僕は、江井華美にキャチされ、占い研究会オーラー写真ブースでサクラにされた。
そもそもオーラー写真そのものが、今メチャクチャ人気があるわけでない。
特殊なカメラとパソコンのソフトと手のひらの温度で、その人の体調パターンを選び、それに対して後付の説明をしているのだ。体の周りの色が、オレンジから赤ほく写れば、情熱的な正確であり、理想化であったり、正義感が強い・・また青ポク写れば、知的で現実的で、向上心が強いとか、紫色では、情愛が深く、思慮深く、強調性があるなど・・と判断する。それを後つけで、パソコンが、沢山のネタのなかから、ちょっとずつ話をピックアップして、「今・・人間関係で疲れているので・・(緑の色の輪郭がぼけている)、癒しの為の行動をとるように・・大自然の中に体と心を委ねてみたらいい・・」とかの診断をするのだ。コンピューター占いと言って過言ではない、そのオーラー写真に・・僕のオーラーがまったく写らないのだ。
「長井君・・・オーラーが出てこないねんけど・・・」「しっかり手を置いてくれた?・・」と江井華美さんは聞く。「はい・・ちゃんと右手を置きましたけど・・」と自信なく答える。
「試しに、私がしたら・・」と言って、江井華美さんがやると、パソコン画面には、江井華美さんの上半身に、薄い赤から外側に向かってだんだん水色になるのが確認できた。
「あなた・・・何かおかしいえわねぇ・・」と言って、私の手やらおでこを触った。
「何か心持ち冷たい感じがするけど・・」と考える素振りをしながらも、機械とパソコンのよくある、相性の悪さということで・・落ち着いた。
近くで話をしていた、女子大生のグループが、近づいてきて、興味ありそうに質問しながら、「うそぅ・・」とか「すごい・・ね」とか言って騒いでいるのを、僕は横で何にも考えずに見ていた。
何か・・・目の前を影が行ったり来たりするのが、ちらつきだした。
僕は目を擦り、再度その女子大生のグループを見た。
さっきより・・その影の輪郭がはっきりして、言ったり来たりしている影を見る事が出来る。
そして耳から、ザーと言うノイズが入って来る。「何の音・・」と自問しながらも、ゆっくり深呼吸をすると、そのノイズが、人の会話に聞こえてきた。
それは、そのグループの中では、一番ブサイクな、ちょっと太目の女子大生の会話であると気がついた。
「気持ちよかった?」
「うん、メチャクチャ気持ちよかった・・」
「拓也に入れてもらうとき、本当に天国に登るみたいや・・」
「もう一回しよぅ・・今度は私が上になるし」
僕はおいおいと思いながらも、この女子大生の昨日したセックスを、僕自身の頭の中で見てしまった。これが当っているのか、僕の妄想かどうかは今判らないが、かなりリアルな光景がそこに映った。「やばい・・・」と思ったのもつかの間、今度はそのグループの中では、一番派手で、スタイルの良い女子大生の映像も頭に現れてきた。
「全然気持ちよぅない・・・!!」
「あんた下手やね・・もっとぐりぐりしたり・・早くしたり遅くしたりして・・考えてやりぃ・・」
「そんな下手クソのチンポなんか・・なんで私が舐めやなあかんの・・」
「前戯はいらんのよ・・とにかく入れて、突いて突きまくってくれたいいから・・」
「あかん、いかへん、今日はやめや・」と暴虐無人に男を虐げている。
僕はコイツ・・と思いながら目を再び目を擦った。
もう、そこには今映った光景が消えていた。
「長井君・・何に女子ばっかりガン見してるの・・」と江井華美が突っこみをいれた。
僕は、ボーとしたまま、「何もないけど・・」ととぼけた。
見える、女性のセックスの様子が見える。えらいこっちゃである。
しかしこれは偶然であるかもしれないし、見えてる内容も全く僕妄想である可能性だってある。いや、絶対これは僕の妄想なのだと思うことにしようと決めたのもつかの間、さっき食堂でランチを出してくれた、おばちゃんが通りかかった。
おばちゃんはこっちを見て、軽く会釈をしてくれた。おばちゃんの体に影が行ったり来たりするのが見える。目をこする、その時・・・
おばちゃん裸で、後から・入れられているのが見える。
気持ちよさそうに、朗らかに腰を振っている・・
おばちゃんの顔が・・だんだん絶頂に向かっていく・・
「いいいぃ・・・もっともっと・・来る来る・・・あぁ・・・」と言う瞬間
おばちゃんの口から、悲鳴のような叫び声があがる・・・
「OH・・マイゴッド!!・・・・・」
おばちゃんは気絶していた。
思いは確信にかわろうとしていた。見える・・視える。