我が老母が「チャッカマンで火がつけられなくなった」と困惑気味に話している。どれどれと試してみると、なるほど若干力を入れないと点火は出来ないようだ。確かに力の弱い人にはきついかも知れない。
説明書を読むと、どうやら子供たちのライター遊びで火事が発生する事件が多発したため、それを防ごうという工夫らしい。試しに、その種のものを扱っている店をチェックしてみると、チャッカマンばかりではない、100円ライターのタグイまでも、どこのメーカーも一様に「子供がいたずらしないように点火システムを堅くしてある」と高らかに宣言しているのである。中には製品のど真ん中に「重い」と大書したステッカーが貼ってある悪乗り気味の会社もあったりして。
結局、「非力なものは火を扱うな」ということになるんだろうか、着火業界からのメッセージとしては。その種の製品の使用者のかなりの率を線香に火をつける年寄りが占めるんじゃないのか、ええ?
そもそも、「操作に力が要るようにすれば子供のいたずらも減るだろう」なんてのが、業界こぞって右へならえするほどの名アイディアなんだろうか?
これ、「子供が火遊びしないように」などというタグイの、雑な大義名分一辺倒のタテマエ発言が絶対的な力を持ってしまった我が日本の今日を象徴するような話ではないかな。
そういえば、東日本震災直後に同じCM連発で人々の反感を買った、あの”AC”のコマーシャル、この頃見なくなったような気がしているみたいだけど、あれは形を変えていまだに続いてるんだよね。見分けが付かないように、装いを凝らしてね。