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Met'sラインゴルトその3

2010-11-09 21:04:41 | その他
(ネタバレも続く)

さて、お待ちかね(?)生ザックス(笑)ことBryn Terfelですが、期待通り、聴き応え&見応えたっぷりvでした。
彼はバス・バリトンという声域上、悪役っぽい役やクセのある役が多く、本当にカッコイイ役というのはあまりない(『サロメ』のヨカナーンくらいか...『さまよえるオランダ人』や『ドン・ジョバンニ』のタイトル・ロールも、翳が有り過ぎるし)んですが、『リング』のヴォータンは、傲慢ではあるけれども、神々の長として色々考えたり、調整したり(笑)、行動したりする役どころですね。
Brynはそういったヴォータンの複雑な立場とか性格とかもうまく表現してたと思います。

コスチュームデザインも神話風カッコイイ系(欧米的価値観での 笑)。
あと、他の人の衣装はほぼ左右対称なのに、ヴォータンだけはアシンメトリー(左腕むき出し 笑)になってて、『特別』感・大でした☆
前髪が左目にだけかかっていて(←ヴォータンは隻眼なので)、口元にはかからないスレスレくらいの長さなんですが、やはりうっとうしかったらしく、カーテンコールの時にこの前髪を跳ね上げて見せて、笑いを取ってました。

他の歌手もみな素晴らしく、ローゲのRichard Croft(装置がいっぱいのハイテク衣装 笑)やアルベリヒのEric Owens(フルカバーの衣装にドレッドヘアのかつらで暑そうだった...)など、声も演技も絶品でした。
さらにここで特筆したいのはミーメ(アルベリヒに虐げられているせむし(注:現在は差別用語であるとして使われません)の弟)のGerhard Siegelとファーゾルト(ヴァルハルを建てた巨人族の兄の方)のFranz-Josef Seligの熱演。
ミーメはリング・シリーズ3作目の『ジークフリート』で重要な役割を担うことになりますが、ここでもしっかりと存在感をアピールしてました。
それから、ファーゾルトがフライアに寄せる思慕がかなりオープンに表現されていて、ごつくてむさいファーゾルトがいじらしくさえ思えるくらい。
フライアの方もちょっとファーゾルトにはほだされてる感じで、ファーゾルトが弟のファフナーに殺されるシーンで大ショック!って演出になってたりとか。(すぐ立ち直ってましたが 笑)
大地の始祖女神エルダのPatricia Bardonも鳥肌モノ。他を圧倒し、畏怖をかき立てる神秘性(←これが無いと話に説得力が出ない)に、ゾクゾクさせられました。
全般的に『声の演技力』のレベルが高かったという印象です。(まあ、Metですからね)

40周年のジェームズ・レヴァインとメトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏も完璧なバランスで、非の打ち所がありませんでした。
(もっとも今回聴いたのは録音なので、実際に劇場で聴くとまた違うとは思いますが)
最初のリハーサル映像でジミー↑がオーケストラに「抑制するな。やり過ぎてたら言うから」と言ってましたが、そのとおり、非常にドラマティックで、全体として「ワーグナーの求めた楽劇を実現させる」という製作意図にかなったものになっていたと思います。

松竹METライブビューイングによる劇場での公開(下記サイト↓御参照)は今週金曜日までですので、御興味を持たれた方は、御自分の目で確かめに行ってみて下さい(笑)
http://www.shochiku.co.jp/met/

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