”Pa gyllen grunn”by Anita Skorgan
ノルウエーのトラッド。不思議な静けさに満ちた盤。北欧トラッド特有の静謐な悲しみや孤独の響きを、ある意味、極限まで持っていった感じか。
油断するとすべてを聴き逃してしまうような、枯淡の境地とでも言いたくなる静けさが全体を支配している。
トランペット、リュート、電気ギター、ドラムスという不思議な編成のバックバンドは、そこはかとなく北欧ジャズの屈折した気配を漂わせつつ、凝りまくってはいるがそうは見せないアレンジで、音の迷宮を編み上げている。
透き通るような叙情を湛えて静かに流れて行くAnita Skorganの歌声からは、シンと凍り付いた北国の夜の空気の感触まで伝わって来るようだ。