ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

WAXと呼ばれる女

2012-06-13 15:42:15 | アジア

 ”07(女は愛を食べて)”by Wax

 それにしても、”WAX”って芸名はどういうものだろう?なんでも歌手のマネージャー氏が日本に来た際、なにやら街頭の広告看板にこの文字が書かれているのを見、かっこいいからと、そのまま芸名にしてしまったらしいが、そういう思いつきだけの行動もいかがなものか。これがロックバンドかなんかの名前ならまあいいかも知れないが、”バラード・クィーン”と異名をとる、楚々たる女性歌手なんだからなあ。

 という訳で、現地韓国では、”女性の感性を鷲掴みにする”とか言われ、むしろ女性たちからの支持の方が多いのかもしれないバラード歌い、”WAX”女史の、2008年度作品、”07”であります。7枚目のアルバムだからと、このタイトル。どうもこの韓国音楽界のセンス、どうなんでしょうな。まあ、こうしなければならない、それなりの事情が、もしかしたらあるのかもしれないが。

 聴いてみると、お得意のバラード各曲も、その合間に置かれたアップテンポの曲も、どちらもいく分か淡い音作りの丁寧なアレンジで統一されていて、疲れなくていい。楽曲のメロディラインも、仄かなメランコリィを含んで穏やかに流れてゆく。
 またWax女史の歌い方も、韓国のこの種の歌い手に多い絶唱形とも微妙に違い、どこかスッと力を抜いた、自分に向かって語りかけるみたいなさりげなさがある。このへんの淡さ、押し付けがましさのなさみたいなものが、韓国の女性たちの共感を呼んでいるのかな、などと想像してみる。

 もうひとつ、これは私個人の感想でしかありえないんだが、Wax女史の歌声、聴きようによっては大久保佳代子に似てるようにも聴こえるんだよね。ほら、光浦なんかとオアシズってコンビを組んでる女芸人。そんなのと比べたらファンの女性に叱られるかもなあ。でも、私には似て聴こえてしまったんだから、しょうがないじゃないか。
 そして私は、そんなところにも彼女という存在の気の置けなさを感じ取って、親近感を覚えているんだから。まあこのへんは私の勝手な妄想でしかないなあ。

 それにしても。もう一度言うが、この芸名はなんとかならなかったものか。彼女について知りたいことがあって検索とかかけても、バイク好きな兄ちゃんたちの、車に使うワックス談義とか、そんなものばかりズラズラ出て来てしまったりで、気勢を削がれることおびただしい。うんざりして私、調べるのやめちゃったりしてね。

 ちなみに私が知りたかったこととは、このアルバムの8曲目に収められている、”ありがちなキムさん”なる不思議なタイトルの歌について、である。聴いてみても、特にコミックソングのようでもない。どんな歌詞内容なのだろう?何か気になるんだけどね。