「ワルキューレ」のストーリーはみなさまよく御存知とは思いますが、もしかしたらもう忘れた、って方もいらっしゃるかもしれませんので、まずはざっくりおさらい。(3分でわかる『ワルキューレ』 笑)
神々の長ヴォータンが人間の女性に産ませた双子の兄妹、ジークムントとジークリンデ。
二人は子供の頃、敵対氏族の襲撃によって生き別れになり(この時、母親死亡)、ジークムントは一緒に狩に出ていた父ヴォータンとしばらく森で暮らしていたものの、やがて父ともはぐれて流浪の身。
ある時うっかり不幸な乙女を助けようとして、悲惨な結果に終わり、追われて逃げ込んだ森の中、疲労困憊して倒れ込んだ一軒家には、なんと、誘拐され、奴隷同然にその家の主フンディングと結婚させられたジークリンデが。
しかもこのフンディング、ジークムントが必死に逃げようとしてた、まさにその追っ手...
とことん運の悪いジークムント、武器も無いのに翌朝決闘することを強いられ、進退窮まってしまいます。
しかしそんな状況の中(だからこそ?)、ジークムントとジークリンデの恋心は、これまでの不幸な境遇の反動のように燃え上がり、お互いを兄妹と認識するのが先か、恋に落ちるのが先か、てな勢いであっという間にくっつき、ついでにヴォータンがジークムントに約束し、ジークリンデんちのトネリコの幹に残していた剣(ノートゥング)も手に入れて、フンディングを眠り薬で眠らせた隙にさっさと遁走(+α)しちゃうのでした。
ヴォータンは最初は二人を守ってやろうとしてて、彼と智の女神エルダとの間の娘のブリュンヒルデ(戦場で斃れた勇者の魂をヴァルハルに導くヴァルキューレ)にもそう命じてたんですが、本妻のフリッカ(結婚の女神)は当然おもしろくない。ヴォータンをなじり、兄妹の行動は婚姻の神聖を穢すものだとして、全ての庇護を取り上げるよう迫ります。
結局ヴォータンはその要求に屈し、先とは正反対の命令を下して、ブリュンヒルデもいったんはそれに従いますが、実際にジークムントと話したブリュンヒルデは心を翻し、ジークムントを勝たせようとします。
が、ギリギリのところでヴォータンが現れて『契約の槍』でノートゥングを砕き、結果ジークムントはフンディングに殺され、ブリュンヒルデはジークリンデを連れて逃亡。ヴォータンはフンディングを片付けた後、命令に背いたブリュンヒルデを怒りに燃えて追います。
ブリュンヒルデはヴァルキューレの姉妹達のところに逃げ込み、かくまってくれるよう頼みますが、さすがの戦乙女達もヴォータン相手では尻込みするのもムリありません。
一方、悲嘆に暮れて死を願っていたジークリンデは、ジークムントの息子を宿していることをブリュンヒルデに告げられた途端(なんでそんなすぐに妊娠が分かるんだ、って疑問は却下 笑)、態度豹変。
ブリュンヒルデが授けた『ジークフリート』という名と、ノートゥングの破片をたずさえ、竜に変化した巨人がニーベルング族の宝を抱え込んでいる魔の森へと身を隠します。母は強し。
直後にヴォータンがやって来てヴァルキューレ達を恫喝、観念したブリュンヒルデはヴォータンに対峙して懸命に釈明。
しかし結局罰を逃れることはできず、身分剥奪の上に、眠りの呪いをかけられ、目を覚まさせた男のものとなることに。
それでもなおも必死に食い下がるブリュンヒルデ。
最も愛した娘の懇願にヴォータンもついに心を動かされ、『真の英雄』のみが娘に近づけるよう、火の神ローゲに命じて、娘を眠らせた岩山の周りに魔法の炎を巡らせるのでした。
と、いうわけで...
第1幕の幕が上がって、まず登場するジークムント=ヨナス・カウフマン。
ヨナスは前出のファン・ディエゴ・フローレスとは対照的と言っていい声質のテノールで、荒々しいほどの暗さと深みのある声が、抑圧されてくすぶる情熱と烈しさを醸し出し、ジークムントにはこれ以上ないほどの適役vですね。
そのイケメンな容姿と相まって(笑)、女性に(男性にもですが)絶大な人気なのもうなずけます。
特に第1幕終盤でジークリンデへの愛を歌い上げる「冬の嵐は退き、恍惚の月が照らす」は、体に直接響いてくるような迫力で、ただもう呆然と聴き入ってしまいました。
この声とルックスで迫られたらジークリンデがあっという間にオちるのも納得?で、まあ、ある意味、スゴイ説得力(笑)
一方のジークリンデは、清らかなタイプのワーグナー・ヒロイン(ゼンタとかエリーザベトとか)で人気のエヴァ・マリア・ウェストブルックで、第1幕では、苦しみと孤独の中に生きてきた薄幸の乙女を、可憐かつ情熱的に聴かせてくれました。
しかし第2幕開始直前に体調不良による交代がアナウンスされ、第3幕でも復帰できず、そのまま最後まで代役の歌手が歌うことに。
第1幕では(その後のカーテンコールでも)、特に問題があるようには見えなかったんですが...
それ以降の公演日のキャストが変更になっていないところを見ると、一時的なものだったのでしょうが、何があったのか気になります。
ちなみに代役の人(名前忘れました ;)も素晴らしく、第3幕の絶唱は感動的でした。
あと、フンディングのハンス-ペーター・ケーニヒとフリッカのステファニー・ブライスも、重みのある渾身の歌唱で、大喝采を浴びていましたね。
(まだつづく)
神々の長ヴォータンが人間の女性に産ませた双子の兄妹、ジークムントとジークリンデ。
二人は子供の頃、敵対氏族の襲撃によって生き別れになり(この時、母親死亡)、ジークムントは一緒に狩に出ていた父ヴォータンとしばらく森で暮らしていたものの、やがて父ともはぐれて流浪の身。
ある時うっかり不幸な乙女を助けようとして、悲惨な結果に終わり、追われて逃げ込んだ森の中、疲労困憊して倒れ込んだ一軒家には、なんと、誘拐され、奴隷同然にその家の主フンディングと結婚させられたジークリンデが。
しかもこのフンディング、ジークムントが必死に逃げようとしてた、まさにその追っ手...
とことん運の悪いジークムント、武器も無いのに翌朝決闘することを強いられ、進退窮まってしまいます。
しかしそんな状況の中(だからこそ?)、ジークムントとジークリンデの恋心は、これまでの不幸な境遇の反動のように燃え上がり、お互いを兄妹と認識するのが先か、恋に落ちるのが先か、てな勢いであっという間にくっつき、ついでにヴォータンがジークムントに約束し、ジークリンデんちのトネリコの幹に残していた剣(ノートゥング)も手に入れて、フンディングを眠り薬で眠らせた隙にさっさと遁走(+α)しちゃうのでした。
ヴォータンは最初は二人を守ってやろうとしてて、彼と智の女神エルダとの間の娘のブリュンヒルデ(戦場で斃れた勇者の魂をヴァルハルに導くヴァルキューレ)にもそう命じてたんですが、本妻のフリッカ(結婚の女神)は当然おもしろくない。ヴォータンをなじり、兄妹の行動は婚姻の神聖を穢すものだとして、全ての庇護を取り上げるよう迫ります。
結局ヴォータンはその要求に屈し、先とは正反対の命令を下して、ブリュンヒルデもいったんはそれに従いますが、実際にジークムントと話したブリュンヒルデは心を翻し、ジークムントを勝たせようとします。
が、ギリギリのところでヴォータンが現れて『契約の槍』でノートゥングを砕き、結果ジークムントはフンディングに殺され、ブリュンヒルデはジークリンデを連れて逃亡。ヴォータンはフンディングを片付けた後、命令に背いたブリュンヒルデを怒りに燃えて追います。
ブリュンヒルデはヴァルキューレの姉妹達のところに逃げ込み、かくまってくれるよう頼みますが、さすがの戦乙女達もヴォータン相手では尻込みするのもムリありません。
一方、悲嘆に暮れて死を願っていたジークリンデは、ジークムントの息子を宿していることをブリュンヒルデに告げられた途端(なんでそんなすぐに妊娠が分かるんだ、って疑問は却下 笑)、態度豹変。
ブリュンヒルデが授けた『ジークフリート』という名と、ノートゥングの破片をたずさえ、竜に変化した巨人がニーベルング族の宝を抱え込んでいる魔の森へと身を隠します。母は強し。
直後にヴォータンがやって来てヴァルキューレ達を恫喝、観念したブリュンヒルデはヴォータンに対峙して懸命に釈明。
しかし結局罰を逃れることはできず、身分剥奪の上に、眠りの呪いをかけられ、目を覚まさせた男のものとなることに。
それでもなおも必死に食い下がるブリュンヒルデ。
最も愛した娘の懇願にヴォータンもついに心を動かされ、『真の英雄』のみが娘に近づけるよう、火の神ローゲに命じて、娘を眠らせた岩山の周りに魔法の炎を巡らせるのでした。
と、いうわけで...
第1幕の幕が上がって、まず登場するジークムント=ヨナス・カウフマン。
ヨナスは前出のファン・ディエゴ・フローレスとは対照的と言っていい声質のテノールで、荒々しいほどの暗さと深みのある声が、抑圧されてくすぶる情熱と烈しさを醸し出し、ジークムントにはこれ以上ないほどの適役vですね。
そのイケメンな容姿と相まって(笑)、女性に(男性にもですが)絶大な人気なのもうなずけます。
特に第1幕終盤でジークリンデへの愛を歌い上げる「冬の嵐は退き、恍惚の月が照らす」は、体に直接響いてくるような迫力で、ただもう呆然と聴き入ってしまいました。
この声とルックスで迫られたらジークリンデがあっという間にオちるのも納得?で、まあ、ある意味、スゴイ説得力(笑)
一方のジークリンデは、清らかなタイプのワーグナー・ヒロイン(ゼンタとかエリーザベトとか)で人気のエヴァ・マリア・ウェストブルックで、第1幕では、苦しみと孤独の中に生きてきた薄幸の乙女を、可憐かつ情熱的に聴かせてくれました。
しかし第2幕開始直前に体調不良による交代がアナウンスされ、第3幕でも復帰できず、そのまま最後まで代役の歌手が歌うことに。
第1幕では(その後のカーテンコールでも)、特に問題があるようには見えなかったんですが...
それ以降の公演日のキャストが変更になっていないところを見ると、一時的なものだったのでしょうが、何があったのか気になります。
ちなみに代役の人(名前忘れました ;)も素晴らしく、第3幕の絶唱は感動的でした。
あと、フンディングのハンス-ペーター・ケーニヒとフリッカのステファニー・ブライスも、重みのある渾身の歌唱で、大喝采を浴びていましたね。
(まだつづく)