SEA side

静けさの中で波の音だけが永遠に響きつづける。
美しいものとの出会いの記憶・・・・。

映画 「恋の罪」

2011年12月09日 | 映画(カ行)

 秋葉原のメイド喫茶が流行るのは非日常の世界を提供してくれるからだ。

 本作のヒロインは流行作家の妻で、日常世界がまるでメイド喫茶の世界なのだ。では、彼女は非日常の楽しみをどこに求めればよいのか?

 そこに登場するのがある大学の助教授をやっている女性で、彼女がヒロインの性の指南役をつとめることになる。舞台となるのは渋谷円山町のラブホテル街にある廃墟のアパートだ。

 全体の構成はこの廃墟で起こった猟奇的な殺人事件を推理するミステリーの体裁になっており、水野美紀扮する女性刑事が事件を追う。

 実際に起こった東電OL殺人事件にインスパイアーされた作品であるが、三面記事ネタが文学的に昇華され、3人の女性が自分の欲望を解放する過程で事件が起こる様が描かれる。

 非日常が日常の向こう側にあるのではなく、両者は地続きであることがラストシーンで象徴される。

 今、日本で最もパワフルに作品を作っている園子温の監督作品。今年は「冷たい熱帯魚」に続いて本作が公開され、さらに「ヒミズ」が控えている。いずれも圧倒なパワーで迫ってくる。その世界に浸ると、日常的な常識や良識の存在があやふやになってくる。 


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