ITSを疑う

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独裁

2007年10月06日 | 雑記
日本テレビの「たけしの独裁国家で何が悪い」という番組でブータンが紹介された。いわく、国民の97%が幸せで、2008年に民主化することを宣言した国王に、「民主化はやめてください」と国民がお願いをした、というような話だった。

しかし、民族衣装の着用を法律で義務付けられたり、(つい7-8年前まで)TVもインターネットも禁止されていたりする国なんて、私はまっぴらだ。
国王がまじめな賢主であることは多分事実なんだろうが、それよりも国民が御しやすい、ってことじゃないの?

実際、民族衣装着用やチベット系のゾンカ語の公用化を嫌って南部のネパール系住民は難民化している。
現実にはネパール系住民に対して民族衣装着用は強制されていないが、その服(ゴというらしい)を着ないことで非チベット系であることが一目でわかってしまう。その危険性についてはいうまでもない。

マスコミは物事を単純に善悪に区別するのが大好きだ。
そのほうが大衆にとって分かりやすく受けが良いからだろうが、世の中そんなに単純になんでも正義の味方と悪の帝王に分かれているわけがない。

番組でも、インターネットの解禁でネットカフェで一人称シューティング系のゲームに興じる子供たちの映像がながれ、それを憂慮するようなコメントがでていたが、シューティング系のネット対戦ゲームに夢中になるって、そんなに眉をひそめるような悪い事なのか?
それともスーパーマリオなら良いのか?

こうした、物事に単純に白か黒かのレッテルを貼りつけるような風潮はよっぽど気をつけないと、最後には「異質の排除」に繋がる。


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3 コメント

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Unknown (元業界関連SE)
2007-10-06 14:23:07
このエントリ、「マスコミは物事を単純に善悪に区別するのが大好きだ」と振っておきながら、最後にはご自身が「異質の排除」は悪と決めつけているように読めますよ?

その昔、ブータン王国の隣にあったシッキム王国は、ネパール系移民の流入を放置していたために、独立を失いインドに併合されました。
統一民族としての意識を高め、他民族を排除する傾向を強めることは、国を守る重要な手段でもあります。
「単純に善悪に区別」できない政策の典型例ではないでしょうか。

ちなみに、現在のブータン王国の「安定」は水力発電所の余剰電力販売(貿易収入の80%~90%)と、それを背景にした多額の福祉予算(国家予算の約1/4)によるもので、民間経済の充実によるものではありません。
少なからぬネパール系住民や、大量の外国人労働者(1日2~3ドルの絶対貧困スレスレ)などを抱えていますが、彼らからの搾取で経済が成立しているわけではありません。
なんとも善とも悪とも決めかねる国情だと感じます。
以上、参考までに。
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Unknown (maikawa)
2007-10-07 14:15:12
ブータンの国情詳細の情報有難うございます。
資源に支えられていれば、国民が御しやすいのはある意味当然の成り行きでしょうね。

ただ、最初のご指摘はちょっとちがうかな。
私は明確に「異質の排除は悪だ」と思っています。

ただしそれは一般論であって、ブータン王国が異質を排除しようとしてチベット族の民族衣装を強制し、それを悪だ、といっているわけではありません。
そうなのかもしれないし、違うかもしれない。

シッキムの失敗を教訓にチベット系民族主義をとるというのががひとつの政策の選択肢であることは間違いないでしょう。
そういう意味ではおっしゃるとおり善とも悪とも決めかねる状態だろうと思っていますが、それについてはこのエントリーでは明言をしていないつもりです。

私はこの番組がネパール系住民が難民化している等のネガティブな側面にはまったく触れず、「ブータン国王は立派だ」「ここは良い独裁国だ」という論調に終始したことを批判しています。

大体、良い独裁国なんてあるのかねぇ。
愚かな民主主義が存在してしまう可能性は否定しないけど。

てなことで、ちょっとこの問題はITSのブログじゃヘビーでしょうか。

コメント有難うございました。
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Unknown (元業界関連SE)
2007-10-08 20:02:37
地上波テレビ番組の構成を批評しても不毛なだけですよ。
ビジネスモデルが問題で、良質な情報番組は成立し得ません。

細かいことをいえば、現在のブータンは王政ですから、独裁ではなく専制です。
民主主義を蔑ろにして権力を独占しているのではなく、先祖代々全権力を掌握しています。
前時代的な政治体制ですが、第4代前国王の意志により2008年から議会制民主主義への移行が進められています。

ブータンでは、多数派が「民主主義なんて要らない」というなか、絶対権力者が国民に民主主義を強要するという、なんとも非民主的な政治が進行中です。
世界史的な珍事なのかもしれませんね。

「良い独裁」を挙げるのに不自由はしませんが、近代においては「トルコ建国の父」ことムスタファ・ケマルを推したいです。

ブログの主旨と外れたコメントで申し訳ありませんが、ブータン国王の英断や
ムスタファ・ケマルな業績を「独裁=悪」のイメージだけで無視されてしまうのも寂しかったので、つい長々と書込んでしまいました。
これにて失礼しようと思います。
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