「生きてるのか死んでるのかワカラヘン」
痴呆のオカン一人で留守番をしている我が家だ。
暑い日中は、なんとかエアコンをつけながら水分を十分に採らせているけど、仕事に出て行くともうその室温と水分コントロールは、痴呆のオカン次第なのだ。
冷茶、とジュースをペットボトルに入れて冷蔵庫に入れておくし、オカンの部屋の窓を開けて出てくるのだが。
そして仕事終わり、チャリで帰りながらオカンの部屋の温度を考える。
オカンは絶対にエアコンはつけないし、つけたら消しに回りよるのだ。
そして癖で、窓とカーテンをきっちり締め戸締り完璧にするのだ。だからそんな部屋で寝ているオカンを僕は今晩、熱中症で死んでるかも!と思いながら、明日の朝と昼の食材を深夜玉出出て見繕って帰る、熱帯夜の夏の深夜帰宅だ。
帰って来て直ぐにオカンに声をかける。
「生きてるか?」と。
それと同時にオカンの部屋の窓を開けて風を通しすのだ。すると暑い生温い空気が逃げて行く。
畳にひいた布団には、細いオカンが薄いタオルケットで巻かれて寝ている。
2回位声をかけても返事がない!
「死んだ?か」と思う瞬間だ。見かけは死んだと変わらない位なのだ。
そして「うぐモグ」って言って起きるというか気がつくのだ。
直ぐに冷茶をコップに入れて飲ます。
「美味しいは〜〜」っていいながら2杯を飲まして、「生きてるやん〜おめでとう」と言って、
もう一度眠らすのだ。
思うに、目が覚めなければ死ぬということで、
覚めれば生きてるという事になるのだ。
毎晩、オカンは死んでもおかしくない状況で寝て、そして何故か寿命に逆らわず今も目が覚めて、健全なる生死を毎晩確実に彷徨ってるのだろうと思う。
これで起きなかったら死ぬという簡単な秩序を繰り返しているのだろう!
昨日の晩である。何時もの様にチャリで帰る
オカンの暑いマニラの様な部屋に行き、
「生きてるか?」って声をかける。
「うんxん〜〜生きてるか死んでるかわからへん」と掠れた弱い声で答える。
オカンはあの世とこの世の境界線を行ったり来たりしているのだろう!
すっかり神さま予備群の修行を積んで時空を飛んでいる。
そうなんだ「天晴れ〜〜ハレルヤ」
オカンは宇宙と仲良しになっているのだ。
「生きているやら死んでいるやら」の時空をクロスしている痴呆のオカンに中古の社長のリクライニングに椅子を買った。
これは生きてる側の話で、「座っていたら気持ちいいやろと!」僕は言う
生きてるか死んでるかわからんという感覚は
どうやらこの椅子が気に入ってくれたみたいだ。