渋さ

似合わないのは分かっているけどさ。

気付けばボクも、「大人」と言われるような年齢になってきた。
大人の男になったからには、子供の頃からの夢だった『ヒゲ』を伸ばしてみたいんだよね。

似合わないのは分かっているけどさ。
でも伸ばしてみたいのよ。

ヒゲがあるとないとでは、見た目のイメージが全く違ってくるんだもん。

シブさ度が圧倒的に増すのだ。

どんな普通の顔だろうが、ヒゲを伸ばしているだけでシブい男に見えてくるから不思議だ。
例えボクのような、のっぺりした顔であっても、ヒゲさえあれば多少はシブく見えてくると思う。

シブい男ってのは、いいよ～。

モテるだろうし、何をしてもサマになる。

今では似合わなかった夜のバーも、サマになってきそうだ。

テキーラをクイッと飲んだら、今では無理して飲んでる感じ満々だろうが、ヒゲがあればビシッとキマる。
念願だった、「あちらの女性に」と、見知らぬ女性にお酒を勧める事も出来る。
シブさがあればこその行為だ。

葉巻なんかも似合うだろう。
テンガロンハットも似合うだろう。

それくらいにヒゲパワーは凄い。
やっぱヒゲは最強だ。

次の『ゴー！ゴー！ラブストーリー』を撮り終わって、次の作品に取りかかるまでの間だけでもいい。
伸ばしてみようかしら。
一時だけでもシブい男になってみたいもん。

なんて事を、みんなと話していたら…

どうやらボクのヒゲ。
人とは少し違うという事が判明してしまった。
それはその場所。

鼻の下や口の下は当たり前なんだけど、ボクの場合はそれに加えて…

ほっぺたにも生えてんだよね。

こんなのみんなも普通に生えていると思っていたよ。
でもそれを話していたうちの男性５人をチェックしたら、ほっぺたに生えているのは誰もおらず。
ちょっと気持ち悪がわれてしまったほどだ。

ま、世間では生えている人も多いとは思うけどね。
でも普通の事ではなかったようだ。

これはイカンぞ。

だって、ほっぺただもん。
これを伸ばしたって、シブくなる感じがしないよ。

つまりここのを長く伸ばしたら、ドラえもんヒゲになっちゃうってことだよ。
シブさの欠片もないじゃん。

左右のほっぺたから数本の長いヒゲを生やした男がテキーラを飲んでも、キマらないだろう。
葉巻なんか吸っていたら、カツオブシを食べているようにしか見えないと思う。

あ～あ。
シブくなりたいなぁ。
こんな顔でもシブく見えるようなアイテムを、何か考えてみよっと。