SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「隠された記憶」

2006年05月02日 | 映画(カ行)
 冒頭に耐え切れなくなるほどの「間」が描かれる。
 じきに、これが主人公の家を外から撮影したビデオの画像であることが分かる。

「劇」のない「記録の画像」は、映画の生理を無視している。防犯ビデオを何時間も面白がって見ることはできないのと同じだ。

 この作品の中では、映画の中の現実・夢・回想・ビデオの録画映像などがまったく同じ目の高さで描かれる。字幕や色調の変化があるわけでもなく場面と場面がフラットな関係で繋がれるため、観客は生理的にある種の不安を覚えることとなる。

 それが物語の主題である不安と混然となり、現代社会のもつ恐怖が巧妙に表現される。

 そして筋を追えるミステリーの方は一応一つの結末を迎えるが、もう一つ何の解決もなされないまま放り出された謎を抱えて、観客は映画館の暗闇の中から、この複雑な社会の中へ再び帰って行かなければならないのだ。


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