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「プリンセスチュチュ」ファンページ

7Akt

2006-12-30 03:39:36 | チュチュ感想文
7Aktは川がモチーフ?で、「美しく青きドナウ」。
たしかにネルトリンゲンの川とドナウ川は物理的に繋がってるけど...
この曲の優雅で華やかで能天気な雰囲気が、どんより不安を醸す7Aktのストーリー
(初っ端からいきなりヒロイン泣いてるし)に合ってるかどうかってのは、かなり微妙なところ。
でも話が湿っぽくなり過ぎて鼻につくのを防いでるのは確かかな?

ウィンナワルツは3拍目を心持ち遅く入る「ウィーンなまり」が特徴ですが、
この演奏ではあまりはっきり出していないようですね。
それなりに長い(と言っても約10分)曲ですが、いろんな主題が次々に現れるので飽きさせませんし、
全体に軽くて楽しい曲。
(けど自分が演るとなると、このテンションを保ち続けるのが結構大変...
私は、ですが)
TV番組のBGMなどで耳にする機会も多いですが、全曲聴くならやっぱりウィーンフィルのニューイヤーコンサート?
アンコールとして毎年やることが決まってるので、お正月のN○K(教育 1/1 19:00-22:00)でどうぞ。
ウィーンシュターツオパー(たぶん)のバレエと一緒に楽しめます。


さて、記念すべきクレール様初出なんですが、残念ながらネタバレ状態で見たので、あまり感動は無し。
ジムノペディが使われてるってのは、禍々しい感じとかあるいは華々しい感じとかじゃなくて、
透明で繊細な雰囲気(あと、洗練された上品な色気とか?)を感じさせる演出なんでしょうね。

一方、橋の下で長年色んな人にちょっかい出してきたらしい『知りたい気持ち』。
この後もるうちゃん(クレール)に連れられて女子寮に入り込んだり、
ふぁきあに跳ね飛ばされて遥か彼方に飛ばされてったりと、あちこち転々とするのは、
やっぱり『知りたい気持ち(=好奇心旺盛)』だから?(笑)

4Akt

2006-12-24 02:01:03 | チュチュ感想文
Frohe Weihnachten!

ペンギンさん大活躍の回。
彼(?)のおだやかで明るいピアノはいつ聴いても心がなごみます。
その控えめでこまやかな人(?)柄は、居残りあひるちゃんに黙って付き合ってあげる(サービス残業...)
ところからもうかがえますが(あひるちゃん、ちゃんとお礼言わないとダメだよ)、
勝手に練習を中断してキャーキャー賑やかな女の子達にも文句一つ言わず、
突然ロフト(テラスと言うべき?)から降って来る猫先生にも動じることもなく、
全ての人をあるがままに受け入れてあげられるところが、オトナだなぁと思いました。

それにしてもあひるちゃん、「独りで居残りさせられてすっごく落ち込んでるだろうと思って
(楽しみにして)来た」りりえに腕を後ろで固められ、首を180度回されてます。
鳥じゃなきゃ死んでるよ...


ところでN○Kの「スーパーバレエレッスン」を見てて思ったんですが、
「ジゼル」の曲はオーケストラよりピアノ演奏の方が良い感じですね。
これくらいの和声の厚みならオーケストラでやる必然性は無いし、
ピアノの方が叙情性が引き出されて味わい深くなる気がしました。


まあそれはともかく、みゅうとが地縛霊のウィリーに招ばれて(ふらふら付いて行くなよ...)
あの世に連れてかれそうになる時のBGMがヒラリオンの音楽なのは、つまりみゅうとも
「身代わりの男」に過ぎないってことを意味してるんでしょうか?
『悲しみ』の心が呼んだにしろ、ウィリーにとっては赤の他人だしな...

「お話の乙女」は新入りウィリーのジゼルっていうより、ウィリーの女王ミルタのように見えますね。
なりもそうだし、貫禄も有るし、他のウィリー達も彼女にかしずいてるし。
そういえばウィリーってのはみんな「結婚前に死んだ娘」だから、
ミルタや他のウィリー達にもジゼルとおんなじような過去があったのかなぁ。
今まで考えたことなかったけど。


そしてチュチュは達者な『踊り』と『口先』(←共感する『心』があったにしろ、これが重要だったのは確か)
でウィリー達を見事成仏(昇天?)させ、王子様の御心のカケラを奪い返すと同時に除霊も完了。
チュチュと「乙女」は左右対称の動きですね。
どっちが本来の動きで、どっちがシャドーの動きなのか私には分かりませんが、
そんなに簡単にできるものとは思えないです。どっちにしてもスゴイ。

それはそれとして、チュチュはいかにも「自分も同じ」みたいなことを言ってますが、
本当はチュチュとジゼルじゃ、基本的な状況に大きな違いが有ると思います。
チュチュの場合は最初から片思いと分かってるけど、ジゼルははっきり言って騙されてたわけですから。
命を落とすほどの『悲しみ』は、単に「愛する人には愛されない運命」だからじゃなくて、
恋人に裏切られたことによるものだと思うんですが。

アルブレヒトがジゼルを好きだったのは嘘じゃなかったにしろ、バチルダに婚約指輪を贈ってるところからして、
最終的には、そう簡単に婚約解消できない方(つまりバチルダ)と結婚するつもりだったのは明らか。
たぶんアルブレヒトは、哀れなほどに純心なジゼルのおかげで辛うじて生き延びた後、
じきにそんなことも忘れて、他の誰かとそれなりに幸せで平凡な結婚生活を送ったんじゃないかな。

3Akt

2006-12-17 00:52:06 | チュチュ感想文
N○K教育の<スーパーバレエレッスン>で「眠りの森の美女」の”パノラマ”が流れてたんで、なんとなくこの回を...
(なんで「ジゼル」じゃないんだ、ってツッコまないで下さい 笑)

(注:いちいちお断りする必要も無いとは思いますが、
ペローの童話は「眠れる森の美女」、チャイコフスキーのバレエは「眠りの森の美女」
と表記されるのが慣例なので、それに従ってます。
同様にシェイクスピアの戯曲は「ロミオとジュリエット」、音楽の方は「ロメオとジュリエット」で。
『統一性が無い!』と思われるかもしれないので、念のため)

「眠りの森の美女」の全曲を初めて聴いた時はえっ?!と思いました。
実は3Aktタイトル曲”パノラマ”の前に在るパ・ド・ドゥ、眠れる城にやってきたデジレ王子が
オーロラ姫の幻と踊るシーンの旋律は、チャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章とソックリ。
だいたい同じ頃に書かれたためなんでしょうが、曲全体のイメージもすごく似てます。
他にも「白鳥の湖」は交響曲第1番(冬の日の幻想)と、「くるみ割り人形」は交響曲第2番
(ウクライナ)とよく似てます(と思います)。もし機会があったら聴き比べてみて下さい。


さて、3Aktの最初であひるちゃんは「みゅうと先輩はお話の中の王子様だ」と明確に認識し、
最後に「プリンセスチュチュ(自分)もお話の中の登場人物だ」と知るわけですが、
ふぁきあ達と違ってずっと町の中で暮らしてきたわけでもないのに、あっさり
「お話が現実になる」と納得してしまえるとは、人並みはずれた(ヒトじゃないか)適応力です。
通りすがりのレストランに入って、水をくれ(しかもビンに)と頼むくらいだから、
もともと常識にこだわらない性格なんでしょうね...

この回でどうにも納得できないのが、みゅうとの「感覚」。
心が無くても「怪我して痛い」とか「お腹いっぱい」とかは、気持ちで感じる(大脳を通る)わけじゃないからわかると思うんですが。
そうでないと日常生活にも支障を来すはず(来してるか 笑)。ちょっと回路が混乱してるだけなのかな?

3Aktにして初めてまともに一人合点以外の台詞を喋ったと言えるふぁきあですが、態度の悪さは相変わらず。
幼馴染のるうちゃんはともかく、格別親しくもない2つも年下の後輩を脅すなんて、どーゆう了見なのか。
あと、あんな狭い町の中で人を探すのにわざわざ馬に乗る必要無いのでは...(てゆーか乗らない方が便利なのでは?)
若いんだから、歩け(笑)

それにしてもえびねさんの料理は美味しそうだったなぁ。
ドイツ料理って、たしかに量は多いけど、けっこう日本人向きの味ですよね?

映画「トリスタンとイゾルデ」感想

2006-12-09 01:52:04 | その他
公開が終わったみたいなんで一応感想を(ネタバレ有り)。

まず第一に、ヤング・トリスタンのThomas Sangsterがメチャメチャ可愛いv
(「ラブ・アクチュアリー」の時も可愛かったけど、まだ可愛い...)
あとは...まあ、「トリスタンとイゾルデ」だと思わなければ、そこそこ楽しめたんじゃないでしょうか。
つくりとしては今時の流行に沿ってましたね。荒野の景色がきれいで、戦闘シーンも盛り沢山。
私は好きですが、つまらない人にはつまらなかったかも、というところ。

ストーリーは映画向けにかなり変えられてます(人物の相互関係からバッサリと)。
本来、トリスタンとイゾルデの恋愛は国の存亡うんぬんとは全く関わりがないですし
(恋愛で国を滅ぼしたと言えるのはランスロットとグィネヴィアの方なんじゃないかな)、
二人もそんなことはこれっぽっちも気にかけてません。
「トリスタンとイゾルデ」の必須アイテム、これが無いと「トリスタンとイゾルデ」とは言えないという
『愛の薬』も、現実性重視のためかカット。
まあ私も『愛の薬』というのは恋愛自体の麻薬性の表徴として存在していると思うので、
無くても別にいいと思うんですが、結果として、不倫に走る二人の心情的な切迫感も、
とる言動の極端さも、薄くならざるを得なかった(常識の域を出られなかった)ようです。

ちなみにオペラではこれ↓ぐらいぶっ飛んでます。
(第2幕『愛の夜』の会話(笑)、Lop Norによるアヤシイ日本語訳つき)


TRISTAN: So stuerben wir um ungetrennt,     トリスタン: それなら俺達は離れないために死のう
       ewig einig ohne End',                   終わりなく永遠にひとつになって
       ohn' Erwachen, ohn' Erbangen,            目覚めることなく 不安もなく
       namenlos in Lieb's umfangen,             言いようもなく愛に抱かれて
       ganz uns selbst gegeben,                完全に俺達自身を与え合い
       der Liebe nur zu leben!                 ただ愛の中だけに生きよう!
ISOLDE:  So stuerben wir um ungetrennt,    イゾルデ: それなら私達は離れないために死にましょう
TRISTAN: ewig einig ohne End',            トリスタン: 終わりなく永遠にひとつになって
ISOLDE:  ohn' Erwachen,               イゾルデ: 目覚めることなく
TRISTAN: ohn' Erbangen,                トリスタン: 不安もなく
BEIDE:   namenlos in Lieb's umfangen,       二人:    言いようもなく愛に抱かれて
       ganz uns selbst gegeben,                完全に私達自身を与え合い
       der Liebe nur zu leben!                 ただ愛の中だけに生きる!

(中略)

BEIDE:   Nun banne das Bangen, holder Tod,   二人:   今こそ不安を追い払え 優しい死よ
       sehnend verlangter Liebestod!            焦がれ望む愛の死!
       In deinen Armen dir geweiht,              お前の腕の中でお前に捧げられ
       ur-heilig Erwarmen,                   ものの初めなる神聖な温もりに包まれ
       von Erwachens Not befreit!              目覚めの苦痛から解放される!

(中略)

TRISTAN: Tristan du, ich Isolde,            トリスタン: トリスタンはお前 俺がイゾルデ
       nicht mehr Tristan!                   もうトリスタンではない!
ISOLDE:  Du Isolde, Tristan ich,           イゾルデ: あなたがイゾルデ トリスタンは私
       nicht mehr Isolde!                    もうイゾルデじゃない!
BEIDE:   Ohne Nennen, ohne Trennen,      二人:   名前を呼ぶこともなく 離れることもなく
       neu Erkennen, neu Entbrennen;           新しく知り 新しく燃え立つ
       ewig endlos, ein-bewusst:               永遠に果てしなく ひとつの意識となる
       heiss ergluehter Brust                 この胸を熱く焦がす
       hoechste Liebeslust!                  究極の愛の悦楽!


(原詩は韻を踏んでますがそこまでは訳せません; 御容赦を)

↑ここに挙げた所からメロディーは『愛の死』になり、いやが上にも官能的な雰囲気が盛り上がる(笑)
実はここに至るまでに二人の切羽詰った心情が丹念に描かれ、
昼の光(とそれが象徴する名誉など)への恨みつらみ、夜と死への共鳴が
かなりしっかりと議論されてます(ドイツだなあ...)
歌詞の中でけっこう昼(光)と夜(闇)、生と死が混乱してたりしますが、
二人とも正気じゃないんで、まあそんなもんでしょう。

そしてこの直後、トリスタンを妬んだ騎士にチクられて密会現場を押さえられ、
二人は宣言通り死に向かってまっしぐら(トリスタン先行)。
再び引き裂かれ、独り死にゆくトリスタンのもとへ監視をぶっちぎったイゾルデが駆けつけ、
後を追ってきた理解ある夫の許しは間に合わず、イゾルデは『愛の死』を歌って息絶える...
という話なんですが、私は二人には許しなんか必要なかったんじゃないかと思います。