーダーの部員もちょと興奮した様子で、雹のでた下駄だけをそのまま現所維持にして、黒と黄色の立ち入り禁止と書かれたテープで結界をした。
「晴れ3下駄、雨3下駄により・・明日の天気はサドンデスに入ります・・」とやや興奮したリーダーが声を上げた。再度6名による「あーした天気なーれ・・」との声と共に下駄が、右足からバンカーショットのような方物線を描いて乾いた音を立てて落ちた。「晴れ、晴れ・晴れ・晴れ晴れ・・雨・」と発表され、明日の天気は「晴れ・・」と決定された。体育会系のクラブマネージャーは、素早くその報告に戻り始め、農家の夫婦は、「明日はビニールハウスを起こそかいな・・」と言って帰った。またその場の学生もめいめいに話をしながら、下駄を飛ばすカッコウをする物も何人かいた。学食の仕入担当も明日はざるそばを多めに作る計画をした。
僕は、黄帽を被ったまま・・・テレビで見る天気予報より遥かに制度の落ちるものの、心に残る「hare」を感じさされていた。そしてその学生広場では、問題の雹の下駄が検証されていた。
アシックスのシューズ開発チームが、その下駄の飛んだ軌跡の解析と、その下駄の形状や重さを調べていた。
黄帽を被っているから目だったのだろう・・同じように女子用の黄帽を被り、タータンのミニと揃えのベストを着た、長い髪を後でシュシュで掬んだ女の子が、話しかけてきた。「あなた・・占い研究会に入ったの?・・」
僕はその女の子の顔をみて、ちょと間をおいて「はいぃ・・でも勧誘されているけど、まで入った訳ではありません・・」と、入部してもいいかなぁ的な曖昧さを入れながら答えた。
「私は、江井華美といいます。この大学の内部から来たの・・」「高等部時代も占い部に入っていたから、結構大学とは交流があるのよ・・」と、江井華美嬢は話してくる。
「あの横に立った、雹の下駄どうするんですかね?・・」と聞いた。
「なにか・・アシックスでは、占い研究会と共同で、お天気占い専門のサンダルを開発していて、晴れと、雨のタイプは完成してるらしいのだが、究極の雹と、かがとで真っ直ぐにたつ吹雪を、今開発しているらしいよ・・」と感じよく教えてくれた。「それとね・・・これは秘密だから人に言っちゃいけないんだけど・・晴れているけど雨が降るという狐の嫁入りタイプも狙っているらしいの・・」とトップシークレットも教えてくれた。江井華美は、どう「今日体験練習来るんでしょ・・」と聞いてきた。「どうしようかな・・と思っている・・」と言うと、「これから時間ある・・?」と聞く。
「あるのはあるけど・・」と煮え切らない返事を返す。
「私が、貴方を占ってあげる・・今後の学生生活がどうか・・?」と占なってあげたい年頃のような偏見のない表情で僕の背中を押して、学食2Fのカフェテリアに連れて来た。そのカフェの入り口では、占い研究会・春の特別セッション「オーラー写真で自分が解る・・」を開催していた。なんと1回3500円もしていた。僕はキャチされたのだ。
「さくらでいから・・・貴方は無料にしてもらうから・・」と言って江井華美は、先輩の受付の女子に話をつけた。
「高等部では、動物占いを専門としていたけど・・大学でオーラーをやりたくて密かに勉強もしていたの・・」と嬉しそうに喋る。
「じゃーここに右手を置いて・・」言って、手の形になった金属の板の上に手を置いた。
それから正面にセットしてあるカメラに向かって、軽く深呼吸をする。
「パシャ・・」とシャッターが切られた音がした。

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歓喜!花の占い研究会・・・・第4話「明日天気になーれ」  空創笑説シリーズ

2011年10月12日 | 創作小説

 部室につれこまれた僕は、早くこの場から逃げたかった。大呑さんに「オリエンテーションに行きたいので・・・いいですか?」聞いた。
「おぉおそうやったな・・」と言って、「この用紙に名前と生年月日と、住所と携帯の電話番号とアドレスを書いてもらえる・・」と言って用紙を渡した。
僕は、それを手に持ち、ちょっと呆然となりかけていたら、「大丈夫やから・・・」と長ランが言う。
「はあぁ・・・これで即入部と違いますよね・・」と念を押す。
「これは、入部見学者へのサービスで、君の運勢を無料で占なうので・・・心配せんでもいいから・・」と言う。「それから君の名前の漢字は、しっかりと書いてってや・・字画数もみるから・・」とやや丁寧な口調で説明する。
僕は、その用紙に、「長井道雄・・」と書いた。それからこれを持って行きなさいと、お守りみたいな物を渡された。白い名刺位の大きさで、「通行安全 学業成就」と書かれていて、裏には「この方を、占い研究会導き者とする旨」と書かれてあった。
それからこれを被っていてくださいと、黄色い帽子を渡された。
「それを被っていれば、他のクラブからの勧誘もなくなりますし、その御札を見せれば、学食が無料になりますから、今日は好きな物を食べて下さい・・」と大呑は言った。
「それから、今日の3時から・・体験練習に参加してください・・」と言い残して、私を部室の外まで送ってくれた。

僕は朝からまるでトワイライトゾーンに遭遇したような気持ちのまま、これ以上ややっこしいのもごめんだと思い、渡された黄帽を被り、新入生が集まる講義室に向かった。
道の両側には、沢山のクラブが、新入生の勧誘をしているが、不思議なことに僕にはどのクラブを声を掛けてこなかった。さらに、ぶつかりそうになった他のクラブ上級生も、すーと道を譲るように僕を通してくれる。なんか鬱陶しい時間やったけど、ちょとこの優越感が嬉しくもなったりしていた。
オリエンテーションは退屈な時間であり、どうでもいいようなことを前で喋っているので、全然頭に入らなかった。終わり近くなり、一足先に講義室を抜けて、学食のほうに歩いて行った。
無料で食べれる御札を持っていることもあり、朝飯も食べないで学校に来たので、腹が減っていたから、Cランチとカレーうどんを頼んだ。もう既に、ランチは出来上がっており、ご飯と味噌汁を横に並べる作業があるだけで、カレーうどんは、お湯に通して茹でたうどんにカレーライスのカレールゥを掛けるだけだった。それでも美味そうに見えた。
白い制服にゴムな前掛けをつけた、うどん担当のおばさんが、僕の持ってる占い研究会のカードと私の顔を交互に見ながら、「おばちゃんの今日の運勢はどうなんやろ・・」と聞いてきた。
「ドッキッ・・」とした。何か言わなあかんと咄嗟に思いついたことを言った。
「口紅を変えて見たらいことが起こる・」と適当なこと言った。「何色がいいのやろ?・」と聞いてきたから、「パールピンク・・」と言ってそそくさとそこを離れた。おばちゃんはそれをメモしていた。「ありがとう・・・買ってつけてみるは・・」と背中越しに僕は聞いた。「かまぼこをつけとけ・・」と、口には出掛かっていた。

食後は、一人で黄帽を被り、校内の探索に出かけた。学校の生協にぶらーと入ってみた。今後の学生生活に必要な物も見ときたかった。コンビニの倍くらいある生協では、教科書から、文具、家電、衣服、レトルトな食料品まで揃っていた。そして、クラブ用品のコーナーに行った時に、ナニワ大学占い研究会公認・・幸せグッズがコーナー展開されていた。
パワーストーンブレスが、恋に成就用、進級達成用、就職内定用などの目的にあわせて置いてあり、これを聞けば発想力100倍・・とのキャチで、イージーリスニングCDもあった。そして、今一番売れ筋商品と書いてあるポップの前で、僕はひっくり返りそうななった。
「絶対立つ!茶柱君デラックス」が・・・・売っていた。中国産と書いてあり、心沈んでいる方にこの茶柱入れて上げたら・・元気出ること間違いなし・・・とのコピーがグーンと目に付く。またその隣には、「100%天然・茶柱君マーベラス」が売られていた。僕が飲んだあの茶柱は・・・・これやったんかと思うと腹がたってきた。しか、なんか面白そうなので、茶柱君デラックスを1パック買った。
その時に校内放送が、ドリカムの「晴れたいいのに・・・」の曲がかり、女子放送部生のアナウンスが始まった。
「間もなく午後1時になります・・・本校学生交流広場で、只今から、占い研究会によります明日の天気予想・・「明日天気になーれー」が始まります。なお本日は片桐君の、出て来い片桐2号による週間予報も合わせてお伝えいたします。」とアナウンスしたあとドリカムの曲が続いた。

僕は、まぁ見といてみてもいいか!と思いながら学生交流広場に向かった。
すでに学生交流広場は結構な人が集まっていた。その中には、本校学生以外にも、近所の農家の方も混ざっていた。そして広場の横には、アシックスのサービスカーが停まっていた。





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歓喜!花の占い研究会・・・・ 第3話「明日が見えへん」   空創笑説シリーズ

2011年10月10日 | 創作小説

 部室に入ってきた、その細木とい男は、入ってくるなり、皆に向かって、「おお・・元気があっていいね・・」と言いながら、水晶の玉を磨いている後輩のほうに向かって行った。
パンチパーマーとアフローヘアーの中間な髪型は、どう見てもおばはんぽく、がっしりとした上半身に、短い足がついているような体型は、日本農耕民族バンザイ的な雰囲気がある。
あの、カラーの所にタロットカードの彫金のバッジをつけた学ランを着て、さっきまで、文化会委員会の会議をやっていたようなことを喋っていた。
細木さんが、大呑をみつけ、「横の坊主が新入生か・・・」と小声で聞いた。
「当たりです・・・」と大呑が答える。
「今日は調子がいいねん・・」「朝のテレビで、水瓶座の運勢第2位やってん・・今日は玉子料理が善いらしいは、ラッキーカラーは、オレンジやて・・」とご機嫌な様子であった。
「そやけどもう一つの血液型のほうは、O型は、上手い儲け話しに注意するようにて言ってたから、相対的にベリーグッドではないのや・・」と、皆に聞こえるように大きな声で喋ている。
大呑、お前はどうや?きょうの運勢!!
「はい・・・昨日駅で拾った大スポのマダム零の占いコーナーに、やってもやっても満足することはなし、ゆっくりと考える日にするように書いてありました。」と言う。
「やっぱし大スポは信憑性がないから・・・目覚ましテレビがええよ・・」と言って僕の前にすわる。 ポケットからセブンスターを取り出した。切り口の所には、一本逆さに向けてタバコが刺さっていた。
「細木さん・・お願いタバコですか?」と大呑が聞いた。
「当たりや・・!」「春の関西学生占いリーグで優勝することを願ってるんや・・」と言いながらも、人に言ったら効き目ないからと、タバコを一本口つけて直ぐにしまった。
もう一人の長ランが、すかさずマッチで火をつけた。その時、細木先輩が急に怒り始めた。
「ぼけ・・・マッチをする前に願いことしたんか?えぇ・・やったんか」と詰める。
「失礼しました・・何も願いことはしてませんでした・・すいませんでした・・」と90度くらいに体をたおして謝った。
「マッチを摺るときは、まずは願いことやろ・・そうせんとマッチ売りの少女が天国に行かれへんのや・・」と直ぐに機嫌は直った。
他の部員は、そんなやり取りを聞きながらも一心に水晶の玉を磨いている。

細木先輩は、現在4回になる。渉外担当の幹部であり、実家では、お母さんも占いを生業にしている。噂によればかなり有名であり、マスコミにしばしば登場していることを後から知った。
そして、細木先輩はなにより切れやすい性格であった。

一人の坊主頭の新2回生の、磨いてる水晶の玉をみて、「こら・・根性いれて磨いとんのか?」と凄んだ口調で言う。
「はいぃ・・・もう2時間は磨いています・・」
「ほぅ2時間も磨いて、それかいない・・・」と水晶を手に持ち上げ、蛍光灯にすかして見せる。
「君は確か・・高野さんの寺の息子やったな・・」「なんぼ仏教屋やゆうて、全ては仏の御心やと思ってるんちゃうやろな・・」と更に鋭く詰める。
「いいえ・・・」とその寺の息子が答えた瞬間、「このボケなす・・・」と言うが早いか、細木先輩の蹴りが、横にあった椅子に及んだ。
「占い研究会では、いいえは無いのや。すべて当たりですじゃ・・と言わんかい・・」と怒鳴る。
登った血は中々下がらない、振り揚げた手は落としどころが見つからず、爆発を待っている。
「他のもんの水晶見せてみぃ・・」と言う。
部室の空気は一気に奸悪な物に取り付かれる。
細木先輩は、一人一人の水晶玉を手に持ち、蛍光灯に翳して、チェックをし始めた。
「これもあかん・・これもや・・ これもあかんやんけ・・」と手に取りながらだんだん興奮していく。
集合や・・と大呑に言わせ、新2回生を一列に並ばした。
「こんな磨きか方、何処で習ったや・・・お前ら気持ち入れて磨いたか・・ええどうや・・」と撒くす。
全員が大きな声で、「当たりです」と言う。
「お前昨日の夜、オナニーしたやろ・・・?」とオタクぽい後輩部員に聞く。
「いいえ・・あぁ・・もとい・当たりです」と答える。
「ボケ・そんな手で水晶磨きやがって・・」「水晶磨きの前の晩は、オナニー禁止は知ってるやろ!
「ええか・・水晶磨きは、表面だけを綺麗にしてもあかんのや・・・全員やり直しや・・アゲンインや・・・」と号令をかける。

「君たちの水晶玉には、明日が観えへんのや・・・」
「希望に満ちた、リアルな明日が見えるまで、磨くこと・・・以上」と言って椅子に座った。

「なんか腹がへったな・・大呑君、悪いけど、玉子サンド買ってきて・・」と細木先輩は優しく言った。
それから・・
「オレンジジュースもですよね・・」と大呑が言う。
「それ当たりです・・」と細木先輩が答えた。

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歓喜!花の占い研究会・・・・           空創笑説シリーズ

2011年10月06日 | 創作小説

大学に入学したての春は、校内を歩くと、クラブ活動の勧誘に頻繁にあう。
ナニワ大学では、ことさら世間であるような、運動部の勧誘よりも、実は文化部の活動のほうが、すごく厳しいので有名である。
入学したての落ち着かない日に、バスをおりて校舎錬まで行く坂道で、黒い学生服が、膝まである長ランを着た男に捕まった。
「おはよう・・・ねぃ一年生やね・・」
「はい・・・」
「何学部?・・」
「経済の経学科です・・」
「経済の経営やったら、僕と同じやね・・」と笑顔を満面につくり長ランに似合わない様子で、喋りかける。先を急ぐように、その長らん二人を避けて前に進もうとした時、もう一人の長らん男が、すかさず腕を引っ張り、「ちょっとだけ話しさせてもらえる・・」と舐めたらアカンぞ・・というオーラーを語尾につけて、顔の中の、眉間のところに皺をいれて、「どっかクラブ決まった?」と尋ねてきた。
「まだですけど・・」と僕は言う。
「学生生活でやりたいクラブ何かあるの?・・・」とまた勧誘口調で聞いてくる。
「いいえ・・バイトもしなければいけない・・・」と最も断りの理由の中でオーソドックスな物を理由に挙げた。
「バイトは、出来るから・・・心配いらんよ・・」と言う。さらに別の長ランは、立話しもなんやから、ベンチにでも座って言って、坂道の途中にある、体育館の入り口のベンチに連れて行こうとした。
「今日はオリエンテーションがこれからありますので・・」と断りを入れてみた。が、そんなことはすでに朝の新入生勧誘ミーティングで先輩から言われていて、せめてクラスと名前と電話番号をゲットするようにと言う指示が出ているのだ。
「ここに、名前とクラスと携帯の番号書いてくれる?」と優しい言い回しで、クリップボードに挟まれた用紙を出された。
「あの・・・家が苦しいので、学費の援助がありませんので、本当に自分で働いていかないといけないので・・」と同情を買ってもらいたいという心を見破られないように、いかにも苦学生という哀れさを持って、断わろうとした。
「わかっているて・・」「今年2回になる奴も・クラブとバイトを上手いことやって、結構稼いでる物もいるから・・・」とあっさりと跳ね返される。
「大丈夫やから・・かえってクラブ入っているほうが、多くの情報があるし、内のクラブからも、バイトの紹介やったらなんぼでも出来るからな・・」と横の長ランに合図をおくるように言う。
すでに「そのバイトやから・・・」どうのこうのという応酬トークは完成されているのだ。
なにかこの場をすりぬけれる方法はないか?と考えながらも、出てくる言い訳は陳腐なものになってしまう。
「体が弱いので・・・あんまり無理な運動は出来ませんので・・」と咄嗟に言ってみる。
「大丈夫・・内のクラブは体は関係ないから・・」と自信を込めて言う。
「それから。内にクラブに入ったら単位も採りやすいし、めちゃ就職に有利なんや・・」
「OBも結構有名な所に往ってるし、独立している方もいるから、就活も楽勝・・・」とアピール項目をメリットの押一本で、浴びせかける。

「それで・・いったい何のクラブなんですか?」と僕は質問した。
長ラン二人組みは、そのクラブ名がいかにも伝統のあること、また校内で幅の利かせ方が他のクラブと違い、、マスコミからの取材も結構あることは先に言っていた。
一人の長ランが、高いカラーの左横についてる、金属で出来たオリジナルバッチを指さし、
「これが判らんか?・・」と言う。
高い襟のカラーに、タロットカードが金属一色で彫金されて付いていた。
「占研・・ウラケンや・・・・」と遠山の金さんのごとくそれじゃしかたねぇーなと言う態度で、
「西にそびえる六甲連山、東にそびえる生駒山。その中に学舎は数々あれど、若き血潮躍らせて、度胸一発今日も言う。あーした天気になぁーれ。そう我らこそが、ナニワ大学文化会所属、
占い研究会・・・」と口上を述べる。二人の長ランは顔面を硬直させ、、顔を真っ赤にさせて、足を半開きにして直立の姿勢で立っている。
「占い研究会・・・・」はぁ~と一瞬真空状態になった。
思いだした、入学式の帰りのバスで、同じ新入生同士で会話していたことを。
「クラブ勧誘い、占研に誘われたら超やばいで・・・」「入ったら地獄らしいで・・」

その時、長らんの一人が、長い学生服のボタンを外した。
そして学生服の中の裏地の刺繍が見えるように広げてみせた。
「当てようと思えば、思えば外れ、外れてもともと人生幸朗・・」と、湯のみ茶わんに茶柱が立っているのを虎が見つめている裏地に、その文句が綺麗に刺繍されていた。

「ほんと僕、体弱いですから・・」と泣きそうになりながらも言う。
「君なら出来る・・・そんな予感がするわ・・・」と言いながら、ベンチの下に生えていた、四葉のクロバーをピチィと手でちぎり、僕に渡してくれた。
ツイトルで・・・と言ってくれた。
長ラン二人は、肩を組み、「雲をつんざき聳えたつ、希望を胸に風受けて・・・・ついとる、ツイトル
tuitoru・・・・ちゃちゃ・・」と音頭をとった。

手の中に四葉のクローバーを握り占めたまま、私はなんかついているよな気になった。
「ついてるついでに、ちょとついて来て・・・」というなり、部室につれこまれた。

つづく。


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