ワールドミュージック町十三番地

上海、香港、マカオと流れ、明日はチェニスかモロッコか。港々の歌謡曲をたずねる旅でございます。

我が青春のアポストリア(?)

2012-01-28 00:42:51 | ヨーロッパ

 ”Th Afisi Epohi”by Apostolia Zoi

 これはいいや。もしかして今まで聴いたギリシャもののアルバムの中で、これが一番好きかも知れない。とか言ってしまう。
 ともかく、ギリシャ歌謡に60年代イタリアのカンツォーネの甘く切ないメロディが混じり込んだみたいな曲調の冒頭の一曲だけでも、そう言い出す理由として十分な気がする。ギリシャのライカから、こんな青春の甘酸っぱい感傷を受け取る日がこようとはねえ。良い曲だわ。

 曲調だけでなく、歌い手のZoi嬢もまた、歌う青春スター(?)の雰囲気十分の可憐な歌声で、これがまた切ないのですね。
 後に続く曲は、いつもの喉を締めたテンション高い歌唱が似合うアナトリア調(?)のメロディなんだが、その種のものも彼女が歌うと、ずいぶん透明度が増して胃にもたれない感じだ。

 とか言っていると、アコーディオンが入ったりブラスが聞こえてきたり、やや曲調の変わってくる中盤あたりから、Zoi嬢の歌唱は肩の力が抜けた感じで、ラフに歌い飛ばしたりもし、いかにも”自分の土俵で勝負している”って感じになってくる。
 もしかして彼女はライカ本流の人ではなく、このへんがメインの歌い手なのかも。ほかのアルバム、あるものなら聴いてみたくなってきた。後半に展開される世界、なんかワールドミュージック者の血が騒ぎます、この一枚。

 それにしても、”後半に”とか”このへん”とか表現がパッとしなくて、情けないなあ。デモーティカ風になる、とかいえばいいのかもしれないけど、その種の区別、結構ついてません。「聴いて楽しけりゃそれでいいし、ジャンルのレッテル貼り分けなんてどうでもいいさ」とかうそぶいていた報いだな。
 とか言いつつ、たいして反省もせずに次へ。