ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

富士キメラ総研調査 2006年版 ITS関連市場の現状と将来展望

2005年12月16日 | ITS
富士キメラ総研は12月9日、「2006年版 ITS関連市場の現状と将来展望」を発表した。

これによれば、2005年のITS関連市場規模は約7,463億円と見込まれ、2012年のITS関連市場予測は1兆776億円(2005年対比144%)に拡大するとのこと。

まあ、このブログのサブタイトルにある「2010年に11兆円」なんていう馬鹿げたことはもはや誰も言わなくなったが、私は2012年の1兆776億も眉唾だと思っている。

そもそも2005年の車載器市場が5556億だとしているが、この数字のほとんどはナビゲーションであり、ナビゲーションすべてをITS車載器である、と言い切るのはかなり無理がある。ITSの言葉の定義にもよるのだろうが、通信機能がついていないナビをITS機器と呼ぶのはおかしいと、私は思う。
ちなみに純粋にITS車載器と呼べるETC車載器の2005年市場規模は、いいところ300億円だろう。

で、ここから先が問題だ。いわく

「ITSが進んでいないと言われていた背景には、次世代のITSサービスを確実に普及させる実証実験や標準化活動などの検証を行っていたことが挙げられる。次世代のITSサービスを実現する技術要素は既に揃っている。それをどのように活かしてアプリケーションを構築していくのか、どのようにしてユーザーに受け入れられるものとしていくのか、それらを模索していた時期であった。」

「これらの影ながらの活動が実を結びつつあり、今後ITS関連のシステムやサービスが多様に展開されていくことが想定される」

確固たるユーザーニーズがないから、模索しつづけているのであって、実証実験の完了や機器の標準化はユーザーニーズが見当たらないことへの回答になっていない。

そんな状態で、DSRC車載器が560倍に拡大する、と言われても、信用できない。
私は「絶対にDSRC車載器は普及しない」と明言しておく。

これはあくまで国交省・メーカーなど普及を期待している人たちから聞いた希望的な数字をまとめただけの調査結果と捉えるべきだろう。