お別れ

愚妻の職場で一緒に働いていた女性が、先月で退社したようだ。
半年くらいしかいなかったけど、職場では仲良くしていたらしい。
寂しい事だね。
ようやくこれから本格的に親しくなれるって時期だっただろうし。

「辞めても連絡取り合って、たまに会おう」

という事で別れたようだ。

と言っても実際にはなかなか会わないよな。
会ったとしても、数回会うくらいじゃないだと思うよ。
その後は段々と会わなくなってくる。
別に会うのが嫌な相手ではなくても、どっちかが積極的でない限り人間関係なんてそんなものだ。
ボクも会いたいけど会う機会のない人なんてたくさんいるもん。

そんな彼女から今日、メールが来たらしい。
どうやら引っ越しちゃったんだってさ。

あ～あ。
残念。
今までは比較的近くに住んでいたようだからね。
まだプライベートで会ってなかったけど、ある程度近いほうが会いやすいに決まっている。
引っ越してしまったらますます会う回数が減ってきちゃうよ。
せっかく仲良くなれた相手なのになぁ。

そんな愚妻がメールを見ていて、不思議そうな顔をしている。
不思議というか腑に落ちないような顔。
愚妻が漫画だったら頭の上に「？」マークがいっぱい並んでいる場面だろう。

何故かそのままフラフラと家を出ていってしまった。
そしてすぐに戻ってきて

「やっぱりそうだった！」

と言う。

「引っ越して来たの、そこだった！」

と言う。

『そこ』と指差しているのは、真ん前のアパート！
「引っ越し先の住所とアパート名を見て、何だか見覚えあるな…と思って考えたら、そこだった！」

と言う。

え～！！！！！

こんな事ってあるか！？
もうほとんど会う事ないと思った相手が、まさかのご近所さんに！
しかも超ご近所さんに！！

当然、相手も愚妻がここに住んでいるとは知らずに越してきたようだ。
連絡すると驚いていたと言う。
そういえばこないだまで空き部屋だったけど、先週くらいに誰か越してきてたな。
まさかそれが愚妻の元同僚だったなんて夢にも思わなかったよ。

人間の縁ってものはどこでどうなるのか分からないものだね。
これからどういう展開になるのやら。
楽しみだ。